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原田マハ「サロメ」

2007sarome 美術を題材にした小説の書き手ということで気になっていた原田マハ、題名と表紙に惹かれて「サロメ」を読みました。

19世紀末の画家オーブリー・ビアズリーの研究者甲斐とオスカー・ワイルドの研究者であるジェーンが会うところから始まりますが、二人は、ビアズリーとワイルドの現代の評価を紹介するために出てくるだけで、物語の大半は、オーブリーとその姉メイベルの話です。

オスカー・ワイルドは、「幸福の王子」や「ドリアン・グレイの肖像」で有名ですが、19世紀末当時は禁忌されていた男色家で旧弊にとらわれない人気者。「サロメ」は聖書の中でも特に背徳的な物語を取り上げた戯曲ですが(←サロメのモチーフは絵画で取り上げられているので知っていましたが、そうだったんだ!)、25歳の若さで結核のため早逝したオーブリー・ビアズリーはこの本の挿絵を描いて名を残したのです(私が惹かれた左の表紙も彼の絵だったんです!)。

オーブリーは、絵については独学で天才ぶりを発揮しますが、彼が世に認められるまでには、女優志望の姉メイベルの献身的な働きがありました。しかし、悪魔のようなオスカーに魅入られる弟に対して姉は…。

オスカーとオーブリーの関係は、史実だけでも興味深いのに、そこにメイベルが絡んで話が展開していきます。空気の悪い重苦しいロンドン、若い女性を食い物にする劇場経営者や紳士たち、面白かった!

オーブリーの絵は、今見ると、モダンなイラストという感じで(肩書もイラストレーターになっていたりする)、明らかに現代のイラスト界に大きな影響を与えています(山岸涼子や魔矢峰央にも!)。もっと生きていたら、さらに深化していったのではないでしょうか。

メイベル・オーブリーは、英語版ウィキによると、「派手でちょっと評判の女優だった」そうですが、31歳で年下の俳優と結婚し、45歳のときガンでなくなっています。その前に、著名な詩人イェーツの詩の会に出入りしており、ガン(当時のことゆえ診断されたのは末期でしょう)とわかってからイェーツは彼女の許を訪れて'Upon a Dying Lady’と題された一連の詩を作ったんだそうです。

オーブリーもメイベルも、写真が残っているのが、リアルな息遣いが感じられます。原田マハさん、おもしろーい。

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コメント

SDCさん、コメントありがとうございます。

ビアズリーで検索すると、100年以上前とは思えない現代に通じる感性の膨大なイラストに圧倒されますね。展覧会でご覧になったのなら、さぞ迫力だったでしょう。
オスカー・ワイルド問題が起きるまでは、雑誌の監修をしていたのですから、もっと活躍できたのに、と思いますね。

ところで、お勧めいただいた「ホルモー六景」読みました(ホルモーの記事に追記)。たしかに、これ読まないと損、って感じで楽しかったです。

4〜5年くらい前に「ビアズリーと日本」展が金沢に来ていて,たまたま出品者の方にチケットを頂いて見に行きました。ビアズリーは大正〜昭和初期のモダニズムに大きな影響を与えており,それはやがて日本のイラストレーションにも色濃く残っているという流れにも触れていて,現代のマンガやグラフィックデザインがどことなくビアズリーを想起させるというのは必然とも思います。

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