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映画

映画「アラジン」

201906_20190626205001  映画「アラジン」です。原作は「アラビアン・ナイト」の「アラジンと魔法のランプ」ですが(これも子どもの頃読んでかなり面白かった)、1992年のディズニー・アニメの実写版のかなり忠実な映画化。

 このアニメ版は、とにかくロビン・ウィリアムズ(吹替は山寺宏一)のランプの魔人ジニーの動きがスピーディで、表情豊か。初めて見たときは、ディズニーなのに、日本のアニメの影響が強いなあと思いました。アラン・メンケンの曲もよくて、オリジナル(ジャスミンはレア・サロンガ!)、吹替(アラジンは石井一孝、ジャスミンは麻生かほ里)ともに歌でも楽しめました。普及版のビデオが出始めた頃で、どれだけ繰り返し見たことか。

 ミュージカル版も成功していたので、評判のよいこの映画、とても楽しみにしていましたが、期待を上回る出来。アラジン(メナ・マスード)も王女ジャスミン(ナオミ・スコット)も、埃っぽいが活気のあるアグラバーの街に負けない濃い存在感で、画面に登場した時からぴったり。

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 ジャスミンは、アニメのときから、気が強くて頼もしい王女ですが、この映画ではさらに王位を継ぐために勉強し、堂々とした女性に描かれているのが今風です(の割には、冒頭、お金でモノを買うことを知らないのは、元のアニメでの動かせない設定なんでしょう)。二人が心を通わせていくエピソードが丁寧に描かれていているのもいいです。

ジニーのウィル・スミスの軽快さはさすが。アニメのジニーの魅力に、ダンスも加わって最強。「Friend Like Me」とか、王子の行進の決まり具合の心地よさが、アニメを思い出します。

一番ちがうのはジャファー。ディズニーアニメのヴィランの中でも、最強に近いと思うんですが、映画のジャファーのマーワン・ケンザリは、くりくりした目の美しいイケメンなんですよ。この人これから売れますね。アニメ版タイプのジャファーに未練はありますが、これはこれでいいかも。

(ところで、洞窟を出たところで、あると思っていたランプがないときのジャファーの Noooooo!って、いまだにうちの家族はみんな使うんですよ。吹き替え版はなーーいーー!って言ってました)

松竹ブロードウェイシネマ「She Loves Me」

201905shelovesme  ブロードウェイの舞台を映画で見るという松竹ブロードウェイシネマの第1作「She Loves Me (シー・ラブズ・ミー)」です。

  原作は、ハンガリー生まれの作家ミコラス・ラズロの1937年の戯曲「Parfumerie」。1940年、1949年に映画化され、後者はジュディ・ガーランド主演。1998年にはトム・ハンクスの「ユー・ガット・メール」の原作にもなっています。ミュージカルとしては、ハロルド・プリンスの演出で1963年に初演、1993年に再演。

そして今回のシネマは2016年2月から7月まで上演されたリバイバル版。トニー賞のリバイバル賞、主演男優・女優・助演女優賞等8部門にノミネート、舞台装置で受賞しています。また、ストリーミング中継をやった初のブロードウェイ作品なんだそうです。作品名は知っていましたが、ユー・ガット・メールと同じ原作とは知らなかったです。

お話は、街の香水店(というか高級化粧品店)マラチェックスに新しく雇われたアマリア(ローラ・ベナンティ)は、同僚のジョージ・ノバック(ザカリー・リーバイ)とケンカばかりしていますが、実は二人は匿名で文通している間柄。文学や音楽の話で盛り上がる二人は、とうとう会うことにしますが、急な残業を命ぜられ、アマリアはカフェで待ちぼうけ…。

往年のアメリカのテレビ映画のようなセット、衣装。ケンカばかりで仲の悪そうな二人が実は惹かれあっていて、という古典的なシチュエーションの元祖のような物語。キャストの演技がうまくて間がいいので、まばらなお客さんなのに声立てて笑うシーンがいっぱいありました。

主人公の二人も素敵なんですが(アマリアの歌が超絶うまい!)、マラチェックスの店員たちが、社長のほか女たらしのコダーイ(ギャヴィン・クリール)、彼にぞっこんのブロンドのイローナ(ジェーン・クラコウスキー)、元気のいい配達員のアルパッド(ニコラス・パラシュ)、生活のためにプライドは捨てているというシーポスと個性的なキャラクターがうまく描かれていて、それぞれの持ち味を生かした見せ場があって楽しいです。とくにイローナ、かわいくてバイタリティがあってとってもよかった!

カフェの場面は、前半はヘッド・ウェイターのピーター・バートレットとうるさいウェイターが面白く(ダンスもすてき)、後半はアマリアがかわいそうで泣きそうになっちゃいます。そのあとのバニラ・アイスでもアマリアのかわいさに感動し、歌にも鳥肌でした。

ハッピーエンドの終わり方があっさりしていたのは、これ以上何も足さなくていいなと好感が持てました。

キャストの繊細な演技に、やっぱりミュージカルってレビューじゃなくて芝居なんだよね、と思いつつ、字幕で内容もすっきりわかりながら舞台全体と役者のアップを上手に撮影した映像で見せてもらって、見逃さなくてよかった、と思いました(ブロードウェイシネマのことは知ってはいたんですが、このブログのコメントで教えていただいたんです。ありがとうございました。)

ところで、カーテンコールまで映っているんですが、アンサンブルの後プリンシパルが登場する辺りから、観客がばっと立ち始めて、四番手位の時には総立ち。オケに拍手して、最後全員で繋いだ手を上げて挨拶して1回で終わりでした。日本の舞台で盛り上がると、何回もカーテンコールがあって、3回目くらいに立つのがお約束みたいなときがけっこう多いと思うんですが、どうせスタオベするなら、もっと早く立つ方がいいのにな、って思います。

シネマ歌舞伎「桜の森の満開の下」

201904_1   2017年の納涼歌舞伎「野田版 桜の森の満開の下」のシネマ歌舞伎版です。1回だけ見たのですが(その時の感想、野田秀樹の世界観とメッセージが、歌舞伎役者の魅力と衣装、美術、音楽とが見事に合体して、とても満足な舞台でした。そのときは、舞台全体と個々の役者を見るのに忙しすぎたので、ゆったり集中できるシネマ歌舞伎を楽しみにしていました。その後NODA・MAPでの「贋作 桜の森の満開の下」も見たので、比較して見たかったし。

 感想は、生の舞台のときと同じなんですが、2回目なので物語がよりすんなり入ってくるのと、じっくり見てもやっぱり勘九郎の耳男と七之助の夜長姫すばらしい。ひとつひとつの台詞が本当にさまざまなバリエーションで的確に発せられているし、とくに耳男の動きがおそろしく面白いのと、早回しかというくらいの素早さ。

歌舞伎美人の野田秀樹インタビューは大変興味深い内容ですが、女方である七之助が夜長姫を演じることで、サディストぶりがより際立っているといっています。もう魅力的な悪女をやらせたら七之助の右に出るものがあろうか。

オオアマ(染五郎<当時>)、マナコ(猿弥)、赤名人(亀蔵)、ヒダの王(扇雀)は記憶通りよかったですが、映像で見て意外に重要な役割をしているのがアナマロ(新悟)とマネマロ(梅花)。エンマ(彌十郎)、ハンニャ(巳之助)、青名人(吉之丞)、もよかったですし、そしてやっぱりエナコ(芝のぶ)がすごいんですよ。そのまま現代劇で歴史に残る役がやれそうな弾むような女。

早寝姫(梅枝)もいいんですが、先月のあの小町姫墨染を見た後では、この1年半で、彼がいかにめざましく役者ぶりを上げているかを感じました。アンサンブルの人数が多いのも、歌舞伎ならではの贅沢。

野田秀樹は好きで、いつ見てもテーマと表現とエンタテインメント性のバランスのとれたきっちりした芝居を見せてくれると思うんですが、やっぱり歌舞伎は何かひとつその上を行く力があって、(納涼で見たとき、「いつもの野田秀樹の芝居は役者がパーツに見えるけれど、歌舞伎では役者の光が強い」と感じました)、少なくともこの作品に関しては、歌舞伎の方が好きだなと思いました。

映画用の小ぶりのパンフレットがいいです。扮装の写真もいいし、上演後ならではの、野田秀樹と美術堀尾幸男、衣装ひびのこづえ、美粧柘植伊佐夫、作調伝左衛門の記事が読めます。配役にもスタッフにも妥協のないプロダクションっていいですねえ。もっとチケットとればよかったと思わずにはいられません(でもこの月、1部は猿之助勘九郎の団子売があったし、2部は弥次喜多だし、日数は短めだったんですよね)。

 

 

 

映画「グリーン・ブック」

201903greenbook      今年のアカデミー賞で作品賞、脚本賞、助演男優賞を受賞しを受賞し、主演男優賞にもノミネートされた「グリーン・ブック」です。面白そうだな、と思っていたら、主演はヴィゴ・モーテンセンじゃありませんか。行かなくちゃ。

血の気が多いNYのナイトクラブの用心棒トニー・バレロンガ(ヴィゴ)は、口が軽くてトニー・リップと呼ばれています。クラブの工事で職がなくなり、黒人ピアニスト ドク・シャーリー(マハーシャラ・アリ)のトリオの南部コンサート・ツアーの運転手兼用心棒となります。

時は1962年、ドクは天才ピアニストで教養があり間違ったことがきらいな人物なのに、南部では黒人差別が激しく、黒人が使えるレストランなどのガイドブック、「Green Book」がないと旅行できません。イタリア系アメリカ人のトニー自身も差別意識があったのですが、トニーが何度もドクの危機を救ったり、ドクがトニーのラブレターを手伝ったりするうちに、二人には熱い友情が…。

そう、「メンフィス」、「ヘア・スプレー」、「ドリーム」といった作品を思い出しますが、よくできたバディ・ムービーでもあり、途中ハラハラしながら、最後はすっきりと幸せな気持ちになる終わり方でした。これがほぼ実話(脚本の一人はトニーの息子ニック)とは。

逆にいうと、あまりにウエルメイドな作りで、アカデミー賞も、今のアメリカの政治状況だからこそとれたのかな、と思いました。

それくらい一つ一つのエピソードがよくできていますが、それもトニーとドクのキャラクターがほんとに対照的で二人とも魅力的。マハーシャラは、「ベンジャミン・バトン」や「ドリーム」に出ていた時は、さほど印象には残っていなかったんですが、いや、うまいですよ。NYではまだしも、貧しい黒人とも、演奏には拍手を送ってもそれで自分の寛大さを誇る手段と考えている白人とも、なじめない孤独さ。

そしてヴィゴ。役作りにのめり込むタイプなだけあって、20キロ増量という見事なお腹。ぺったりとしたオールバックに、品のない話し方は、あの「ロード・オブ・ザ・リング」のアラゴルンではあんなにかっこよかったのに、普通のおじさんになっちゃったと思わざるを得ませんでしたが、留置場のシーンはなぜか往年のいい男の目になっててはああ、でした。

ヴィゴといえば、「インディアン・ランナー」(ヴィゴのDVが怖くて録画したのに1度しか見てません)、「ダイヤルM]、「オーバー・ザ・ムーン」、を経て、やっと指輪でブレイクしたのに、「オーシャン・オブ・ファイヤー」とか「ヒストリー・オブ・バイオレンス」、そして「アラトリステ」等、なぜこの作品を、と思うような選び方をしていたと思ったら、今やすっかり演技派としてアカデミー賞常連。デンマーク系で語学に堪能、けっこう強烈なリベラル。ヴィゴに浸った2時間でした。

映画ロンドン版「The King and I」

201902kingandi_2               渡辺謙とケリー・オハラ「The King and I (王様と私)」、2015年にNY、2018年にロンドン、そして今年来日公演があるわけですが、そのロンドン版が映画になっていて、TOHOシネマズ日比谷で3日間限定上演というので、見てまいりました。ミッドタウン日比谷内のこの映画館、ゴージャスな雰囲気でしたよ。

渡辺謙のロンドン公演についてのインタビュー

ユル・ブリンナーの「Shall We Dance?」が印象的だったので、映画版(1956年!)は見たような気がしていましたが、アンナが家にこだわるところなど記憶になく、全く見ていないことが判明。そして、思っていたよりずーっと面白くて(もっと古臭い作品だと思っていたんですごめんなさい)感激でした。

1863年のタイに、国王(渡辺謙)の子供たちの家庭教師として、未亡人アンナ(ケリー・オハラ)が、息子ルイを連れてやってきます。この冒頭の港のシーンから、アンナとルイ(←この子すっごくうまい)の細やかな演技、アンナが自立した魅力的な女性であることがわかります。王の忠臣クララホム首相(大沢たかお)が、いつもの印象よりも筋肉隆々、堂々とかっこいいです。

王は多数の妻を持ち、周りからかしずかれ、尊大ですが、国を守ろうと必死で、そのために子どもを教育しようという人物。渡辺謙の表情が豊かで、ユーモラスでチャーミング。ケリー・オハラと対峙する場面は、丁々発止のやりとりが上質のストレートプレイの趣があって、脚本もよくできているなあと感心。謙さんが「二人で舞台を作り上げた」とインタビューで話していたのはこれかあ。

謙さんの歌はあまりないし、歌い上げるものではないのですが、ものすごく表現が豊かで楽しかったです。演技のすばらしさではトニー賞主演賞ノミネートは納得ですが、歌という点で受賞を逃したのはやむをえないかも、そして、ケリー・オハラの主演女優賞も納得です。

お話は、ビルマから贈られた愛妾タプティム(ナヨン・チョン)とルンタの秘められた恋、王が野蛮かどうかを審査しに来るイギリスの公使エドワード(アンナの旧知)の饗応、タプティムの語りによる「アンクル・トムの小屋」をテーマにする舞踊劇、成功を祝ってのアンナと王の「Shall We Dance?」!そして…。

王の子どもたちがアンナに挨拶するかわいらしいシーン、タイ風にアレンジしたダンス、ケリーの素晴らしい歌、見ごたえのある劇中劇と、見どころいっぱい。

チャン王妃(ルーシー・アン・マイルズ)は、ブロードウェイ版でトニー賞の助演女優賞をとっていますが、大奥を取り仕切るといった風の威厳ある、しかし愛情豊かな王妃を見事に演じていて、すばらしかったです(彼女、このロンドン再演版の前に暴走者による交通事故で4歳の娘を亡くすという悲劇に見舞われています。なんてお気の毒)。

饗応までのやりとりが面白いのですが、いろいろあった後でのラスト近くにあるのが、王とアンナのダンスなんですね。アンナは亡き夫とのロマンスを大事にしている愛情深い女性ですが、控えめで、二人の友情がぐっときます。

ラストはこうなるとは知らなかったんですが、タプティム問題はあるものの、いろいろすっきりする幕切れでした。

この映画、俳優のアップでしっかり演技をとらえながらも、よくできたフォーメーションも逃さず舞台全体をとらえていて、とてもよいです。これを見てしまうと、シアターオーブの遠い席でオペラグラスで見るのはいやだなあ。12列目、センターがベストってところですかね(←席も取れていない)。

(おまけ)
さて、劇中劇が始まってすぐ、Book of Mormon のナブルンギの聖書劇はこのシーンをとっていたんだと知りました。こんな有名な作品、劇場中がオマージュと知っていたのに恥ずかしい!語りの声の雰囲気、「そして最後は悲しい結末」というところも一緒でした。

映画「刀剣乱舞」

201902_2          脚本(小林靖子)がいい、山本耕史と八嶋智人がいい、ときいて映画版「刀剣乱舞」を見ました。

この作品、元は2015年にリリースされたゲームで、2016年には舞台、ミュージカル、アニメといろいろなコンテンツがヒットしており、その流れでの実写版映画です。 

お話は、歴史を変えようとする「時間遡行軍」に対抗して、「審神者(さにわ)」により、名刀が人格化された男子たちが活躍するというもの。この映画では、本能寺の変で自刃したはずの信長(山本耕史)が、遡行軍により生かされたことを戻そうとする刀剣男子たちが戦いに挑みます。

刀剣男子、ビジュアルはもう今どきのアニメ顔、制服。そしてカラフルで、例えば鶯丸(廣瀬智紀)は、その名の通り、緑の髪、カラコン!やー、男の子もメイクでこんなにビジュアルきれいになるんだと感心。

脚本がよいとの評判通り、まったく予備知識なくとも、刀剣男子の由来、さにわとの関係、舞台となる時代は著名な本能寺の変と秀吉の中国大返しで、これがうまく連動して、面白く見られました。よくあるドジキャラみたいな設定がないのもすっきりしてます。気が付いたら、女性は全然出てこないんですよ。

時間遡行軍、ビジュアルや性格が、「ロード・オブ・ザ・リング」のオーグですよ。不気味かつ迫力があって、効果満点。

そして山本耕史!典型的な信長のビジュアルを踏襲しつつ、迫力ある殺陣、気品ある表情、明瞭な台詞廻し、かつ、光秀の謀反後のちょっと心折れた雰囲気もあって、超かっこいい!いつもながら、求められている役にプラスアルファの奥行きを与えてくれる活躍に感動です。

八嶋智人も、ビジュアルが秀吉そのものであるのみならず、この作品における一癖ある秀吉をきっちり演じてました。

刀剣男子チームでは、上記の廣瀬くん(髑髏城の蘭兵衛やるくらいだから舞台のキャリアからいっても目立つのは当然か)、槍の日本号の岩永洋昭(青木崇高みたいな雰囲気)、へし切りの和田雅成くん。三日月宗近の鈴木拡樹くんが実質主役で、よかったんだけど、若いのにじじむさいという設定はあまり好みではなく。ほとんどが舞台「刀剣乱舞」のキャストだそうで、有名な俳優やアイドルが入っていないのもよかったかも。

ちょっとだけ言うと、やっぱり編集が甘いせいか、テンポがだれるところもありましたが、刀剣乱舞ファンには、男子たちの会話も楽しみでしょうから、いちがいにテンポ悪いとかいうのは当たらないかもしれませんね。

そうそう、映画開始直前の「No More!映画泥棒」が、刀剣乱舞仕様だったですよ。映画観る前なのでキャラはよくわかってない段階ですが、テンション上がりました!

← この映画の耶雲哉治監督が「映画泥棒」の監督なんだそうです。映画泥棒ってけっこう前からあると思ってたけど、今42歳の監督が、30歳ちょいで撮ったんですね。才能のある人だなあ。

2018年私的ミュージカル・演劇&歌舞伎ベスト10!(その2・歌舞伎・アクセスランキング編)

201811_2      恒例の私的ミュージカル・演劇&歌舞伎ベスト10!のその2、歌舞伎その他および年間アクセスランキング編です(そこまでするか)。

その1・ミュージカル・ストレートプレイ編(前年までのベスト10リンクあり)

【歌舞伎】

歌舞伎の観劇数は、幕見も含めて45回。初の遠征も、松竹座、南座に行くことができました。例によって、一つの芝居ではなくその日の満足度という観点で選びました。まだ初見の作品が多いのと、猿之助贔屓のためやや(かなり)偏りがあるのはご容赦を。

1.吉例顔見世大歌舞伎「楼門五三桐」「文売り」「隅田川続俤 法界坊」

猿之助が、昨年の大怪我を乗り越えて、歌舞伎座で座頭をきっちり務めた法界坊。女方の舞踊も見られて感無量でした。絵のような吉右衛門・菊五郎御大の楼門五三桐もよかった。

2.吉例顔見世興行「義経千本桜 木の実 小金吾討死 すし屋」「面かぶり」「弁天娘女男白浪(浜松屋途中まで)

仁左衛門・秀太郎ほか松嶋屋の木の実から出した情愛あふれるすし屋、泣けました。ほんとはこれに鷹之資・千之助の三社祭まであったのですよね。さすが顔見世。

3.スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」

大怪我からの完全復帰となった猿之助のワンピースは、2年前とは別もののルフィでした。

4..二月大歌舞伎「熊谷陣屋」「壽三代歌舞伎賑」「仮名手本忠臣蔵七段目」

仁左衛門・玉三郎のじゃらじゃらと白鷗の大きさが楽しかった祇園一力茶屋の場。

5.平成中村座十一月大歌舞伎「弥栄芝居賑」「舞鶴五條橋」「仮名手本忠臣蔵祇園一力茶屋の場」

同じく一力茶屋の場、勘九郎・七之助兄弟が最高でした。五條橋の勘九郎弁慶もよかった。初めての平成中村座も感激。

6.團菊祭五月大歌舞伎「弁天娘女男白浪」「鬼一法眼三略巻 菊畑」「喜撰」

やっと見られた菊五郎弁天娘。

7.高麗屋襲名披露二月大歌舞伎「春駒祝高麗」「一條大蔵卿」「暫」「井伊大老」

新幸四郎の大蔵卿、海老蔵の暫、吉右衛門・雀右衛門の井伊大老と超満足の昼の部。

8.七月大歌舞伎「御浜御殿綱豊卿」「口上」「女殺油地獄」

仁左衛門の綱豊卿、そして油地獄での幸四郎・猿之助の共演!

9.四月大歌舞伎「絵本合法衢」

仁左衛門の徹頭徹尾の悪党、時蔵のうんざりお松の痛快娯楽作。

10.八月納涼歌舞伎第2部「東海道中膝栗毛」「雨乞其角」

かごつるべのパロディ、七之助や獅童の19.変わり、弥次喜多の友情、若手の舞踊比べと見どころたっぷりのYJKT第3作。

11.十月大歌舞伎「通し狂言 雙生隅田川」

右團次、右近、猿之助活躍の雙生隅田川。

12.コクーン歌舞伎「切られの与三」

七之助・梅枝のみずみずしい青春の切られの与三。

13.芸術祭十月大歌舞伎「宮島のだんまり」「吉野山」「助六曲輪初花桜」

仁左衛門の助六!勘九郎・玉三郎のそれは美しい吉野山。

14.六月大歌舞伎「妹背山婦女庭訓 三笠山御殿」「文屋」「野晒悟助」

15.八月納涼歌舞伎第3部「盟三五大切」

16.七月大歌舞伎「河内山」「勧進帳」

17.十二月大歌舞伎「壇浦兜軍記 阿古屋」「あんまと泥棒」「傾城雪吉原」

18.「増補忠臣蔵―本蔵下屋敷」「梅雨小袖昔八丈―神結新三」

19..SUGATA「二人三番叟」「雙生隅田川」

20.初春歌舞伎公演「通し狂言 世界花小栗判官」

このあたりから、もう順不同に近いです。日によってかなり変動します。どれも楽しかった!

吉例顔見世大歌舞伎「お江戸みやげ」「素襖落」「十六夜清心」

壽初春大歌舞伎「角力場」「口上」「勧進帳」「相生獅子・三人形」

「通し狂言 名高大岡裁」

團菊祭五月大歌舞伎「雷神不動北山櫻」「女伊達」

芸術祭十月大歌舞伎「三人吉三巴白浪」「大江山酒呑童子」「佐倉義民伝」

秀山祭九月大歌舞伎「操三番叟」「俊寛」「幽玄」

八月納涼歌舞伎第1部「花魁草」「龍虎」「心中月夜星野屋」

秀山祭九月大歌舞伎「金閣寺」「鬼揃紅葉狩」「河内山」

三月大歌舞伎「於染久松色読販」「神田祭」「滝の白糸」

「通し狂言 増補双級巴  石川五右衛門」

六月大歌舞伎「夏祭浪花鑑」「巷談宵宮雨」

四月大歌舞伎「西郷と勝」「裏表先代萩」

新作歌舞伎「NARUTO」

壽初春大歌舞伎「箱根霊験誓仇討」「七福神」「菅原伝授手習鑑 車引 寺子屋」

十月大歌舞伎「華果西遊記」「口上」「め組の喧嘩」「玉屋清吉 團十郎花火」

【映画、ドラマその他】

映画は引き続き、超話題作、シネマ歌舞伎、ミュージカルの原作映画等ばかりでした。

「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」「グレイテスト・ショーマン」「カメラを止めるな」「ボヘミアン・ラプソディ」「ファンタスティック・ビースト2」など。

ドラマは「風雲児たち」に始まり、「風林火山」再放送「アンナチュラル」、「黒井戸殺し」「ブラックペアン」「おんな太閤記」再放送「元禄落語心中」、「獣になれない私たち」と、新鮮なドラマが多かったです。

その他、講談の松之丞と出会い、4回も聞くことができました。真打ち昇進おめでとう!

【ブログアクセス年間ランキング】

おまけに、年間アクセスランキング。「黒書院の六兵衛」、昨年に続き2連覇です(なぜ!)。

1.浅田次郎「黒書院の六兵衛」
2.劇場データベース!(座席表付き)
3.カテゴリ:四代目市川猿之助
4.三谷幸喜「江戸は燃えているか」@新橋演舞場
5.カテゴリ:歌舞伎
6.「髑髏城の七人Season 花」@IHIステージアラウンド東京
7.八月納涼歌舞伎第1部「花魁草」「龍虎」「心中月夜星野屋」幕見
8.カテゴリ:劇場データベース
9.高麗屋襲名披露二月大歌舞伎「熊谷陣屋」「壽三代歌舞伎賑」「仮名手本忠臣蔵七段目」
10.一条ゆかり「プライド」-(付)名セリフ集
11.カテゴリ:ミュージカル
12.吉例顔見世興行東西合同大歌舞伎「義経千本桜」「面かぶり」「弁天娘女男白浪」@南座
13.「リトル・ナイト・ミュージック」@日生劇場
14.大河ドラマ「新選組!」@2004と「土方歳三最期の一日」.
15.2017年私的ミュージカル&演劇・歌舞伎ベスト10!.
16.七月大歌舞伎「御浜御殿綱豊卿」「口上」「女殺油地獄」@松竹座
17.「スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース」@大阪松竹座

18.吉例顔見世大歌舞伎「楼門五三桐」「文売り」「隅田川続俤 法界坊」
19.八月納涼歌舞伎第2部「東海道中膝栗毛 再伊勢参?! YJKT」「雨乞其角」.
20.「メタルマクベス disc1」@ステージアラウンド
21.佐々木倫子「Heaven?―ご苦楽レストラン」
22.「キス・ミー・ケイト」@プレイハウス
23.来日ミュージカル「RENT」@シアターオーブ
24.宝塚花組「ポーの一族」
25.シネマ歌舞伎「野田版 研辰の討たれ」
26.「スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース」@新橋演舞場
27.宝塚雪組「ひかりふる路~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール」「SUPER VOYAGER!」...
28.シネマ歌舞伎「らくだ/連獅子」
29.安部龍太郎「等伯」― 画家小説は面白い
30.中川右介「海老蔵を見る、歌舞伎を見る」 小玉祥子「二代目―聞き書き中村吉右衛門」

「ファンタスティックビースト2 黒い魔法使いの誕生」

201812fantasticbeast2    2年前の年末に見た「ファンタスティックビースト 魔法使いの旅(Fantastic Beasts and Where to Find Them)」の続編「ファンタスティックビースト 黒い魔法使いの誕生(Fantastic Beasts the Crimes of Grindelwald)」です。全部で5部作だそうで、その2作目。

魔法使いや不思議なクリーチャー、杖などは同じでも、ハリー・ポッターとのストーリーの関連性はあまりなかった前作から一転、ハリポタ前史のような展開。若いダンブルドア(ジュード・ロウ)が活躍。

ハリポタ原作本も映画も全制覇しているものの、架空の設定に弱い私、ニュート、ティナ、クイン、ジェイコブの2組以外はみんなハリポタの世界に出てきたはずだけど、えっと…となりながら、必死にクリーデンス(エズラ・ミラー)の正体は、とストーリーをたどりましたよ。

不思議な生物や魔法による独特の映像はハリーポッター映画と同じ。この質感が、同じ世界の話だとよく分かります。

このエズラ・ミラーくん、端正なルックス、少し影のある青年ぶりが素敵なんですが、この映画を見る前に、「ファンタスティックビーストの謎を熱く語るハリポタオタクのエズラくん」のことをきいていたので、うわあ、これはエズラくんうれしい役だっただろうなあ、と思いました。

ダンブルドアのジュード・ロウ、しばらく見ない間にあのギラギラしたところが渋くなったけどやっぱりかっこいいわ。グリンデルバルドのジョニー・デップ、異形の役は似合ってますが、この世界では(アメリカ人という設定でなければ)イギリス英語を話してほしいのに、一人セリフが浮いているような気がして違和感があるのは気にしすぎでしょうか。仕上がりはいいんですけどね。

ナギニの東洋系 美人ぶりにも驚きでした。そして新キャストのユスフ・カーマ(ウィリアム・ナディラム)、フランス人だそうですが、かっこよくて演技も深みがあって素敵でした。

さて、ニュートとティナのコンビが好きなので、今作は活躍が少なくて若干ものたりなかったですが、やっぱり次回作も見ることになりそうです。

映画「ボヘミアン・ラプソディ」

201811br       フレディ・マーキュリーとクィーンを、彼らのヒット曲とともに描く映画「ボヘミアン・ラプソディ」。私はクィーン、エアロスミス、キッスのロック御三家の中ではエアロスミスのファンだったのですが、「ボヘミアン・ラプソディ」が初めて買った洋楽のシングルレコードという世代ですからまさにど真ん中、絶対見たい!と思っていました。

当時、ミュージック・ライフなども見ていましたが、今ほどアーティストの私生活など知られておらず、知らないことが多くて新鮮でした。フレディにデビュー前からの恋人メアリーがいて、婚約していたのにゲイであることを自覚して別れ、しかし生涯の友人となったことや、恋人でマネージャーだったポールが、フレディと別れた後、彼を中傷していたのも、この映画で初めて知りました。

映画はフレディ(ラミ・マレック)が、ブライアン・メイとロジャー・テイラーのバンドに入ってわりとすぐデビューし、キラー・クィーンが売れ、プロデューサーの反対を押し切って6分のボヘミアン・ラプソディをシングルカットし、一時ソロ活動をしますが、メンバーと和解して、ライブ・エイドで復活ステージを行い、そして、エイズで亡くなるまで。とにかくヒット曲をリアルタイムで聞いてきているので、ドルビーサウンドで聞くだけで最高。いい曲ばかりなんですよ。

4人とも曲を作りますが、ルックスがかわいくて人気だったロジャーが、いちばんはっきりモノを言いフレディとぶつかっていたのと、職人肌のように見えたブライアンが穏やかなのがやや驚き。ジョンはイメージ通りでした。

圧巻はなんといっても、ライブ・エイドのノンカットと見えるライブシーン。観客の引きは実際の映像、アップはエキストラだと思うのですが、違和感なく、フレディのパフォーマンスと、観客の興奮を描いていきます。

70年代、80年代のドキュメンタリーかと思うような映像、ファッション、セット。エジプト系で、キャリアのあるラミ・マレック、顔はさほど似ていないのに、スターのオーラとか純粋さとか、フレディそのものに見えてきます。他のメンバーも同じ。

メアリーのルーシー・ボイトンは、まだ24才ということですが、年を経て変わっていく姿が自然で、末おそろしいまでの女優だと思います。

タイトルバックでマイク・マイヤーズの名前を見つけてずっと探してたんですが、みている間はわからず。後からボヘミアン・ラプソディーのシングルカットに反対していたレイだとわかりました(サングラスだったし)。「ウェインズ・ワールド」では、彼がクイーンとエアロスミスのファンであることが明白だったので、この映画に出られて嬉しかっただろうな。

細かいケチをつけると、ポールと別れる雨のシーンは雨やりすぎとか、エイズと判明するのは実際にはライブ・エイドの後なので、その改変は情緒的過ぎる気はしますが、まあそんなことは関係なく、フレディとクィーンの魅力を伝えてくれる映画でした。

ところで、クィーンに最初に熱狂したのは日本、それも女性なんだそうです。先日のNHKのSONGSは、たった30分なのにいいに決まってるクィーンについて、語る人を出しすぎと評判悪かったですが、東郷かおる子さんが、「日本の女性がクィーンを見出した。女性にはハードロックよりも親しみやすかった。しかし、何よりも曲がいいからヒットしたのだ」と語っていらしたのが、その通り、と支持されていました。思い返すとその通り。クィーンのすばらしい楽曲はずっと残りました。

テレビ映画「グレイ・ガーデンズ」(2009)

201808greygardens     2009年にアメリカHBCで放送されたテレビ映画「グレイ・ガーデンズ」を、Amazonプライムで見ました。

2009年に大竹しのぶと草笛光子で上演されたミュージカル「グレイ・ガーデンズ」は、ミュージカルというものの表現の深さ、豊かさを教えてくれた思い出深い作品なのですが、そのとき、この映像作品を知って、是非見たいと思っていましたので、思いがけず手軽に見られてびっくりしました(なぜか映画のトップ画面に表示されていたんです)。

主役の二人は、イディ・ブービエ・ビールと、その娘リトル・イディ。元は名家でしたが、イディは離婚後、夫からもらったわずかな信託財産とイースト・ハンプトン(ロングアイランドの先の方にある高級リゾート)にある別荘グレイ・ガーデンズで暮らすことになります。リトル・イディは女優を夢見ていましたが、両親の理解は得られず、上流階級に嫁ぐこともなく、母と二人でグレイ・ガーデンズに暮らします。

月日を経て、荒れ果てたこの屋敷にメイズルス兄弟がやってきて、二人を題材に映画を撮影したいと言います。1975年に公開されたこのドキュメンタリー映画「グレイ・ガーデンズ」は反響を呼び、抜け落ちた髪を隠すためのスカーフなど、独特のリトル・イディのファッションは人気となります。1971年には猫やアライグマが住み着く不衛生な屋敷に保健所が入り、親類であるジャクリーン・ケネディ・オナシスの援助により、グレイ・ガーデンズは修復されるのでした。

「グレイ・ガーデンズ」は、2006年には、ミュージカル化され、主演のクリスティン・エバーソウルはトニー賞をとりました。

今回見たこのテレビ映画は、ミュージカルがヒットした後のテレビ映画で、リトル・イディをドリュー・バリモア、母イディをジェシカ・ラングが演じています。

ミュージカル同様、イディの離婚までとグレイ・ガーデンズの日々が描かれますが、二人は若い日々も演じていて、まあ、とにかく見事。時代的な要因が大きかったとはいえ、名家に生まれながら、共依存の母娘が働かず、他に為すこともなく、しかしプライドを持ちながら屋敷とともに朽ち果てていく姿がドキュメンタリーと見まがうまでにリアルに語られて行きます。戦前の豊かな生活と、荒れ果てた屋敷の様子もリアル。ついでにジャクリーンのジーン・トリプルホーンもそっくりでした。

登場人物に共感するところも何もないんですが、なぜか、「グレイ・ガーデンズ」好きなんです。

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