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「大地(Social Distancing Version)」配信版

2007daichi 改装したPARCO劇場のオープニングシリーズ 三谷幸喜「大地」、オンライン配信があるなら見ればよかったなと思っていたら、なんと全ての回をライブ配信するんだったんですね。1回撮ったものをアーカイブする方が楽でしょうに(配信の相場自体があまりないのでライブだから価格を高くできるわけではないし)。

しかし、考えてみれば、ライブ配信のみっていいです。まず、アーカイブで見ればいいやと適当に見る客がいなくなる。生で1回こっきりだと、セリフを聞き逃したらアウトなので、緊張感このうえないです。また、繰り返し見ることで、見る側にとってもコンテンツの価値が下がるような気がします。25分の休憩込みで3時間15分ほどって、結局繰り返し見るときには飛ばしたりしますしね。

舞台はとある国の収容所。反政府と判断された俳優ばかりのグループで、昼間は豚の世話と豚の餌の栽培をしています。新たにやってくる映画スター(山本耕史)に、劇団のエキストラと小道具をやっていたことから皆の世話役をやっている男(大泉洋)は、状況を説明してくれます。このグループの監督兵(栗原英雄)は芝居好きなので、何かと彼らを好遇しています…。

収容所が舞台の芝居で何かというと食事のことになったりするのを見ると、昔読んだソルジェニーツィンの「イワン・デニーソヴィチの一日」を必ず思い出しますね。

この状況下での芝居なので、俳優は距離を保って、割り当てられた自分のベッドのスペースにいます。そのシチュエーション以外は、普通の芝居と変わりません。いさかいがあっても胸倉つかんだりぶつかって行ったりしないところだけが、そう思ってみればややちがうかな、という感じ。

映画スターを始め、劇団の座長、世界的なパントマイマー、役者兼演出家、女方の俳優、モノマネもやる大道芸人、語り手の演劇科学生と、皆只でさえ個性の強い役者さんなのに設定とあいまって、さらに面白いです。山本耕史の白いスーツのスターのオーラ、浅野和之さんの名人芸のマイム、相島一之の反骨心、藤井隆の便利さ、竜星涼くんもほどのよい女方のシナ、辻萬長さんも美声と威厳を響かせ、小沢雄太、まりゑは、このチラシ写真とはちがうイメージのたくましい人物像。そして、皆の間で右往左往する大泉洋

しかし、俳優が演技をすることを奪われているというこのシチュエーション、ふと胸を衝かれて泣けるセリフがたくさんありました。いつになったら芝居ができるんだろう、二度とできないのでは、という不安の中で吐き出されることば。三谷幸喜は芝居そのものが好きな人で、芝居を通じて何かを訴える脚本家ではないけれど、この状況下では、どうしたって心に刺さる台詞が出てきますよね…。

思えば3月の「アナスタシア」が最後に見た舞台で、山本耕史はグレブ大佐を繊細に好演していました。その後YouTubeに短い動画をアップしてくれたりしていましたが、この「大地」のお稽古に入っていたんですね。前述のように、やや制約はあるとはいえ、休憩込み3時間超のフルサイズの舞台に出演できてよかった。元気でいてくれてありがとう。

幕間には、役者さんへのインタビューもあったりして、(開始時間も不安定な歌舞伎に比べれば)至れり尽くせりの完璧な配信でした。  

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