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映画

映画ロンドン版「The King and I」

201902kingandi_2               渡辺謙とケリー・オハラ「The King and I (王様と私)」、2015年にNY、2018年にロンドン、そして今年来日公演があるわけですが、そのロンドン版が映画になっていて、TOHOシネマズ日比谷で3日間限定上演というので、見てまいりました。ミッドタウン日比谷内のこの映画館、ゴージャスな雰囲気でしたよ。

渡辺謙のロンドン公演についてのインタビュー

ユル・ブリンナーの「Shall We Dance?」が印象的だったので、映画版(1956年!)は見たような気がしていましたが、アンナが家にこだわるところなど記憶になく、全く見ていないことが判明。そして、思っていたよりずーっと面白くて(もっと古臭い作品だと思っていたんですごめんなさい)感激でした。

1863年のタイに、国王(渡辺謙)の子供たちの家庭教師として、未亡人アンナ(ケリー・オハラ)が、息子ルイを連れてやってきます。この冒頭の港のシーンから、アンナとルイ(←この子すっごくうまい)の細やかな演技、アンナが自立した魅力的な女性であることがわかります。王の忠臣クララホム首相(大沢たかお)が、いつもの印象よりも筋肉隆々、堂々とかっこいいです。

王は多数の妻を持ち、周りからかしずかれ、尊大ですが、国を守ろうと必死で、そのために子どもを教育しようという人物。渡辺謙の表情が豊かで、ユーモラスでチャーミング。ケリー・オハラと対峙する場面は、丁々発止のやりとりが上質のストレートプレイの趣があって、脚本もよくできているなあと感心。謙さんが「二人で舞台を作り上げた」とインタビューで話していたのはこれかあ。

謙さんの歌はあまりないし、歌い上げるものではないのですが、ものすごく表現が豊かで楽しかったです。演技のすばらしさではトニー賞主演賞ノミネートは納得ですが、歌という点で受賞を逃したのはやむをえないかも、そして、ケリー・オハラの主演女優賞も納得です。

お話は、ビルマから贈られた愛妾タプティム(ナヨン・チョン)とルンタの秘められた恋、王が野蛮かどうかを審査しに来るイギリスの公使エドワード(アンナの旧知)の饗応、タプティムの語りによる「アンクル・トムの小屋」をテーマにする舞踊劇、成功を祝ってのアンナと王の「Shall We Dance?」!そして…。

王の子どもたちがアンナに挨拶するかわいらしいシーン、タイ風にアレンジしたダンス、ケリーの素晴らしい歌、見ごたえのある劇中劇と、見どころいっぱい。

チャン王妃(ルーシー・アン・マイルズ)は、ブロードウェイ版でトニー賞の助演女優賞をとっていますが、大奥を取り仕切るといった風の威厳ある、しかし愛情豊かな王妃を見事に演じていて、すばらしかったです(彼女、このロンドン再演版の前に暴走者による交通事故で4歳の娘を亡くすという悲劇に見舞われています。なんてお気の毒)。

饗応までのやりとりが面白いのですが、いろいろあった後でのラスト近くにあるのが、王とアンナのダンスなんですね。アンナは亡き夫とのロマンスを大事にしている愛情深い女性ですが、控えめで、二人の友情がぐっときます。

ラストはこうなるとは知らなかったんですが、タプティム問題はあるものの、いろいろすっきりする幕切れでした。

この映画、俳優のアップでしっかり演技をとらえながらも、よくできたフォーメーションも逃さず舞台全体をとらえていて、とてもよいです。これを見てしまうと、シアターオーブの遠い席でオペラグラスで見るのはいやだなあ。12列目、センターがベストってところですかね(←席も取れていない)。

(おまけ)
さて、劇中劇が始まってすぐ、Book of Mormon のナブルンギの聖書劇はこのシーンをとっていたんだと知りました。こんな有名な作品、劇場中がオマージュと知っていたのに恥ずかしい!語りの声の雰囲気、「そして最後は悲しい結末」というところも一緒でした。

映画「刀剣乱舞」

201902_2          脚本(小林靖子)がいい、山本耕史と八嶋智人がいい、ときいて映画版「刀剣乱舞」を見ました。

この作品、元は2015年にリリースされたゲームで、2016年には舞台、ミュージカル、アニメといろいろなコンテンツがヒットしており、その流れでの実写版映画です。 

お話は、歴史を変えようとする「時間遡行軍」に対抗して、「審神者(さにわ)」により、名刀が人格化された男子たちが活躍するというもの。この映画では、本能寺の変で自刃したはずの信長(山本耕史)が、遡行軍により生かされたことを戻そうとする刀剣男子たちが戦いに挑みます。

刀剣男子、ビジュアルはもう今どきのアニメ顔、制服。そしてカラフルで、例えば鶯丸(廣瀬智紀)は、その名の通り、緑の髪、カラコン!やー、男の子もメイクでこんなにビジュアルきれいになるんだと感心。

脚本がよいとの評判通り、まったく予備知識なくとも、刀剣男子の由来、さにわとの関係、舞台となる時代は著名な本能寺の変と秀吉の中国大返しで、これがうまく連動して、面白く見られました。よくあるドジキャラみたいな設定がないのもすっきりしてます。気が付いたら、女性は全然出てこないんですよ。

時間遡行軍、ビジュアルや性格が、「ロード・オブ・ザ・リング」のオーグですよ。不気味かつ迫力があって、効果満点。

そして山本耕史!典型的な信長のビジュアルを踏襲しつつ、迫力ある殺陣、気品ある表情、明瞭な台詞廻し、かつ、光秀の謀反後のちょっと心折れた雰囲気もあって、超かっこいい!いつもながら、求められている役にプラスアルファの奥行きを与えてくれる活躍に感動です。

八嶋智人も、ビジュアルが秀吉そのものであるのみならず、この作品における一癖ある秀吉をきっちり演じてました。

刀剣男子チームでは、上記の廣瀬くん(髑髏城の蘭兵衛やるくらいだから舞台のキャリアからいっても目立つのは当然か)、槍の日本号の岩永洋昭(青木崇高みたいな雰囲気)、へし切りの和田雅成くん。三日月宗近の鈴木拡樹くんが実質主役で、よかったんだけど、若いのにじじむさいという設定はあまり好みではなく。ほとんどが舞台「刀剣乱舞」のキャストだそうで、有名な俳優やアイドルが入っていないのもよかったかも。

ちょっとだけ言うと、やっぱり編集が甘いせいか、テンポがだれるところもありましたが、刀剣乱舞ファンには、男子たちの会話も楽しみでしょうから、いちがいにテンポ悪いとかいうのは当たらないかもしれませんね。

そうそう、映画開始直前の「No More!映画泥棒」が、刀剣乱舞仕様だったですよ。映画観る前なのでキャラはよくわかってない段階ですが、テンション上がりました!

← この映画の耶雲哉治監督が「映画泥棒」の監督なんだそうです。映画泥棒ってけっこう前からあると思ってたけど、今42歳の監督が、30歳ちょいで撮ったんですね。才能のある人だなあ。

2018年私的ミュージカル・演劇&歌舞伎ベスト10!(その2・歌舞伎・アクセスランキング編)

201811_2      恒例の私的ミュージカル・演劇&歌舞伎ベスト10!のその2、歌舞伎その他および年間アクセスランキング編です(そこまでするか)。

その1・ミュージカル・ストレートプレイ編(前年までのベスト10リンクあり)

【歌舞伎】

歌舞伎の観劇数は、幕見も含めて45回。初の遠征も、松竹座、南座に行くことができました。例によって、一つの芝居ではなくその日の満足度という観点で選びました。まだ初見の作品が多いのと、猿之助贔屓のためやや(かなり)偏りがあるのはご容赦を。

1.吉例顔見世大歌舞伎「楼門五三桐」「文売り」「隅田川続俤 法界坊」

猿之助が、昨年の大怪我を乗り越えて、歌舞伎座で座頭をきっちり務めた法界坊。女方の舞踊も見られて感無量でした。絵のような吉右衛門・菊五郎御大の楼門五三桐もよかった。

2.吉例顔見世興行「義経千本桜 木の実 小金吾討死 すし屋」「面かぶり」「弁天娘女男白浪(浜松屋途中まで)

仁左衛門・秀太郎ほか松嶋屋の木の実から出した情愛あふれるすし屋、泣けました。ほんとはこれに鷹之資・千之助の三社祭まであったのですよね。さすが顔見世。

3.スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」

大怪我からの完全復帰となった猿之助のワンピースは、2年前とは別もののルフィでした。

4..二月大歌舞伎「熊谷陣屋」「壽三代歌舞伎賑」「仮名手本忠臣蔵七段目」

仁左衛門・玉三郎のじゃらじゃらと白鷗の大きさが楽しかった祇園一力茶屋の場。

5.平成中村座十一月大歌舞伎「弥栄芝居賑」「舞鶴五條橋」「仮名手本忠臣蔵祇園一力茶屋の場」

同じく一力茶屋の場、勘九郎・七之助兄弟が最高でした。五條橋の勘九郎弁慶もよかった。初めての平成中村座も感激。

6.團菊祭五月大歌舞伎「弁天娘女男白浪」「鬼一法眼三略巻 菊畑」「喜撰」

やっと見られた菊五郎弁天娘。

7.高麗屋襲名披露二月大歌舞伎「春駒祝高麗」「一條大蔵卿」「暫」「井伊大老」

新幸四郎の大蔵卿、海老蔵の暫、吉右衛門・雀右衛門の井伊大老と超満足の昼の部。

8.七月大歌舞伎「御浜御殿綱豊卿」「口上」「女殺油地獄」

仁左衛門の綱豊卿、そして油地獄での幸四郎・猿之助の共演!

9.四月大歌舞伎「絵本合法衢」

仁左衛門の徹頭徹尾の悪党、時蔵のうんざりお松の痛快娯楽作。

10.八月納涼歌舞伎第2部「東海道中膝栗毛」「雨乞其角」

かごつるべのパロディ、七之助や獅童の19.変わり、弥次喜多の友情、若手の舞踊比べと見どころたっぷりのYJKT第3作。

11.十月大歌舞伎「通し狂言 雙生隅田川」

右團次、右近、猿之助活躍の雙生隅田川。

12.コクーン歌舞伎「切られの与三」

七之助・梅枝のみずみずしい青春の切られの与三。

13.芸術祭十月大歌舞伎「宮島のだんまり」「吉野山」「助六曲輪初花桜」

仁左衛門の助六!勘九郎・玉三郎のそれは美しい吉野山。

14.六月大歌舞伎「妹背山婦女庭訓 三笠山御殿」「文屋」「野晒悟助」

15.八月納涼歌舞伎第3部「盟三五大切」

16.七月大歌舞伎「河内山」「勧進帳」

17.十二月大歌舞伎「壇浦兜軍記 阿古屋」「あんまと泥棒」「傾城雪吉原」

18.「増補忠臣蔵―本蔵下屋敷」「梅雨小袖昔八丈―神結新三」

19..SUGATA「二人三番叟」「雙生隅田川」

20.初春歌舞伎公演「通し狂言 世界花小栗判官」

このあたりから、もう順不同に近いです。日によってかなり変動します。どれも楽しかった!

吉例顔見世大歌舞伎「お江戸みやげ」「素襖落」「十六夜清心」

壽初春大歌舞伎「角力場」「口上」「勧進帳」「相生獅子・三人形」

「通し狂言 名高大岡裁」

團菊祭五月大歌舞伎「雷神不動北山櫻」「女伊達」

芸術祭十月大歌舞伎「三人吉三巴白浪」「大江山酒呑童子」「佐倉義民伝」

秀山祭九月大歌舞伎「操三番叟」「俊寛」「幽玄」

八月納涼歌舞伎第1部「花魁草」「龍虎」「心中月夜星野屋」

秀山祭九月大歌舞伎「金閣寺」「鬼揃紅葉狩」「河内山」

三月大歌舞伎「於染久松色読販」「神田祭」「滝の白糸」

「通し狂言 増補双級巴  石川五右衛門」

六月大歌舞伎「夏祭浪花鑑」「巷談宵宮雨」

四月大歌舞伎「西郷と勝」「裏表先代萩」

新作歌舞伎「NARUTO」

壽初春大歌舞伎「箱根霊験誓仇討」「七福神」「菅原伝授手習鑑 車引 寺子屋」

十月大歌舞伎「華果西遊記」「口上」「め組の喧嘩」「玉屋清吉 團十郎花火」

【映画、ドラマその他】

映画は引き続き、超話題作、シネマ歌舞伎、ミュージカルの原作映画等ばかりでした。

「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」「グレイテスト・ショーマン」「カメラを止めるな」「ボヘミアン・ラプソディ」「ファンタスティック・ビースト2」など。

ドラマは「風雲児たち」に始まり、「風林火山」再放送「アンナチュラル」、「黒井戸殺し」「ブラックペアン」「おんな太閤記」再放送「元禄落語心中」、「獣になれない私たち」と、新鮮なドラマが多かったです。

その他、講談の松之丞と出会い、4回も聞くことができました。真打ち昇進おめでとう!

【ブログアクセス年間ランキング】

おまけに、年間アクセスランキング。「黒書院の六兵衛」、昨年に続き2連覇です(なぜ!)。

1.浅田次郎「黒書院の六兵衛」
2.劇場データベース!(座席表付き)
3.カテゴリ:四代目市川猿之助
4.三谷幸喜「江戸は燃えているか」@新橋演舞場
5.カテゴリ:歌舞伎
6.「髑髏城の七人Season 花」@IHIステージアラウンド東京
7.八月納涼歌舞伎第1部「花魁草」「龍虎」「心中月夜星野屋」幕見
8.カテゴリ:劇場データベース
9.高麗屋襲名披露二月大歌舞伎「熊谷陣屋」「壽三代歌舞伎賑」「仮名手本忠臣蔵七段目」
10.一条ゆかり「プライド」-(付)名セリフ集
11.カテゴリ:ミュージカル
12.吉例顔見世興行東西合同大歌舞伎「義経千本桜」「面かぶり」「弁天娘女男白浪」@南座
13.「リトル・ナイト・ミュージック」@日生劇場
14.大河ドラマ「新選組!」@2004と「土方歳三最期の一日」.
15.2017年私的ミュージカル&演劇・歌舞伎ベスト10!.
16.七月大歌舞伎「御浜御殿綱豊卿」「口上」「女殺油地獄」@松竹座
17.「スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース」@大阪松竹座

18.吉例顔見世大歌舞伎「楼門五三桐」「文売り」「隅田川続俤 法界坊」
19.八月納涼歌舞伎第2部「東海道中膝栗毛 再伊勢参?! YJKT」「雨乞其角」.
20.「メタルマクベス disc1」@ステージアラウンド
21.佐々木倫子「Heaven?―ご苦楽レストラン」
22.「キス・ミー・ケイト」@プレイハウス
23.来日ミュージカル「RENT」@シアターオーブ
24.宝塚花組「ポーの一族」
25.シネマ歌舞伎「野田版 研辰の討たれ」
26.「スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース」@新橋演舞場
27.宝塚雪組「ひかりふる路~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール」「SUPER VOYAGER!」...
28.シネマ歌舞伎「らくだ/連獅子」
29.安部龍太郎「等伯」― 画家小説は面白い
30.中川右介「海老蔵を見る、歌舞伎を見る」 小玉祥子「二代目―聞き書き中村吉右衛門」

「ファンタスティックビースト2 黒い魔法使いの誕生」

201812fantasticbeast2    2年前の年末に見た「ファンタスティックビースト 魔法使いの旅(Fantastic Beasts and Where to Find Them)」の続編「ファンタスティックビースト 黒い魔法使いの誕生(Fantastic Beasts the Crimes of Grindelwald)」です。全部で5部作だそうで、その2作目。

魔法使いや不思議なクリーチャー、杖などは同じでも、ハリー・ポッターとのストーリーの関連性はあまりなかった前作から一転、ハリポタ前史のような展開。若いダンブルドア(ジュード・ロウ)が活躍。

ハリポタ原作本も映画も全制覇しているものの、架空の設定に弱い私、ニュート、ティナ、クイン、ジェイコブの2組以外はみんなハリポタの世界に出てきたはずだけど、えっと…となりながら、必死にクリーデンス(エズラ・ミラー)の正体は、とストーリーをたどりましたよ。

不思議な生物や魔法による独特の映像はハリーポッター映画と同じ。この質感が、同じ世界の話だとよく分かります。

このエズラ・ミラーくん、端正なルックス、少し影のある青年ぶりが素敵なんですが、この映画を見る前に、「ファンタスティックビーストの謎を熱く語るハリポタオタクのエズラくん」のことをきいていたので、うわあ、これはエズラくんうれしい役だっただろうなあ、と思いました。

ダンブルドアのジュード・ロウ、しばらく見ない間にあのギラギラしたところが渋くなったけどやっぱりかっこいいわ。グリンデルバルドのジョニー・デップ、異形の役は似合ってますが、この世界では(アメリカ人という設定でなければ)イギリス英語を話してほしいのに、一人セリフが浮いているような気がして違和感があるのは気にしすぎでしょうか。仕上がりはいいんですけどね。

ナギニの東洋系 美人ぶりにも驚きでした。そして新キャストのユスフ・カーマ(ウィリアム・ナディラム)、フランス人だそうですが、かっこよくて演技も深みがあって素敵でした。

さて、ニュートとティナのコンビが好きなので、今作は活躍が少なくて若干ものたりなかったですが、やっぱり次回作も見ることになりそうです。

映画「ボヘミアン・ラプソディ」

201811br       フレディ・マーキュリーとクィーンを、彼らのヒット曲とともに描く映画「ボヘミアン・ラプソディ」。私はクィーン、エアロスミス、キッスのロック御三家の中ではエアロスミスのファンだったのですが、「ボヘミアン・ラプソディ」が初めて買った洋楽のシングルレコードという世代ですからまさにど真ん中、絶対見たい!と思っていました。

当時、ミュージック・ライフなども見ていましたが、今ほどアーティストの私生活など知られておらず、知らないことが多くて新鮮でした。フレディにデビュー前からの恋人メアリーがいて、婚約していたのにゲイであることを自覚して別れ、しかし生涯の友人となったことや、恋人でマネージャーだったポールが、フレディと別れた後、彼を中傷していたのも、この映画で初めて知りました。

映画はフレディ(ラミ・マレック)が、ブライアン・メイとロジャー・テイラーのバンドに入ってわりとすぐデビューし、キラー・クィーンが売れ、プロデューサーの反対を押し切って6分のボヘミアン・ラプソディをシングルカットし、一時ソロ活動をしますが、メンバーと和解して、ライブ・エイドで復活ステージを行い、そして、エイズで亡くなるまで。とにかくヒット曲をリアルタイムで聞いてきているので、ドルビーサウンドで聞くだけで最高。いい曲ばかりなんですよ。

4人とも曲を作りますが、ルックスがかわいくて人気だったロジャーが、いちばんはっきりモノを言いフレディとぶつかっていたのと、職人肌のように見えたブライアンが穏やかなのがやや驚き。ジョンはイメージ通りでした。

圧巻はなんといっても、ライブ・エイドのノンカットと見えるライブシーン。観客の引きは実際の映像、アップはエキストラだと思うのですが、違和感なく、フレディのパフォーマンスと、観客の興奮を描いていきます。

70年代、80年代のドキュメンタリーかと思うような映像、ファッション、セット。エジプト系で、キャリアのあるラミ・マレック、顔はさほど似ていないのに、スターのオーラとか純粋さとか、フレディそのものに見えてきます。他のメンバーも同じ。

メアリーのルーシー・ボイトンは、まだ24才ということですが、年を経て変わっていく姿が自然で、末おそろしいまでの女優だと思います。

タイトルバックでマイク・マイヤーズの名前を見つけてずっと探してたんですが、みている間はわからず。後からボヘミアン・ラプソディーのシングルカットに反対していたレイだとわかりました(サングラスだったし)。「ウェインズ・ワールド」では、彼がクイーンとエアロスミスのファンであることが明白だったので、この映画に出られて嬉しかっただろうな。

細かいケチをつけると、ポールと別れる雨のシーンは雨やりすぎとか、エイズと判明するのは実際にはライブ・エイドの後なので、その改変は情緒的過ぎる気はしますが、まあそんなことは関係なく、フレディとクィーンの魅力を伝えてくれる映画でした。

ところで、クィーンに最初に熱狂したのは日本、それも女性なんだそうです。先日のNHKのSONGSは、たった30分なのにいいに決まってるクィーンについて、語る人を出しすぎと評判悪かったですが、東郷かおる子さんが、「日本の女性がクィーンを見出した。女性にはハードロックよりも親しみやすかった。しかし、何よりも曲がいいからヒットしたのだ」と語っていらしたのが、その通り、と支持されていました。思い返すとその通り。クィーンのすばらしい楽曲はずっと残りました。

テレビ映画「グレイ・ガーデンズ」(2009)

201808greygardens     2009年にアメリカHBCで放送されたテレビ映画「グレイ・ガーデンズ」を、Amazonプライムで見ました。

2009年に大竹しのぶと草笛光子で上演されたミュージカル「グレイ・ガーデンズ」は、ミュージカルというものの表現の深さ、豊かさを教えてくれた思い出深い作品なのですが、そのとき、この映像作品を知って、是非見たいと思っていましたので、思いがけず手軽に見られてびっくりしました(なぜか映画のトップ画面に表示されていたんです)。

主役の二人は、イディ・ブービエ・ビールと、その娘リトル・イディ。元は名家でしたが、イディは離婚後、夫からもらったわずかな信託財産とイースト・ハンプトン(ロングアイランドの先の方にある高級リゾート)にある別荘グレイ・ガーデンズで暮らすことになります。リトル・イディは女優を夢見ていましたが、両親の理解は得られず、上流階級に嫁ぐこともなく、母と二人でグレイ・ガーデンズに暮らします。

月日を経て、荒れ果てたこの屋敷にメイズルス兄弟がやってきて、二人を題材に映画を撮影したいと言います。1975年に公開されたこのドキュメンタリー映画「グレイ・ガーデンズ」は反響を呼び、抜け落ちた髪を隠すためのスカーフなど、独特のリトル・イディのファッションは人気となります。1971年には猫やアライグマが住み着く不衛生な屋敷に保健所が入り、親類であるジャクリーン・ケネディ・オナシスの援助により、グレイ・ガーデンズは修復されるのでした。

「グレイ・ガーデンズ」は、2006年には、ミュージカル化され、主演のクリスティン・エバーソウルはトニー賞をとりました。

今回見たこのテレビ映画は、ミュージカルがヒットした後のテレビ映画で、リトル・イディをドリュー・バリモア、母イディをジェシカ・ラングが演じています。

ミュージカル同様、イディの離婚までとグレイ・ガーデンズの日々が描かれますが、二人は若い日々も演じていて、まあ、とにかく見事。時代的な要因が大きかったとはいえ、名家に生まれながら、共依存の母娘が働かず、他に為すこともなく、しかしプライドを持ちながら屋敷とともに朽ち果てていく姿がドキュメンタリーと見まがうまでにリアルに語られて行きます。戦前の豊かな生活と、荒れ果てた屋敷の様子もリアル。ついでにジャクリーンのジーン・トリプルホーンもそっくりでした。

登場人物に共感するところも何もないんですが、なぜか、「グレイ・ガーデンズ」好きなんです。

映画「カメラを止めるな!」

201808     製作費300万円、たった2館の上映から、口コミで人気が沸騰し、現在135館での上演と大ヒットの映画、「カメラを止めるな!」を、なんとTOHOシネマズで見てきました。

いやー、面白かった!前半37分は、ゾンビ映画を撮っていたら、本物のゾンビが出てきて、という、スプラッタ映画です。カメラワークも揺れて酔いそうだし(実際、この時点でリタイヤする人もあるらしいです)、もともとスプラッタなんか嫌いで見たことないので(唯一見たのは、マイケル・ジャクソンのスリラーのPVですよ)、かなりきつかったんですが、とにかくそこを我慢しろ、というSNSの言葉を信じて、しっかり見ました。

そしたらば!その後はとにかく、こういうことだったのか、とすべてが明らかになって、最高!いや、こんなにまで見事に種明かしをしてくれる映画は、めったにありません。最初のスプラッタで引っかかったところが、鮮やかに解き明かされます。

これを見た皆さん、ほんとに良心的。この程度のネタバレしかありません。おかげで楽しんで見られました。映画館は満員です。ダテに話題にはなりません。とにかく見てください。

あ、スプラッタの悲鳴が重要なんで、家でビデオで見ようとか、思わないほうがいいですよ。

監督、スタッフ、キャスト、全員に拍手です。どうもありがとう!

(2回目追記)

約1カ月半後、2回目を見てきました。登場人物の最初のワンシーンから、この後どうなるかわかっているので、細かく見られて、2回目ならではの面白さがありました。編集のテンポがよいので、ええ、もう終わり、とあっという間。やっぱりすごい映画です。

大ヒットとはいっても、「シン・ゴジラ」より見ている人はずっと少ないような感じがしますが、見ていない人に限って「盗作なんでしょ」とか言うんですよ。盗作だと主張している芝居(しかも言ってるのは脚本家じゃないらしい)は、芝居をやってからその舞台裏を描く、というもので、そのアイディアは同じかもしれませんが、この映画のキャラクターのディテイルや、ゾンビ映画ならではの演出、映像表現が、著作権侵害というほどのパクリとはとても思えないのですが。

アイディア個々をみると、そんなに斬新で見たことがないものとまでは言えないと思います。実際「予想の範囲内だった」といった感想をのべる人もいます。しかし、だからといってこの映画の価値は少しも減殺されません。全体の緻密な構成や、出演者の魅力をめいっぱい引き出す演出、本当に笑えるタイミング、全てを詰め込んだ映像表現。そこを素直に評価できないって、(感想はひとそれぞれとはわかっちゃいるけど)寂しいなあ。

再度見ると、役者としてメイクのしゅはまはるみさん(ポンの人!)と、映画主演の秋山ゆずきちゃんがすっごくいいですね。しゅはまさん、ちょっと鈴木京香に似た美人だし、ゆずきちゃんはあの落差がよかった。

シネマ歌舞伎「東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖」

201806     去年の納涼歌舞伎第2部の「東海道中膝栗毛 歌舞伎座捕物帖(こびきちょうなぞときばなし)」のシネマ歌舞伎版です。

去年は歌舞伎座で見た1作目はシネマ歌舞伎のみ)ので、感想もまったく同じですが、マイクできっちりセリフを拾っているせいか、各人の見せ場がよりくっきりしています。寿猿さん、竹三郎さんから、金太郎・團子、そしてお弟子さんたちまで、みんな持ち味を生かしてもらってます。

作・演出の猿之助は、その立場と狂言回し的な役割りからか、ショットが多くて満足。本当に気を抜くことなく、盛り上げるのにがんばってます。ふと見せる所作がきれいで、染さんともども華があって楽しいです。二人で無邪気にぴょんぴょんするのはかわいかった!

そしてやっぱり「四の切」絡みの場面は楽しい。巳之助、隼人、そして新悟がそれぞれ四の切の見せ場を持たせてもらって売り出しているのもさすが猿之助、ワンピース歌舞伎の前宣伝だったかも。

高麗屋襲名で一気に美少年ぶりが評判になった金太郎(現染五郎)ですが、若様の衣装がよく似合ってます。しかし、美少年というか美少女ぶりが気になるのは千之助ですよ。どこから見ても、玉さまをかわいくしたような美しさ。

結末は盛り上がると評判だったB。結局Bしか見られませんでしたが、児太郎の快演が再び見られて満足。

ま、歌舞伎を見たことのない人にとって、面白いかどうかはわかりませんが、主な役者がわかって、御曹司が誰かも知っていて、四の切を見たことがあって、さらに猿之助ファンだったらとっても楽しめるご褒美みたいな作品ですね。

今年のの納涼も楽しみです。千穐楽で「名前が変わっても一緒に飛ぶ」と言っていた二人ですからね。

映画「リメンバー・ミー(COCO)」「アナと雪の女王 家族の思い出」

201803coco   ピクサーアニメの新作「リメンバー・ミー」です。ピクサー好きなのに、2013年の「モンスターズ・ユニバーシティ」以後のは見てませんでした。

舞台はメキシコ。少年ミゲルの家は、ひいひいお祖父さんが音楽をやるために家を出ていき、残された妻イメルダが娘ココを育てながら靴屋で生計を立てたため、今も一家で靴屋を営み、音楽は禁止されています。しかしミゲルは大歌手デラクルスに憧れ、音楽の道に進みたいと思っています。「死者の日」に死者の国に迷い込んだミゲルは、夜明けまでに出ないと、二度と帰れません。ミゲルは、死者のヘクターと協力して、なんとか帰ろうとします…。

まず、舞台がメキシコというところが新鮮。メキシコには、カンクンに行ったことしかありませんが、画面いっぱいにパティオのある素朴な家、色鮮やかな祖先を祭るオフレンダ(祭壇)、広場、ギター、ランニングが普段着の少年。ピクサーの表現力が格段に進歩しているのもあって、画面の広がりが感動です。そして、メキシコらしい肝っ玉おばあちゃんエレナ、90才を越えているであろう、顔に深い皺の刻まれたひいおばあちゃんココ。

死者の国もまた夜のきらびやかな立体的な表現、そこで骸骨の死者たちを相手に奮闘するミゲル。十分面白いんですが、終盤にかけての思わぬ展開とラストに泣かされます。落としたハンカチを探してごそごそするくらい、泣いちゃいました。

題材からして音楽もすばらしく、とくにアナ雪の作家による「リメンバー・ミー」は、最高でした。原題「COCO」は確かにニクいタイトルですが、邦題にこれをもってきたのは、内容的にもこの主題歌のすばらしさからも大正解です。

吹き替えも皆さんうまい。とくにミゲルは12才の少年アンソニー・ゴンザレスくん。歌も台詞も末恐ろしいです。

最初の短編「アナと雪の女王 家族の思い出」も、短いながらイディナとクリスティン、ジョシュの歌がたっぷり聞けてうれしかったです。本編よりもミュージカルっぽい歌で難易度高しって感じでした。

映画「マディソン郡の橋」

201803madison_2      先日見たミュージカルの元になった大ヒット映画「マディソン郡の橋」を見てみました。平凡な主婦であるメリル・ストリープの4日間の恋の話、というのは知ってましたけど、監督・主演(写真家ロバート・キンケイド)がクリント・イーストウッドだったのは、今回初めて知りました。

大人になったマイケルとキャロラインが、遺体を火葬にしてローズマン・ブリッジから撒いてくれという母フランチェスカ(メリル)の遺言を読んで驚きます(火葬というだけで異例なんですね)。そして母の遺品から、4日間の恋の話が…。

ミュージカルとのちがいは、設定は同じなんですが、フランチェスカがロバート(イーストウッド)と出会ってから別れるまで、家族や隣人マーゴはちょっとしか出てこない、ということです。確かに映画でもたびたび電話が鳴って、フランチェスカはごまかしたりしますが、ミュージカル版ほどには、恋の邪魔にはなりません。

二人は徐々に恋を深めていきますが、ロバートはこれまでも各地で恋をしてきたのだろう、自分が今家を出たら、男女のことを知り始めるキャロラインはどんなにショックを受けるか、などと考えて家族を捨てられないというフランチェスカに対し、「これまでの人生は君に出会うためにあった。これは一生に一度の本当の恋だ」とロバートは言います。

映画は1995年公開、メリル46才、イーストウッド65才。メリルは女盛り(「マンマ・ミーア!」もこの年でやってほしかった!)イーストウッドが若干年を取りすぎている気はしますが、見ているうちに、気にならなくなってくるのは、さすが大スター。語り口がドキュメンタリーっぽくて、感動させようというあざとさがないのがいいところでしょう。

この映画の雰囲気を求めてミュージカルを見ると、家族がリアルな存在過ぎて、ちがう、と思ってしまう人もいるかも。ミュージカル版がさほどヒットしなかったのも、映画ファンの支持があまりなかったのかな、と思いました。

ついでにいうと、なんで最近、芸能人の不倫についてあんなに大騒ぎするんですかね。配偶者は当然非難する権利があるし、ほめられたことじゃないけど、私はへたくそな適当な役者より、不倫してても優れた表現者の舞台やドラマが見たいもんですから…。森瑤子「美女たちの神話」等で、恋多き名女優や歌手たちのエピソード読んだからですかね。大河ドラマにも、堂々と出てほしかったです、斉藤由貴さん。

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