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四代目市川猿之助

吉例顔見世大歌舞伎「法界坊」3回目

201811      今月最後の歌舞伎座夜の部です。一番いい席で堪能させていただきました。

吉右衛門さん、菊五郎さんの「楼門五三桐」も、近くで見るとこれぞ決定版、とかっこいいこと。歌昇・種之助の右忠太・左忠太も若々しくて素敵でした。見てすぐ五右衛門の舞台写真買いに行きましたよ。

さて、お目当ての「法界坊」。 前2回も十分面白かったですが、やはりお芝居全体のグレードが上がっていて、例えば鸚鵡の面白さはこうだったのか、と思えるくらいになっていました。そして、猿之助の法界坊が完成形になっていて、メリハリがよりきいて、聞かせるところ、見せるところ、役者の背後でちょっかい出すところのバランスがさらによくなっていました。お客の反応を見ながらよりブラッシュアップしたというか。舞台に出てくるたびに、黒くて汚いんですけど、ぴかーっとオーラを感じます。

近くで見て思ったのは、猿之助自身の現代劇での経験が、この演目に生きているということでした。3階や後方からみても、見得や軽やかな動きはじゅうぶん楽しいのですが、前方で見ると、細かい呼吸に、ストレートプレイの趣があってさらに面白く、さすが1等席(すいません、めったに1等でみないので)。

そして大喜利の舞踊の、法界坊・野分の踊り分けをじっくり。ほんとに今まで何を見ていたのかと思うくらいでした。

私は三代目の復活狂言を見ておらず、黒塚や奴道成寺等の舞踊を除くと、万野も相模も典侍局もお吉もいわば相手役、芝居で本当の猿之助の主役のものは、スーパー歌舞伎しか見ていないんです。

法界坊、ちょっと汚いけど、猿之助のユーモアのセンス、歌舞伎の技術、他の役者の魅力も引き出す演出の才能、舞踊の技量と、今の彼の実力を余すところなく見せてくれた演目でした。

舞台写真に、大喜利でおくみに襲い掛かる法界坊の霊のものがありましたが、表情と言い、左手の形といい、あの大怪我からこんなにも完璧に復活してくれて、とじーんとしました。

そうだ、やっと茶店の笑猿さん、大七の女中の段之さん、澤路さん、お蕎麦屋の澤五郎さんを確認。葛籠しょってたかっこいい人は、と思ったら吉兵衛さんでしたね(播磨屋はさすがお弟子さんたちもうまい)。そして京由さん、京純さんと、京屋は美形。

【追記】

実は、千穐楽も幕見に行ってしまいました。法界坊は途中、甚三登場くらいから。恋文のくだりや花道の引っ込み(←一番好きかも)、提灯、だんまり、おそば、小判、野分おくみの要助取り合い、落とし穴、立ち回り、傘の見得、宙乗り亡霊…ああ、こう見ると見せ場ばっかりじゃありませんか。観客の反応もよく、声もよく通り、大盛り上がり。

そして大喜利、四代目の自在な舞踊に笑ったり感動の拍手したり、舞台の四人、清元、義太夫、後見と皆の息が合って、恨みを残した亡霊なのに、明るい楽しい打ち出しに、この1カ月楽しかったなあ(忙しかったけど)。

ひとつ無理を承知で言えば、劇評がせいぜい5日目までの芝居で出てしまうのは仕方がないけど、今回の「法界坊」は中日過ぎた当たりのもので評価してほしい。皆初役で演出も初で、普通の演劇なら3週間稽古するような呼吸の必要なお芝居。そして、四代目は初めからキャラクターはできていたけれど、やはりお客の反応をみながらわかりやすくしたりのメリハリはどんどんよくなってきていました。これだけのもの、安易に吉右衛門や勘三郎と比べると…、なんて言ってほしくない、と思ってしまいました(←まあこれは贔屓のたわごとですが)。

吉例顔見世大歌舞伎「楼門五三桐」「文売り」「隅田川続俤 法界坊」(2回目追記あり)「二代目吉右衛門写真展」

201811      歌舞伎座今月の夜の部は、猿之助の法界坊です。今日は予定していなかったんですが、3階の良席が出てたのでつい。

1つめは吉右衛門さん、菊五郎さんの「楼門五三桐」。やっぱり吉右衛門さんの五右衛門かっこいい!この歌舞伎座夜の部と来月の国立の吉右衛門さんの五右衛門を見ると、サイン入りブロマイドのプレゼントがもらえるそうですよ!楽しみ。菊五郎さんもシュッとして素敵でした。

2つめは雀右衛門さんの「文売り」。台詞と清元のかけあいが、台詞のいい雀右衛門さんに合っている、かわいい舞踊でした。

さて、6時前なのに30分の休憩でお弁当の後は、「隅田川続俤 法界坊」。ポスターのビジュアルだけでかなり期待してましたが、実際の猿之助法界坊はもっと髭で小汚く、せこくてでもかわいげのある坊主です。

シネマ歌舞伎で見た勘三郎さんの法界坊は、汗だくで走り回り、みんなをいじりまくり、亀蔵さんや笹野高史さんもはじけまくってて爆笑でしたが、猿之助はこずるいながらも飄々と身軽で、力の緩急がある感じ。他の役者は真面目にお家の重宝(鯉魚の一軸)を取り戻して吉田家再興とかやっているのに、ひとり観客を巻き込もうとするセリフで、観客が湧きました。紐を縛ったりモノをとったりする動作がほんとに滑らかで、よかったなあと思ったりして。

この人の芝居らしく、役者がみんなぴたりと好演。一軸と引き換えにおくみ(右近)を手に入れようとする源右衛門(團蔵)、要助を守る甚蔵(歌六)が重みを加えてくれてます。とくに歌六さんとの絡み、立ち回りはお互いに楽しそうでした。「播磨屋、いい形だねえ」なんて言って。「さあさあ」っていうのも、この二人だと濃いなあ、と。

おくみの母おらく(門之助)、番頭長九郎(弘太郎―今月も猿弥さんの不在を埋める活躍!)の安定さ、出番が多かったくんの活躍もさることながら、隼人の要助が、もともといい男でつっころばしにぴったり、台詞もよかったです(しかし、先月松竹座の雙生隅田川の松若なんですよね。正気に戻った班女御前に育てられたのに、なんでこんなに軟弱に育っちゃったんでしょう?! だいたい、2度も鯉魚の一軸無くすなんて―つか、1回目は梅若が鯉に目を入れて逃げられたんですから紛失ではないですが)。

いったんお話の結末がついた後、「双面水澤瀉」。隅田川の渡しまで来たおくみ要助の前に、もうひとりのおくみ(猿之助)が現れて、ほんものかをめぐって舞います。実は殺された野分姫と法界坊の霊が乗り移っていて…。

渡し守の雀右衛門さんも含めて、猿之助、右近と3人のきれいな女舞。猿之助はちょいちょい法界坊が現れます。右近の海老ぞりきれい。前場から一転明るく楽しく、最後は怨霊になって打ち出し。歌舞伎座で猿之助の舞踊での打ち出し、久しぶりで楽しい気分で帰途に就きました。

<2回目追記>

1週間後に2回めの夜の部、1階後方からです。「楼門五三桐」もじっくり、その前に見た吉右衛門さんの写真展を思い出しながら、やっぱり演じている吉右衛門さん素敵。前回わかってなかった歌昇、種之助も確認。「文売り」も、花道の出から、じっくり見られてよかったです

さて「法界坊」。全体に芝居がまとまって、息が合ってきた感じがして、より面白かったです。登場するだけで大拍手、ギャグにも笑いが起きます。最高の花道の引っ込み。細部を微妙に変えてて、隼人いじりもちょっとずつ変えてるのがサービス。

そして、大喜利の舞踊も展開がわかっている分堪能です。ああ楽しかった!

<二代目吉右衛門写真展@ミキモトホール>

歌舞伎座の前に、吉右衛門さんの写真集出版を記念した写真展に行ってみました。鍋島徳恭氏の写真を、等身大以上の大きさの手すきの伊勢和紙にプリントしたものが裏表で上から暗い空間にひらひらしているというもの。あの迫力あるきっちーだらけの部屋ですよ。

逆櫓、河内山、熊谷陣屋、寺子屋、碇知盛と、私でも見ている(吉右衛門さんでなくとも)作品ばかりですが、珍しい女方!と思ったのが、「法界坊」の双面のおくみでした。法界坊はド迫力で、この人が大きい声出したら怖そう。

無料ですし、ミキモトビル自体がステキなのでおススメです。「吉右衛門がやった役は、どれも吉右衛門のが最高になっちゃうからなー」とつぶやく声が聞こえましたが、たしかに、と思った私。

「寧々~おんな太閤記(2009)」再放送

201810_2     2009年のテレビ東京の新春ワイド時代劇「寧々~おんな太閤記」です。1981年のNHK大河ドラマのリメイクで、本放送時はのべ12時間の放送だったそうですが、今回は2週間にわたり、BSテレビ東京で毎日1時間放送。

大河では佐久間良子の寧々に「おかかー!」と叫ぶ西田敏行の秀吉が人気でしたが、この秀吉が亀治郎時代の猿之助。寧々体当たりの求婚、信長の下での出世、天下取り、晩年の老耄と、教科書通りの秀吉の生涯を演じます。

こんなドラマ、今頃再放送してくれるなんて、私のためですか(笑)。ほんとに、見逃さなくて全て録画できてよかったです。

猿之助、若い頃は、華奢な体つきもあって、体重を感じさせない予測できない動きで、猿っぽい。愛嬌がありながらも戦略を口にするときには頭のよさを感じさせます。譜代の家臣がいない秀吉は親族に愛情を注ぎますが、ときにそれを犠牲にする冷徹な計算。関白になってから、家康(高橋英樹)に「形だけ臣下の形をとってくれ」と頼み込みながら、実際の対面では半端ない圧をかけるところは見ものでした。川や温泉シーン、裸足の指のアップとか、演出は亀治郎ファンなの?という見せ場も多数。

「風林火山」では、由布姫とのラブシーンなど、ぎこちなさすぎてみる方が恥ずかしかったんですが、さすが寧々の仲間由紀恵がよいせいか、寧々との愛情も細やかに描かれていましたし(ジンと泣ける場面も多数)、淀(吹石一恵)ほか側室との関係も無理なかったです。

来月歌舞伎座の法界坊、勘三郎さんの法界坊(シネマ歌舞伎で見ただけですが)があまりに自在で面白かったので、クソ坊主とか女好きとか、どうなんだろうと思っていたのですが、このドラマ見たら何だか安心しました(どこから目線ですいません)。

ドラマとしても、どうしてもエピソードをただつなぐだけになりがちなところ、それぞれを丁寧に描いているのと、寧々目線で一本筋が通っていて、面白かったです。最終回は淀と寧々の冗長な会話シーンなど、少し息切れな感がありましたが。衣装や合戦シーン、ロケも贅沢でした。今の大河もこんなに合戦シーンしっかり描いていないかも。

キャストでは、秀吉の母おなか(十朱幸代)がさすがドラマを盛り上ていました。家康の高橋英樹だけは、安定感ありすぎなんですが、このドラマだったらもう少し若くて一癖ありそうなキャスティングもあっただろうと思いました。

他のキャストも、10年前とあって、こんなところに、という方も多数。秀長(福士誠治)を始め、井之上チャル、市瀬秀和といったワンピース歌舞伎の出演者や、秀次(濱田岳)、竹中半兵衛(山崎銀之丞)、和田正人

歌舞伎関係では、小早川秀秋に松也、秀頼に壱太郎。松也は声はいいですが細くて華がなくて、今メタルマクベスの美丈夫となるとは想像しがたい感じ。壱太郎秀頼は家康が対面した後「手を握ったら女のように柔らかい手であれでは大阪城を束ねられまい」と言われちゃうんですが、だって女方だもん、とくすり。

新作歌舞伎「NARUTO」@新橋演舞場

201808naruto      ワンピースに続いて、少年ジャンプの人気コミックの歌舞伎化ということで話題の新作歌舞伎NARUTOです。ワンピースで活躍した巳之助、隼人をナルト、サスケに据え、G2さん脚本・演出、脇は澤瀉屋やワンピース歌舞伎の嘉島・市瀬で固め、ラスボスのマダラは愛之助・猿之助のダブルキャストで集客力アップ、セットにはお金かけすぎずという、採算をきっちり考えたと思われるプロダクション。

NARUTOのコミックは、家にあって途中まで読んだきりでしたが、きちんと説明があるのと、主な人物の関係や九尾の狐の件は記憶にあったので、わかりにくいこともなく見られました。

やっぱり、巳之助、隼人がキラキラしていていいです。巳之助はほんとに主役として安定。化粧も合っててとてもかっこよくて、動きもかわいい。パンフレットの写真はキメているんですが、ほんとは笑顔がナルトらしくて似合ってました。隼人は影のある役なんですが、ほれぼれする美形。こういうのも何ですが、声も多彩になって、うまくなってた感強かったです。二人とも、立ち回りほんとにがんばってましたし、本水場面もちょっと素の感じもよくて見ごたえありました。これを1日2回とは!

猿弥さんの自来也がいいのは当たり前として、意外性が評判な笑三郎さんの大蛇丸が初めて見る中性的な悪役で、前半ほぼ主役ではという大活躍。綱手の笑也もきれいでした。ワンピース組の、嘉島典俊のカカシ先生もよかったし、市瀬秀和のイタチはビジュアルも立ち回りのスピードもかっこよかった!梅丸のサクラもかわいかった。

猿四郎さんの3代目火影、國矢さんのカブト、段之さんのうたたねコハル、安田桃太郎さんの鬼鮫。

そして猿之助マダラ、最初その仮面の人物がマダラだとは思っていなくて(1幕<弥次喜多やってる時間>から出てたので)、仮面をとる動きに入るところでやっとわかって、驚いてしまったんですが、禍々しく、迫力半端なかったです。そのゆっくりとした動作、舞台の空気の持って行き方を知っているなあと感動。

納涼歌舞伎を見たばかりだけに、さっきまでチャラチャラ喜多さんと花魁の早替わりをやっていたはずなのに、見得の迫力、同じ人とはまったく信じられません。久しぶりに見るカーテンコールでは、上の階まで目線を配り、最後まで役のまま素に戻らないのもいつもの通り。しかしあくまで主役に敬意を払い、必要以上に目立たないのもこの人のあざといまでの賢さ(←好き)。

さて、作品というと、うまくまとめてはいるものの、コミックが長編で設定が複雑になっているナルトとサスケの生い立ちについて、舞台であんなに詳しく説明しなくてもいいのでは、という感じがしました。とくに2幕の説明は冗長で見せ場が少ない。九尾が入っててたいへんだ、というのでいいじゃないかと思うんですよ。役者さんたちを見るほうに忙しくて、ある程度わかっている説明がちっとも頭に入ってこなくて(すみません)。その意味でも、三忍が出ている場面のほうがおもしろかったです。大蝦蟇とかもっと出せばよかったのに。

そしてやっぱり音楽問題。立ち回り時や芝居のところでのバックの音楽がちょっと気になるんですよね。せっかく六太夫さんの語りもよかったし、歌舞伎の下座というのか黒御簾音楽もあるのに、録音エレキギターの音楽が逆に安っぽく感じます。

いろんな意味で、ワンピース歌舞伎の遺産でひとつ作り上げたって感じですかね。でも巳之助、隼人、梅丸はこれで自信をつけて、これからの活躍を見せてほしいと思いました。

(おまけ)

Reserve_2018_08_bento_naruto_ ギリギリに駆け込んだので、お弁当がお寿司しか残ってなくてどうしようと思っていたら、ナルト弁当とサスケ弁当は、予約販売できたんですよ。代金払ってチケットをもらうと、次の幕間で受け取るしくみ。殆ど時間のロスはないうえに、ご飯がほんのりあったかくて出来立て感。ナルト弁当はご飯少なめ、おかず多めでヘルシーで美味でした。

八月納涼歌舞伎第2部「東海道中膝栗毛 再伊勢参?! YJKT」「雨乞其角」

201808     納涼歌舞伎第2部です。弥次喜多第3作、これまでで一番面白い!と評判でしたので、待ち焦がれてました。買い足そうにも、2部は早々に完売していましたから。

幕が上がると、いきなり巨大な喜多さん(猿之助)の葬式写真がバーン、松竹座の女殺油地獄の片づけ中に油で滑って頭を打って喜多さんが死んだことを、皆が悲しんでいます。弥次さん(幸四郎)があまりに泣き続けるので、梵太郎(染五郎)、政之助(團子)は、お伊勢参りをして喜多さんとの思い出を辿るとともに、天照大神さまに復活を願おうといい、3人は再び旅に出ます。まだ成仏できない喜多さん幽霊も3人を追うことに…。

さて、前述のとおり、期待値はかなり上がっていたのですが、それ以上に最高に楽しめました。まず、七之助、獅童、中車の早替りが何度も。タイトルにも「早替り相勤め申し候」とありましたが、こんなにこの3人に無理やらせて、とおかしくて。また、3人の持ち味のバランスがよくて、そろっているだけで面白いんですよね。しかし、3部でも主要なキャストの3人、後半は出番がなくなっていて、配慮してるんだなと思いました。

猿之助の幽霊、最初の場面は待ってました、という感じ。贔屓目ですが、歌舞伎座の広い舞台が、猿之助ひとりに支配されたように見えてゾクゾクしました。いや、ほかの役者ばかりではなくて、ちゃんと自分の見せ場も作ってるじゃありませんか。花道の引っ込みもちょっと長めでうれしかったです。

そして花魁赤尾太夫!貼り眉なんで、アップで見ちゃうとアレですが、やっぱり豪奢な拵えの猿之助の女方を見るとそれだけでありがたい気持ち。幸四郎との絡みは、ああん吉田屋、籠釣瓶…、と夢が膨らみました。花魁で出るのはうわさで知っていましたが、こんなにたっぷり出てくれるとは。さすがに早替わりの本家だけあって、難易度の高そうな花魁・幽霊を驚異の早さで行ったりきたり。

もちろん、野次さんも、あの間抜けな顔とのんきな性格をつらぬいたままながら、軽やかにかっこいい場面もたくさんあって、さすが幸四郎のもともとの華やかさを活かしているなと思いました。

そして若手の舞踊!千之助の藤娘、超かわいいし、鷹之資、玉太郎のSUGATAコンビも「三番叟」を思い出してムネアツだったし、橋之助ほか成駒屋3兄弟も振りがよくて楽しませてもらいました、米吉も最年少花車方か。右近ちゃんがかわいくて、お芝居もしっかり入ってやっているのに感心。右團次さんの親バカぶりも無理ないんですが、それもパロってて最高です(なんで右團次さんが、普通撮れないアングルの写真をブログにアップしているのかがわかりました)。弘太郎・鶴松の犬猫コンビも達者でした。

ハチャメチャではありますが、染團のしっかり坊ちゃんたちがストーリーを押さえてて、あまり脱線しすぎないバランスもよくできているなと思いました。7月は27日まで松竹座だったのに、帰ってきてからお稽古して演出して、と猿之助の頭の中はどうなっているのか(もちろん幸四郎も超人か、ですよね)。

第3部はシネマ歌舞伎にならないそうで、ファンはがっかりしているんですが、これまでのようにシネマ用にがっつり編集しなくていいから、記録映像としてDVD三部作買わせてくださいよ、松竹さん。

さて、2時間弱のやじきたのあとは、「雨乞其角」。其角(扇雀)が雨乞いをする短い舞踊ものです。

ちょっとコテコテした弥次喜多の後で、すっきりとした夏着物の扇雀さんに、船頭 歌昇、とさわやかな夏の風が吹くような舞台。彌十郎が芸者新悟、廣松を船に乗せて行き会います。

最後は若手と其角が踊りますが、評判通り、鷹之資が目を引きます。多数の若手の中からいい役がついて、ファンがつくというのはたいへんなことなんだな、とちょっと思ったりして。

七月大歌舞伎「御浜御殿綱豊卿」「口上」「女殺油地獄」@松竹座

201806_4      松竹座での高麗屋襲名興行、昼夜通しの夜の部です。昼よりよいお席。

まずは「御浜御殿綱豊卿」。初めて見たときはセリフばかりであまり面白くない印象だったんですが、前回仁左衛門丈と染五郎丈で見て、セリフが入ってくるのに驚きました。今回はその上を行く感動でした。

まず綱豊の側室お喜世(壱太郎)が隠す手紙を見せよと迫る浦尾(吉弥)、助けに入る江島(扇雀--貫禄ありました)。

綱豊(仁左衛門)が新井勘解由(歌六)と大石たちについて話す場面。さすが歌六さん、こういう勘解由、この綱豊との会話が見たいと思っていました。理詰めのやりとりの後で、討たせてやりたい、と述懐する綱豊。仁左衛門さんの綱豊、なんていうのか、物語の中から飛び出して骨肉をまとっているというか、現実にはいないけれども、でも目の前に実在する感があって、すごいなと思いました。

お喜世の兄富森助右衛門(中車)登場。のっけから、隙あらば吉良暗殺のための情報を得ようと抜け目なく見回します。染五郎で見たとき、仇討ちに思いつめる青年助右衛門の決定版で、綱豊とも対照的でいいなと思ったんですが、中車の助右衛門は、おじさんではあるんですが、その一途さ、覚悟、綱豊に一歩も引かない意地が見えて、だからこそほとんど動きのないセリフ劇に緊張感があって、とてもよかったです。

ちょっと声がかすれているし、歌舞伎の技術がもうちょっとあればという気もするのですが、この緊迫感は、さすが役者としての実力だと思いました。

綱豊卿は、大石内蔵助が仇討ちをするつもりなのかどうか、言葉をつくして助右衛門につめよるのですが、その会話から浮かび上がってくる大石という人が、「祇園一力茶屋の場」(最近TVでも見たばかり)での姿や、「判官切腹の場」での判官と大石との別れが思い出されて、より胸に迫ります。歌舞伎にはこういう楽しみもあるのだなと思いました。

次は「口上」です。藤十郎さんの読み上げから、皆さんの口上が続きます。猿之助丈は上手側、白鸚さんとも、もちろん幸四郎さんともさんざん共演していますし、口上には出られなかった1月のことを思えば、いろいろ思いはあると思うのですが、なんと高祖父二代目段四郎と七代目幸四郎の縁を話すという内容。目立つ人が一切自分のことは言わないのが、逆にどれだけ幸四郎さんを思っているか、と思いました。最近お顔が丸くなったといわれていますが、丸いというより、青年を脱した貫禄をにじませていましたよ。

夜の部は口上だけの白鸚さん、とても力が入っていて美声を聞かせていました。37年前の三大襲名の際の初代白鸚さんは、すでに体調が悪く、その後まもなく亡くなられていますが、当代はますますお元気で、新たな境地を開きそう。

さて、お待ちかねの「女殺油地獄」。

野崎詣りに、子どもの手を引き、赤子を抱いてお吉(猿之助)登場です。着物の下のちょっとむっちりした感じが、とても色っぽい。といって、あくまで気のいい女房、やんちゃな(この時点では子どもっぽい、無邪気な若者)与兵衛(幸四郎)を、身内のように、ちょいと気に入っている感じが絶妙。

河内屋の場。母おさわ(竹三郎)、継父徳兵衛(歌六)が絶品。4月のワンピースではややお元気なさそうに見えた竹三郎さん、来月には86歳になられるとは見えない肌のきれいさ、セリフも力がこもっていて、ワンピースとはまた違った猿之助丈との共演を楽しんでいるように見えました。

ここまで、ちょいちょい笑いが起きるのは、むしろその後の悲劇と対照的で私は結構好き。幸さんの持つ、天性のボンボンぶりとか明るさがとっても合っているなあと思いました。だいいちかっこいいしね(ポスター見てください)。

あっという間に、殺し場です。見る前は、猿之助丈の左腕を打ち付けないかなどと気にしていたのですが、あまりに自然で、ほとんど気にならずに舞台に集中できました。殺して金を奪っても、その先は見えないのに、なんと刹那的な与兵衛。二人の動きがピタリと決まり、滑るところが動きとしておかしいのはそれとして、陰惨な殺し場が様式美に昇華していました。いい母親でしっかりした、幸せだったお吉が「死にとうない!」というのが何とかわいそうだったこと。

昼の勧進帳も大健闘でしたが、やっぱり幸四郎丈のニンは仁左衛門さんに近いような気がして、というか、ニザ様の当たり役をやってほしいと常々思っているんですが、そういえば口上でも父とニザ様に挟まれていたのをほほえましく見ていたのでした。

ドラマ「ブラックペアン」

201806     TBS日曜劇場「ブラックペアン」は今日最終回でした。ニノのドラマはほとんどハズレがないし、なんたって猿之助がレギュラーで出る、久々に内野聖陽も、ってことで初回からきっちり毎週見ましたよ。

外科医渡海(二宮和也)は露悪的な天才外科医。さすが雰囲気つかむのうまいのと、芝居にメリハリがきいてて、よかったです。

初回、第2回と手術シーンに驚かされて、しかしその後は失敗手術にニノが出てきて鮮やかにフォローして患者を助けるという、ワンパターン(患者や家族のキャスティングがバラエティに富んでいて面白かったですが)。ブラックペアンの秘密解明はなかなか進まないし、佐伯教授(内野聖陽)もさほど出番ないし、むしろ一生懸命な研修医世良くん(竹内涼真)と、意外といい人で、教授たちからあれこれ無理言われて眉間にシワを寄せる高階先生(小泉孝太郎)の方が主役みたい。

しかし、やや強引ながら、最終回、全ての謎を解明してくれて、すっきりしました。「ブラックペアン」ってそういう意味だったのかあ。原作読んでいた人は全てわかっていたんですか?読んでなくてよかったです、面白かった。

それにニノが、最終回にいろいろな表情を見せてくれて、ちゃんと主役としてドラマを引っ張っていたのがよかったです。比べては申し訳ないですが、部屋でうろうろするばかりで、最後は浅野忠信に持っていかれた「A LIFE」よりはずっとよかったですね。

いや、2回見たら、さすが内野聖陽は迫力ありましたね。セリフの重みがちがうし、ちらっとでしたがアフリカのワイルドな佐伯教授もかっこよかったです。こう持ってきたくて、これまで抑えめだったのか。

最後までいいところのなかった黒崎教授の橋本さとし。ほんとにミュージカルで主役やってる人?そしてあのステージアラウンド第2弾のメタルマクベスに出る橋本さとしだよね?(いや、間違えるとしたら橋本じゅんだからちがうし)。変貌ぶりが楽しみです。

ところで、わが西崎教授(猿之助)、わかりやすく傲慢で、「実は」的なところのない敵役。自らカエサルを操作する回では、秀才のプライドとか、頭のいい人が失敗しておろおろする感じがリアルで、客観的にはみっともなくてなかなか見ものでした。しかしなあ、私が歌舞伎をみたことのない「ワンピース」ファンだったら、こんなイヤミなおじさんがやるルフィなんて誰が見るもんか、って思いますね。

シネマ歌舞伎「東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖」

201806     去年の納涼歌舞伎第2部の「東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖(こびきちょうなぞときばなし)」のシネマ歌舞伎版です。

去年は歌舞伎座で見た1作目はシネマ歌舞伎のみ)ので、感想もまったく同じですが、マイクできっちりセリフを拾っているせいか、各人の見せ場がよりくっきりしています。寿猿さん、竹三郎さんから、金太郎・團子、そしてお弟子さんたちまで、みんな持ち味を生かしてもらってます。

作・演出の猿之助は、その立場と狂言回し的な役割りからか、ショットが多くて満足。本当に気を抜くことなく、盛り上げるのにがんばってます。ふと見せる所作がきれいで、染さんともども華があって楽しいです。二人で無邪気にぴょんぴょんするのはかわいかった!

そしてやっぱり「四の切」絡みの場面は楽しい。巳之助、隼人、そして新悟がそれぞれ四の切の見せ場を持たせてもらって売り出しているのもさすが猿之助、ワンピース歌舞伎の前宣伝だったかも。

高麗屋襲名で一気に美少年ぶりが評判になった金太郎(現染五郎)ですが、若様の衣装がよく似合ってます。しかし、美少年というか美少女ぶりが気になるのは千之助ですよ。どこから見ても、玉さまをかわいくしたような美しさ。

結末は盛り上がると評判だったB。結局Bしか見られませんでしたが、児太郎の快演が再び見られて満足。

ま、歌舞伎を見たことのない人にとって、面白いかどうかはわかりませんが、主な役者がわかって、御曹司が誰かも知っていて、四の切を見たことがあって、さらに猿之助ファンだったらとっても楽しめるご褒美みたいな作品ですね。

今年のの納涼も楽しみです。千穐楽で「名前が変わっても一緒に飛ぶ」と言っていた二人ですからね。

「スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース」@大阪松竹座

201804    猿之助復活のワンピース歌舞伎@大阪松竹座、行ってまいりました。あの大怪我から復活した舞台を見届けたい、と。熱心なファンの方は複数回遠征も当たり前ですが、自分としては、大阪まで行くなんてびっくりです。

初の大阪松竹座、なんばの賑やかな一角にあります。東京の歌舞伎劇場と比べると、間口が狭く、こぢんまりとした印象。大正時代につくられたレトロモダンな大理石の建物(中は平成に改装)もステキ。

そして行った甲斐はありました。猿之助丈はキラキラと、本当に楽しそうに大活躍でした。1月も2月もほんの短い出演だったので、これだけたっぷり、生き生きとした本来の姿を見て、本当にうれしかったです。

ワンピース歌舞伎自体は昨年の再演も見ていますが、猿之助ルフィは初演時以来。そのときは、ワンピースが歌舞伎になるなんて、とやや懐疑的だったので、コミックのキャラクターの再現度の高いほかのキャストに驚きすぎて、それに比べ、猿之助ルフィはさほどでもないように思っていたんです。

しかし、「ワンピース歌舞伎」のルフィを見慣れた今は、彼が歌舞伎の手法を様々に使って、まっすぐな純真なルフィを演じ、私たちの心を揺さぶってくれるのに感動しました。毒にやられた病ルフィの魂っぽさ、透き通って見えるような感じがしましたし、ここぞという時のキメのエネルギー。!「なおったー!」「やったー!」のかわいらしさ。宙乗りのときのうれしそうな顔!

ハンコックがきれいになっているというウワサだったんですが、確かにカツラと化粧のためもあって、きれいでした。きっと「右近のハンコックきれい」という声をきいて、負けず嫌いの血が騒いだんだわ。タカピーキャラと早変わりの鮮やかさはもちろん見事。

心配していた左腕ですが、アマゾン・リリーのダンスの振りは変わっていたような気がしますが(いつもはここで踊りの達者さが印象深い)、後は、素人目にはほとんど気づかず。斜め上にもパーンと上がっているし、今は前ほどの力は入らないのかもしれませんが、きっと完治して素晴らしい舞踊を見せてくれるはず、と確信できてほっとしました。

昨年10月、怪我をしたときは、再演始まってすぐで、2か月間の公演のこと、そして順風満帆だった自分の役者人生のこと、心中はどんなにかと想像もつきませんが、伝え聞く限り(ワンピース歌舞伎関係者はブログやTwitterの発信がお弟子さんたちも含めたくさんなので)、あくまで明るく周囲を励まし、無理はしないものの、アンコール出演などできる限りの公演サポートをしてきた猿之助。そして、ここまでの回復をアピールしてくれて、「開放骨折しても痛くない」なんて台詞まで言って、でも、芝居を壊すほどのネタにはせずその具合が程よいのもさすが…改めて、凄い人だと思った次第。

(この舞台の脚本を書いた横内謙介さんが、ブログで再演初日の思いを熱く書いています。ファンなら泣けちゃう。l)

そしてますますパワーアップしたキャストたちが、本当にそれぞれの場面で輝いていました。隼人は自分をかっこよく見せるという点で一段進化していて、惹き付けられましたし、巳之助は何度見てもいいし(「NARUTO」も楽しみですね)、新悟、右近もいうまでもないですが、笑三郎、猿弥、門之助そしていいところで出てくる右團次が説得力ある台詞と存在感で舞台全体を締めます。さすが澤瀉屋。

脇の役者さんたちみんながレベルアップしていて、たとえばインペルダウンのやり取りなども普通のお芝居として見てもクォリティ高し。ダンスもうまくなってるし、アクションチームも素晴らしかったです。みっくんボン・クレーの花道の引っ込みの海軍の方もすごかった!

さて、今回クルーに初参加の下村青(あお)さん。四季で長くメインキャストを演じた方(時期的に「美女と野獣」のルミエール見てるかもしれません)ですが、まだ間もないせいか、少し硬い感じ。浅野イワンコフにない、グラマラスな魅力と、ミュージカルな歌と、素晴らしいバトンパフォーマンスがあるんですから、もっと振り切れて、と思いながら見てました(ま(浅野さんが希代の名優なだけにたいへんだと思いますが)。ちょっと古田新太の「ロッキー・ホラー・ショウ」をほうふつとさせるんですよね。青さんのブログを見ると、猿之助丈が初参加の彼に細やかな気遣いをしているのが感じられます。ファントムは、自分がやりたかったんだろうな。

松竹座のお客さんたち、まだ初見とか、初歌舞伎といった方も多いようで、台詞への反応も新鮮。2幕、3幕にかけて盛り上がっていくのが感じられて、とっても気持ちよく観劇できました。お客さんが盛り上がると、キャストも元気が出そう、大阪も名古屋もお客さんがたくさん入りますように。

大河ドラマアンコール「風林火山(2007)」

2017    昨年4月から放送されていたBSの大河ドラマアンコール「風林火山」、2007年の作品です。6月、猿之助強化月間((笑)から見始め、途中録画の抜けなどもありましたが、今月の最終回まで見ました!

「新選組!」もそうですが、2000年代は「どうぶつ奇想天外」を家族で楽しんでいたので、この時期の大河はほとんど見ていなかったんですね。内野聖陽も亀治郎も知らなかったし。紅白でGACKTがあの謙信の扮装で出てきたのがかっこいいけど異様だな、と思った記憶があります。

お話は、武田信玄(亀治郎)の隻眼の軍師山本勘助(内野聖陽)の武田家への士官から、川中島の戦いでの死までを描く戦国ものです。全体に男臭いドラマで、信玄の父信虎(仲代達也)、家臣千葉真一、加藤武、高橋和也、高橋一生、竜雷太、田辺誠一、今川家の谷原章介、伊武雅刀、そのほか松井誠、小日向文世、永島敏行等、画面が男くさいこと。

戦国武将とその家来を入れると、登場人物は多く、細かく見ていくとその後売れた人も多くて、昔からNHKはいいキャスティングしているな、と思います。個性的なおじさん役者たちを見るには楽しい大河でした。

しかし、ドラマとしては、中盤の(井上靖の原作小説では中心の)、信玄の側室由布姫(柴本幸)に対する勘助の思慕のくだりが決定的につまらないんですね。ストイックなまでに役作りをしている内野聖陽に対して、当時新人女優の由布姫の拙さ。なんでこんなに熱くかっこいい勘助が由布姫にという感がぬぐえません。そしてよく言われているらしいのが、佐藤隆太の妙な使い方。暗くて彼のよさを殺しているようで、ずっと出てるわりには意味不明でした。

ただし、GACKTが出てきてから、今のゲームやアニメ人気を先取りしたようなメイクとざんばら髪の美形謙信で、それなりに見てて面白かったです。ミスター大河、緒形拳の軍師がまたちょうどいい存在感に抑えていたところがすごいと思いました。

さて、亀治郎。これがドラマというか映像初出演ですよ。プロデューサーが「NINAGAWA十二夜」を見て決めたという話もありますが、そんなまさか。30才そこそこで図々しいけど魅力的な中年女を演じたあの舞台を見て、信玄にキャスティング、というのが信じられません。NHKに「亀治郎の会」の相当コアなファンがいて、何とか彼をメジャーにしたいと画策したのかなと想像しちゃいます。まあ、伝統芸能枠では、和泉元彌や橋之助(現芝翫)、海老蔵等が大河に主演してますが。

当時の亀治郎の評判はかなり悪いといっていいでしょう。大河ファンからは、見たことのない歌舞伎役者が大げさな演技で浮いている、とか、ブサイクだとか、カピバラみたいだとか(ショック!)。

若い頃はちょっと声の出し方もへんに見えるんですよね。何より、当時まだ女方が中心で華奢な亀ちゃんと、大柄で表情の乏しい由布姫の取り合わせが、なんとも。一応英雄色を好む設定で、由布姫も信玄を憎みながらも愛し…っていうのがかなり無理がありました。

しかし、中盤からは、徐々に貫禄が増していき、勘助とのツーカー感も気持ちよく、川中島前に出家した頃には、異様な凄み。「カメ流」には、スタッフと仲良くなって、カメラさんもよく映してくれたと書かれていましたが、そうかもと思えました。そうなる背景には、香川照之が、よろしくとあいさつしてくれたり、こまめにアドバイスくれたりしたそうで、猿之助はたびたび彼への感謝を書いてます。

そして、キャストをよく見ると、その後も共演したり、なかよくしている役者さんがいます。佐々木蔵之介(←この蔵さん、ほんとに合ってていい役です)、高橋一生(このドラマではそんなに目立ってはいないんですが、亀治郎は「カメ流」で、長いキャリアと実力をひけらかさない、難しいことをさらっとやる人、と絶賛しています)、佐藤隆太、池松壮亮、ワンピースの市瀬秀和、嘉島典俊。嘉島演ずる弟との別れは、1年間演じてきた絆を感じる熱いものでした。とにかく、この「風林火山」がなかったら、今のような猿之助の活躍はなかったか、もっと小粒なものになっていたでしょう。

その後の亀治郎=猿之助は、映像でも違和感なくしかし個性を発揮できる俳優となり、(まだ見ていない作品もたくさんありますが)「超高速!参勤交代」の吉宗は気品と包容力のある将軍だし、「花戦さ」は猿で我儘な秀吉だし。驚いたのは最近見た「龍馬伝」の龍馬暗殺下手人今井信郎役。幕末や明治の写真で見る、小柄で淡白な容貌ながら凄みのある日本人そのもので、あの画面からほとばしる異様な殺気、同じくらいの質量感のある従弟香川照之とのにらみあいはゾクゾクしました。

さて、「風林火山」では、父上、段四郎さんも天皇役でちょっとだけ出ているんですが、特筆すべきは関東管領を演じた左團次さん。享楽的で自分勝手な役柄にはまっていて(すいません)、意外に美形で最高でした。

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