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山本耕史

「大地(Social Distancing Version)」配信版

2007daichi 改装したPARCO劇場のオープニングシリーズ 三谷幸喜「大地」、オンライン配信があるなら見ればよかったなと思っていたら、なんと全ての回をライブ配信するんだったんですね。1回撮ったものをアーカイブする方が楽でしょうに(配信の相場自体があまりないのでライブだから価格を高くできるわけではないし)。

しかし、考えてみれば、ライブ配信のみっていいです。まず、アーカイブで見ればいいやと適当に見る客がいなくなる。生で1回こっきりだと、セリフを聞き逃したらアウトなので、緊張感このうえないです。また、繰り返し見ることで、見る側にとってもコンテンツの価値が下がるような気がします。25分の休憩込みで3時間15分ほどって、結局繰り返し見るときには飛ばしたりしますしね。

舞台はとある国の収容所。反政府と判断された俳優ばかりのグループで、昼間は豚の世話と豚の餌の栽培をしています。新たにやってくる映画スター(山本耕史)に、劇団のエキストラと小道具をやっていたことから皆の世話役をやっている男(大泉洋)は、状況を説明してくれます。このグループの監督兵(栗原英雄)は芝居好きなので、何かと彼らを好遇しています…。

収容所が舞台の芝居で何かというと食事のことになったりするのを見ると、昔読んだソルジェニーツィンの「イワン・デニーソヴィチの一日」を必ず思い出しますね。

この状況下での芝居なので、俳優は距離を保って、割り当てられた自分のベッドのスペースにいます。そのシチュエーション以外は、普通の芝居と変わりません。いさかいがあっても胸倉つかんだりぶつかって行ったりしないところだけが、そう思ってみればややちがうかな、という感じ。

映画スターを始め、劇団の座長、世界的なパントマイマー、役者兼演出家、女方の俳優、モノマネもやる大道芸人、語り手の演劇科学生と、皆只でさえ個性の強い役者さんなのに設定とあいまって、さらに面白いです。山本耕史の白いスーツのスターのオーラ、浅野和之さんの名人芸のマイム、相島一之の反骨心、藤井隆の便利さ、竜星涼くんもほどのよい女方のシナ、辻萬長さんも美声と威厳を響かせ、小沢雄太、まりゑは、このチラシ写真とはちがうイメージのたくましい人物像。そして、皆の間で右往左往する大泉洋

しかし、俳優が演技をすることを奪われているというこのシチュエーション、ふと胸を衝かれて泣けるセリフがたくさんありました。いつになったら芝居ができるんだろう、二度とできないのでは、という不安の中で吐き出されることば。三谷幸喜は芝居そのものが好きな人で、芝居を通じて何かを訴える脚本家ではないけれど、この状況下では、どうしたって心に刺さる台詞が出てきますよね…。

思えば3月の「アナスタシア」が最後に見た舞台で、山本耕史はグレブ大佐を繊細に好演していました。その後YouTubeに短い動画をアップしてくれたりしていましたが、この「大地」のお稽古に入っていたんですね。前述のように、やや制約はあるとはいえ、休憩込み3時間超のフルサイズの舞台に出演できてよかった。元気でいてくれてありがとう。

幕間には、役者さんへのインタビューもあったりして、(開始時間も不安定な歌舞伎に比べれば)至れり尽くせりの完璧な配信でした。  

ミュージカル「アナスタシア」@シアターオーブ

  2003_20200322225501ミュージカル「アナスタシア」です。ロシア最後の皇帝ニコライ2世の皇女で、ロシア革命で皇帝一家が殺されたのち、実は生きていたとアナスタシアを名乗る女性が多数現れたという事実をもとにしたアニメ映画(1997年、20世紀FOX)を原作とするミュージカルで、ブロードウェイでは、2017年3月から2019年3月まで上演されています。

トニー賞は、助演女優賞(マリア皇太后)と、衣装のみのノミネート。うーむ、やはりこのような時代劇は評価されにくいのでしょうか。でも日本ではこういう素材は受け入れられやすいし、キャラクターも生き生きしていて、楽しめました。脚本のテレンス・マクナリーの過去の作品には「蜘蛛女のキス」、「フル・モンティ」、「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」があって、なるほど、好きなタイプ(その後、マクナリー氏が新型コロナウィルス肺炎で亡くなったというニュースが入ってきました。ご高齢ですが、お元気だったようで、何と残念な)。

ロシア革命後の物騒なペテルブルク、詐欺師のディミトリ(内海啓貴)とヴラド(石川禅)は、パリに逃れたマリア皇太后(麻美れい)のもとに、町の少女を皇女アナスタシアに仕立てて連れて行こうと、道路掃除をしていた孤児のアーニャ(葵わかな)をみつけます。アーニャはアナスタシアの情報を教え込まれるうちに、徐々にアナスタシアの記憶を取り戻していきます。皇帝一家に手を下した元警備兵の父を持つボリシェビキの将官グレブ(山本耕史)は、本物のアナスタシアならば殺せとの命を受け、パリに彼女を追っていきます。偽物ばかりに会ううちに希望を失っていた皇太后を、ヴラドの元恋人伯爵夫人リリー(堀内敬子)の活躍もあってアーニャは皇太后に会い、アナスタシアと認められます…。

映像をうまく使ったスピーディな舞台展開で、宮廷の回想シーンは華やかなアンサンブル。曲もよくて、役に合ったキャスティングと、久しぶりの王道ミュージカルで楽しめました。

ダブル、トリプルキャストのうち、当然優先するのは山本耕史(と石川禅)!やっぱり最高でした。山本耕史のグレブ役は、映画には登場しないミュージカルオリジナルの役で、ブロードウェイでは、ラミン・カリムルーが演じていたということで、いったいどんな?と思っていたら、わりと最初から登場、出番も多く、アーニャに好意を抱きながら、暗殺を命ぜられる、せつない立場の軍人で、手っ取り早くいうとレミゼのジャベールですよ。鍛えたバランスのいい身体には軍服がよく似合い、びしっとしたセリフと動き、繊細な演技、スコーンと気持ちのよい発声の歌!主役じゃないけど、彼が出演した意味がよくわかるお役でした。

そして贔屓の石川禅も、アクの強い、でもどこか人のよさそうな詐欺師という彼に合った楽しい役で、アーニャ、ディミトリと3人の場面が多く、2幕ではリリーとのたっぷりしたデュエットもあって、いつも禅ちゃんにもっと活躍してほしいと思っている私としては大満足。

ステキだったのは麻美れい。ピンと伸びた背筋の長身の皇太后の姿は、まさにディグニティ!そして、リリーの堀内敬子もよかった。パレードのときはやや優等生的な感じがしたんですが、この役ではハジけていて、彼女の持つ明るさが、2幕を盛り上げていました。

葵わかなはミュージカルで見るのは初めてでしたが、歌声がきれいで、セリフも安定感があってよかったです。内海くんもさわやかな好青年。ハッピーエンドが気持ちよかったです。

2月後半から、お芝居は軒並み中止。このアナスタシアを見られたのは本当にラッキーでした。

歌舞伎などは、初日が延びに延びて、結局3月は上演できず、四代目の南座オグリも、七之助の桜姫も、仁左衛門さんの新薄雪物語も見られませんでした。チケットが買えて、時間をやりくりすれば好きな芝居が見られるということはなんて幸せなことだったんでしょう。世界と今の状況を見れば、ライブができないのはやむをえないとして、役者さん、音楽、舞台スタッフの皆さんはどんな思いでいらっしゃるか、胸が痛みます。どうか、舞台芸術が致命的な状況になる前に、何とかなりますように。

 

 

 

万葉集ミュージカル「令和にそよぐ風~ 若き歌詠みの物語」

202001  あけましておめでとうございます。今年も楽しく観劇できたらいいなと思っています。よろしくお願いいたします。

さて、今年の初観劇は、昨年と同じく、国際フォーラムの「CUTURE FEST」のイベント、万葉集ミュージカルと銘打った「令和にそよぐ風」です。昨年の「すめらみことの物語」は、猿之助主演でしたが、今年の「令和にそよぐ風」は、山本耕史主演ですよ。私のための企画?(笑) 会場でもらったチラシは、左と配置は同じですが、耕史は前を向いていました。

昨年と同じB7ホールですが、今回はステージの横から見る席はなくて普通のホールのしつらえ。12列は最後列、センターブロックでした。

お話は、歌詠みを志す青年(染五郎)が、万葉の世界に誘われ、中大兄皇子(新納慎也)、額田王(夢咲ねね)、大海人皇子(山本耕史)、山辺赤人(尾上菊之丞)と出会います。といってもストーリーはほとんどなく、万葉の歌のほかは、歌、舞、染五郎の勧進帳の読み上げ、山本耕史のバンド演奏…と何でもあり。演者も実力者ばかり(菊之丞さんも普通に歌うま!)なうえ、演奏も邦楽は藤舎貴生さん、バンドは大貫祐一郎さん中心で心地よいコラボ。

AStageの記事のセットリストによると、歌はオリジナルが多かったんですが、宝塚の「あかねさす紫の花」から2曲、「Hedwig and the Angry Inch」から「Origin of Love」と「Midnight Radio」、そしてRENTの「What You Own」

ヘドウィグは耕史が英語で(以前彼が上演したときも歌は全編英語だった)、RENTに至っては、マークのマフラーと黒ぶち眼鏡をかけた耕史と新納のデュエットですよ。万葉集がテーマなのに、何が何だかじゃありませんか。ヘドウィグもいい詞だと思うんだけど、その場ではあまり聞き取れなかったし、What You Ownは日本語でしたが(初めて聞いた)、サビが「Living in America~」ですもんね。私としてはこんな場で聞けてほんとにうれしかったですし、よく考えたらドラムもベースも(ギターはある)生で聞くのは初めてで、貴重な機会でした。

そして、染五郎くんの台詞がしっかりしているのに驚き!万葉集の歌は、古今集などとくらべても今と言葉がだいぶちがうので、難しかったと思うんですが、染五郎君のことばはすうっと入ってきました。みたに歌舞伎から半年、あの芝居で本当にうまくなったんだなと感慨。

そして勧進帳!力強く迫力ある声に、鳥肌が立ちました。短いものでしたが、彼の思い入れというか気迫がすごかった。地声はもしかしたらずっといろいろ言われてきたお父さんよりもいいかもしれません。

ということで、今年の謎舞台(!)も、新年早々、楽しませていただきました。

SPICEの詳しい観劇レポート(写真多数)

山本耕史の即興ドラマ「抱かれたい12人の女たち」

201912dakaretai   最近さまざまな役柄に挑戦して話題になっている山本耕史ですが、テレビ大阪制作の即興ドラマ、「抱かれたい12人の女たち」、Tverで全部見ました。

山本耕史が一人でやっているバー「Y'Zoo」(←この店名もナイス)に、深夜女性(誰かは耕史は知らない)がやってきて、さまざまなシチュエイションで彼を翻弄します。設定もわからない耕史はその場で返します。最後、女性をなだめてカクテルを作って出すと、女性が「今夜抱いてくれませんか」と言ってカット。その後短い反省会つき。

サブタイトルと女優名は以下の通り。

1話  浮気されたセックスレスの女 高橋メアリージュン
2   女優恋愛経験ゼロの女   若月佑美
3   昔、男だった女   メグミ
第4話   100人斬りの女   筧美和子
5   殺してきた女    中村ゆりか
6   アロマオイルを売る女    松本まりか
7   売れないパンクロッカーの女 岡本玲
8   年上の女 三浦理恵子
9   ストーカーの女   佐藤江梨子10話  漫画家になりたい女 奈緒
11話  霊媒師の女 高橋ひとみ
最終話 女優Aを追う芸能記者の女 剛力彩芽

知らない女優さんも多かったですが、みんなきれいで、シチュエイションもよく工夫されていて、体当たりの熱演。第1話のメアリージュン、最初からいきなりキスしたりして迫力。若月佑美はセーラー服に着替えてかわいかったり、夫を刺して血まみれで入ってきた中村ゆりか、パンクロッカーからの路線変更を迫られていて悩む岡本玲、離婚してきたばかりの上品な女性三浦理恵子。ストーカーの佐藤江梨子はほんとコワかった。剛力彩芽は素なのと思うような号泣。

さすがの山本耕史もたじたじだったり、性転換したという設定がなかなかわからなくてもたついたり(メグミ)、もっとうまく返せる俳優さんはいたかもしれないと思ったりもしましたが、清潔感と芯から女性に親切な感じ、バーテンダーとしての手慣れた手つき(器用だから)が魅力的で、やっぱり山本耕史ならではのチャレンジ。

終わった後の、素に戻ったやりとりも、彼らがそのときどう思っていたのか、よくわかって面白かったです。

そして、タイトルバックも、加藤ミリヤの「PARADE」にのって山本耕史のシャワーシーン(やりすぎ)からのセクシーな映像で毎回キャー。エンディングの音楽もほっとする感じで、よく考えられた一編になっていました。

「愛のレキシアター ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ」@赤坂ACTシアター

201903_2 山本耕史の主演ミュージカル「愛のレキシアター ざ・びぎにんぐ・おぶ・らぶ」です。よくわからないタイトル、日本の歴史をテーマにしたバンド「レキシ」の曲を愛するたいらのまさピコ(河原雅彦)さんが脚本・演出ということですが、最近の音楽方面は疎くてレキシも知らなかったので、だいぶ異色のミュージカルだろうとだけ思っていました。いざ公演が始まると、山本耕史への絶賛の嵐で高まる期待。

 お話は、ニートで引きこもっている織田こきん(山本耕史)は、歴史アイドルのカオリコ(松岡茉優)が大好きで、ヨシツネのハンドルで、自分を美化した画像(佐藤流司)を送ってしまいます。こきん、カオリコ、こきんの母胡蝶(高田聖子)、引きこもりサポートセンターの明智(藤井隆)は、ウォルト・レキシー(八嶋智人)歴史のテーマパーク、レキシランドに招待され、さまざまな時代を体験していきます←すいません、ちょっとネタバレしすぎかも 。

冒頭にレキシさんの紹介の映像もあったり、八嶋智人が盛り上げてくれたりして、この楽しい世界観に無理なくなじませてくれます。というか、すでにリピーターも多いのか、客席がみっしり熱い感じ。 

河原さんは、レキシが大好きすぎて、使いたい曲が多く、場面もキャストの早替わりも多く、台本自体とても厚かったそうです。結果、休憩20分込みで3時間10分の大作に。長いですが、歴史というテーマでの統一感もあり、衣装(高田阿友子)の、重すぎず安っぽくない絶妙さもあって、楽しんでいたらあっという間でした。 

こう感じたのも、レキシの曲がよくて、キャストも皆さん歌がうまく、それぞれ個性的半分素のようなやりとりも間がよかったというのもあると思います。美術松井るみ、映像上田大樹、ヘアメイク宮内宏明と、売れっ子のスタッフ、梅棒の躍動感ある振付、レキシの曲のクォリティを維持しつつミュージカルに仕上げた音楽監督の山口寛雄と、きっと皆さん、河原さんの熱意に引っ張られて、いいチームワークだったのかなと思います。 

2019032事前に左の写真が公開されていたのですが、これはレキシさんのアフロを真似してるだけで、山本耕史のこきんは、もっとぼさぼさの長髪で、スーパーで売っていそうな冴えないジャージ姿でへんな走り方してます。しかしいったん歌となったら、レキシの曲とまっすぐ伸びる彼の声がとても相性がよく、歌詞もよく届いて、どの曲もとても素敵。ダンスもただうまいのではなくて、キャラクターがしっかり立っていて魅力的。身体能力の高い役者はどんな動き方をしてもかっこいいんですね。パーカッションやギターも本気でうまい。

 高田聖子、藤井隆、浦井りんこが歌もうまくて面白いのはわかってたんですが(それにしても高田さん歌うまっ)、松岡茉優もすごいですよ。かわいい女の子なんだけどちょっとめんどくさい、という役を自然体で演じながら、昔のアイドルの歌を、私たちはこんな風に楽しんでいたな、という姿を見せてくれたのがとてもよかったです。松岡茉優は「江戸は燃えているか」でも好演してましたし、どんな変わった芝居でも魅力を発揮するすごい子です。

ほかに美形の佐藤流司、乃木坂の井上小百合、前田悟、出るたびに雰囲気の変わる山本亨。アンサンブルの皆さんも、曲と場面が多いだけ、たいへんな大活躍。舞台装置も直すし!

 最後は客席の前の筒に差されてあった稲穂(繰り返し使用)を振って大フィナーレ。山本耕史の舞台は、必ずカーテンコールで一言あるのがうれしいです。やーこれは楽しいエンタテインメントで、しかもファンは知っている山本耕史の魅力爆発の、必見の舞台でございました。

 そうだ、珍しくパンフレット買ったんですよ。写真も記事も充実してて、レキシや梅棒さんのこともよくわかったんですが、折り返しには、レキシランドのイラスト地図!買ってよかったー、でした。

映画「刀剣乱舞」

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 脚本(小林靖子)がいい、山本耕史と八嶋智人がいい、ときいて映画版「刀剣乱舞」を見ました。

この作品、元は2015年にリリースされたゲームで、2016年には舞台、ミュージカル、アニメといろいろなコンテンツがヒットしており、その流れでの実写版映画です。 

お話は、歴史を変えようとする「時間遡行軍」に対抗して、「審神者(さにわ)」により、名刀が人格化された男子たちが活躍するというもの。この映画では、本能寺の変で自刃したはずの信長(山本耕史)が、遡行軍により生かされたことを戻そうとする刀剣男子たちが戦いに挑みます。

刀剣男子、ビジュアルはもう今どきのアニメ顔、制服。そしてカラフルで、例えば鶯丸(廣瀬智紀)は、その名の通り、緑の髪、カラコン!やー、男の子もメイクでこんなにビジュアルきれいになるんだと感心。

脚本がよいとの評判通り、まったく予備知識なくとも、刀剣男子の由来、さにわとの関係、舞台となる時代は著名な本能寺の変と秀吉の中国大返しで、これがうまく連動して、面白く見られました。よくあるドジキャラみたいな設定がないのもすっきりしてます。気が付いたら、女性は全然出てこないんですよ。

時間遡行軍、ビジュアルや性格が、「ロード・オブ・ザ・リング」のオーグですよ。不気味かつ迫力があって、効果満点。

そして山本耕史!典型的な信長のビジュアルを踏襲しつつ、迫力ある殺陣、気品ある表情、明瞭な台詞廻し、かつ、光秀の謀反後のちょっと心折れた雰囲気もあって、超かっこいい!いつもながら、求められている役にプラスアルファの奥行きを与えてくれる活躍に感動です。

八嶋智人も、ビジュアルが秀吉そのものであるのみならず、この作品における一癖ある秀吉をきっちり演じてました。

刀剣男子チームでは、上記の廣瀬くん(髑髏城の蘭兵衛やるくらいだから舞台のキャリアからいっても目立つのは当然か)、槍の日本号の岩永洋昭(青木崇高みたいな雰囲気)、へし切りの和田雅成くん。三日月宗近の鈴木拡樹くんが実質主役で、よかったんだけど、若いのにじじむさいという設定はあまり好みではなく。ほとんどが舞台「刀剣乱舞」のキャストだそうで、有名な俳優やアイドルが入っていないのもよかったかも。

ちょっとだけ言うと、やっぱり編集が甘いせいか、テンポがだれるところもありましたが、刀剣乱舞ファンには、男子たちの会話も楽しみでしょうから、いちがいにテンポ悪いとかいうのは当たらないかもしれませんね。

そうそう、映画開始直前の「No More!映画泥棒」が、刀剣乱舞仕様だったですよ。映画観る前なのでキャラはよくわかってない段階ですが、テンション上がりました!

← この映画の耶雲哉治監督が「映画泥棒」の監督なんだそうです。映画泥棒ってけっこう前からあると思ってたけど、今42歳の監督が、30歳ちょいで撮ったんですね。才能のある人だなあ。

「Memphis(メンフィス)」@新国立中劇場

Photo  山本耕史、濱田めぐみのコンビで2年ぶりに「メンフィス」再演、しかも山本耕史の演出、最近の彼の活躍や、事前の稽古の充実ぶりが発信されたりしていて、楽しみにしていましたが、Twitterでも評判がよくてさらに期待して行きました。

なんたって、この演目、2012年にブロードウェイでアダム・パスカルのヒューイで見ているわけですが、2015年の初演版は、耕史・濱めぐのコンビがとてもよく、さらに、今回は山本耕史が演出に加わって、彼の思い描くこの作品世界にキャスト全体が集中していて、さらにバージョンアップしていました。

頭は弱いが純粋に黒人音楽を愛するヒューイ(山本耕史)。山本耕史の持つ明るさや一生懸命さを少し軽くして、とってもかわいいヒューイ。そして、ヒューイを愛しながらもメンフィスを出ていく勇気のあるフェリシア(濱田めぐみ)。二人が初演時よりもさらに役を自分のものにしていて、歌に役の命がこもっていて最高でした。濱田めぐみは、日本で一番好きなミュージカル女優ですが、このフェリシアがいちばん彼女の声質の良さを表現していると思います。ほんとに、いい曲がたくさんあって、何度も鳥肌立ちました。

フェリシアの兄(ジェロ)、ボビー(伊礼彼方)、ゲーター(米倉利紀)、歌も演技もとてもよかった!ジェロがやや華奢でヒューイへの壁になる大きさが若干足りないのも気になりませんでした。ほかにラジオ局のシモンズ(栗原英雄)はいつもながら味があるし、ヒューイのママ根岸李衣は、初演時より歌がずっとうまくなっていて、素敵でした。

ヒューイが黒人音楽を紹介していく話なので音楽シーンも自然で、アンサンブルも見せ所がたっぷり。密度の濃い舞台を作り上げていました。コーラスが感動的な曲もいっぱいありました。セットは、初演よりブロードウェイ版に近い、二階があるパターンで、この方が立体的で効果的。

見るたびに書いていますが、ヒューイはメンフィスでしか生きられない、自分をほんの少し変えることもできないためにフェリシアと幸せになることはできないのが悲しいラスト。「Memphis Lives in Me」は渾身の名曲です。

ラストは無理やりなフィナーレなんですが、ヒューイを変えなかったことが、このミュージカルのよさでもあるんだな、と思いました。スタンディング・オベーションの早さが、満席の観客の感動を物語ってました。

ドラマといい曲とキャストの熱唱とダンスを詰め込んだ、今のミュージカルの一つの完成形です。ああ、ここまでのミュージカルを純粋に日本で作ることができる日が来るんだろうか、と、ちらと思いながら、作品の力をそのまま形にしてくれた、山本耕史始めスタッフ・キャストに拍手です。

(2回目追記)

せっかくなのでもう1回見ました。ほんとにずーっとフラフラ動いているヒューイ。濱めぐの歌。バーンと前に出てくるコーラス。一人一人がこの作品世界を力いっぱい表現するいいカンパニー。アンコールでの観客の立ち上がるのが早いこと、そして今回もかわいいジョークでシメる山本耕史。

ああ、でも2回目で思いついちゃいました。ヒューイの前に立ちはだかるデルレイは、ジェロより米倉利紀の方が合ってたなあ。

ドラマ「トットちゃん」と「わろてんか」

Photo  10月から始まったテレ朝昼ドラの「トットちゃん」、山本耕史が出るので見てますが、ドラマとしてもとっても面白いです。原作の「窓際のトットちゃん」も読んだし、最近の「トットてれび」も見たし、題材としては目新しさはないと思ってましたが、そんなことありませんでした。

山本耕史はトットちゃんのパパのバイオリン演奏家。演奏時の立ち姿が美しく、コンサートマスターとしてあいさつするシーンがかっこいい!いきなりの結婚と、妻を閉じ込めるという展開にはびっくりでしたが、すぐに生活も安定して、浮世離れした雰囲気はそのままに、家族を愛する素敵な人です。わずかな登場場面でも、画面の中でぱあっと光ってます。出征の兵隊姿の丸刈りも新鮮でした(カツラでしたけどね)。

トットちゃん(豊嶋花)がうまい!子どもらしさの中に、後の黒柳徹子を思わせる仕草が出ていて、またかなりダンスのセンスがあるような動きも魅力的。マイペースなのに、育ちのよさを感じさせるセリフもすてき。ちょっとこれまでの日本の子役になかったうまさです。そのトットちゃんを押さえつける普通の学校からトモエ学園に転校してのびのびしているのがほほえましく、また、そんな学校あるかしら、というのを竹中尚人の校長先生がちょっとおとぎ話みたいで浮世離れしているのがまたいいんですよね。

乃木坂上倶楽部の小澤征悦、高岡早紀、凰稀かなめ、新納慎也とクセのある人たち。高岡早紀いい女優になったなー。凰稀かなめもかわいすぎる。

そして、舞台は疎開先の青森へ。何と中村メイコのおばあちゃん、いしのようこのお嫁さん、青森弁がきっつくてそれもまた。

脚本は大石静、さすがです。もうひとつ、彼女の代表作になるんじゃないでしょうか。

前作の「やすらぎの郷」も面白く見てたんですよね。途中失速する回もありましたが、八千草薫、朝丘ルリ子、加賀まりこが素敵だったし、富士真奈美もいいところを見せてくれました。野際陽子の遺作になりましたが、、彼女はちょっと現役感のある演技でした。)

Photo_2 一方朝ドラ「わろてんか」。吉本興業の創始者吉本せいがモデルとあって、お笑い好きの私、たいへん期待して見てたんですが、今のところぱっとしません。

阪桃李、高橋一生、濱田岳、遠藤憲一、鈴木保奈美鈴木京香と、脇はすごいんですが、主人公がただかわいらしいだけ。子役時代もあったのに、笑いが好きってだけで、デキル子っぽい描写がなかったので、米問屋での行動が唐突感があるんですよねえ。とにかくどこかで見たような描写の連続。

脚本の吉田智子さん、恋愛ものが得意な東京出身の人。大阪のお笑い、というより笑いのセンスが皆無だなあと思います。せっかくの素材と出演者なのになあ。

「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」@シアターオーブ

2910hedwig  「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」の生みの親ジョン・キャメロン・ミッチェルが来日して特別公演をすると知ったときは、そんなことが本当にあるんだろうかと信じられないくらいでした。実は映画も日本での上演(山本耕史も主演していますが)見ていなかったんですが、映画が公開されたとき話題になったのも覚えていますし、ゲイ・カルチャーの中でもカルト的な人気があることなどは知っていましたから。

この作品は、1997年、ジョンの作・主演でオフブロードウェイで人気を博し、2001年にはジョンの監督・脚本・主演で映画化されています。今、Wikipediaを見ると、制作費600万ドル、興行収入360万ドルとありますから赤字ですが、DVDの売上はすごいんじゃないでしょうか。舞台の方はその後も各国で上演され、ブロードウェイでも2014年4月から2015年9月まで、クロージング・キャストはRENTキャストのテイ・ディグズでした。このときは、トニー賞のリバイバル賞や、ニール・パトリック・ハリスの主演男優賞をとっていますね。

さて、そういう公演なので、お客さんはヘドウィグのコスプレをした人を含め、普段のオーブのミュージカルの観客とはちがうヘドウィグファン多数。1曲目から1階は総立ちで、どうなっちゃうのかと思いましたが、ジョンに座れーって言われてほっとしました。

さて、ほかのキャストはどうなるのかな、と思ったら、中村中一人だけがクレジットされてまして、たしかに彼女がヘドウィグの一人称で物語を語り、他の役をやり、ジョンは歌うかたち。いわばHedwig in Concert という感じなんですが、中村中の熱演もあって、これはこれで十分作品世界を伝えてくれていました。

ジョンは、年齢を感じさせない、美しさと歌の迫力。ほんもののヘドウィグとしか言いようがない。ちょっとした茶目っ気、どことなく品があってさわやかささえ感じさせるところが、この作品を広く受け入れさせた要因の一つでもあったでしょう。評判通り楽曲がよく、バラードなどでは鳥肌が立ちそうな瞬間が何度もありました。観客のノリがよくて盛り上がったのもよかったです。

ジョン自身の言葉は多くはなかったけど、観客に対する愛情や、ユーモアのセンスがあっ2910hedwig02_2て。2度目のアンコールの後、ジョンが中村中に「最後に何か言って」と言ったのが通じなかったみたいで、そしたらジョンが「二人の間で通じる言葉は音楽だけね」(これは中村中が通訳してくれた)というのもさすが。

中村中、初めて見たのですが、シンガーの人なんですね(日本版ヘドウィグにも出ていますが)。何で一人だけのキャストに美人の女性?と思ったら、公表されているようですが、戸籍上は男性なんだそうです。そう思って振り返ると、この作品にキャスティングされるにふさわしいというところかもしれません。

(追記)

その後、映画のDVDを見てみました。あー、絶対にこれを5回は見てから行くべきでしたね。映画のヘドウィグファンがこの公演で熱狂するのがよくわかりました。曲もほんとにいし。

で、舞台版は見ていませんが、この公演の演出に不満を持つ方がいるのもなるほど。たしかにあの風船人形、何なんだってことですよ。でも、あのシンプルで味のあるアニメーションやベルリンの壁の映像など、オリジナルの味を伝えようと誠実な演出ともいえるように思います。何よりジョンが輝いていましたからね。

ところで、ジョンが来日したのは、監督した新作映画「パーティで女の子に話しかけるには(How to Talk to Girls at Parties)]のジャパンプレミアのためでもあったようで、19日のプレミアには、かつてヘドウィグを演じた山本耕史が登場したそうです。https://www.kyodo.co.jp/entame/showbiz/2017-10-20_1703300/

ジョンとはジョイントライブもやっていて旧知なので、即興で二人で「Origin of Love」を歌ったとか。どんな感じだったんでしょうか。すごすぎますよね。

山本耕史の「植木等とのぼせもん」

Photo  実際にどのくらい見られているかわからないけど、けっこう評判のNHK土曜ドラマ「植木等とのぼせもん」。クレージーキャッツの植木等(山本耕史)とその新米付き人、後の小松政夫(志尊淳)の物語。以前の「トットてれび」同様、当時の番組の再現度がなかなかです。クレージーキャッツ、人気のピーク時はさすがに知りませんが、上品なコメディセンスあるメンバー個々はお馴染みでしたし、一時期はベスト盤をよく聞いていました。青島幸雄の突き抜けた歌詞、植木等の歌が好きでした。

私はもちろん山本耕史目当てで見ているんですが、彼の植木等の歌のうまさ、単なるモノマネに止まっていない、真面目な人柄を表現する演技がとてもいいです。「スリル」の続編や映画化が、小出恵介の件で望みが絶たれたのを埋め合わせてくれています。もちろん、父の伊東四朗、ハナ肇の山内圭哉、谷啓の浜野謙太といい味出してますし、志尊淳が健気でかわいく、植木等を敬愛する気持ちにあふれてて気持ちがいいです。

このドラマで、山本耕史という俳優の実力がまたちょっと広まった感があってうれしいなあと思っていたところ、ちょっと古い2013年のものですが、ファンにはおお、という記事を見つけました。長い大特集です。

朝日新聞GLOBE 突破する力 山本耕史

この最後のページが、演出家ジョン・ケアードさんインタビュー なんですが、レ・ミゼラブルのガブローシュのオーディションの話をしています。この役は生意気で荒っぽい少年なんですが、イギリスではすぐ見つかるが、日本の子はおとなしい、しかし、耕史は「まだ小さいのに自信に満ちていた。演じることが好きで好きでたまらないという様子で、すでに一人前のちいさな役者だった。自分をどんどん外に出して表現することを、当時すでに自然にやっていました。」。

←この感じ、猿之助と同じ!

そして、ケアードさんが日本で初演出した1980年代には、日本では古いミュージカルの歌い方、大きなビブラートが主流だったのに対し、「耕史は、ビブラートの幅を小さく抑え、ぶれずに力強く発声する歌唱法を身につけた最初の役者の一人だったと思います。しかも単に身につけるだけでなく、この歌い方を本当の意味で理解し、非常にうまく歌う先駆け的な役者になった。」

さらに、「彼には他の人にはない、特別な素養がある。一つは、お芝居をしている時に、非常にリラックスしていること。これは演技への自信からくるものでしょう。舞台で自然体でいられるということは、役者としてもっとも重要なことです。」

くー、さすが、名演出家、通り一遍の誉め言葉でない、耕史の特質を具体的かつ的確に語っていて、まさにその通りだと思います。ケアードさんは、その後も耕史と折に触れ会ったり、舞台を見たりしているそうです。ご自身の目の確かさを確認したことでしょう。

この記事では、ほかにも演出家、舞台美術家などが山本耕史をほめています。身体能力やキレのある時代劇の立ち回り、驚異的なセリフ覚えと、もともとの資質に加えて、影での努力、それを感じさせない現場での明るさ、共演者への気配り。このドラマでも、すごい綱渡りまで見せてくれました。

一緒に仕事をした人々から深い愛情を受けている彼、「植木等とのぼせもん」のスタッフにも愛されている雰囲気が感じられて、うれしいです。ネットでは、「どうしてもNHKは山本耕史を脱がせ、立ち回りをさせたいらしい」なんて言われてますね。

10月期はテレ朝の昼ドラ「トットちゃん」でもトットちゃんのお父さん役だし、12月にはメンフィス再演ですし、楽しみ!