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ミュージカル

「Memphis(メンフィス)」@新国立中劇場

Photo  山本耕史、濱田めぐみのコンビで2年ぶりに「メンフィス」再演、しかも山本耕史の演出、最近の彼の活躍や、事前の稽古の充実ぶりが発信されたりしていて、楽しみにしていましたが、Twitterでも評判がよくてさらに期待して行きました。

なんたって、この演目、2012年にブロードウェイでアダム・パスカルのヒューイで見ているわけですが、2015年の初演版は、耕史・濱めぐのコンビがとてもよく、さらに、今回は山本耕史が演出に加わって、彼の思い描くこの作品世界にキャスト全体が集中していて、さらにバージョンアップしていました。

頭は弱いが純粋に黒人音楽を愛するヒューイ(山本耕史)。山本耕史の持つ明るさや一生懸命さを少し軽くして、とってもかわいいヒューイ。そして、ヒューイを愛しながらもメンフィスを出ていく勇気のあるフェリシア(濱田めぐみ)。二人が初演時よりもさらに役を自分のものにしていて、歌に役の命がこもっていて最高でした。濱田めぐみは、日本で一番好きなミュージカル女優ですが、このフェリシアがいちばん彼女の声質の良さを表現していると思います。ほんとに、いい曲がたくさんあって、何度も鳥肌立ちました。

フェリシアの兄(ジェロ)、ボビー(伊礼彼方)、ゲーター(米倉利紀)、歌も演技もとてもよかった!ジェロがやや華奢でヒューイへの壁になる大きさが若干足りないのも気になりませんでした。ほかにラジオ局のシモンズ(栗原英雄)はいつもながら味があるし、ヒューイのママ根岸李衣は、初演時より歌がずっとうまくなっていて、素敵でした。

ヒューイが黒人音楽を紹介していく話なので音楽シーンも自然で、アンサンブルも見せ所がたっぷり。密度の濃い舞台を作り上げていました。コーラスが感動的な曲もいっぱいありました。セットは、初演よりブロードウェイ版に近い、二階があるパターンで、この方が立体的で効果的。

見るたびに書いていますが、ヒューイはメンフィスでしか生きられない、自分をほんの少し変えることもできないためにフェリシアと幸せになることはできないのが悲しいラスト。「Memphis Lives in Me」は渾身の名曲です。

ラストは無理やりなフィナーレなんですが、ヒューイを変えなかったことが、このミュージカルのよさでもあるんだな、と思いました。スタンディング・オベーションの早さが、満席の観客の感動を物語ってました。

ドラマといい曲とキャストの熱唱とダンスを詰め込んだ、今のミュージカルの一つの完成形です。ああ、ここまでのミュージカルを純粋に日本で作ることができる日が来るんだろうか、と、ちらと思いながら、作品の力をそのまま形にしてくれた、山本耕史始めスタッフ・キャストに拍手です。

(2回目追記)

せっかくなのでもう1回見ました。ほんとにずーっとフラフラ動いているヒューイ。濱めぐの歌。バーンと前に出てくるコーラス。一人一人がこの作品世界を力いっぱい表現するいいカンパニー。アンコールでの観客の立ち上がるのが早いこと、そして今回もかわいいジョークでシメる山本耕史。

ああ、でも2回目で思いついちゃいました。ヒューイの前に立ちはだかるデルレイは、ジェロより米倉利紀の方が合ってたなあ。

「スカーレット・ピンパーネル」@赤坂ACTシアター

Photo  昨年秋の公演のチケットを取り損ねて残念に思っていたら、好評だったようで、わずか1年後の再演となった「スカーレット・ピンパーネル」です。石丸幹二、安蘭けい、石井一孝という、歌も上手く、今日本で一番華のあるキャストで、楽しみにしていました。今年、宝塚の方を先に見ちゃいましたが、それはそれで。

  原作は1905年出版のイギリス小説「紅はこべ」。ミュージカル版は脚本ナン・ナイトン、作曲フランク・ワイルドホーン、ブロードウェイで1997年に初演、劇場を変えたりしながら2000年まで上演されています(ワイルドホーンとしてはヒット作)。日本では2008年に小池修一郎潤色・演出で宝塚初演、安蘭けいがパーシーを演じています。このプロダクションの演出はガブリエル・バリー。

舞台は1792年のパリ、ロベスピエール(上原理生)の恐怖政治の下、ショーブラン(石井一孝)は市民をギロチンに送っています。コメディフランセーズの人気女優マルグリット(安蘭けい)は、イギリス貴族のパーシー(石丸幹二)と結婚してイギリスに渡りますが、昔の恋人ショーブランに仲間のサンシール侯爵の隠れ家を教えてしまったマルグリットに対し、パーシーは不信感を抱き始めます。仲間の貴族やマルグリットのとフランス市民を救うスカーレット・ピンパーネル団を結成したパーシーは、正体を隠しながら活動しますが…。

美男美女の夫婦なのに不信感で行違う雰囲気がちょっとつらい前半ではあるものの、石丸パーシーがおふざけするのがなかなかいいです。宝塚の紅ゆずるはふざけるとオバちゃんになっちゃうのが残念でしたが、ハンサムのちょっとしたジョークというところに止まっていて。対照的な、マルグリットへの未練と職務で屈折している生真面目な石井ショーブラン。眉間のシワ、思い詰めた表情がセクシー。

そして、この舞台の見どころのスカピン団がイケメン揃いでかっこいい!中でもちょっと目につく泉見洋平(「華麗なるミュージカルクリスマスコンサート」にゲストで出てました)、アルマンの松下洸平(「ラディアント・ベビー」)がよかったし、ほかに藤田玲、多和田秀弥、久保田秀敏、そしてコメディ・リリーフの久保田貫太郎

さらにロベスピエールとウェールズ公の早替わりもあった上原理生の歌もさすがで存在感がありました。

マルグリットがパーシーと夜中に庭で会うところは、なんで気づかないんだ、ですし、パーシーの正体を知るところはちょっと脚本がもたもたしていて残念でしたが、2幕終わりの立ち回りも迫力で、すかっとハッピーエンドなところはこの演目のいいところ。アンサンブルも含めて、多くはないキャストがきびきびといいチームワークで動いていて、やっぱり面白い、いい作品だなと思いました。

映画「ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ」

Hedwig   先日のジョン・キャメロン・ミッチェルの特別公演の後、映画のDVDを見てみました。というか、名作なんだし、せっかく生ジョン様見るんだから、見とけよってことですよね。

ああ、ほんとに、映画見ておくべきでした。さまざまなメイクとカツラとファッションのジョン様が名曲の数々を歌うだけでもすばらしいんですが、ドキュメンタリーっぽい映像に、架空ながらリアルなヘドウィグの人生が描かれていて感動的。オーブに集まったファンたちは、1曲1曲にこの映像を重ねながら、ジョン様の歌を聞いたんでしょうね。それは熱狂するわー。

「ロッキー・ホラー・ショー」と似てるなんて言われているようですが、似てるのはフランクフルター博士とヘドウィグのビジュアルの雰囲気くらいで、ずっとリアルで深い。そして、メイクなどはかなり強烈なんですが、ジョン様の小さな顔やスリムな体があまり肉感的でなくて、ある種さわやかさがあるのがいいです。

ヘドウィグ(ジョン・キャメロン・ミッチェル)は東ベルリンに生まれ、ルーサー軍曹と結婚して出国するために、切断手術をうけますが、その失敗で1インチ残っちゃいます(Angry Inchi!)。アメリカでルーサーと別れ、ベビーシッターをしているときに知り合った少年トミーTommy(マイケル・ピット)とたくさん曲を作りますが、トミーはヘドウィグの曲をパクッって大スターに。ヘドウィグと恋人のイツハク(ミリアム・ショア)のバンドはトミーのやる会場の隣のカフェでライブをやりながら、権利を取り戻そうとしますが…。

このイツハク、小柄で声が高いとはいえ髭も濃く、まさか女優がやっているとはおもえませんでした。中村中って、ミュージカル版でこのイツハクを演じていたんですね!イツハクは、RENTのTシャツを着ていて、RENTのグアム・ツアーのオーディションを受け、エンジェルに決まるんですが、そこが、この映画がつくられた頃のRENTの地位を思うと、ああ、って思います。RENTのゲイはいくつもある愛の形という感じで、とても自然な描かれ方ですからね。

トミーと再会してからのヘドウィグについては、いろいろな解釈がありうるようです。イツハクとも別れちゃったのかどうかよくわからなかったし。ヘドウィグはこれからどうするんでしょうか。このバンドはやめてしまっても、いつか音楽に帰ってくると信じたいです。

「レディ・ベス」@帝国劇場

Ladybess2  2014年初演のときは、人気でチケットを取りそびれた「レディ・ベス」の再演です。「エリザベート」、「ダンスオブヴァンパイア」と同じドイツの作家ミヒャエル・クンツェ作、シルヴェスター・リーヴァイ作曲、小池修一郎演出、キャストもミュージカル界の人気者揃いですよ。レディ・ベスはエリザベス1世のことで、異母姉のメアリー女王時代の迫害から王位につくまでをドラマチックに描く大河ロマン。

ヘンリー8世は、メアリー(吉沢梨絵)を生んだ妻と離婚し(ローマ教会と決別してイギリス国教会を創設した国王だって世界史で習ったいましたよね)、アン・ブーリン(和音美桜)との間にエリザベス(花總まり)をもうけますが、アンは不義密通の罪で斬首となります。エリザベスも疎まれて田舎の屋敷に、侍女キャット(涼風真世)、家庭教師替わりの学者アスカム(山口祐一郎)と寂しく暮らしています。ある日吟遊詩人のロビン(山崎育三郎)と知り合い、外の世界を知り、二人は愛し合います。そして、メアリーはスペインのフェリペ(古川雄大)と結婚することになり…。

キャストはこのほか、メアリー女王の腹心でベスに敵対するガーディナー(石川禅)、スペイン王家の家臣シモン(吉野圭吾)、ロビンの仲間に石川新太くん、と、本当にミュージカル界で好きな俳優さんばっかりだなあ、とニコニコしながら見てました。

舞台装置は廻り舞台を立体的につくったもので、シンプルな背景の映像で、ベスの屋敷の庭、女王の居間、街等を自在に表現しながら、舞台転換も早くてて効果的でした。オケでクラシックギター?マンドリン?の音が目立っていたのも新鮮でした。

さて、舞台としては、前述のとおり、対立する身分のちがうキャラが際立っていて、ストーリーも最終的にはベスが即位するということ以外は先が見えず、どうなるんだろうと面白かったです。フェリペは1幕のサービスシーン(もっと長くてもよかったんですよ!)も楽しかったし、彼が敵か味方か謎めいていたのもよかったかな。アンサンブルシーンもどれもよくて、特に2幕の群衆がベスを案じるシーン、曲も雰囲気もとってもよくて、私的には一番盛り上がりました。

キャストでは、花總まりは、たぶん私初めてだと思うんですが、エリザベートの好演が評判だったので歌についても期待しすぎてたかも。まあ、強すぎず弱すぎず、そんなに個性のない役なんですよ。このお芝居だったらもっと強烈な方が好みですが、平野綾よりは、レディに合ってたかもしれません。和音美桜、いきなり処刑されるのであれ、と思ってたら、亡霊として何度も出てきます。歌はエコーかけまくってますが、そんなことしなくてももちろんとってもうまいです。ただ、いくつかの場面で、生きてるベスが退場した後舞台に残ってその後はけるんですが、普通亡霊が先に消えますよね。また、不義密通の汚名をきて処刑された母を嫌っていたベスの心境の変化は最後まで描かれなくて、なんだか回収すべき伏線がそのままという感じで残念でした。

山育はとっても魅力的なんだけど、この人はもっとちゃんと内面を描いた役をやるべき人なんだけどなあ、と、帰りに「メンフィス」のポスターみながら、この役やっても面白いのに、と思いました。いつも大好きな石川禅、悪役をこってりと演じていて、歌はあまりなかったんですが、お芝居部分は引き受けていた感じ。涼風真世ももうちょっと見せ場があるとよかったなと思いました。子役から活躍している石川新太くん、片手バク転するくらい動きが軽快で、群衆場面でも細かく演技していてかわいくてよかったー。

そしてまたも山口祐一郎、それもありかな、というギリギリのところなんですけど、ちょっと出番多すぎるんじゃ、と思いましたですよ。そもそもこの役、ほんとに必要?初演は石丸幹二とのダブルキャストですが、近年ほんとにがんばってる石丸さん、今回は外れて正解です。ジキル&ハイド、がんばってくださいね。

「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」@シアターオーブ

2910hedwig  「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」の生みの親ジョン・キャメロン・ミッチェルが来日して特別公演をすると知ったときは、そんなことが本当にあるんだろうかと信じられないくらいでした。実は映画も日本での上演(山本耕史も主演していますが)見ていなかったんですが、映画が公開されたとき話題になったのも覚えていますし、ゲイ・カルチャーの中でもカルト的な人気があることなどは知っていましたから。

この作品は、1997年、ジョンの作・主演でオフブロードウェイで人気を博し、2001年にはジョンの監督・脚本・主演で映画化されています。今、Wikipediaを見ると、制作費600万ドル、興行収入360万ドルとありますから赤字ですが、DVDの売上はすごいんじゃないでしょうか。舞台の方はその後も各国で上演され、ブロードウェイでも2014年4月から2015年9月まで、クロージング・キャストはRENTキャストのテイ・ディグズでした。このときは、トニー賞のリバイバル賞や、ニール・パトリック・ハリスの主演男優賞をとっていますね。

さて、そういう公演なので、お客さんはヘドウィグのコスプレをした人を含め、普段のオーブのミュージカルの観客とはちがうヘドウィグファン多数。1曲目から1階は総立ちで、どうなっちゃうのかと思いましたが、ジョンに座れーって言われてほっとしました。

さて、ほかのキャストはどうなるのかな、と思ったら、中村中一人だけがクレジットされてまして、たしかに彼女がヘドウィグの一人称で物語を語り、他の役をやり、ジョンは歌うかたち。いわばHedwig in Concert という感じなんですが、中村中の熱演もあって、これはこれで十分作品世界を伝えてくれていました。

ジョンは、年齢を感じさせない、美しさと歌の迫力。ほんもののヘドウィグとしか言いようがない。ちょっとした茶目っ気、どことなく品があってさわやかささえ感じさせるところが、この作品を広く受け入れさせた要因の一つでもあったでしょう。評判通り楽曲がよく、バラードなどでは鳥肌が立ちそうな瞬間が何度もありました。観客のノリがよくて盛り上がったのもよかったです。

ジョン自身の言葉は多くはなかったけど、観客に対する愛情や、ユーモアのセンスがあっ2910hedwig02_2て。2度目のアンコールの後、ジョンが中村中に「最後に何か言って」と言ったのが通じなかったみたいで、そしたらジョンが「二人の間で通じる言葉は音楽だけね」(これは中村中が通訳してくれた)というのもさすが。

中村中、初めて見たのですが、シンガーの人なんですね(日本版ヘドウィグにも出ていますが)。何で一人だけのキャストに美人の女性?と思ったら、公表されているようですが、戸籍上は男性なんだそうです。そう思って振り返ると、この作品にキャスティングされるにふさわしいというところかもしれません。

(追記)

その後、映画のDVDを見てみました。あー、絶対にこれを5回は見てから行くべきでしたね。映画のヘドウィグファンがこの公演で熱狂するのがよくわかりました。曲もほんとにいし。

で、舞台版は見ていませんが、この公演の演出に不満を持つ方がいるのもなるほど。たしかにあの風船人形、何なんだってことですよ。でも、あのシンプルで味のあるアニメーションやベルリンの壁の映像など、オリジナルの味を伝えようと誠実な演出ともいえるように思います。何よりジョンが輝いていましたからね。

ところで、ジョンが来日したのは、監督した新作映画「パーティで女の子に話しかけるには(How to Talk to Girls at Parties)]のジャパンプレミアのためでもあったようで、19日のプレミアには、かつてヘドウィグを演じた山本耕史が登場したそうです。https://www.kyodo.co.jp/entame/showbiz/2017-10-20_1703300/

ジョンとはジョイントライブもやっていて旧知なので、即興で二人で「Origin of Love」を歌ったとか。どんな感じだったんでしょうか。すごすぎますよね。

「パジャマゲーム」@日本青年館ホール

Pajama   宝塚星組トップだった北翔海莉の女優デビュー作、ミュージカル「パジャマ・ゲーム」です。今年8月に新装成った日本青年館ホール、初めて行きました。ここだっけ、と思いながら行ったら場所も変わっていたんですね。

さて、作品は、1954年初演、トニー賞作品賞を受賞したあと、2006年、二度目のリバイバル上演で、トニー賞ベストリバイバル賞、主演のケリー・オハラ(渡辺謙との「王様と私」の人)が主演女優賞にノミネートされています。こういう作品なので、キラキラの美人ではないケリーは適役だったんだろうなと思います。

お話は、1954年のアメリカ、パジャマ工場が舞台。まじめな雇われ工場長シド(新納慎也)は、労働組合で紛争処理委員(正確には名称忘れました)のベイブ(北翔海莉)に工員への暴力の疑いで調査されたことから、二人は惹かれあいます。会社のピクニックですっかり恋人同士となった二人ですが、組合は、時給7セント半の賃上げを主張し、強硬手段にでます。シドとベイブの関係にも影響が…。

お話としてはまあ、古いオーソドックスなミュージカルですが、アンサンブルシーンの振付が凝っていて楽しいのと、ハインジーを始めとする脇のキャラクターが生き生きしているのが魅力でしょうか。同じ工場ものの「パレード」「キンキーブーツ」と比較すると単純で、ぐっとくるところが足りない感じです。

北翔海莉は歌がうまいとは知ってたのですが(このブログ内で検索しても出てこないので宝塚では見てない?)、やっぱり声が力強く、気持ちがいいくらい、ミュージカルに向いたうまさです。ダンスも素敵で、2幕冒頭はほんとにうっとりするいいダンスシーンでした。ただ、退団直後とあって、セリフは男役調のところが目立ちます。髪をアップにしたときはいいんだけど、おろしたときがなんか洋物の時代物剣士みたいで、メイクもつけまつげが不自然な感じがしました。

新納慎也、キマジメさとスラリとした容姿はこの役に合ってて、どこといって不満はないんですけど、このミュージカル、けっこう二人のラブシーンが多いんですよ。昔のミュージカルらしく、とてもストレートなので、正直、ちょっとこの二人だとキツイと思う部分もありました。

同じく「真田丸」ブレイクの栗原英雄は、最初わからなかったくらい軽快で、歌もコメディセンスも素敵でした。美人秘書グラディスの大塚千弘が、健康的なセクシーさで面白く、セリフもうまくてとてもよかったです(比較で北翔海莉が強く見えちゃう)。スマスマでおなじみだった阿知波悟美もいい味出していました。

ほかに組合委員長だけど女好きなプレッツに上口耕平(「ダンスオブバンパイヤ」)、シドとベイブの良き友人チャーリーに広瀬友祐(「エリザベート」のアンサンブル、「グレート・ギャツビー」)と、二人ともいつもながら魅力的で舞台を盛り上げていました。

新しい日本青年館ホール、1200強とちょうどいい広さですが、2階が高くて、ちょっと遠い感じ。座席はともかく、通路が黒が基調で、あまりにシンプルすぎて観劇のわくわく感がありません。次は1階で見たいですね。

宝塚月組「All for One-ダルタニアンと太陽王」

Allforone   見た友人が、口を揃えて「面白い、よくできてる、楽しかった!」というので楽しみにしていた宝塚月組「All for One」です。月組は昨年の「NOBUNAGA」以来で、そのとき準トップだった珠城りょうがトップ、娘役トップはそのときと同じ愛希れいか。

さて、副題でもわかるように、設定の元はデュマの「三銃士」で、銃士隊の新入りダルタニアンが人気者の三銃士と協力して王妃のために戦い、恋を手に入れるというもの。「三銃士」、子どもの頃挿絵入りの本が大好きでした。翻訳が柴田錬三郎だったんですが(父が「シバレンがこんなの書いてるのか」と言ったのが、その人ダレ、と印象的だったので覚えている)、挿絵の彼らがイケメンだったんです。とくにアラミスは人物紹介で「美形で笑顔は貴婦人のような気品があり、女性にもてる」というようなことが書いてあってお気に入りでした。

そのアラミスは、NOBUNAGAでもかわいい秀吉を演じていた美弥るりか。この方、小柄で髪もなびかせてて女子なんだけど男というところが、少女マンガ的で彼女独特の魅力があって好きです。リーダー格のアトスは髭もりりしい宇月颯、力自慢のポルトスは暁千星。銃士隊で長い剣を合わせる三銃士、かーっこいい!これにガタイのいい珠城りょうが加わって、迫力です。

お話は、原作と離れて、太陽王ルイ14世(愛希れいか)は実は女子だったというもので、このルイが、バレエ踊ったり男と女行ったり来たりして大活躍。ヒロインとしてはコメディセンスもあって熱演でした。話はオリジナルでも悪役宰相マザラン(一樹千尋)とその甥たち(ベルナルドの月城かなと、美形でステキ)と闘うのは同じで、テンポよく進む話に個性がくっきりしたキャストの好演、きっちり回収される伏線と、見ごたえがありました。とくに殺陣は、一歩間違えばケガをしそうな長い剣での迫力ある立ち回りで、皆さんすごい体幹と体力!

いつも専科の方がうまいなあと思うのですが、沙央くらまのコメディエンヌぶりも楽しかったです。この方、NOBUNAGAで足利義昭を面白く演じていましたが、女性になってもきれいな方なんですね。来年退団だそうで、またどこかで見られるかも。

 

「ファインディング・ネバーランド」来日公演@シアターオーブ

Neverland   オーブの来日公演、「ファインディング・ネバーランド」です。「ピーター・パン」の制作に至る作家ジェームズ・バリのエピソードを描いた2004年の映画「ネバーランド」(原題はミュージカルと同じFinding Neverland)のミュージカル化で、ブロードウェイ初演は2015年3月、2016年8月にクローズしてから、全米ツアーに出ており、今回はそのキャストによる公演ですね(http://findingneverlandthemusical.com/)。残念ながら、トニー賞にはノミネートされていないようです。

ジョニー・デップ、ケイト・ウィンスレットの映画を直前に見ていったんですが、この、ミュージカルの方がずっとうまく表現できていると思いました。例えば、ジェイムズ・バリと少年の遊びのシーン、映画だとそれ自体は面白くないですが、ミュージカルの舞台なら楽しい歌とダンスのシーンになりますよね。ジェイムズとシルビアの関係も丁寧に描かれて説得力があるし、バリ家のディナーパーティもお客が多くて印象的な場面、アンサンブルは俳優たちという設定で、バックステージ的な場面もうまく使われていました。

ジェイムズのビリー・タイは正統派のハンサム、歌声。シルビアのクリスティン・ドワイヤーは、イギリスの上流家庭出身の雰囲気は薄いですが、明るくパワフル。プロデューサーのフローマン氏のジョン・デイビッドソンと、デュ・モーリエ夫人のカレン・マーフィーが役の個性をくっきり演じて、秀逸でした。

しかしこのミュージカルで一番魅力的なのはシルビアの四人の子どもたち。終始生き生きと、この時期にしかない男の子のかわいらしさに溢れていて、見事。とくに中心となるピーター(コナー・ジェイムソン・キャセイ)は、最初の不機嫌な顔から、ジェイムズに心を開いていく変化がとってもよかったです。男の子4人の歌のシーンも素敵でした。

シルビアと4人の子どもたちの家族愛、そしてデュ・モーリエ夫人とジェイムズが残された子どもたちと歩み出す場面にはほろっと泣かされちゃうんですが、その部分も適度で、傑作ピーター・パンが生まれた想像力のすばらしさを描く、いい作品でした。

「百鬼オペラ羅生門」@シアターコクーン

Photo   主演は柄本佑と満島ひかり、羅生門ほか芥川龍之介原作、イスラエルの鬼才インバル・ビント&アブシャロム・ポラック演出・振付・美術・衣装という、かなり異色の舞台、「百鬼オペラ 羅生門」でございます。

ビント&ポラックさん、かなり美術的な感覚の優れた方たちのようで、舞台の枠に描かれたイラストがすてき。グッズも、マスキングテープ、ハンカチ、タイツ、豆皿と、そのままおしゃれ雑貨屋に並んでいそうないいモノでした。もちろん、舞台背景、不思議な植物なども効果的。

お話は、芥川の羅生門、藪の中、鼻、蜘蛛の糸をモチーフに、羅生門の男&山賊多襄丸(柄本佑)、女(満島ひかり)、夫(吉沢亮)、羅生門で死人の髪を集める女&男の母(銀粉蝶)、鼻の内供(田口浩正)、内供の弟子(小松和重)ら主要キャストと、鳥や死人やいろんなものに扮するアンサンブルのダンスで進んでいきます。

芥川は大好きだったので、これらの短編がどう分解されても大丈夫、自在な表現自体を楽しむという舞台で、特にアンサンブルは、モダンバレエというか、昔体育でやった創作ダンスが高度になるとこうなるのかという豊かな表現で、ほんとに素晴らしかったです。

柄本佑、ちゃんと見たのは「あさが来た」だけですが、この方、背が高くて、顔が小さくてとってもステキ。いやー、この舞台第一の収穫でした。満島ひかり、舞台では初めてですが独特の雰囲気、華奢ながら力強い演技、若干絶叫するとセリフが聞きづらいところはありましたが、惹き付けられるものがありました。銀粉蝶さん、見るたびにまったくちがう雰囲気はさすが。

満員の客席、立ち見も多数で、評判もよいのでしょうが、今の私としてはですよ、心を動かされるまでには至らなかったというか、それは、やはり演奏はともかく(楽器も凝っていていい音が鳴っていました)、歌が弱いんですよ。ただ歌っているだけで歌う意味が感じられない使い方なんですよね。ああ残念。

そして、キャストの無国籍な衣装が、凝った舞台や照明と比較するとやや底が浅い感じがしました。前述のとおり、芥川の作品世界がわかっていれば理解はできますが、羅生門の死と生が隣り合わせであるという状況は、やっぱりちょっと歴史的な背景があってこそなので、時と場所がなくなると、説得力に欠けるんですよね。もちろん、モチーフとして使ったうえで表現したいものをしたいように実現した舞台なんだと思いますが、感心はしますが感動はしなかった、ということかな。

「百鬼オペラ」というタイトルから、ミュージカル的なものを期待しすぎたのかもしれませんね。笑いもほとんどなかったしね。

「ヤング・フランケンシュタイン」@東京国際フォーラム

Photo  とにかく行ける限り行かなくちゃの福田雄一演出のミュージカル、今回は小栗旬主演、夏休み期間中ということで苦労しましたが、何とか見てまいりました。久しぶりの東京国際フォーラムです。

「ヤング・フランケンシュタイン」は、1974年のメル・ブルックスの同名コメディ映画を、2007年にブルックス自身がミュージカル化、トニー賞作品賞もとったヒット作です。ブルックス、「プロデューサーズ」もこれも、作曲も彼ですよ。何たる才能。

お話は、フランケンシュタイン博士(宮川浩)が亡くなり、財産を相続することとなった孫の脳外科医フレデリック(小栗旬)が、婚約者エリザベート(瀬奈じゅん)を残してニューヨークからトランシルベニアに行くと、祖父の研究のを引き継ぐべきと、アイゴール(賀来賢人)と、インガ(瀧本美織)、家政婦ブリュハ(保坂知寿)が迎えます。結局新たなモンスター(吉田メタル―怪優です)を生み出してしまったフレデリックは…。

メル・ブルックスなので、原作も面白いんだろうと思うんですが、やっぱり福田雄一、自由。コメディなんだから、と、今日本で笑えるネタ、時代を問わないギャグ双方で、笑わせてくれます。よく見ると彼の舞台や映画で気心知れたキャストばかり。皆期待を上回るハチャメチャ、アドリブ、そしてきっちりしたダンス、歌。歌は、けしてうまくない人も多いんですが、一応聞けるし、気にならないレベルです。

キャストはこのほか、町のケンプ警部などいろいろな役でやりたい放題のムロツヨシ。彼をテレビも含めて初めて見たのは、福田雄一演出の2014年の「フル・モンティ」でした。その後の彼の活躍!芸人さんとも一味違う喜劇俳優の味の濃い、どこかかわいらしいムロツヨシ、大人気でどのシーンも盛り上がってました。

そして賀来賢人。素顔は正統派イケメンなのに、ケラの「ヒトラー、最後の20000年~ほとんど、何もない~」や、ドラマ「スーパーサラリーマン左江内氏」でなんかこういう方向に行ってる彼、運動神経もよさそうで、演技もダンスもほんとにおもしろかったです。

瀧本美織も瀬奈じゅんもここまでやるかという振り切った演技。瀬奈じゅんは退団当初より貫禄もついて、第2の天海佑希になるくらいの迫力、そして美貌だと思いました。

キャストがキャラ、演技中心の人選なのもあってか、アンサンブルシーンは見ごたえがありました。キャストもダンスシーン、すごくがんばってました。

で、ストーリーは大団円。福田雄一さん、最近すごい仕事量だと思うんですが、とにかくミュージカルでここまで自分のやりたいようにやってくれる人は彼だけ。コメディ路線、期待してます。

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