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Broadway ミュージカル

来日ミュージカル「コーラスライン」@シアターオーブ

201808       かの有名な「コーラスライン(A Chorus Line)」、1985年の映画版は見ているんですが、オリジナルのミュージカルは見たことがなく、この公演があることを知ってから、楽しみにしていました。オリジナルは1975年から1990年までロングランの大ヒット作、2006年以降、たびたびリバイバルもされています。今回は、1月からアメリカ国内を回った、オリジナル・キャストのバーヨーク・リーによる演出版のツアー(http://achoruslineontour.com/)。

そういえば、3月に、「A Class Act」という、コーラスラインの作詞家エド・クりーバンを描いたミュージカルを見たのでした。今年は縁があるんですね。

お話は、コーラスラインに出演するアンサンブルのオーディション。ダンスの後、演出家ザック(アーロン・パトリック・クレイブン)は、残った候補者に、自分の人生を語らせます。なぜダンスを始めたのか、何を目指しているのか。

という、あらすじは知っていたので、残った候補者の数がけっこう多くて、誰も知らないのにどうなるんだろうと思っていたら、その描き方がうまいです。ただ語るだけで単調になってしまいそうなところ、セリフの長さや歌や数人同時に、と変化があってお芝居として引き込まれるようにできています。セットもときどき鏡が出てくるだけ、衣装もほとんどなく、いかにもオフからきた作品ですが、その分台本がよくできているというか。

このカンパニーもRENT同様、さほどキャリアのない若い俳優が多く、いかにもアンサンブルのオーディションという感じがリアル。でも歌はうまいし、ダンスも達者です。振付を覚えていくところ、ずれなど、ただ上手に踊ればいいだけではないのが難しそう。

盛り上がるのは、ザックの元恋人キャシー(マディソン・ティンダー)が、スターのプライドを捨てて、コーラスラインからやり直そうとするところなんですが、この方、元スターという雰囲気がなく、ダンスもそこまで飛び抜けた感がないので、若干物足りない感じがしました(でも、この役ができる日本の女優っているかな、と思うとここまで踊れて歌えて華があるというのは難しいですよね)。

曲は、At the Ballet、What I Did for Love 、One ほか名曲ぞろいで、とくにWhat I Did for Love は感動でした。

来日ミュージカル「RENT」@シアターオーブ

Rent201808    RENTの20周年ワールドツアーによる来日公演です。RENTは5年ぶり、前回はオフブロードウェイの新演出版でしたが、今回のツアーはまたオリジナル演出に戻ったRENTでした。

ほんとのRENTHeadには到底及ばない(というかレベルがちがう)ですが、私としては8回見ている最多ミュージカル、映画版RENTが、ミュージカルにはまった原点の作品ですから(このブログだってRENTアダム・パスカル中心だったですしカテゴリもある)、やっぱりロジャーが登場して、RENTが始まったときは、ここからだーと鳥肌と涙が出そうになりました。

とにかく、映画DVDをこれほど見て、サントラCDをこれほど聞いた作品はないので、曲すべてが愛おしく、時間が過ぎるのがあっという間でした。

20年前の作品ですが、作者のジョナサン・ラーソンが自分や友人たちの姿を映しているので、同性カップルが本当に自然なかたちで描かれていて、さまざまな人々が愛でつながっているというテーマが、今でも普遍的なものとして伝わってきます。オリジナルキャストのジェシーだったか、ブロードウェイでは「黒人役」のような扱いが多いけど、この作品はそういう属性とは関係なく人間として描かれているんだ、と語ってましたっけ。

カンパニーとしては若くて、粗削りなところも多く、何となく学生の演劇部みたいな感じがして、それもRENTの初期みたいで新鮮だなあと思ってみていたんですが、実際に、ミミ(デリアンドラ・タッカー)とエンジェル(ジャボン・キング)は、大学在学中なんだそうです。ほかのキャストもあまり情報がない若い俳優さんばかりという感じでした。

ロジャー(ローガン・ファリン)、今まで見た中で、声が、アダム・パスカルに一番似てて、ロックな高音。本人もファンなのか、ツアー的な要請なのか、歌い方も相当似てました。コリンズ(デヴィンレ・アダムス)もジェシーにかなり似てました。エンジェルのセレモニーの歌はとってもよかった。エンジェル(ジャボン)は、大柄ですが動きのキレがよく、キュート。ジョアン(レンシア・ケベテ)もすっごくうまかった。モリーン(リンディ・モエ)も個性的でなかなかいいモリーン。マーク(ローガン・マークス)は明晰なセリフがよかったです。

やや残念だったのは、ミミが若干力不足で、とくに「Out Tonight」は聞いててつらかったのと、髪があ!ナチス協力のために坊主頭にされたみたいな短髪って…歌詞にもmoonlight out of your hair ってあるじゃないですか。チラシのビジュアルともちがうし~。ベニーもいまいちでしたね。

2幕最初の「Seasons of love」、やっぱりよかったです。ソロも最高でした。歌舞伎だと休憩後の最初はちょっと遅れても大丈夫なような始まりが多いんですが、これは本当に見逃しちゃいけない2幕冒頭です。

(おまけ)

ところで、アダム・パスカルは今どうしているかと思ったら、今年の5月に「Something Rotten」のシェイクスピア役を離れたそうです。2016年11月からですから、1年半もツアーに出ていたということですよね。お疲れ様でした。

今は、ミュージカル指導なども行っているようです。そして、12月には、アンソニー・ラップとのジョイントライブもあるみたいです。二人の「What You Own」は最高ですからね!

「ファインディング・ネバーランド」来日公演@シアターオーブ

Neverland   オーブの来日公演、「ファインディング・ネバーランド」です。「ピーター・パン」の制作に至る作家ジェームズ・バリのエピソードを描いた2004年の映画「ネバーランド」(原題はミュージカルと同じFinding Neverland)のミュージカル化で、ブロードウェイ初演は2015年3月、2016年8月にクローズしてから、全米ツアーに出ており、今回はそのキャストによる公演ですね(http://findingneverlandthemusical.com/)。残念ながら、トニー賞にはノミネートされていないようです。

ジョニー・デップ、ケイト・ウィンスレットの映画を直前に見ていったんですが、この、ミュージカルの方がずっとうまく表現できていると思いました。例えば、ジェイムズ・バリと少年の遊びのシーン、映画だとそれ自体は面白くないですが、ミュージカルの舞台なら楽しい歌とダンスのシーンになりますよね。ジェイムズとシルビアの関係も丁寧に描かれて説得力があるし、バリ家のディナーパーティもお客が多くて印象的な場面、アンサンブルは俳優たちという設定で、バックステージ的な場面もうまく使われていました。

ジェイムズのビリー・タイは正統派のハンサム、歌声。シルビアのクリスティン・ドワイヤーは、イギリスの上流家庭出身の雰囲気は薄いですが、明るくパワフル。プロデューサーのフローマン氏のジョン・デイビッドソンと、デュ・モーリエ夫人のカレン・マーフィーが役の個性をくっきり演じて、秀逸でした。

しかしこのミュージカルで一番魅力的なのはシルビアの四人の子どもたち。終始生き生きと、この時期にしかない男の子のかわいらしさに溢れていて、見事。とくに中心となるピーター(コナー・ジェイムソン・キャセイ)は、最初の不機嫌な顔から、ジェイムズに心を開いていく変化がとってもよかったです。男の子4人の歌のシーンも素敵でした。

シルビアと4人の子どもたちの家族愛、そしてデュ・モーリエ夫人とジェイムズが残された子どもたちと歩み出す場面にはほろっと泣かされちゃうんですが、その部分も適度で、傑作ピーター・パンが生まれた想像力のすばらしさを描く、いい作品でした。

「ウエスト・サイド・ストーリー」@シアターオーブ

Westsidestory   シアターオーブ5周年記念として、レナード・バーンスタイン生誕100周年のワールドツアー公演「ウエスト・サイド・ストーリー」です。初演は1957年、大ヒットした映画は1961年ですが、今回のツアー版も、大きな変更はないようでした。

「マリア」や「トゥナイト」等の名曲を知っているので、映画は見たことがあるような気がしていましたが、特に後半は記憶になく、見てなかったようでした。ロビーで映画のDVDを1200円で売ってたので買ってしまいました。

お話は、「ロミオとジュリエット」を下敷きに、ニューヨークのウエストエンドでのポーランド系の若者の集団ジェッツと、プエルトリコ系のシャークスの対立、ダンスパーティで恋に落ちたトニー(ジェッツのリーダーリフの友人)と、マリア(シャークスのリーダーベルナルドの妹)の悲劇を描いています。

ジェッツとシャークスのダンスで始まるんですが、明らかにグループの見た目が違いますからね、とてもリアリティがあります。バレエダンサーだったジェローム・ロビンスの振付は、バレエ的なところも多く、今見ると新鮮。

対立はしているんですが、どっちにしてもアメリカで、自分の居場所がみつけられない、エネルギーを持て余しているやりきれなさが、決闘をただの暴力にしていない深さがあります。彼らの描き方が、初演から70年を経ても少しも古びない、今日本で見ていてもリアリティを感じる作品だなあと思いました。

いったんチームを離れていたトニー(ケヴィン・ハック)は誠実そうで、マリア(ジェナ・バーンズ)は生き生きとかわいらしく、二人の声域の広さはほんとにすばらしくて、鳥肌がたつときもありました。マリアの友人アニタ(キーリー・バーン)も生き生きとしていてとっても合ってました。

恋人二人と、チームや、マリアの友人たちのシーンがテンポよく挟まれて、一気にラストまで突っ走っていきます。「ロミオとジュリエット」のモチーフを効果的に使いながらも、マリアとトニーの運命は、下手に同じ展開にしないところも優れていると思いました。

もちろん、歌だけでなく、ダンスシーンも含めての音楽の素晴らしさはいうまでもありません。いいミュージカルの要素がたくさんつまった舞台だと思いました。

アダム、「Something Rotten」にシェイクスピア役で出演!

Something_r2  「Disaster!」の思わぬ早期クローズで、アダムはどうしているのかしら、ときどきライブはやっているようだけど、と思っていたら、11月の初めから、「Something Rotten」というブロードウェイ・ミュージカルにシェイクスピア役で出演!というニュースが入ってきました。

このミュージカル、16世紀のカリスマ的なスター作家シェイクスピアに憧れるニック・ナイジェル兄弟が、中途半端な預言家ノストラダムスに、未来に流行っている演劇はミュージカルときいてそれを作ろうとする、みたいな話だそうでパロディ満載のコメディ。このタイトルは、「Something is rotten in the state of Denmark.」(デンマークの国で何かが腐っている)というハムレットの中のセリフからとられています。

2015年4月に本公演が始まって、トニー賞にもいろいろノミネートされたんですが、残念ながら、来年1月1日でクローズするそうです。だからアダムはクロージングキャスト。アダムの出演、ちょっとニュースになったりしてますね。しかしオリジナルキャストとクロージングキャストの多い人な気がする。

シェイクスピアはご覧の通り一癖あるロックスターで、コスチュームもメイクもめちゃくちゃ似合ってますよ。インタビューでは、「シェイクスピアあんまり知らなけど(そんな感じですよね)、でも勉強する」なんて言っちゃってます。

Broadway,comの写真、すっごいかっこいい!

ある日のアンコールでは、One Song Glory 歌ったみたいです。もうすでに持ち歌ですね。

しかもしかも、クロージングの後、このキャストのままで米国内ツアーを半年やるみたいなんです。おお、チャンス!東急オーブさん、梅芸さんでもいいけど、今こそ出番ですよ、是非是非日本に呼んでください!信じて待ってます。

「DISASTER!」オリジナルキャストCD

Disastercd2  5月初めにたった2カ月でクローズしてしまった(Disaster!突然のクローズ!)アダム・パスカル出演のブロードウェイミュージカル、DISASTER! ですが(なんとかオリジナルキャストアルバムは発売されました。9月に届いていたんですが、曲が多くて、なかなか記事が書けず(言い訳)。

70年代の曲ばかりのジュークボックス・ミュージカルなので、知ってる曲も多数。せっかくなので、Wikipediaに載ってた出典を、アルバムの収録順(ミュージカルで歌われる順ですよね)に並べ替えて掲載します。

1 "Hot Stuff" by Donna Summer
2 The Lord's Prayer
3 "Theme from Mahogany (Do You Know Where You're Going To)" by Diana Ross
4 "Saturday Night" by the Bay City Rollers
5 "Do You Wanna Make Love" by Peter McCann
6 "Without You" by Harry Nilsson
7 "I Am Woman" by Helen Reddy
7 "That's the Way I've Always Heard It Should Be" by Carly Simon
8 "Mockingbird" by Inez & Charlie Foxx
9 "Still the One" by Orleans
10 "Never Can Say Goodbye" by The Jackson 5
11 "Feelings" by Morris Albert
12 "Feels So Good" by Chuck Mangione
13 "Knock on Wood" by Eddie Floyd
14 "Hawaii Five-O" by the Ventures
15 "You're My Best Friend" by Queen
16 "Three Times a Lady" by the Commodores

17 "Ben" by Michael Jackson
18 "25 or 6 to 4" by Chicago
19 "Sky High" by Jigsaw
20 "When Will I Be Loved" by Linda Ronstadt
21 "Don't Cry Out Loud" by Elkie Brooks and Melissa Manchester
22 "Come to Me" by France Joli
23 "I'd Really Love to See You Tonight" by England Dan and John Ford Coley
24 "I Will Survive" by Gloria Gaynor
25 "A Fifth of Beethoven" by Walter Murphy
26 "Reunited" by Peaches and Herb
27 "Daybreak" by Barry Manilow
28 "Hooked on a Feeling" by Blue Swede

上記のうち、太字がアダムが歌っているもので、赤はソロまたはメイン。いい歌いっぱい歌っているんですよ。声が70年代ロック・ポップスに合っているし、バラードもめちゃくちゃ素敵。1曲1曲は短いんですが、こうみるとたくさんでうれしい!まさか、2016年になって、Hot StuffとかFeelings とかYou are my Best Friend をアダムで聞くとは思いませんでした。

ストーリーの中で、アダムは別れた恋人Marianne(Kerry Buttler)との絡みもあるし、最初に出てくるしで、出番多かったんだろうな、と返す返すも残念です。観たかった。

ほかのキャストも、子役も含めてうまいし、何よりミュージカルのキャストアルバムなので、70年代のヒットのオムニバスアルバムを聴くのとはまたちがう、演奏や音質の統一感があって聞きやすいです。

アダムが歌っているからとりあえず買わなきゃ、と思って入手したんですが、思わずヘビーリピート。元気な楽しい気分になります。

「Disaster!」突然のクローズ!

Disasterclose_2 アダム・パスカルが久々にオリジナルキャストとして出演していたブロードウェイミュージカルの「Disaster!」、なんと初演からたった2か月でクローズすることがアナウンスされてしまいました。5月8日、今週の日曜日ですよ!急すぎますよね。http://disastermusical.com/

70年代のディスコヒットに乗って、Disaster映画のパロディというコメディで、チャラいボーイ役のアダムの扱いが当初よりも大きくなり(写真だって真ん中)、見られるかもと楽しみにしてたのに(泣)。

チケットの状況だって見てましたけど、Hamilton やBook of Mormonのように100%超Disaster3_2えているのやディズニーは別として、Jersey Boys やKinkiy Bootsなどの佳品よりはよかったのに。

慌てて今見たら、CDさえ出ていないじゃありませんか(号泣)。

あの前宣伝期間の長さと比較して、この非情な打ち切り。ブロードウェイの厳しさを改めて思い知りました。

せっかくですので動画をどうぞ。

https://www.youtube.com/watch?v=GQwZ7MzhXmI

(追記)

オリジナルキャストアルバムは発売されて、入手しました。アダム、いっぱい歌っていて、とても楽しい70年代ポップスアルバムです。

「Prince of Broadway(プリンス オブ ブロードウェイ)」ジャパンプレミア@シアターオーブ

Pobブロードウェイのレジェンド演出家であるハロルド・プリンスの偉大な業績であるミュージカルの名シーンで構成される「プリンス・オブ・ブロードウェイ」が、NYに先駆けてジャパンプレミアをやるということで見てまいりました。名前のプリンスにひっかけた、なかなかしゃれたタイトルですね。私のお目当ては何と言ってもラミン・カリムル―です。

ハロルド氏は今年87歳(!)、60年もブロードウェイの第1線で活躍してきて、トニー賞を21回も受賞しているという人ですから、大ヒット作も多数で、それをつなぐだけでも盛り上がるわけですが、このショーは名演出家・振付家のスーザン・ストローマンとの共同演出で、新しくシーンを作るということで、キャストに合ったシーンが丁寧に作られている感じがしました。衣装もセットも演目ごとに(2、3曲ごとに)ちゃんと変えていて、しかもさほど安っぽくないという贅沢さ。よくぞ日本まで持ってきましたね。

演目の間のプリンス氏の語りは、市村正親さんが吹き替えているので、見やすかったです。市村さんは「オペラ座の怪人」、「蜘蛛女のキス」で、プリンスの演出を受けているそうで、パンフレットの二人の対談でも仲良さそうでした(このパンフレット、ものすごく情報量が多いので、お薦めです。というか、普通はパンフレット買うものですかね?いっぱい行ってるとたまってしまうので、私買わない方が多いんです)。

プリンス氏はただ歌って踊って楽しいミュージカルだけではなくて、社会問題を反映させたり、殺人鬼や心の闇まで迫るドラマを扱ったりと、ミュージカルの表現を追求してきたと回想しています。昔はミュージカルの製作費も安く、新しい脚本家をさがしていたと。だから、「ウェストサイドストーリー」、「屋根の上のバイオリン弾き」、「スウィニートッド」等のさまざまなミュージカルが生まれたんですね。

プリンス氏はあまりにも作品がたくさんあるので、未見のものの方が多く、1幕の「Follies」のシーンは、現在と過去のカップルが出てきたのが混乱したりしましたが、選ばれた名曲を、ブロードウェイのスターたちが楽し気に歌い踊るんですから、贅沢なミュージカルの時間で、何度も鳥肌立っちゃいました。

まずラミン。華やかな力強い歌声。ルックスもエネルギーにあふれていてかっこいいです。人気者なので、あまり歌わないシーンでもたくさん出番があって(「スーパーマン」も!)楽しませてくれました。「ミュージカル・ミーツ・シンフォニー2014」でも聞いていますが、もちろん「オペラ座の怪人」も素敵でした。

その怪人をデュエットしたのはケイリ―・アン・ヴォーヒーズ、まだ22才くらいですが、恐ろしいまでの歌のうまさと大きな目の美貌で、ウエスト・サイド・ストーリーのマリアもよかったです。

前半、もう一つ盛り上がったのが、トニー・ヤズベックの「Follies」のタップダンス。「TOP HAT」のアラン・バーキットは軽やかな体重を感じさせないタップでしたが、トニーのは力強い、表現力にあふれたダンスで魅了されました。

「キャバレー」は見たいと思っている演目のひとつ。ジョシュ・グリセッティが美しいMC。ハロルドも思い入れのある役だそうですが、アダムもMCをやっていて、よく思い出を話している役です。ジョシュのMCを見ると、アダムのはちょっといかついのではという気がしますが。ジョシュ、2幕では「蜘蛛女のキス」のモレーナもよかったです。

ベテランのナンシー・オペルと、シュラ―・ヘンズリーの「スウィニー・トッド」の出会いの場面もうれしかったです。映画のヘレンも、日本版の大竹しのぶも、演技力はともかく、歌はもうちょっとうまい人で聞いてみたいと思っていたので、この難曲を生で聞けて感激。その後のアンサンブルのコーラスも、このキャストで歌うんですから、人数比でみて音の厚いこと。シュラ―の「屋根の上のバイオリン弾き」は、演技に引き込まれて、本当にこの演目を見に来たみたいな気持ちになりました。

唯一日本人キャストの柚希礼音。背が高くてとっても可愛いお顔。上半身ムキムキなくらい鍛えていて、バレエ的なすごいダンスを踊ってくれました。歌もがんばっていましたが、ちょっとこのキャストの中では気の毒でした。でも1幕のヤンキースの歌はダンスしながらでなかなかアピールしてくれました。彼女、パンフレットで、NYでのレッスンのことをとても率直に、きっとそんな感じだったんだろうなということを語ってくれていて、その素直なお人柄に好感が持てました。退団後すぐの舞台だったそうで、宝塚ファンの中では、10年に一人の逸材とされている方だとか。これから頑張ってほしいですね。

ということで、ミュージカルファンには楽しめること請け合いなんですけど、一方で、1本のミュージカルでストーリーとキャラクターをとことん味わう方が、やっぱり自分は好きなんだなと思いました。素晴らしいパフォーマンスに、何度も鳥肌立ちながらも、2時間、そのお話に浸って、泣いたり笑ったりしたうえで、主役の渾身のショーストッピングナンバーを聞くときの醍醐味とはまたちがうものだなあと。

そして、経歴をみると、必ずしも新作や大作の主演を演じている俳優さんばかりではないのに(もちろんハロルドの目にかなった俳優ですが)、歌のうまさ、舞台での表現力、私が主役よというオーラは見事です。比べると、日本のミュージカル俳優たちはおとなしいというか、もっと自分をアピールしてもいいんじゃないかなあ、と思いました。

(おまけ)

Fw212月のフランク・ワイルドホーンのコンサート、アダムの入ったチラシができていました。フランクさんのすぐ右、一番上のいい場所に、RENTの最後のツアーのときのかっこいい写真で。Fw

ちなみに変更前は右のチラシで、来なくなったダグラスさん、かっこよかったのに、ファンの方残念でしたね。

アダム、ブロードウェイ進出の「Disaster!」に出演!

Disaster12月に来日するアダム、会えるのはうれしいけど、代役に決まるなんて、(ヒマなのかしら) なんてちらっと思った私でしたが、オフブロードウェイからブロードウェイに進出するミュージカル「Disaster!」に出演するというニュースが出ていました。

Look Out! All-Star Disaster! Will Hit Broadway, Starring Adam Pascal, Roger Bart, Faith Prince & More

Seth Rudetsky's Disaster! Musical Headed for Broadway with Adam Pascal and Faith Prince

Seth Rudetsky's Disaster! Will Play Broadway With Kerry Butler, Adam Pascal, and More

5人くらいのメインキャスト(ほかは、Kerry Butler, Roger Bart, Faith Prince, rachel York)の一人として、「ブロードウェイの人気者が出るよー」みたいな感じで報じられているのがちょっとうれしかったりして(オフのキャストは入れ替えられちゃうんですね)。

お話は、1979年にNYに新しくできたカジノ&ディスコが、地震や津波などのdisasterに襲われる、disaster映画のパロディ的なコメディだそうです。1970年代のヒット曲も使われるとか。ブロードウェイでいろいろやっているSeth Rudetskyが、友人たちとブロードウェイ・ミュージカルを作るという夢がかなった作品だとか。

アダムの役は、チャラいカジノの黒服チャドだそうです。軽薄な役、似合うかも!写真を見ると、しっかり節制して、ルックスを保っているようですね。

来年2月にプレビュー、3月に開幕です。面白そうなので、ヒットするといいな。

(追記2016.1.9)

Disastercastbroadway.comの Exclusive Photo! Get Wild with Roger Bart, Adam Pascal, Kerry Butler & More で、キャストの写真が公開されました。

アダム、黒服でかっこよく、真ん中で写ってますね!おしゃれな大人のミュージカルのようですね。

来日ミュージカル「PIPPIN」@シアターオーブ

Pipin今年の1月にブロードウェイでクローズしたPIPPINが全米ツアーの途中で東京公演をやるということで、昨夏にNYに行った時にはけっこう人気で見ようか迷ったものだったので、行ってきました。もとは1972年初演ですが、2013年春に新演出で上演され、トニー賞のリバイバル作品賞ほか何部門かで受賞しています。

舞台はサーカス小屋。リーディングプレーヤーの紹介で、ピピン王子の物語が劇中劇として上演されます。ピピン王子は学校を出て父カール王の元に戻り、自分をささげるものを探して、異教徒との戦いに出たり、自分で国を統治しようとしたり迷走しますが、未亡人キャサリンと出会い愛するものの、彼女との平凡な生活は自分の求めるものではないと飛び出し…。

ピピンとカール皇帝は8世紀に実在して西ゴート族を攻めたりしていますが、歴史ものというよりはおとぎ話のような感じでコスチュームは自由、笑わせながらお話は進みます。自分探しという誰にでもちょっとあるテーマを、大マジメではなく、ちょっと斜めから見るというのは、最近の流行りなのかな、という気がしますが、愛を歌い上げるというよりやっぱり今の時代に合っているんでしょう。

アンサンブルシーンにはシルクドソレイユ風のおしゃれな、本格的なアクロバットやマジックがふんだんに出てきて、楽しませてくれます。ロープアクロバットなど、こういうの見たことある、と思っていたら、以前見たことのある7 Fingers のメンバー、ジプシー・シュナイダーがサーカス部分を振付けていたんですね。

でも、アクロバットや手品の入り方がうまくて、サーカスの合間におざなりな話が進んでいくとかではなく、ミュージカルとして十分な完成度があるところがこの作品のいいところだと思いました。

前述のように、クローズ直後のツアーのせいか、ブロードウェイキャストも含んだキャストのレベルが高くてすごくいいカンパニー。これまでオーブの来日ミュージカルがキャスト名をサイトで告知してくれないのを、不親切すぎるとさんざん文句言っていたんですが、今回は、公式サイトの翻訳のみとはいえ、キャスト紹介のページ がちゃんとあります(劇場でも俳優名のアルファベット順だけじゃなくて、ちゃんとキャスト表を表示してほしいですが)。

主演のリーディング・プレーヤーのガブリエル・マクリントンは、ブロードウェイキャストでもあり、抜群のスタイルにのびのびとした演技で、ボブ・フォッシーのスタイリッシュなダンスもはまっていてとってもよかったです。ピピン役は新人のブライアン・フローレス、長身の甘いイケメンで、歌がうまく、応援したくなる雰囲気でした。

カール王のジョン・ルービンシュタインはなんと1972年のピピン役のオリジナルキャストで、軽くて面白くて最高。ルイスのエリック・アルテミスもハンサムなおバカキャラが最高でしたが、彼は本作品のオリジナルキャストのルイスでした。

そしてACT1でひときわ歓声を浴びていた祖母バーサ役のプリシラ・ロペス。なんとあのコーラス・ラインのダイアナ役のオリジナルキャストで、「Nothing」や「What I did for Love」をオリジナルキャストアルバムに残している方ですよ!観客へのアピールやオーラがすごくて最後はびっくりする演出もありました。

ほかのキャストも一人一人個性的で、肉体美とスキルに感動でした。

さて、最初の方で強烈な最後10分間のフィナーレがあります、と告知され、楽しみにしていたのですが、こうきたか、という感じ。ありかもしれませんが、うーんちょっと。私はやっぱりもうちょっと違う方が好きだったな。