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テレビドラマ・バラエティ

ドリームマッチ2020

 2004dm  久しぶりだなと思ったら、2014年夏祭り以来の「ドリームマッチ」だそうです。メンバーも今人気の芸人たち。あ、審査員として志村けんは出てないんだ― 収録は2月8日とテロップが出ていましたので、元々出演予定ではなかったのでしょうが、コントへの評価がいつもさすがの視点だったので、さみしい気持ちがしました。

 セットや効果も豪華で、出演者が新しい魅力を見せてくれて、とても見ごたえがありました。出演順に感想。左がボケ、右がツッコミです。

ハライチ澤部×千鳥 大悟

無茶振りを澤部がひたすら拾うというハライチパターンの漫才。しかし私の知ってるハライチより、ずっと設定がぶっ飛んでいて、さすが頭おかしい(←ほめてますよ)大悟。なんか、一転してスケールが大きくなって、とっても面白かったです。

バイきんぐ西村×サンドイッチマン伊達

ネタを考えていない方の二人とあって、苦戦しそうだったんですが、占いのネタで、意外と普通に面白かったです。私西村結構好き。

霜降りせいや×バイきんぐ小峠

ポテンシャル的には期待の二人。せいやの多重人格の表現が力が入っていてすごい。それに対する小峠のツッコミのキレもさすが。

ロバート秋山×千鳥ノブ

ノブの雑誌表紙写真を、秋山のへんなカメラマンが撮るコント。間合いといい、流れといい、唇皮喰うといい、面白かった!最優秀賞をとりました。

ナイツ塙×チョコプラ長田

コンビ選択で最後まで残ってしまった二人。塙はショックそう。しかしセミナ―屋のうさんくささを風刺していて、なかなか面白かったです。

サンド富澤×ナイツ土屋

サンドとナイツをミックスした、凝った構成の漫才。いつもの土屋のキレキレを知っているだけに、もう少し練れたら、ものすごく面白くなるような気がしました。

ハライチ岩井×渡辺直美

衣装とメイクに凝ったコント。岩井ってこんなコントが書けて、あのわけわからない塩役ができる人だったんだ。直美の演技力とか魅力はさすが。ドリームマッチならではの、他では絶対見られない作品でした。

チョコプラ松尾×霜降り粗品

淡々と、松尾のキャラの面白さだけで進むと思いきや、今どきの画像を使って最後に向かって爆笑したネタ。

野生爆弾くっきー×オードリー若林

くーちゃんらしいシュールなネタ。やっぱ野爆というか、くーちゃんすげえ。

オードリー春日× 南キャン 山里

私はこれが優勝かと思いました。春日の強烈なキャラの活かし方が、若林と一味ちがう山里流。まったく新しい漫才を見せてもらって、とってもよかったです。

(前回までのドリームマッチの記事)

 

山本耕史の即興ドラマ「抱かれたい12人の女たち」

201912dakaretai   最近さまざまな役柄に挑戦して話題になっている山本耕史ですが、テレビ大阪制作の即興ドラマ、「抱かれたい12人の女たち」、Tverで全部見ました。

山本耕史が一人でやっているバー「Y'Zoo」(←この店名もナイス)に、深夜女性(誰かは耕史は知らない)がやってきて、さまざまなシチュエイションで彼を翻弄します。設定もわからない耕史はその場で返します。最後、女性をなだめてカクテルを作って出すと、女性が「今夜抱いてくれませんか」と言ってカット。その後短い反省会つき。

サブタイトルと女優名は以下の通り。

1話  浮気されたセックスレスの女 高橋メアリージュン
2   女優恋愛経験ゼロの女   若月佑美
3   昔、男だった女   メグミ
第4話   100人斬りの女   筧美和子
5   殺してきた女    中村ゆりか
6   アロマオイルを売る女    松本まりか
7   売れないパンクロッカーの女 岡本玲
8   年上の女 三浦理恵子
9   ストーカーの女   佐藤江梨子
10話  漫画家になりたい女 奈緒
11話  霊媒師の女 高橋ひとみ
最終話 女優Aを追う芸能記者の女 剛力彩芽

知らない女優さんも多かったですが、みんなきれいで、シチュエイションもよく工夫されていて、体当たりの熱演。第1話のメアリージュン、最初からいきなりキスしたりして迫力。若月佑美はセーラー服に着替えてかわいかったり、夫を刺して血まみれで入ってき中村ゆりか、パンクロッカーからの路線変更を迫られて悩む岡本玲、離婚してきたばかりの上品な女性三浦理恵子。ストーカーの佐藤江梨子はほんとコワかった。剛力彩芽は素なのと思うような号泣。

さすがの山本耕史もたじたじだったり、性転換したという設定がなかなかわからなくてもたついたり(メグミ)、もっとうまく返せる俳優さんはいたかもしれないと思ったりもしましたが、清潔感と芯から女性に親切な感じ、バーテンダーとしての手慣れた手つき(器用だから)が魅力的で、やっぱり山本耕史ならではのチャレンジ。

終わった後の、素に戻ったやりとりも、彼らがそのときどう思っていたのか、よくわかって面白かったです。

そして、タイトルバックも、加藤ミリヤの「PARADE」にのって山本耕史のシャワーシーン(やりすぎ)からのセクシーな映像で毎回キャー。エンディングの音楽もほっとする感じで、よく考えられた一編になっていました。

ドラマ「怪談 牡丹燈籠」

201911_20191103233201    NHKBSプレミアムドラマ4回のミニシリーズ、「怪談 牡丹燈籠」をまとめてみました。牡丹燈籠(灯篭とも書きますね)といえば、2018年7月に見た、白石加代子さんの朗読 で、その悲恋から始まっての壮大な陰謀や仇討ちのストーリー、キャラクターの際立つ登場人物たちと、その面白さに感動しましたが、それを丁寧に映像化。しかも、さすがNHKという、実力派の理想的な配役と、凝った特殊メイクや映像効果も駆使して、冒頭の語りはややとってつけたようですが松之丞で、長さもちょうどいい感じ、これを脚本・演出した源孝志さん、企画を聞いただけでさぞうれしかったのではなんて思ってしまいます。

人間関係が重層的なんですよ。旗本平左衛門(高嶋政広)の跡目を狙う毒婦お国(尾野真千子)と不義の愛人源次郎(柄本佑)、平左衛門が親の仇とは知らずに仕える孝助(若葉竜也)、縁談を嫌って、浪人新三郎(七之助)と恋に落ちる平左衛門の娘お露(上白石萌音)。お露は新三郎と会えない苦しさに死んでしまい、幽霊となって、侍女お米(戸田菜穂)とともに牡丹燈籠を持って新三郎を訪れます。このままでは取り殺されると、新三郎は勇斎(笹野高史)の勧めによりお札を家に貼り、金の観音を枕元に置いてお露を入れないようにしますが、金に目のくらんだ下男伴蔵(段田安則)、お峰(犬山イヌコ)に裏切られます。一方、婿入りが決まった孝助は、平左衛門を殺して出奔した源次郎・お国を追って仇を討とうとします…。

話がゆっくり丁寧に語られていくんですが、役者が揃いも揃って存在感があるので、画面の迫力がすごいです。尾野真千子・柄本佑の官能的な感じほか、とにかくうまいに決まっている人しか出ていませんが、若手の上白石萌音も、箱入りで純粋、恋に焦がれる娘の感じがとてもよかったです。若葉竜也も初めて見ましたが、一本気な好青年、殺陣が決まってると思ったら、大衆演劇の方なんですね。

そして、犬山イヌコをテレビでこんなにガッツリ見られるなんて。ちょっとアニメ声が、舞台では異彩を放っていますが、少し低めにして、その迫力たるや。白石加代子さんの後を継いで、怪談噺やってほしいなあ。

七之助もね、品の良い知的な若い浪人、素敵でした。ラブシーンは熱っぽくて、彼の持つ色気があふれてて。こんな七之助、めったに見られない。

BSプレミアムドラマ枠で、視聴率はどうなんだろうと思いますが、ほんとにすばらしい完成度のドラマでした。

(追記ー歌舞伎での上演)

この演目、歌舞伎でも上演されています。見たことないですが、データベース調べてみました。うわ、これは見たい!特に2011年の幸四郎・七之助の伴蔵夫婦と新三郎・お露役替わりとか、2007年のニザ玉・愛七とか、ドロドロで純愛で仇討で、歌舞伎にぴったりではありませんか。納涼歌舞伎にぴったりと思ったら、2003年にやっていますね。三津五郎伴蔵と福助のお峰、そして勘七が男女逆だけど、勘九郎が幽霊って迫力ありそうです。こういう配役で見たいです。

2015年7月歌舞伎座伴蔵女房お峰 = 玉三郎、伴蔵 = 中車、娘お露 = 坂東玉朗、新三郎 = 九團次

2011年5月明治座:伴蔵・新三郎 = 染五郎(現幸四郎)、伴蔵女房お峰・娘お露 = 七之助、船頭・三遊亭円朝 = 勘太郎(現勘九郎)

2007年10月歌舞伎座:下男伴蔵 = 仁左衛門、伴蔵女房お峰 = 玉三郎、船頭・三遊亭円朝 = 三津五郎、新三郎 = 愛之助、源次郎 = 錦之助、娘お露 = 七之助、お国 = 上村吉弥

2003年8月歌舞伎座:下男伴蔵 = 三津五郎、伴蔵女房お峰 = 福助、船頭・三遊亭円朝・馬子久蔵 = 勘九郎(18代目勘三郎)、源次郎 = 橋之助(現芝翫)、愛妾お国 = 扇雀、新三郎 = 七之助、娘お露 = 勘太郎(現勘九郎)

 

 

 

 

ドラマ「凪のお暇」「ノーサイド・ゲーム」

201909naginooitoma_  今期のドラマは、なんといっても「凪のお暇」

 周囲の空気ばかり読んでいる凪(黒木華)が、とうとう限界に達して、会社をやめ何もかも捨てて…という、事前の宣伝には興味が持てず、放送開始後も恋人慎二(高橋一生)がモラハラ男だなんて感想を見たので、見る気はしなかったんですが、回を重ねる毎に評判が上がってきて、途中から見始めたら止まらず、パラビで初回から見てしまいました。

「お暇」というのが当たっているかどうかは別として、凪が心地よさそうな部屋を出て住んだボロアパートの住人が秀逸。とことん優しいけど女にだらしない隣のゴンさん(中村倫也)、誰かと思ったら三田佳子の映画好きの老婆、ガテン系のシングルマザー吉田羊、娘うららちゃん(白鳥玉希)もしっかりした女の子ぶりがうまい!

お話は、仕事を探しながら自分の感情を素直に出せるようになってきた凪と、ゴン、実は凪のことが大好きだった慎二との関係や、慎二と凪のひどい家族、これもまたぴったりの求職仲間坂本さん(市川実日子)、スナックのママ(武田真治)などが絡んで進んでいきます。どのキャストも一癖あって、個性的なんだけどリアルで、饒舌じゃなくても台詞に真実味がこもっていて、いいドラマの典型ですよ。会社やスナックバブルやゴンの周りの女の子たちも、普通にかわいいんだけど、人間臭くていい感じ。

その中にあって、やっぱり黒木華、中村倫也、高橋一生の3人がすごい。とくに一生くんは、こんなにかわいくて感情が表情にきめ細かく現れる男がいただろうか!私、元のさやに戻る方が好きなので、最後慎二の思いが叶ってほしいと思ってましたよ。だって慎二の想像した家庭、凪にデレデレでかわいかったじゃん。

無職の凪は、どこに行くにも自転車、ダボダボTシャツ。郊外の風景と、ナチュラルな画面の雰囲気、あのたまの石川浩司や知久くんのパスカルズによる温かみのあるアコースティックな音楽。今までになかったタイプのいいドラマでした。

 

201909_20190924203701  勧善懲悪の会社ドラマで、弱いクラブチームが強くなるいつもの日曜劇場、しかもワールドカップ直前のラグビーがテーマなんてあざとすぎて、と思っていた「ノーサイド・ゲーム」。なんたって、前に見ていた「下町ロケット」は、コメがうまいから自動運転のトラクターを作らないと日本の農業は死ぬ、とかいくら何でもそんな単純な、でしたから。

でも、これは面白かったです。主人公君島(大泉洋)が本社から府中工場に飛ばされ、弱小ラグビー部のGMとして強くする話、なんですが、学生時代スター選手だった、ポロシャツのエリ立ててた大谷亮平が監督に就任するとか、仕事のできる君島が、家に帰ると妻マキちゃん(松たか子)にやられっぱなしとか、そのあたりですでに面白いうえ、ラグビー部員役があくまでガチで、元選手がゴロゴロ。ロッカールームで見せる筋肉やタックルの迫力がすごいです。

悪役も多彩。スマートな滝川常務(上川隆)は、憎めないなあと思ったらそういう展開になるし、ライバルチームの監督(渡辺裕之)がめちゃ渋いうえ前半では守旧派に見えてしっかりラグビーをわかってる人になってるし。

注目は、歌舞伎・ミュージカル俳優たち。大好きな石川禅ちゃん、ドラマでこんなに目立つ役をやるの初めて見ました。セリフのキレはさすがで、前半は味方でしたが、後半はラスボス。あの吉田鋼太郎さんでさえ「半沢直樹」では実力を封印したような人のいい上司だったのに、おいしい役だったじゃないですかあ。これからやる「ダンス・オブ・ヴァンパイヤ」では、実際主役級の活躍ですからね!笹本玲奈も、はじめ眼鏡で彼女とはわからなくて元アイドルかなと思ったらば、明瞭な台詞で、とってもよかったですよね。ああ、二人の歌の場面って作れなかったのかしら。

歌舞伎では、芝翫が超悪役。いや、悪役の中では、騙されてた分一番ワルではなかったんですが、だからといって印象がよくなるわけではなく、とくに若い頃のいやーな金持ち息子を、橋之助が演じてたのがもう。見ながら、ハリウッド映画で一癖ある敵役はだいたい訓練された英国の役者がやっているのを、日本だと歌舞伎やミュージカル俳優がやるのかと思ったくらいなんですが、それにしても橋之助の役は救いようがないヤな奴が、地のようにはまってて残念でした。

右近くんが息子役でがんばってましたが、やっぱり歌舞伎の子は小芝居は苦手なのか、けっこうおおらかでしたよね。しかし、このつながりからか、ラグビーWCの開会式で、右團次さんと連獅子やれたのはよかったですね。隈取も似合って、しっかり毛振りしてました。

ドラマ「きのう何食べた?」と「いだてん」第一部完

  201906_20190629140101テレビ東京のドラマ「きのう何食べた?」終わってしまいました。よしながふみの原作コミックは料理好きの友人の間で話題でしたが、読んだことがなく、西島・内野というキャスティングだけで見始めましたが、ほんとに丁寧に作られた、最初から最後まで満足度の高いドラマでした。

弁護士で料理好きのシローさん(西島秀俊)と、美容師のケンジ(内野聖陽)はゲイカップル。シローさんにぞっこんで乙女なケンジと、カミングアウトに抵抗があることもあって、ツンデレなシローさん。このシローさんは宛て書きかというくらい、西島秀俊にはまっているんですが、乙女なケンジに見事になりきっている内野聖陽がすごすぎ。この人の憑依的な演技力を改めて思い知りました。あの家康?竜馬?勘助?というくらい。

もっと絡みが見たかった、もう一組のカップル、小日向さん(山本耕史)と航(磯村勇斗)も、とってもよかった。あくまで外見はかっこいいのに航にメロメロな小日向さんと、客観的にはダサいビジュアルなのに、小悪魔な航。山本耕史ー内野聖陽の場面は、家康と三成@真田丸だ、など。

原作コミックがよいためもあるのでしょうが、リアルなセリフが、一生懸命生きている人たちを尊重する描き方で、どの回もすばらしく、毎回ケンジの気持ちになって泣いちゃってました。梶芽衣子、田中美佐子、マキタスポーツ、奥貫薫ら、共演者も、みんな合っていて、テーマ曲もすごくよかったです。

 

Photo_20190629140101

  さて、低視聴率のニュースにはらはらしながら、「いだてん」いだてん前回の記事)の第一部、勘九郎主演部分が終わりました。毎回ちがう見せ方をしながら、近代日本においてスポーツと女性がどういう歴史を辿ってきたかを見事に描いた傑作でした。

丹念に歴史のエピソードをを拾ってきたり、セットや衣装に凝ったNHKスタッフも立派ですが、とにかくこの、誰も描いたことのない時代を、こんなに魅力的に描いて、なお押しつけがましくなく、スポーツや女性の自由のすばらしさを感じさせてくれるクドカンの脚本。何回にもわたる伏線が心憎いばかりで、何度も前の回を見たくなります。

第一部最後の回、シマちゃん(杉崎花)の死は悲しすぎる、と思ってみていると、鮮やかな人見絹江(菅原小春)の登場で、関東大震災で焼けてしまった東京の町に、明るい希望の灯が点る展開にはうなりました。熊本の幾江さん(大竹しのぶ)をはじめ、第一部の主要人物が生きてる人は総出で、でもただの顔見世になっていないところもうまい。さらに美川くんは出さずにかえって見る側に思い出させるところも愛を感じます。

第2部も楽しみです。

 

 

 

NODA・MAP「表に出ろい!」・ドキュメント「超・演劇人 野田秀樹 密着555日」

201904_3     NODA・MAP番外公演「表に出ろい!」を映像で見ました。2001年からの野田版の歌舞伎が好評を博した後、2010年に勘三郎・野田秀樹の最初で最後の共演となった現代劇です。

 能楽師の父(勘三郎)は、東京ディスティニーランドが大好きで、友人とパレードを見に行くつもりですが、その日は母(野田秀樹)が、ジャパニーズのライブに行く日。愛犬のお産のために、留守番を押し付けあう夫婦。娘(黒木華)が帰宅しますが、友達と限定グッズの列に並ぶために出ていくといいます…。

実は、NODA・MAPは家で見るにしても、一人でゆっくり余裕のあるときに見たいと思ってしばらく先延ばししていたんですが、登場人物は3人だけ、家のリビングでの軽快なやりとりで、構えずにみられる芝居でした。

舞台装置(堀尾幸雄)は、写真の衣装と同じ色調(ひびのこづえ)のカラフルなもの。このお二人、ずっと野田作品を支えていますが、毎回多彩で美しい。

新鮮だったのは、最初の夫婦の、どちらが出かけるか、いつどちらが連絡したのか、のやりとりのリアルさ。これ、そのまま子どものいる夫婦の会話ですよ。こんなに生々しい、でも面白い台詞、書こうと思ったらすぐ書けちゃうんですね。

もちろん勘三郎さんの勘のよさとか天性の愛嬌とか、こういうお芝居でもすごい役者だと思いますが(ちょっと汗かきすぎなんだけど)、野田秀樹の母役がすごい!

若い頃の遊民社の彼は、走り回り、ボケとツッコミを一人で叫び、一座をひっぱるというか引きずり回す感じで、とくに20代でもおばさん役が大好きでした。ここ数年再見するようになった野田秀樹は、いい役者に主役を譲り、芝居のスパイス的な役回りで、もう年だし仕方がないな(失礼)なんて思ってたんですよ。

しかしこの芝居は3人だけなので、往年以上の野田秀樹成分の濃さ!信頼する勘三郎さんとがっぷり四つに組んで、緻密な脚本を即興的な雰囲気で(きっちり演出されているのかもしれませんが)演じる楽しそうな野田秀樹。相変わらずの柔らかな身体、しかもおばさん役。

そして黒木華!京都造形芸術大在学中にオーディションで、この作品の前のNODA・MAP「ザ・キャラクター」のアンサンブルでデビューした直後ダブルキャストでの娘役。声、台詞、自分の信念を両親に主張する迫力、軽い動きと、この二人を前にして一歩も引かない熱演で、もう完全に出来上がってます。

この作品、最後まで笑いながらも、前作「ザ・キャラクター」の狂信集団を見た人は、設定がより深く理解できるということで、「人それぞれが信じるもの」というテーマをしっかり描いていてさすが。野田秀樹の3,4人くらいのこの規模の芝居、ぜひまた。今度は生で見たいものです。

 

追記・ドキュメント「超・演劇人 野田秀樹 密着555日」

このすぐ後に、WOWOWの野田秀樹の密着ドキュメントを見ました。さすが演劇に力を入れているWOWOWさん、超・演劇人とはよく言った。

まず2017年の歌舞伎座での「野田版・桜の森の満開の下」のリハーサルに始まり、松たか子も参加したワークショップ、前述の「表に出ろい!」の英語版の上演ドキュメント、2018年の「贋作 桜の森の満開の下」の舞台作りとパリでの上演と、最近見たものばかりで興味深かったのと、舞台裏、野田秀樹のインタビューがたっぷりで、ものすごく面白かったです。

野田版桜の森では、映画版パンフレットに載っていた、「高いところが平気な夜長姫七之助と、怖がる耳男勘九郎」が実際に見られましたし、「表に出ろい!」は前述の2010年版と同じところと、イギリス人俳優(キャサリン・ハンター、グリーン・プリチャード、しかもこの二人が父と娘を、男女逆転で演じるというしかけまで。ちなみに父の職業は能楽師ではなくてシェイクスピア俳優!)ならではの違うところが明確に見えました。ルーマニアの演劇祭で上演したのですが、この演劇祭自体がとてもきれいで面白そう。

贋作桜の森は、紙やゴムバンドを使った演出ができあがってくるところ、そしてパリでの上演の苦労。

野田秀樹自身の精力的な仕事ぶり、密度の濃いことば遊びの綴られる芝居を英語で上演する、しかも主役の一人は自分というのは本当にすごい。とくに舞台装置のしかけや字幕の段取りなどの苦労は、以前読んだ「野田秀樹」のムックにも率直に語られていましたっけ。

演出家らしく、自分の仕事を無駄のない詞で的確に説明する姿もかっこいい。ついでにファッションも遊び心があって凝りすぎなくて好みでした。

大河ドラマ「いだてん」と「まんぷく」

201903_2   今年の大河ドラマ「いだてん」。クドカンがいよいよ大河の脚本を書くのはうれしいけど、まさかの明治以後、東京オリンピック前年にオリンピックモノとはあざとい、なんて思っていましたが、いやいや、最高です。無駄のない台詞に加え、構成力にますます磨きがかかったクドカンの脚本を、NHKが惚れきって映像化しているだけあって、とにかく映像もキャスティングもそれにこたえる役者さんの演技もすばらしい。

オープニングも凝っていて、絵はあの山口晃の、当時と現代が同居する洛中洛外図風の生き生きとした絵、映像は、ワンピース歌舞伎やケラ舞台の上田大樹、音楽は「あまちゃん」の大友良英。何度見ても飽きないオープニングです。

ドラマの始まりは明治の末、日本が初めてオリンピックに参加を決めるところから。日露戦争の勝利後、第一次世界大戦の前です。初のオリンピック代表の一人三島弥彦(生田斗真)はスポーツを楽しむ東大生で、その父は池田屋事件に関与した薩摩藩士ながら、維新後は県令や警視総監を歴任し、三島家は名家として洋風のお屋敷に暮らす、という、スポーツ界ではなく(というよりスポーツ界自体がまだ存在せず、一部の知識人の道楽という時代)、近代日本そのものが描かれています。

日本のオリンピック史に重要な役割を果たす東京高等師範学校校長の嘉納治五郎(役所広司)は、柔道の父として有名ですが、リベラルで国際感覚を持った紳士で(辛亥革命が起きたとき、清国からの留学生の学費を借金して肩代わりして、勉強を続けさせたりしてます)、こういう人が日本のスポーツの歴史の初期にいたとは。さすが役所広司、場面に重厚さを与えながらも、「乗れなかったよ」で笑わせてくれました。

主人公の金栗四三、全く知らなかったですが、熊本出身で素朴な外見ながら、勉学優秀で東京高等師範に進学しただけあって、冷静な自己分析の日記を残しているんですね。この四三を、われらが勘九郎丈が熱演。歌舞伎をやりながら、走り、体を絞り、顔つきまで変わって完璧な(たぶん)熊本弁。前から好きだけどもっと好きになりましたよ。

ドラマ全体がいいので、役者さんを挙げるときりがないですが、生田斗真、白石加代子の三島家、優しい兄がはまっている獅童、語り手でもある心地よいしゃべりの森山未来、こういう綾瀬はるかが一番好き、な綾瀬はるか。日本のドラマに慣れていて生き生きとしているシャーロット・ケイト・フォックス竹ノ内豊

視聴率は悪いそうですが、機会があれば人に勧めずにはいられない(←うざくてすいません)、いいドラマで、これからも楽しみです。視聴率なんかいくら悪くたって、そこそこ大河ドラマ見ている私には、もっともっとクォリティの低いドラマはいくらでもあったし。三谷幸喜の大河ドラマは、「新選組!」も「真田丸」も、本当に楽しませてもらっただけに、それに並ぶおもしろい「いだてん」、このままの調子で、最後まで行ってほしいです。

 

201903manpuku

  そしてもうすぐ終わる朝ドラ「まんぷく」。朝ドラは、主人公の職場の描き方が雑、そんなに甘いはずがない、という意見をよく見ますが(選んでみているのであまり比較はできない)。このドラマはそこを気にしたのか、発明するのがマッド・サイエンテストな長谷川博己だったせいか、とても丁寧に商品が生まれるまでを描いていて、面白かったです。チキンラーメンとオリジナルカップヌードル、けっこう食べちゃいました。

ただ夫が好きという普通の主婦を演じる安藤サクラのうまさ、だんだん仕草や発声が、大阪のおばちゃんに見えてきたのはさすが。主人公があまり強烈でないだけに、周りが個性的で楽しく、とくにコメディエンヌに徹して、古い価値観を主張しながらも愛すべき存在となったブシムス鈴さんの松坂慶子が秀逸で、「真田丸」の長澤まさみのきりちゃんと双璧なうざかわいいキャラでした。桐谷健太、牧瀬里穂、加藤雅也(こういう人だったんだ!若いころはワイルドだったのに)、要潤もよかった。いつも裏がありそうなイケメンのように見えた大谷亮介が、誠実な真一さんを演じきったのも、新機軸でしょう。

私が好きだったシーンは、まだホテルに勤めていたころ、ハナちゃんたちに「私ってべっぴん?」ときいて、「福ちゃん、そんなこと気にするの?」「私たちの学校、お嬢さん学校だったけど、福ちゃん貧乏だったでしょ?」「うん、びんぼうやった」「でも気にしてなかったでしょ」「うん、気にしてなかった」(回想「福ちゃんいつもお弁当おじゃこね」「うん、おかげで骨は丈夫やの」)「私たちはそんな福ちゃんが大好きだったのよ」というやりとり。福ちゃんの境遇に関係のない、持って生まれた明るさや善きものが表れていて、毎日、気持ちよくみられた半年でした。

 

ドラマ「元禄落語心中」「下町ロケット」「獣になれない私たち」

201812     今季のドラマ、NHK「元禄落語心中」です。原作コミックは未読。

名人八雲(岡田将生)に弟子入りしたもとやくざの鉄砲玉与太郎(竜星涼)。八雲の家には、八雲を父助六の仇と憎んでいる小夏(成海璃子)がいます。八雲と助六(山崎育三郎)は、子供の頃先代八雲(平田満)に入門した兄弟弟子でしたが、破天荒ながら天性の愛嬌のある助六に劣等感を持つ優等生タイプの八雲(当時菊比古)。二人はよきライバルに育っていきますが、みよ吉(大政絢)をめぐって二人には…。

戦前からの古い寄席を舞台に、落語と小夏の父母の死の謎を描いていくミステリー要素があって、面白かったです。最後、やっぱり小夏の子の父親は八雲だったんじゃないかなあ。

ミュージカルの人である山育と、竜星涼の落語が生き生きとしていてうまくて感心しました(前座クラスよりはうまいと思った!)。ただ、岡田くん、年寄りだからってあんなにゆっくり話さないし、あまりに端正な顔で老け役は難しいと思いましたよ。大政絢がみずみずしい美貌、篠井英輔さんの家人がとてもよかったです。

201812_2      菊之助が出演するというので「下町ロケット」も見ました。前回のシリーズは見ていません。

(以下、ワルクチですのでお好きだった方ごめんなさい)

前回は下町の中小企業がロケットに使われる技術を作り出すということだったそうなので、実際にありうると思うんですが、続編は、無人トラクター。しかし、関係者は担い手が高齢化した日本の農業を救うにはこれしかない、と思ってるらしいんですよ。しかもその動機が、元経理部長(立川談春)が親の跡継ぎをしている田んぼで田植えを手伝ったら素晴らしかったって。日本の農業の様々な問題って、トラクターだったのか、って言いたくなるじゃないですか。

で、菊之助の役どころは、前半は主人公佃社長(阿部寛)と最初は協力し、後に敵対するギアゴースト社の社長。元帝国重工の優秀なエンジニアで、的場(神田正輝)のやり方に疑問を感じ同僚の島津(イモトアヤコ」)と起業したという設定です。

いやー、せっかくの本格的な連ドラなのに、ナニコレな役ですよ。前半は特許侵害で訴えられただオロオロ、後半は古館伊知郎にたきつけられて佃製作所を裏切り、帝国重工に復讐をはかります。いつも着ている作業着の襟は立ち、眉毛はきれいに整えられているし。エリート技術者にあの眉毛はないわー。色っぽすぎる目を覆い隠す眼鏡も役に立っていません。生真面目な、ちょっと浮いてるお人柄が(だから舞台ではいいのよ)裏目に出た感じ。番宣にもたくさん駆り出されていたけど、イタイ感じでしたよね。

また、イモトさんはどちらかといえば好感を持ってみてる方ですけど、われらが菊ちゃんと「伊丹くん」「島ちゃん」という関係なのにはすごい違和感。この役吉田羊みたいなキャスティングはできなかったのかなあ。

あーあ、ドラマとしてはともかく、「西郷どん」は、役どころとしてはとても魅力的な美僧月照でしたが、これは何しに出たの、と毎回怒りに燃えてました。「ブラック・ペアン」の猿之助も悪役だったけどまだ頭でっかちの嫌味な役(素のように合ってた)をけっこう楽しそうに演じてましたからね(しかしワンピース歌舞伎2か月公演の合間にどうやって撮っていたのか)。

それから、ミュージカルの古川雄大も農業法人のイヤミな若者で出てました。これがまた救いようのないやなやつ。「モーツァルト!」とか「ロミオとジュリエット」で主演するような若きスターに何してくれる!

同じく舞台の実力者、谷田歩も出てましたが、こちらはあまり台詞もなく、でもあの鋭い目が画面でピカッと目がいく人。「西郷どん」では愛加奈の島のいい役人でいい味出してました。

しかし、このドラマ、有名人がたくさん出ている割には、善悪がはっきりしすぎていて、毎回パターンが同じ、しかも佃製作所の全員会議やら菊ちゃん陣営の飲み会やら突っ込みどころが多く、これが「仁」や「とんび」の枠か、とがっかり。試走シーンのロケなどは大掛かりですが、この枠、予算があると変な風に使っちゃう癖があるんですかね。

201812kemonare    「獣になれない私たち」も、録画を一気にみました。ITベンチャーのワンマン社長(山内圭哉)の下、あらゆる面倒ごとを引き受けて働く晶(新垣結衣)と恋人(田中圭)、ビール・バー5Tap の常連恒星(松田龍平)、元恋人呉羽(菊地凛子)、朱里(黒木華)の物語。野木亜紀子のオリジナル脚本。

ガッキー、仕事ができて引き受けて、ニコニコしている、職場でよくいるタイプ。いろいろ重い設定もあって、もどかしいところもあるので、視聴率はさほどでなかったようですが、各シーンが丁寧に描かれて、役者さんの演技もきめ細かく、とても完成度の高いドラマだと思いました。さすが野木亜紀子に外れなし。

しかし、見始めて数話で、公式サイト見たらこの写真。田中圭との関係がどうなるのかとはらはらしてたのに、このガッキーの表情、ネタバレですよ。このドラマの企画は「おっさんずラブ」大ヒットの前で、田中圭さん、重要人物だけど脇役だったんだー。どちらかといえば田中派ですよ私。

菊地凛子、キャストとしてはいい味出しているんですが、セリフがふにゃふにゃしてて、この中うまい人たちの中ではちょっと残念な感じ。同僚の伊藤沙莉、犬飼貴丈がとってもよかったです。

社長山内圭哉、大阪弁でがなりたてるのがひくほど(この人が無理という視聴者多かったと思う)、しかしいい白シャツが似合ってて、私は感心していました。「セールスマンの死」と同時期だったんですよね。あのナイーブな青年と、この社長、すごい俳優さん。かっこいいし。

藤田洋「歌舞伎の事典ー演目ガイド181選」・Eテレ「にっぽんの芸能・山川静夫と振り返る平成の歌舞伎30年」

201212       国立劇場でみかけて買ってみた「歌舞伎の事典ー演目ガイド181選」です。著者は、「演劇界」の編集長を務めた藤田洋さん。

「あらすじで読む名作歌舞伎50」等と比べて、181とは多い!第1章 純歌舞伎・義太夫狂言・新歌舞伎で137作、第2章 歌舞伎舞踊が44作。著者は、今ある400作のうち半分ほどなので、差し当たって必要とされる演目は含まれている、と書いています。チェックしてみたら、第1章で半分、歌舞伎舞踊は三分の一ほど(シネマ歌舞伎も含めて)見ていました。歌舞伎歴6年ちょっとで、ややはまっている私としては、まあまあと言えましょう。

ただし第1章は、「義経千本桜」や「仮名手本忠臣蔵」でも1作と数えていて、見開き2ページに写真2枚なので、説明ではあらすじはよくわかりません。「妹背山婦女庭訓」なんて、右のページに鱶七、左のページに雛鳥と定高の写真ですよ。

この本の使い方は、こんな演目もあるんだ、と舞台写真を眺めることといえましょう。2011年発行なので、だいたい2000年代のものだと思いますが、もちろん多いのは藤十郎、團十郎、吉右衛門、菊五郎、先代幸四郎、仁左衛門、勘三郎、玉三郎と、歌舞伎の本によく出てくる皆さんながらも、演目が多いのでほかにもたくさん。三津五郎が多かったのもうれしかったです。

2012121     富十郎、先代芝翫の、芝居味の濃いこと、先代雀右衛門のきれいなこと。この「毛谷村」の子役は鷹之資かな、と思って調べたら、ほんとに3歳の鷹之資くんでしたよ。お父さんと共演したことがあったんですね。

2012122     この二人は、東蔵、三代目猿之助ですよ。私、三代目はスーパー歌舞伎をやる人という印象だったので、先日の「にっぽんの芸能」で筆屋幸兵衛を少し見て、勘三郎さんのような人情味あふれる演技に驚いたんですが、この加賀鳶のよくわからないけど(見てないので)強烈さ。国姓爺合戦の和藤内も迫力でした。復活狂言や古典でも八面六臂の活躍だったんですね。

2012123     これは梅玉、魁春のお二人。「菅原伝授手習鑑」の桜丸と妻八重です。若々しく美しい。今ももちろん好きですが、この頃から見たかったな。菊五郎さんもほんとに美しい写真ばかりでしたし、少しですが、秀太郎さんも色っぽい写真がありました。

この手の本にしては、海老蔵が少ない(團十郎がたくさん出ている)のですが、なんと、弁天娘が海老蔵でしたよ。どんな役でも、美しい海老蔵ですが、さすがに弁天娘は味が薄くて残念。菊五郎はたくさんあるのになぜこれを使ったのか。なお、海老蔵・菊之助の鳥辺山心中はほれぼれするほどです。

さて、先日、NHKEテレで「にっぽんの芸能」で「山川静夫と振り返る平成の歌舞伎30年」を、たったの1時間でやっていました。当然駆け足で、亡くなった名優を振り返るといった形だったのですが、比較的長く映ったのが、勘三郎の「法界坊」、三代目猿之助のスーパー歌舞伎「八犬伝」、團十郎・玉三郎の「助六」。

それぞれ面白かったですが、この八犬伝は、デジタル・リマスターとかで、鮮やかな映像。衣装もすごいです。そして、亀治郎のスーパー歌舞伎デビューとなったのがこの作品です。18才くらいですが、やっぱりたいしたものです。もちろん三代目のこってりした味、縦横無尽の活躍もすばらしい。

しかしこのタイトルなら、2時間でも3時間でも、たっぷり時間をとって、山川さんにいろいろ教えていただきたかったなあ、と思います。

「寧々~おんな太閤記(2009)」再放送

201810_2     2009年のテレビ東京の新春ワイド時代劇「寧々~おんな太閤記」です。1981年のNHK大河ドラマのリメイクで、本放送時はのべ12時間の放送だったそうですが、今回は2週間にわたり、BSテレビ東京で毎日1時間放送。

大河では佐久間良子の寧々に「おかかー!」と叫ぶ西田敏行の秀吉が人気でしたが、この秀吉が亀治郎時代の猿之助。寧々体当たりの求婚、信長の下での出世、天下取り、晩年の老耄と、教科書通りの秀吉の生涯を演じます。

こんなドラマ、今頃再放送してくれるなんて、私のためですか(笑)。ほんとに、見逃さなくて全て録画できてよかったです。

猿之助、若い頃は、華奢な体つきもあって、体重を感じさせない予測できない動きで、猿っぽい。愛嬌がありながらも戦略を口にするときには頭のよさを感じさせます。譜代の家臣がいない秀吉は親族に愛情を注ぎますが、ときにそれを犠牲にする冷徹な計算。関白になってから、家康(高橋英樹)に「形だけ臣下の形をとってくれ」と頼み込みながら、実際の対面では半端ない圧をかけるところは見ものでした。川や温泉シーン、裸足の指のアップとか、演出は亀治郎ファンなの?という見せ場も多数。

「風林火山」では、由布姫とのラブシーンなど、ぎこちなさすぎてみる方が恥ずかしかったんですが、さすが寧々の仲間由紀恵がよいせいか、寧々との愛情も細やかに描かれていましたし(ジンと泣ける場面も多数)、淀(吹石一恵)ほか側室との関係も無理なかったです。

来月歌舞伎座の法界坊、勘三郎さんの法界坊(シネマ歌舞伎で見ただけですが)があまりに自在で面白かったので、クソ坊主とか女好きとか、どうなんだろうと思っていたのですが、このドラマ見たら何だか安心しました(どこから目線ですいません)。

ドラマとしても、どうしてもエピソードをただつなぐだけになりがちなところ、それぞれを丁寧に描いているのと、寧々目線で一本筋が通っていて、面白かったです。最終回は淀と寧々の冗長な会話シーンなど、少し息切れな感がありましたが。衣装や合戦シーン、ロケも贅沢でした。今の大河もこんなに合戦シーンしっかり描いていないかも。

キャストでは、秀吉の母おなか(十朱幸代)がさすがドラマを盛り上ていました。家康の高橋英樹だけは、安定感ありすぎなんですが、このドラマだったらもう少し若くて一癖ありそうなキャスティングもあっただろうと思いました。

他のキャストも、10年前とあって、こんなところに、という方も多数。秀長(福士誠治)を始め、井之上チャル、市瀬秀和といったワンピース歌舞伎の出演者や、秀次(濱田岳)、竹中半兵衛(山崎銀之丞)、和田正人

歌舞伎関係では、小早川秀秋に松也、秀頼に壱太郎。松也は声はいいですが細くて華がなくて、今メタルマクベスの美丈夫となるとは想像しがたい感じ。壱太郎秀頼は家康が対面した後「手を握ったら女のように柔らかい手であれでは大阪城を束ねられまい」と言われちゃうんですが、だって女方だもん、とくすり。

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