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ミュージカル(シアター)

来日ミュージカル「エビータ」@シアターオーブ

201807evita     ラミン・カリムルーが出演するときいて、絶対に見なくちゃと思っていた「エビータ」です。

アンドリュー・ロイド・ウェバー曲、ティム・ライス作詞、ハロルド・プリンス演出、1978年ロンドンで開演した大ヒット作で、ロイド・ウェバーの代表作でもあり、これ以来あまりにブロードウェイをロイド・ウェバー作品が席巻していたことが、「RENT」誕生のきっかけのひとつとなったともいわれています(「EVITA!」っていうセリフも出てきますよね)。

アルゼンチンの大統領夫人エヴァ・ペロンの一代記ということは知っていましたが、四季や映画も見たことはなかったので、構成も知らずに見ました。「エビータ」は、2006年、2012年にロンドン・ブロードウェイでリバイバルヒットしていますが、今回は、ハロルド・プリンスのオリジナル演出版を再現したツアーだそうです。

お話は、映画館で映画(エヴァ本人が出ているものだったらしいです)が突然中断し、若き大統領夫人エビータの死が告げられ、人々はショックを受けます。チェ(ラミン)が出てきて歌います。このチェは、チェ・ゲバラ風ではありますが、ゲバラではなく、狂言回し、語り手の役割で最後までいます。

エヴァ(エマ・キングストン)は、父の愛人の子として育った貧しい15歳、旅回りのタンゴ歌手マガルディ(アントン・レイティン)ともにブエノスアイレスに出てきます。女を武器に女優としてのし上がっていくエヴァは、野心的な軍人ペロン大佐(ロバート・フィンレイソン)と出会い、ついには大統領夫人として、国民の愛を得ますが…。

休憩込みで2時間15分と短めですが、全編歌で、エヴァの人生が、繰り返し使われる名曲「泣かないでアルゼンティナ」のメロディに乗って語られます。シンプルなセットに、実際のモノクロのニュース映像(実在のエヴァはほんとに美しい)がしばしば流れて、ドキュメンタリー的な雰囲気を出しています。

父がアルゼンチン人というエマ、最初はまったく普通の野暮ったい女の子なんですが、だんだん大統領夫人としての貫禄が出てきます。2幕初めのバルコニーでの歌は圧巻でした。

そして、ラミンですよ。とにかくずーっと舞台で葉巻をふかしながら、歌いまくります。引き締まった筋肉、輝く目、情熱的な歌、狂言回しなので、演技という意味では、さほど見せ場はないんですが、コンサートではないラミンを見るのは初めてで、どうしても彼を追ってしまいました。

そのためか、軍人たちの団体行動みたいなダンスとか、せっかくのタンゴのダンスはやや物足りない感じ。振付はオリジナルのラリーフラーなんですね。ビジュアルも含めて、マガルディ、ペロンも合っていました。

やや抽象的ではあるけれど、エビータの人生を見事に描き出した、さすがの名作ともいえるし、もうちょっとエビータに圧倒的な迫力が欲しかったかも、という気もするし、しかし、すべては、こんなラミンを見られてうれしかった、と思うのでした。

珍しくパンフレットを買ってみたんですが、記事も写真もなかなかの充実ぶり。ラミンのサインももらっちゃった!あなたをステージは4度目です。いつも素晴らしいですが、今日は本当に素敵でした、って言ったら、とってもうれしそうな顔をしてくれて、いい人でした!

おまけ。

先日、「スッキリ」に、ラミンがゲストで出てたんですよ。別の曜日のレギュラーのウェンツくんが来て、適切にラミンの魅力を語ってくれて、生歌披露。ラミンって、ミュージカルファンじゃなくちゃ知らないし、よくわけわからないバラエティノリのいじりとかされなくてほんとによかったです。せっかく日本によく来てくれるスターなんだから。

「シークレット・ガーデン」@シアタークリエ

201807secretgarden       「シークレット・ガーデン」の日本初演です。原作はフランシス・ホジソン・バーネットの1911年発表の小説、ブロードウェイ版は1991年から93年まで上演され、トニー賞の脚本賞、助演女優賞(メアリ)、装置賞を受賞しています。

(原作が有名なので最後の方はネタバレ気味です)

お話は、インドでコレラのために両親が亡くなったメアリ・レノックス(池田葵)が、イギリスの伯父アーチボルト(石丸幹二)の屋敷に引き取られますが、彼は、妻リリー(花總まり)が事故死して以来心を閉ざし、メアリも相手にしません。一風変わった気の強いメアリですが、マーサ(昆夏美)、その弟ディゴン(松田凌)と仲良くなり、秘められた庭で遊びます。そしてひっそりと屋敷に暮らしていた病弱なコリン(鈴木葵稚<きすい>)と出会い、庭に連れ出すことにしますが、コリンの面倒を見ていたアーチボルトの弟である医師のネヴィル(石井一孝)は、それを禁じ、メアリを学校に入れようとします…。

「秘密の花園」は、子どもの頃絵本で読みましたが、さてラストどうだったっけ、と思ってたら、確かに記憶の通りでした。そして、インドのお嬢さんが両親を亡くしてイギリスでいろいろたいへんな思いをする、というのは「小公女」と同じだな、と思ったら作者が同じでした。

語り口は不思議です。リリーやメアリの両親(笠松はる、上野哲也)、インドの僧や乳母のアーヤが始終出てきて歌うんですよ。これは誰、生きてるの、とやや混乱するので、当日全キャストの相関関係図が配られていましたよ!

で、実際には、主役はメアリです。メアリの目を通して、その行動でお話が進んでいきますし、しっかりした自分があるメアリは魅力的。池田葵ちゃんは、2016年のアニーだそうで、舞台慣れしていることもあってか、子役というより立派な女優としての演技と歌でした。コリンの鈴木君も、車いすをあやつりながらがんばってました。何より品がある坊ちゃんでとっても合ってました。

石丸幹二、花總まり、石井一孝、昆夏美と、キャストは揃っていて歌もうまくて、名曲揃いなのでとってもステキだったのですが、若干彼らとしてはもったいなかったかも。石丸さんは衣装も似合ってるし、へんくつな感じも魅力的でしたが、リリーはきれいなドレス着て歌っているだけだし、とにかく石井一孝がねえ。兄アーチボルトと葛藤する役ではあるし、兄とのデュエットも迫力あったんですが、この方、ほんとに歌も芝居もいいし、背も高くてルックスも素敵なのに、最近役に恵まれない感が強いです。あーこの人でマディソン郡とかやったら納得だったのに。

ところで、お話は、ラストのアーチボルトが元気になったコリンと再会するシーンの間がよくて、展開はわかっていたのにぐぐーっと泣けてよかったです!すすり泣きの声も聞こえたりして。これまでメアリの奮闘を見てきただけに、メアリが報われてよかった!

演出は、スタフォード・アリマさんという日系カナダ人で、ブロードウェイでも活躍する気鋭の演出家らしいです。ミュージカルながら小説を読んでいくような、作品世界の展開でした。

「モーツァルト!」@帝国劇場

201806      「エリザベート」の作者、クンツェ&リーヴァイの人気ミュージカル「モーツァルト!」です。ウィーンの初演は1999年、日本では2002年の初演以来、何度も上演されている作品ですが、私は今回が初見でした。

才能には恵まれているものの享楽的なウォルフガング・モーツァルト(古川雄大)は、彼を支配しようとする父レオポルド(市村正親)と常にぶつかっています。父と、ウォルフガングの才能を独占したがるコロレド大司教(山口祐一郎)から逃れて、男爵夫人(涼風真世)とウィーンに出たウォルフガング、コンスタンツェ(木下晴香)と結婚し、シカネーダー(遠山裕介)と作ったオペラが成功したウォルフガング、しかし…。

舞台装置が、グランドピアノを模してあったりして、すっきりしかも立体的でいい感じ。衣装は全体的にクラシックですが、ウォルフガングだけデニムはいてたり、現代の雰囲気をちょっと入れていてなるほど、と思います。古川くんすらっとしてるので似合ってました。彼、松田翔太に似てる。ダンスもうまいそうですが、これという見せ場はなくて残念でした。

モーツァルトは山崎育三郎と古川雄大のWキャスト。長身ながら少年ぽい古川くん、このモーツァルトには合ってたような気がします。木下晴香は初めて見ますが、19才とは思えない落ち着いた演技と歌唱力で、これから楽しみだなと思いました。涼風真世はいつもながらの安定感。コンスタンツェの母阿知波悟美もテナルディエ夫人風の欲深ママを熱演。好みだったのはシカネーダーの遠山裕介。さほど見せ場はないながら、野心がきらめく目がステキ。必要ないのに魔笛やったりして、この人がいてよかった。

若くして亡くなった天才モーツァルトって、ほんとにキラーコンテンツ、設定に説明が不要なのは強みですが、他のモーツァルトものと比較しちゃうのが難点ですね。基準がもう「アマデウス」になっちゃうんですよね。

初見のせいか、ドラマの味は薄めな気がしました。ひとつは、ウォルフガングの敵が(敵じゃないけど)父とコロレド大司教の二人だってことですよね。市村さん、ふだんあんなに濃いプリンシパルなのに、大司教が強烈すぎて(出番も多く)、やや印象が薄いです。その大司教、長身で堂々としたたたずまい、似合ったヘアメイクでこれまで見た中でもかっこいいととしか言いようがないのはいいんですが、歌はやはり独特すぎる。あれ、市村さんもに似たような歌い方してるよ。アンサンブルはあんなにメロディアスでとってもよかったのに。

それから、あの加藤清史郎君の弟、憲史郎くんが、ウォルフガングの才能を体現する神童「アマデ」で、ウォルフガングの出演場面ほぼすべてに出ずっぱりで、細かい作曲等の演技をしています(さすが兄譲りというかうまい)。冒頭以外セリフなし、なんですが、何だか見ていてかわいそうな感じがしました。子役とはいえ、プロとして舞台に立っているんですから、そう思うのは失礼だとは思いますが、ほんとにこの役 必要ですかね?こういうのを演技と歌で見せてこそミュージカルなのでは?ああ、そういえば「エリザベート」でも死のダンサーとかいたっけ。すいません、好みの問題です。

「ミュージカル・ミーツ・シンフォニー2018」@オーチャードホール

201806mms     久しぶりのミュージカルコンサート、「ミュージカル・ミーツ・シンフォニー2018」です。出演は、ノーム・ルイス、ジョン・オーウェン・ジョーンズ(JOJ)、柿澤勇人、春野寿美礼、宮澤エマ、オーケストラは読売日本交響楽団です。

「ミス・サイゴン」、「ジキル&ハイド」のほか、カッキーが出演予定の「シティ・オブ・エンジェルス」の曲をノームと歌ったり、「紳士のための愛と殺人の手引き」や「メリリー・ウィ・アー・オールアロング」、「フランケンシュタイン」等。

しかし圧巻は、JOJの「オペラ座の怪人」のナンバー、ノームの「ラブ・ネバー・ダイ」、最後の「レ・ミゼラブル」。JOJの声はファントム、ジャン・バルジャンにぴったりの迫力ですし、ノームのジャベール「星よ」はもう、持ち歌認定していいくらい、ステージに星空が見えました(!) これだけで、チケット代の元はとった!

日本勢もがんばってまして、カッキーは、シティ・オブ・エンジェルスのナンバーはちょっと英語に必死でリズムが悪かったですが、明るい高音がきれい、宮澤エマも後半は落ち着いてとくに中低音がきれいでした。春野寿美礼は、私たぶん初見なんですが、堂々とファントムのクリスティーヌ、「エリザベート」の「私だけに」を歌ってくれました。

ミュージカルナンバーを実力あるスターで、しかもオーケストラの伴奏で、というのはほんとに素敵で聞きごたえあるんですが、ちょっとね、希望言ってもいいですか。

ファントムとレミゼは、聞きなれているし、名曲も多いし、もう盛り上がって大好きなんですよ。とくにファントムは日本では四季でしか見られないし、レミゼはオーディション主義はいいんだけどなんかキャストに華がないし。これらは、歌舞伎でいったら仮名手本忠臣蔵みたいに、ミュージカル俳優はいつでもできなきゃいけない演目なんだなって思いました(たとえとしてわかりにくいか)。

でも、ほかの選曲がいつも謎。殆ど上演されていないとか、キャストの出演作だけど地味な作品の曲はどうなのって思いますし、あまり知られていない作品なら、ショーストッピングナンバーを聞きたいものです。もっとMCも工夫して、曲の背景とかもさらっと紹介してくれたらいいのに。

せっかくうまい人が出るんだから、デュエットが聞きたいんですが、ショーの回数が少ないせいか、あんまり融合していなくて、キャストがバラバラな感じがしました。「アイ・ラブ・ミュージカルズ」はそのあたりがうまくできていたと思います。

日本人だから謙虚なのもわかるんですが、でも、もっともっと堂々と観客にアピールしてください。いつも見てる大好きな人たちだから。

オーチャードホール、幅が広過ぎなくて、後方でもみやすいいい劇場でした。国際フォーラムよりいいかも。

せっかくなので、会場で表示されてたセットリスト記録しておきます。上記の言いたいことがわかると思います。

Overture-Bui-Doi (ミス・サイゴン)
Take Me As I am (ジキル&ハイド)
パレードに雨を降らさないで (ファニー・ガール)
You’re Nothing Without Me (シティ・オブ・エンジェルス)
私が生きてこなかった人生 (シスター・アクト)
This is the Moment (ジキル&ハイド)
ゲームの始まり (デス・ノート)
Journey to the Past (アナスタシア)
All I Ask of the Night, Music of the Night (オペラ座の怪人)
Till I Hear You Sing (ラブ・ネバー・ダイ)

休憩 

I am the Starlight (スターライト・エクスプレス)
Chine Doll (マルグリッド)
馬鹿げた夢、裏を表に (紳士のための愛と殺人の手引き)
Wishing You were Somehow Here Again (オペラ座の怪人)
Not A Day Goes By (メリリー・ウィ・オール・アロング)
私だけに (エリザベート)
後悔 (フランケンシュタイン)
Stars 星よ、Bring Him Home (レ・ミゼラブル)

アンコール

The Confrontation 、Do You Here the People Sing? (レ・ミゼラブル)

「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」@赤坂ACTシアター

201806woy    去年宝塚を退団した早霧せいなの初主演ミュージカル、「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」です。久しぶりのACTシアター。

ブロードウェイ版は、1942年のキャサリン・ヘップバーン主演の同名映画を基に、1981年にローレン・バコール主演で初演され、トニー賞も脚本賞、主演女優賞ほか4部門受賞のヒット作です。ローレン・バコールって、往年の映画女優じゃなかったっけ、と思ったら、やっぱり1924年生まれの、マリリン・モンローと同世代の人ですよ。当時57才ですから、映画のキャサリン31才とはだいぶイメージが違う大ベテランのキャリア・ウーマンだったんですね。

お話は、人気TVキャスターのテス・ハーディング(早霧せいな)の、ウーマン・オブ・ザ・イヤーの表彰式から始まります。彼女は8カ月前に、風刺漫画家のサム・グレッグ(相葉裕樹)と結婚したのですが、もう結婚生活は行き詰っています。出会いの頃を振り返ると…と、1幕は、TVで漫画を批判したテスが、自分を皮肉ったキャラを漫画に登場させたサムに抗議にきて、恋に落ちるまで。しかし結婚後も仕事に忙しいテスとサムの間は次第にぎくしゃくしてきて…。

仕事に生きるバリキャリ女性の、仕事と恋の両立という、よくある話ではあるのですが、丁寧にシーンを重ねているのと、脇役キャラやアンサンブルがよく描けているので、とっても面白かったです。1981年の作品らしく、テスの取材相手が昔の大物で、若い人にはピンとこないかもですが、私はいちいちウケてました。展開も違和感なく、この頃から向こうはちゃんとわかってるじゃん、という感じ。

早霧せいな、宝塚時代はアニメ原作の再現力が評判でしたが、宝塚時代には、「ベルサイユのばら」のオスカルで見てるようですね。退団直後とあって、まだセリフに男役が残っていますが、キレのいい動き、コメディシーンの吹っ切れ方、細身のスタイルにメリハリのきいた衣装がよく似合ってすてきでした。

相葉裕樹、初めてですが、長身のイケメン、明るい歌声もステキ。しかし私の好みはテスの秘書ジェラルドの今井朋彦。彼が出てるの知らなかったんですが、袖から出てくる横顔を見てすぐわかってびっくり。さすが、ちょっとしたセリフや動きが細かくて、テスのキャラクターを浮かび上がらせるいい芝居していました。

ゲイの司会者仲間チップ(原田優一)もおもしろかったですし、メイドのヘルガ(春風ひとみ)、テスの元夫の妻樹里咲穂もかわいく、テスとのデュエットもよかった。サムの漫画家仲間のシーンもよくできていました。

そして、テスがとくに気にかけているロシアのバレエダンサーアレクセイ(宮尾俊太郎ーバシリニコフをほうふつとします)のバレエシーンはサービスタイムという感じで、盛り上がりでした。

セットのオブジェが、抽象画みたいなんですが、そこにサムの漫画のキャラクターがうまく投影されたりして、その技術はオリジナルにはなかったんだろうな、と思いました。

ということで、いい作品なんですが、週末マチネなのに2階はけっこう空席がありました。早霧ファンを除けば、集客力があるキャストが少ないのかな。すごくよかったですよ!

「1789-バスティーユの恋人たち」@帝国劇場

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      2016年の日本初演時には見損ねたので、今回の再演で初めて見る人気の「1789-バスティーユの恋人たち」です。 フランス革命が舞台のフレンチ・ロック・ミュージカル、宝塚での上演が先で、ともに小池修一郎さんの潤色・演出、宝塚元トップさん出演と、人気の要素満載なんですが(だから初演時チケットとれなかった)、最近、ゴージャスドレス時代物に相性がよくないもんですから、ちょっと不安だったんですよね。

しかし、始まってみると、フランス革命というよりまさに「ベルサイユのばら」の世界というかスピンオフ作品のようで、実質主役の神田沙也加の好演と、個性あふれる脇役陣の熱演、ポップな曲と今風のダンスたっぷりでたいへん楽しめました。

お話は、フランス革命前夜、農村でベイロール伯爵(岡幸二郎)に父を殺されたロナン(加藤和樹)はパリに出てきます。マリー・アントワネット(龍真咲)の息子の養育係オランプ(神田沙也加)は、アントワネットとフェルゼン(広瀬友祐)の逢引を手伝うために行ったパレ・ロワイヤルで、ロナンと出会い、恋に落ちます。ロナンは革命派のロベスピエール(三浦涼介)らと行動を共にしており、立場を異にする二人は…。

神田沙也加ほんとに好き。明るい歌声も、隅々まで役に没頭するスタンスも。舞台の隅にじっと立っている場面でも、きめ細かく表情豊かで感心しました。龍真咲は、宝塚以来初めて。あの超絶クセのある台詞回しはどうなるかと思ったら、澄んだ魅力的な歌声と、元トップのオーラで立派なアントワネットでした。

全体に力が入ったプロダクションで、ダンスシーンもたくさん。革命派の美形のロベスピエール(三浦涼介浦浩一と純アリスの息子さんだとか、額は父似、目は母似)、ムーラン(渡辺大輔)、ダントン(上原理生―とにかく濃くて目を引きます)と長身のチームは迫力があり、歌もダンスも大活躍でした。

一方、ルイ16世の弟アルトワ(吉野圭吾)はいつもながらこってりと楽し気に悪役を演じ、配下のラマール(坂元健児)はコメディパートをしっかり受け持って、出てくるのが楽しみでした。

さらに、何とか王制を維持しようと腐心する大臣ネッケルに磯部勉さん!若い頃ドラマで見て好きで、「じゃじゃ馬ならし」のDVDで久しぶりに見たのですが、とうとう生で拝見するとは。彼やルイ16世の増澤ノゾムの、しっかりと人物造形された演技が、このミュージカルを厚みのあるものにしていました。

前述のとおり、お話の流れはバスティーユでの戦闘で革命が始まる(ああオスカル!)ということなんですが、映像を使ったコンパクトな舞台装置で、あくまで多数のキャストにしっかりと活躍してもらうという意志が感じられてよかったです。

そうそう、私は初めて見ましたが、マネキンチャレンジ風の、歌舞伎で言う「人形振り」、「シカゴ」も思い起こしたりして、けっこう新鮮で面白かったです。使いどころもちょうどよかったというか、シーンにも合っていました。

難をいうと、肝心のロナンの加藤和樹が普通過ぎるというか、うーん、かっこいんだけどねえ、という感じ。彼、最近大作の主演またはヒロインの相手役が続いていますが、日本を代表するミュージカル男優というにはもうちょっと…。

それから、ダンスシーンは、身体能力の高いアンサンブルの活躍でとってもいいんですが(振付の桜木涼介さんは、宝塚の振付を多数やっていて、大勢のアンサンブルの扱いがうまいんですね)、1幕のロナンとオランプの愛のシーンの白いドレスの群舞はない方がよかったなあ。そこにいるはずのないアンサンブルのダンスって、ちょっとダサいんですよね。せっかくの二人のシーンなんだから、むしろ二人に集中するような形にしてもらいたかったですね。

「メリー・ポピンズ」@シアターオーブ

201804   シアターオーブの「メリー・ポピンズ」です。去年、「メンフィス」の劇場で濱田めぐみさん枠で先行発売していたチケットを買って半年、楽しみにしておりました。

「メリー・ポピンズ」の映画は1964年ですからリアルタイムでは知らないんですが、ビデオは何回も見て、歌にはなじんでいます。なんとなくミュージカルの映画化なのかと思っていたら、このミュージカルは、キャメロン・マッキントッシュにより2004年に制作され、ウエストエンドで初演されたものなんですね。たしかに、映画「ウォルト・ディズニーの約束」では、映画でオリジナルの曲をたくさん作ってましたね。脚本は「ダウントン・アビー」のジュリアン・フェロウズ、振付はマシュー・ボーンです。

主なキャストはオーディションで選ばれたWキャストですが、この回は、メリー・ポピンズ濱田めぐみ、バート大貫勇輔、バンクス氏駒田一、バンクス夫人三森千愛、バード・ウーマン島田歌穂、ブリル久保田摩希、ロバートソン もう中学生、ブーム提督コング桑田、ジェーン岡奈々子、マイケル竹内彰良

ロンドンの銀行家バンクス家のジェーン、マイケルはやんちゃすぎて子守(ナニーですよ)がすぐ辞めてしまいます。子どもたちの募集広告を見てやってきたメリー・ポピンズは、不思議な力をもっていて、夢の世界に連れて行ってくれます。.

濱田めぐみは、常にピンと伸びた背筋、よく稽古されたダンス、不思議な軽やかな手の動き、もちろん安定の歌と、舞台全体を堂々とリードしていました。宙乗りはすごかった!

そして、映画でよく知っている歌が、やはり舞台では派手なダンスシーンになっていてより楽しめます。楽し気に軽やかにダンスする大貫勇輔中心に盛り上がるシーンがたくさんありました。ダンスの方ですが、こどもが親しみやすいお兄さんの雰囲気が、温かみのある声とマッチしていてバートに合っていました。

いつもの座組みもいいですが、オーディションキャストも新鮮。駒田一はお馴染みでさすがですが、初めて見た三森千愛は歌も演技もよかったし、もう中学生は意外なくらいちゃんとやっていて、高い歌声にもびっくり。レミゼのほかは大きな舞台の少ない島田歌穂もよかったし、ネーレウスの長澤風海のバレエダンス、いつも目をひくエリアンナ

そして、古い映画が元なのに、シーンの組み立てとか、舞台装置とか、バンクス夫妻の描き方とか、いろいろ新しいなあと思ったら、前述のように2004年の制作だったということを後から知りまして、映画の素材をうまく現代的な視点で扱っているなあと思いました。

「リトル・ナイト・ミュージック」@日生劇場

201804lnm   大竹しのぶ、風間杜夫という意外な組み合わせのソンドハイムのミュージカル、「リトル・ナイト・ミュージック」です。オリジナルは1973年という古いヒット作ですが、2009年にキャサリン・ゼタ・ジョーンズとアンジェラ・ランズベリーでリバイバル・ヒットしています。このタイトル、ドイツ語だと「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」なんだそうです。

お話は、弁護士フレデリック(風間杜夫)は若い妻アン(蓮佛美沙子)と結婚して11カ月ですが、怖がるアンとはいまだに関係がありません。息子へンリック(ウエンツ瑛士)は、神学を学ぶ一風変わった青年ですが、アンを愛しています。フレデリックは芝居を見に行って、昔の恋人である女優デジレ(大竹しのぶ)と再会します。デジレの元を訪れたフレデリックは、デジレの愛人マグナス伯爵(栗原英雄)と鉢合わせ。そして…。

複数カップルの恋の行方を描いた、洒落た大人のお芝居です。歌はソンドハイムなので難しく、本当に歌いこなせているキャストは少ないんですが、(いいなあと思っているとかすれたりする)、女性3人、男性2人(ひのあらたさんがいた!)のアンサンブルの皆さんが超うまくて、たっぷり聞かせてくれました。主要キャストがそろって入れ替わり立ち替わりという、2幕の方が面白いです。

風間さんが日生のミュージカルとはびっくり、なんですが、このミュージカル自体がお芝居部分が多くて、キャストもお芝居重視なので、まったく違和感はありません。存在自体が愛すべき人間臭いフレデリックです。…とはいえ、ミュージカル初出演にあたり、「難しい曲はないから」と言われていたそうですが、ソンドハイムをあまりご存知なかったんでしょうね。でもたしかにソンドハイムの中では比較的やさしい歌が多かったとは思います。

舞台では初見の蓮佛美沙子。演技派だとは思っていましたが、年齢的にはアイドルがキャスティングされてもおかしくないところ、こういううまい人がやるとほんとにいいなあと見ていて何度も思いました。おもしろいんだけどかわいくて、ミュージカルじゃなくても舞台でもっと見たいです。

ウエンツくんは歌も演技もよかったし、栗原叔父上も楽しそうに、強引な軍人を演じているし、この迫力は知らないベテラン女優かしら、と思ったら木野花さんだし、安蘭けいはきれいではじけてるし、初見の瀬戸たかの、トミタ栞もとってもよかったです。

しかし何といっても大竹しのぶ。女優であるという華やかさ、かわいらしさ、この恋物語の中心。そして2幕の有名な”Send in the Clowns"。涙を浮かべて歌う大竹しのぶに感動。ほんとにこの数年で見ても、歌がうまくなっていると思います。いつも期待以上のものを見せてくれてほんとにすてき。

欲を言えば、日生でも少し広すぎて、クリエとかプレイハウスで見たい作品でした。

AKACompany「A Class Act」@シアターウエスト

Aclassact     FBで「あの「コーラスライン」の作詞家、エドワード・クレバンの自伝的ミュージカル」という広告を見て、おお、シアターウエストの小さな空間でその題材とは面白そう、と「A Class Act」に行ってきました。Aがついているのは、「コーラスライン(À Chourus Line)」が、ABC順に並べたときに最初に来るようにAを頭につけているのにちなんだタイトルなんでしょう。

「自伝的ミュージカル」というのはやや違っていて、クレバンの死後、日の目を見ていなかった曲を、友人のリンダ・クラインとロニー・プライスがミュージカル化したというお話です。

クレバン(石井一彰)はブロンクス生まれ、「南太平洋」を見て、ミュージカルに憧れます。コロンビア大を出て、レコード会社のプロデューサーをしながら、金曜日にはミュージカルのワークショップに通っています。そこの講師レーマン(中井智彦)、ミュージカルスターやクリエイターを目指す友人たち(岡村さやか、染谷洸太、福井将太、白鳥光夏)、クレバンを励ます元恋人ソフィ(池谷祐子)。

クレバンはなかなか才能を発揮する機会が巡ってこず、デビー・レイノルズがヒットさせた舞台「イレーヌ」のリバイバルのスタッフとなっても、ケンカしてクビになったりします。しかしとうとう、「コーラスライン」の振付・演出のマイケル・ベネット(染谷洸太)にアサインされて作詞家として参加することとなり、作曲のマーヴィン(福井将太)とやりあいながら、コーラスラインを完成し、トニー賞を受賞します。しかし、コーラスラインのロングラン中、癌に侵されたクレバンは、友人に手紙と歌を残します…。

出演者は誰も知らず、衣装やメイクがナチュラル気味なのもあって、最初は学生演劇のような雰囲気もあったのですが、後で見ると、東宝ミュージカル・アカデミー出身者や劇団四季の方、2.5次元ミューの方。皆さん歌はうまいし、台詞の声がよくて、気持ちいいです。帝劇等でアンサンブルに出てたりしてますが、ソロで聞かせるような実力。

主演の石井くん、繊細な雰囲気がクレバン、のびやかな表情のある歌声もよかったです。。はじめ普通の女の子にみえた岡村さやか、のびやかな歌声に感動でした。そして私好みの癖のある染谷洸太、もっと活躍するの、期待です。

そしてめんどくさい性格もあってなかなか芽の出ないクレバンの不器用さがせつなくて。「コーラスライン」の成功も、作詞のみで、本当は作曲でブロードウェイで活躍したかったクレバン。亡くなったあとの友人たちへの手紙のシーンは、客席も引き込まれて、泣かされました。

初めから、ジョナサン・ラーソンの「チック、チック、ブーン!」と似てるなあと思っていたら、このAKA Companyの第1回の公演は、「チック、チック、ブーン」だったそうです。このカンパニーは、演出の片島亜希子さんが、公演ごとにライセンスをとった海外ミュージカルを上演する集団だそうで、これからも楽しみですね。

レーマンの至言、「ミュージカルは、音楽とセリフの融合だ」「観客を喜ばせるチャームソングが必要!」というのも私的にはツボで、よかったです。

こんなに気持ちの良い舞台、シアターウエストのような小さい劇場なのですから、学生券を除けば、全席同額でいいんじゃないですかね。C列サイドブロックでA席は申し訳なくて。あ、安いチケットも売りたいのか。

「マディソン郡の橋」@シアタークリエ

201803    クリエのミュージカル、「マディソン郡の橋」です。クリント・イーストウッド監督・主演、メリル・ストリープのヒロインで平凡なアイオワの農場の主婦がやってきたカメラマンと4日間の恋をするというあの大ヒット映画のミュージカル化です。原作小説は1992年、映画は1995年(そんなに昔なんだ)、ブロードウェイ・ミュージカルは2014年の2月から5月までとさほどヒットしませんでしたが、トニー賞の作曲賞、編曲賞をとっています。

フランチェスカ(涼風真世)をイタリアから連れてきた愛妻家の元アメリカ兵のバド(石川禅)、農場の仕事がさほど好きではない息子マイケル(石川新太)、妹キャロライン(島田彩)の3人は、キャロラインの育てた牛を品評会に出しに行きます。一人留守番のフランチェスカの前に現れたのは、ナショナルジオグラフィックのカメラマン、ロバート(山口祐一郎)。最初は遠慮がちだったロバートは、好意を見せるフランチェスカと恋に落ち…。

幕が開いてすぐに涼風真世の歌。あまりに若くかわいいので、一瞬娘時代を若い女優が演じているのかと思ったくらい。華奢なスタイルが、いかにも農場の生活にシンからは馴染んでいない感じがあって、歌も演技もさすがでした。戦火で焼けた故郷ナポリの写真を見て涙するシーンは、大震災の記念日が近かったこともあって、写真自体は私たちは見ていないのに、客席がシーンとして、すすり泣きの声がするくらいでした。

ひいきの石川禅、石川新太はなかなかいい役で、出番もたっぷり。というか、この二人を見たくてチケットとったくらいなので、もう最初から心情的にはこちら側。なかなかめんどくさいバドのキャラですが、不器用さがかえって愛しくって、当初はやや不思議ちゃん風のロバートよりもこちらが…。新太くんは最近大きな舞台が続く中、伸び盛りの輝きがあって、どのシーンもよかったです。

隣人夫婦(伊東弘美、戸井勝海)もよかったし(とくに伊東弘美の芝居のうまさ!)、彩乃かなみも色っぽいいろんなキャラで大活躍。島田彩も元気よくはじけてました。

まあしかし、この有名な映画を見てないってことは、私純愛ものはたいして好きじゃないんだなって改めて認識しました(ラブコメは好き)。その意味で、家族をまっとうしたフランチェスカにはほっとしたものの、ラストは私的にはやや冗長。

曲はどれも美しく、特にカントリー調のものはミュージカルでは新鮮。ストリングスとアコースティックギターが多用される演奏も心地よかったです。メロディ無視した歌も中にはあったのが残念でしたけど…。

原作の映画も見てみました。映画「マディソン郡の橋」。

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