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宝塚

宝塚月組「夢現無双」「クルンテープ 天使の都」

201905  宝塚月組 吉川英治「宮本武蔵」を原作とする「夢現無双」、和ものです。人気の美弥るりかさんの退団公演ですが、幸運にも見ることができました。娘役トップ美園さくらのお披露目でもあります。

ああ、みやるりちゃん、最初に見たのは、「NOBUNAGA」の秀吉でした。男役ながら小柄、でも女の子じゃなくて中性的で少年ぽい彼女は、ほかの人にない魅力があって、いつも見るのが楽しみでした。全組の座組で見たかったくらい。退団はさみしいな。

 さて、宮本武蔵って、有名ですが、海老蔵の大河ドラマも見ていないし、剣豪ということと厳流島の対決くらいしか知りません。まず何時代の人って感じですよ。

 美作の宮本村で育った新免武蔵(後の宮本武蔵、珠城りょう)は、幼馴染の又八(月城かなと)と関ヶ原の戦いに出て(←戦国から江戸にかけての人だったのかと知る)、お甲(白雪さち花)たちと暮らします。又八とも別れた武蔵は、京の兵法所吉岡一門の吉岡清十郎(暁千星)らと戦ったりして剣の腕を磨きますが、父の仇佐々木小次郎(美弥るりか)と厳流島で対決することに…。武蔵と思い合いながらも一緒になれないお通(美園さくら)、美しい吉野太夫(海乃美月)、自分勝手な又八の母(夏月都)、武蔵を導く台詞の達者な沢庵和尚(光月るう)、文化人本阿弥光悦(千海華蘭)あたりがいいな、と思ったところ。

作品自体は、残念ながらあまり好みではありませんでした。原作が長いからか、場面転換は多いですが、そもそも宮本武蔵が、自分探ししているだけで何もしていない、どころか、吉岡一門惨殺ってところに、たまきちがいくら長身でかっこいいといっても共感できない。普段歌舞伎を見慣れているためか、着物の所作が気になる人もいる。みやるりちゃん小次郎は、クールな美貌でかっこいいんですが、ただ舞台を歩くシーンが多く、もっと笑顔ではじけてるみやるりちゃん見たかったな、と。せっかくの新トップである美園さくらのお通は、役柄も衣装も地味で見せ場もないです。若干猫背で舞台を出たり入ったりしている印象。

まあでも、前述のとおり、キャストは個性的でしっかり演じていましたし、立ち回りも腰が入っていて、迫力があっていい。何よりたまきちさん、剣豪の姿似合ってましたよ!

久しぶりのたっぷりレビューはタイを舞台とした「クルンテープ 天使の都」。タイをイメージした衣装はキンキラキンでまばゆい!こちらでは美園ちゃんもしっかり華やか。月城さんと暁さんの一騎打ちとか、ニューハーフっぽい輝月ゆうまさんの迫力ある歌とか、キンキラのミニのコケティッシュな暁さんのダンスとか、いろいろあって楽しかったです。

→ キャスト名は、ファンの方のブログで知りました。レビューだと、トップコンビのほかはいつも2人くらいしかわからないんですが、ファンの方は、推しがどんなステージを見せてくれるかというのも楽しみなんでしょうね。

そして、みやるりちゃんとたまきちのデュエットのダンスがかっこよくてじんとしたり、ソロで歌ったみやるりちゃんが一旦ハケてから、ふたたび群舞にジョインしたり、ちゃんとみやるりちゃんをフィーチャーしてくれてよかった!泣きそうでした。

宝塚花組「カサノヴァ」

201904

   宝塚花組「カサノヴァ」です。トップ娘役の仙名彩世はこの公演で、トップの明日海りおもこの秋には退団ということで、あの「ポーの一族」の二人、とくに明日海りおは、私の少ない宝塚観劇の中でもけっこう長くみているし、ルックスがもう一番好みの男役ということで、あんなに美少年だったのに、貫禄まで出てきちゃって、と感慨深いものがありました。

 お話は、有名なカサノヴァものなんですが、実は数多の女性と浮名を流したということくらいしか知らず、直前に調べたら、18世紀後半のベネチアの人物で、多才で頭の回転が速く、投獄されたが脱獄した経験があり、薬の知識があったということがわかりましたが、その部分は脚本に生かされていました。

作曲は「1789」のドーヴ・アチア氏で、ラップ調とか、アイドル調とか、いろいろなタイプの曲があって、それも楽しかったです。

その投獄場面からカサノヴァが登場します。自信家のカサノヴァ、さすが役ごとになりきるみりお、完璧です。といっても宝塚らしく、千人斬りのカサノヴァは、脱獄後、ベアトリーチェ(仙名彩世)と出会い、真実の愛を感じ、またベネチア提督の養女として政略結婚させられそうな彼女を救うのです。

ベアトリーチェの心理がきめ細かく描かれていて、退団公演らしいなと思うとともに、カサノヴァを捕えようとする審問官コンデュルメル(柚香光)がかっこいいヒール、そのこじれている妻(鳳月杏―男役なのに女性の歌うま!)、ベアトリーチェの求婚者コンスタンティーノ(瀬戸かずや)。牢獄で知り合ってずっとついていくバルビ(水海舞斗)がかわいくてうまく、ジャニーズの少年のようでした。ベアトリーチェの侍女ダニエラ(桜咲彩花)はきれいだった!

と、個々のキャラクターをうまく生かした明るい作品で、楽しかったです。退団間際のトップ二人ということは、次が十分育っているということでもあり、柚香光の振り切った演技が主役に迫っていて、でもやっぱりみりおはすごくって。金髪に全身赤の衣装って、カズレーザーだ!とつい気づいちゃったんですが、いや、ここまでちがいますか。

2幕のたっぷりしたお芝居で、最後はいったん別れるという設定が、一足先に退団するってそういうことかしら、とちょっと胸に迫るものがありました。短いレビュー、階段の前の、みりおが娘役の中一人真ん中で踊る衣装が華やかでほんとに素敵でした。

ちょこっとしか知らない私でさえ、こんな風に思うんだから、ずっと追いかけてきたファンの方々の気持ちはいかばかりか、と思う夜でした。

 

 

 

宝塚雪組「ファントム」

201901fantom_2        久しぶりの宝塚は、人気の雪組「ファントム」です。ガストン・ルルー原作のファントムもので未見のプロダクション、アーサー・コビット脚本、モーリー・ウェストン詞・曲という作品。イェストンって、とみてみたら、ナイン、タイタニック、グランド・ホテルと、ヒット作がたくさんある方じゃないですか。

しかし、このファントムは、資金集めをしている間に、あのロイド・ウェバーの「オペラ座の怪人」が1986年にウエスト・エンドで大ヒット(そしてブロードウェイでロングラン)してしまったために、1991年のヒューストンでの初演以来、ブロードウェイでは上演されていないという若干気の毒な作品です。

宝塚では、2004年初演で4度目の上演。今回は、歌のうまい望海風斗のファントムということで期待していきました。ほかの出演者もみーんな歌がうまくて、イェストンの美しいメロディ(難易度高め)を歌い上げていました。芝居のテンポもよく、オペラ座の地下の雰囲気も良く出ていて、堪能しました。

(ネタバレしてしまいます)

オペラ座の地下に住むファントム(エリック、望海風斗)は、支配人キャリエールとうまくやっていましたが、新しい支配人アラン(彩風翔)と妻でプリマドンナのカルロッタ(舞咲りん)は、ファントムをないがしろにします。広場で歌を歌っていたクリスティーヌ(真彩希穂)はオペラ座のパトロンシャンドン伯爵(朝美絢)の目にとまり、オペラ座で働くことになります。衣装係からエリックの歌のレッスンを受け、主役に抜擢されたクリスティーヌ。一方、キャリエールとエリックの間には秘密が…。

主役のファントムが、ほかの作品より表舞台に目立って出てきますが、クリスティーヌに切ない思いを抱くところは一緒。とにかく望海風斗の歌がうまいので、不幸な境遇もより迫ってきます。カルロッタがまた歌もコメディセンスも素晴らしく、前半は舞台を回していきます。クリスティーヌも、見事。

また、シャンドン伯爵(ロイド・ウェバー版だとラウル)が、朝美絢と彩風翔のダブルなんですが、私が見た日はあーさでした。またこの子が明るくてかわいくって。この舞台の明るい部分を一身に集めたような存在で、立ち回りもかっこよかった!

後半は、キャリエールが際立ってきます(2番手としてはやや地味なお役)。キャリエールとエリックの二重唱はこのうえなく美しく、感動しました。

しかし、ファントムもの全般にいえますが、ファントムかわいそうすぎるんですよ。とくにこの脚本、おいキャリエール、これまでになんとかならなかったのか、って感じ。あとね、最後、歌舞伎だとキャリエールは死にますよね。ピストル渡したとき、それ渡しちゃうんだと思ったもん。

最後はすべて忘れて短いフィナーレ。男役さんたちはおおむね渋めでしたが、それもまたかっこよかったです。

宝塚雪組「 凱旋門」「Gato Bonito!」

201807    轟悠さま主演「凱旋門」@雪組です。原作は、ドイツ人作家レマルク(「西部戦線異状なし」でも有名な作家ですね)の同名小説。レマルクはマレーネ・ディートリッヒと同棲していて、映画化したら、彼女を主人公にしようとしていたんだそうです。

お話は、第2次世界大戦、ドイツに宣戦布告する前のパリ、ドイツから亡命してきた外科医ラヴィック(轟悠)は、旅券も身分証明書もなく、闇手術をしながら、亡命者ばかりのホテルに住んでいます。ある日恋人が死んで途方にくれているジョアン(真彩希帆)と知り合い、恋に落ちます。ラヴィックの友人ボリス(望海風斗)がドアマンをする店で働くジョアン。しかし、ラヴィックが国外追放されている間にジョアンには新たな恋人が…。

轟悠さま、さすが渋く美しい。異国で先の希望もなく、ひっそりと生きる中で再び心に火を灯したジョアン。いつも心に悲しみや諦観を抱えているような雰囲気がたまりません。ま、若干ジョアンが若く健康的で単純に見えてしまうのは(そういう造形なのかもしれませんが)仕方ないですね。私の好みとしては、素朴に幸せを求める女だとしても、もう少し陰影があった方が好き。

望海風斗は、語り手的な役割で、主役を立てながらも、歌の場面は聞かせてくれるし、すうっとかっこよかったです。誠実な人柄、ラヴィックの理解者で、別れの場面、ものすごくジーンと感動しちゃいました。

2018072  この作品、宝塚としては2000年に轟悠が現役トップ時代に上演されているそうで、昔の作品だからなのか、この3人以外にはあまり見せ場がなく、さほど詳しくない私には、誰が誰だか。後からチェックしたら、ジョアンの恋人アンリが二番手彩風咲奈、ラヴィックに手術を頼む病院のヴェーヴェルが彩凪翔。普通の脇役です。

この人かわいい、と目を引いたのが亡命者ハイネ。なんだ、「ひかりふる路」のサン・ジュスト朝美絢じゃないですか。そのあとのショーでも目で追っちゃいました。

休憩後のショーは「Gato Bnito!」。美しい雄猫という意味だそうです。猫をモチーフにラテンで踊り歌いまくるという華やかなショーで、それまでの地味なお芝居のうっ憤をはらすかのような生き生きとした雪組の皆さん。手拍子も多くて盛り上がりました。

せっかくトップになったばかりで、理事の主演の相手役とは、と望海さんファンは複雑なんだそうですが、轟悠ならではの深い演技あり、地味とはいっても、亡命者たちの雰囲気をよく出していた雪組の皆さんの好演あり、たまにはいいなと思いました。轟さん好きだけど、理事主演のときにはいつもショーがないんじゃさみしいですしね。

宝塚花組「ポーの一族」

201803   宝塚がとうとう「ポーの一族」をやる、ときいたときには、正直複雑でした。連載中から、なんて絵のきれいな、深みのあるマンガだろうと思って好きになり、それからウン十年、今でも私のマンガの最高峰は萩尾望都と「ポーの一族」。小池修一郎作演出はまちがいないといわれ、ビジュアルが発表されたときも、再現度の高さが評判でしたが、たしかに外してはいないけどーと。

しかし、本当に失礼しました。萩尾望都のこの少女マンガの歴史にそびえたつ名作を、見て、聞けるものにしてくれた宝塚、すばらしかったです。何より、演出小池修一郎氏の長年の念願ということで、原作愛に溢れた舞台化、それを可能としたトップ明日海りお始め花組キャストの演技力がこの成功の要因でしょう。歌舞伎にワンピースあり、宝塚にポーの一族あり。

お話は、コミックでいうと第1巻と2巻、エドガー(明日海りお)がバンパネラとなり、ポーツネル男爵(瀬戸かずや)、シーラ夫人(仙名彩世)、妹メリーベル(華優希)と旅の途中立ち寄った港町で、アラン(柚香光)と出会い、新しい旅に出るまで。「グレンスミスの日記」「ランプトンは語る」「小鳥の巣」まで使い、ポーの世界を存分に再現する構成です。

コミックは愛蔵版は持っているものの久しく読んでいないのですが、最初の台詞から、何だか泣きそうになりました。とにかくエドガーが、ビジュアル以上にエドガー。この頃の、自分の運命を呪い、露悪的ながら、寂しくてメリーベルとアランを愛するエドガー。マンガでも繰り返し描写される美しい青い目が完璧!アランも、強がっていながらエドガーよりも幼いあの1巻のアランそのものです。

ポーツネル一家の華やかさが際立っていて、ホテルに到着する場面の「見ろよ、まるで一幅の絵だ」というのがまさにそのとおりで、光り輝いていました!

娘役トップがシーラ夫人と知ってどんなもんだろうと思っていたんですが、仙名彩世に華があって、出番が多くても違和感なく。メリーベルもほんとにかわいかった。クリフォード医師(鳳月杏)も原作のままのハンサムでモテる明るいキャラ。好演ときいていたマーゴット(城妃美怜)もよかったです。降霊士の芽吹幸奈は怪演といってもいいくらい。

宝塚らしい華やかなアンサンブルシーンはどうするのかと思ったら、ポーの村のシーンや港町のホテル、婚約式などでうまく挿入されていて、不足なし。いや、踊る大老ポー(一樹千尋)を見た時はびっくりしましたが、違和感ありませんでした。

あまりの感動に、久しぶりにパンフレット買ったら、小池さんの熱い思いと、萩尾先生の愛のこもった文章が載っていました。それだけでも十分ですが、エドガー、アランの美しい写真やポーのカラーイラストも多数載ってましたよ。

僅かに異論を唱えるとすれば、エドガーダンサーズはいらなーい、のと、マーゴットってば、端役扱いなのか、クリフォード先生の婚約式も普段着ドレスで出てました。お出かけドレス着せてあげてほしかった。

宝塚雪組「ひかりふる路~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール」「SUPER VOYAGER!」

201801  宝塚雪組の新トップ、望海風斗真彩希帆の東京でのお披露目公演、「ひかりふる路~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール」です。

望海風斗、トップとしては遅咲きの方だそうで、そういえば4年前の花組「アンドレア・シェニエ」ですでに目立つ役をやって、歌のうまい人だなあと注目してましたですよ。真彩希帆の方は、望海さんよりはだいぶ後輩のようです(初舞台が9年ちがう!)。

さてお話は、宝塚得意のフランス革命もの、しかし、主役はあのロベスピエールです。え、ベルばらの昔から、冷酷なギロチン送りの急進派で、彼が悪役でないお芝居なんて見たことがないってくらいの人です。しかしこのお話の彼は、幼くして両親を失い、一人で弁護士になる勉強をした秀才、理想を求めて革命に身を投じますが、私欲に走った同志や混乱に嫌気がさして恐怖政治をやり、多くの犠牲者を出したうえ破滅します…(ロベスピエール自身については、事実らしいですよびっくり)。

革命軍に家族を殺された貴族の娘で、ロベスピエールと恋に落ちるマリーアンが真彩希帆、ほかに同志ダントン(彩風咲奈)、同志カミーユ(沙央くらま)、サン・ジュストくん(朝美絢)等。

望海風斗、さすが満を持してのトップだけに、貫禄、迫力、繊細な演技。歌はもちろんうまいわけですので、この渋いドラマを十分引っ張っていました。しかも、曲は全てあのフランク・ワイルドホーン、望海、真彩とトップ二人が歌がとってもうまいので、聞きごたえがあってほんとによかった!アンサンブルの掛け合いも迫力がありました。

ダントンの彩風咲奈も複雑な性格をうまく演じていましたが、目を引いたのがサン・ジュストの朝美絢。ベルばらで「花のサン・ジュストくん」として、ロベスピエールに従って粛清しまくる美少年のイメージにぴったりの美形で、華のある笑顔がとっても魅力的。これからの活躍に期待です。

さて、お芝居もさることながら、さらによかったのがレビュー、SUPER VOYAGER!です。

(以下ネタバレします)

SUPER VOYAGER、すごい航海者ってことで、船や旅がテーマで衣装なども統一感があるんですが、ラ・ラ・ランド風のダンスあり(これ彩風咲奈のかろやかなダンスが超ステキだった!)、クラブでの沙央くらまの歌(ステキ!)にのっての女の取り合いあり、ジャニーズアイドル風少年ダンスあり、真っ白な衣装での階段の集団行動ダンスあり、と、盛りだくさん。演出の野口幸作さんは、若い方だそうで、やりたいことを全部詰め込んだでしょ、と言いたくなるような意欲的なレビューでした。もちろん歌いまくるトップ、準トップさんたち。

最近、芝居部分が長くて、アンコールのようなレビューが多かったので、ほんとに堪能しました。うん、今年も楽しい観劇生活となりそう!

宝塚月組「All for One-ダルタニアンと太陽王」

Allforone   見た友人が、口を揃えて「面白い、よくできてる、楽しかった!」というので楽しみにしていた宝塚月組「All for One」です。月組は昨年の「NOBUNAGA」以来で、そのとき準トップだった珠城りょうがトップ、娘役トップはそのときと同じ愛希れいか。

さて、副題でもわかるように、設定の元はデュマの「三銃士」で、銃士隊の新入りダルタニアンが人気者の三銃士と協力して王妃のために戦い、恋を手に入れるというもの。「三銃士」、子どもの頃挿絵入りの本が大好きでした。翻訳が柴田錬三郎だったんですが(父が「シバレンがこんなの書いてるのか」と言ったのが、その人ダレ、と印象的だったので覚えている)、挿絵の彼らがイケメンだったんです。とくにアラミスは人物紹介で「美形で笑顔は貴婦人のような気品があり、女性にもてる」というようなことが書いてあってお気に入りでした。

そのアラミスは、NOBUNAGAでもかわいい秀吉を演じていた美弥るりか。この方、小柄で髪もなびかせてて女子なんだけど男というところが、少女マンガ的で彼女独特の魅力があって好きです。リーダー格のアトスは髭もりりしい宇月颯、力自慢のポルトスは暁千星。銃士隊で長い剣を合わせる三銃士、かーっこいい!これにガタイのいい珠城りょうが加わって、迫力です。

お話は、原作と離れて、太陽王ルイ14世(愛希れいか)は実は女子だったというもので、このルイが、バレエ踊ったり男と女行ったり来たりして大活躍。ヒロインとしてはコメディセンスもあって熱演でした。話はオリジナルでも悪役宰相マザラン(一樹千尋)とその甥たち(ベルナルドの月城かなと、美形でステキ)と闘うのは同じで、テンポよく進む話に個性がくっきりしたキャストの好演、きっちり回収される伏線と、見ごたえがありました。とくに殺陣は、一歩間違えばケガをしそうな長い剣での迫力ある立ち回りで、皆さんすごい体幹と体力!

いつも専科の方がうまいなあと思うのですが、沙央くらまのコメディエンヌぶりも楽しかったです。この方、NOBUNAGAで足利義昭を面白く演じていましたが、女性になってもきれいな方なんですね。来年退団だそうで、またどこかで見られるかも。

 

宝塚星組「スカーレット・ピンパーネル」

Photo_2   久しぶりの宝塚は、フランク・ワイルドホーン作曲、小池修一郎作曲の名作「スカーレット・ピンパーネル」です。星組の新トップ紅ゆずる、綺咲愛里のお披露目公演。昨年の石丸幹二・安蘭けいのミュージカルを見損ねて、楽しみにしていました。

   原作は1905年出版のイギリスの小説「紅はこべ」、ブロードウェイでは、1997年に初演され、断続的に上演されたり、ツアーに出たりしています。

  フランス革命直後のパリ。ロベスピエール(七海ひろき)の恐怖政治の中、罪のない人を救うスカーレット・ピンパーネルとその一派。正体は不明ですが、実はイギリス貴族のパーシー・ブレイクニー(紅ゆずる)。元コメディ・フランセーズの女優マルグリット(綺咲愛里)と結婚しますが、スカーレット・ピンパーネルであることを妻に秘密にしていることなどから、二人の仲はぎくしゃくします。マルグリットの過去の恋人、ロベスピエールの片腕ショーブラン(礼 真琴)はピンパーネルを追いますが…。

   1幕は、すれ違うマルグリットとパーシーにはらはらしていたんですが、最後になって、うまくできたハッピーエンドにすっきり。群衆シーンの(数も多いし)迫力、ピンパーネル軍団の青年たちの団結と素晴らしいコーラス、と非常によくできた演目で、楽しめました。

その間の、ショーブラン礼真琴の苦悩、男くささ、歌のうまさに感心。レ・ミゼラブルならばジャベールの役どころ。この方、もうちょっとだけ、身長があれば無敵なのに、と思いましたですよ。

ショーブランとパーシーのラストの殺陣は、女性だということを忘れるほど迫力があり、見事でした。

紅ゆずる、長身、腰の高さ(足の長さ)は驚異的。ただ、コメディエンヌぶりがキツイのと、肝心のセリフがいっぱいいっぱいな感じがして、なかなか大変だと思いました。綺咲愛里は、すっきりとした美貌で、悩めるマルグリットを好演。

ちょっと目を引いたのが、ルイ・シャルル(アントワネットの息子)の星蘭ひとみ。おかっぱでも美貌は明らかで、スターになるのでは、ともっぱらの評判でしたよ。

たっぷりのお芝居のあと、短いレビュー。衣装もダンスも素敵で、力のこもったお芝居の後に涼しい顔してスマートに踊る皆さん。本当に背筋にエネルギー注入されました!

(ところで普通のミュージカル版も再演予定のようです。パーシー石丸幹二、マルグリット安蘭けい、ショーブラン石井一孝と実力派でどんな舞台になるのか、見なくちゃですね!)

 

 

宝塚花組「金色の砂漠」「雪華抄」

2  宝塚花組、明日海りおの「金色の砂漠」です。

まずは、「雪華抄」という和風のレビュー(レビューが先なのは珍しいのでは)。着物で和風なんだけど、やっぱり宝塚の華やかさ。けっこう変化もあって、楽しかったです。紅白歌合戦の三波春夫と一緒に踊る花柳糸之社中とか、ちょっと歌舞伎(みっくんと米吉出てるの?なーんて)とか、いろいろ思い浮かべてしまうのはいたしかたありません。日本髪の娘さんたち、かわいくて、そのまま時代劇に出てほしい感じで新鮮でした。

一人で見事な踊りを見せてくれた方、きれいだなとオペラグラスを見てびっくり!それもそのはず、入団後半世紀をゆうに超えた日本舞踊の名取の専科松本悠里さんだったんですね。

さて、休憩後にいよいよ「金色の砂漠」。とある砂漠の王国では、王族は生まれた時から異性の奴隷にかしずかれて常に一緒にいます。王女タルハーミネ(花乃まりあ)の求婚者テオドロス(柚香光)は、その習慣に異を唱えますが、タルハーミネは、「奴隷は砂と同じ」と言い放ちます。しかし、その奴隷ギイ(明日海りお)は、ひそかにタルハーミネを愛していて…。けっこう二人の関係がその昔の少女漫画みたいでキュンキュンします。

さらに王女をめぐる三角関係と、ギイの過去、奴隷仲間、父王と父王が王国とともに奪った妃、その奴隷などが絡んで、テンポよく話が進んでいき、盛り上がり、ラストも納得。

今売り出し中の上田久美子作演出なんですが、セリフもツボを押さえているし、脇役に至るまでよく書けていて、実力ある人だなあと思いました。語り手の説明なんてもしかしていらなかったくらい。

初めて見た時から好みのルックスだったみりおのギイがかわいくて生意気で、でもいろいろつらい目に合うのがたまらない、なんて見方もできて。チラシのみりおは、普通のトップ的なきれいな顔でポスターに出てますが、もっと少年ぽい、豊かな表情で、ほんとにかっこよかったです。花乃まりあも気が強い、でも苦悩する王女を熱演でした。

専科の英真なおきは、やっぱりこういう人がいると舞台が締まります。うまいんだよね。

あと、目を引いたのが、老け役なのに美形だった王ジャハンギールの鳳月杏、王妃仙名彩世、かっこよかった賊の女花野じゅりあ

感動のラストの後は、ちゃんと短いレビューと、大階段、羽もあります。慣れていない和物のレビューでさまざまな歌と踊り、殺陣までやって、きめ細かいお芝居して歌って、最後は全く晴れやかな表情で洋物レビューって、トップさんはじめ皆さん超人的。強いカフェインドリンクを飲んだように、シャキーン、とした気持ちになりました。

宝塚宙組「双頭の鷲」@KAAT

Photo_2   専科の轟悠をフィーチャーした宙組の「双頭の鷲」のKAAT公演です。轟悠といえば、初めての宝塚「南太平洋」で、渋い男役の魅力をみせてくれた方。コクトーの映画が原作ということで、楽しみにしておりました。

  コクトーは、原作映画をあの「エリザベート」にインスパイアされた、とある国の王妃の物語として描いています。「エリザベート」 といえば、この夏に宙組で素晴らしいアンサンブルで見たばかり。そのエリザベートを演じた実咲凛音が、王妃を演じています。

  舞台は案内役の和希そらの語りで始まります。エリザベートにも触れながら、わかりやすく解説してくれましたが、聞きやすいいい声で、くりくりの目が魅力的。エリザのときはトートダンサーの一人だったので印象もなかったんですが、とてもいいと思いました。

  王妃(実咲凛音)は婚礼の日に愛するフェルナンデス国王を暗殺され、国民の前から姿を消して旅を続けています。国王の命日には思い出のクランツ城で過ごすのが常ですが、その日に無政府主義者のスタニスラス(轟悠)がケガを負って逃げ込んできます。彼の詩は、かつて王妃も惹かれたものでした…。

  ケガをして髪を振り乱したスタニスラス、もう超ステキ!陳腐ないいかたですが、池田理代子のマンガから抜け出したような美しさですよ。轟さん、顎がとがっていて鼻が高くて、目が美しく、さらに目の配り、細かい表情が、さすがとしかいいようがなくてですね、もう、舞台の役としてのかっこよさはあの阿弖流為に並び、私の中のベスト5には入るレベルでした。感情の振れ幅が大きく、そしてそれが歌にも込められていて、本当にすばらしい。こういってはなんですが、宝塚でない場所も含めて、もっと轟さんを見たいと思いました。

 対する実咲凛音、貫禄と気品があって、ある意味難役に堂々と挑んだ感じ。現役で轟さんの相手役が務められるのは、限られた人でしょう。

  お芝居は緻密なセリフで進んでいき、一場のラストは早くも客席からすすり泣き。2場はさらに他のキャストも活躍して、ラストに向けて疾走していきます。読書係エディット(美風舞良)、敵役フェーン伯爵(愛月ひかる)、忠実な部下フェリックス伯爵(桜木みなと)と、メインキャストは緊張感を共有していて、皆よかったです。

 舞台は王妃の居間の一部屋だけ、衣装も地味、アンサンブルは「シカゴ」を思わせる黒装束、と、派手さはないんですが、ほんとうに舞台に引き込まれるある意味宝塚の一つの頂点では、と思いました。

実は、2幕で和希そらさんにいじられちゃったんですよ。お人形のようなかわいい目に、なんでも仰せのとおりにという気持ちになりました。 お芝居の座席って、いわば運命だと思っているんですが、いろいろ見ていると、こういうこともあるんだなって、思いました。和希さん、これからも応援しちゃいます。