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御厨貴「権力の館を歩く」「政治の眼力 ―永田町「快人・怪物」列伝 」

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  御厨貴先生の本2冊、まずは「知の格闘」で知って是非読みたいと思っていた力作「権力の館を歩く」。政治や統治機構を語るうえで、その「場」である建物の場所、間取り、動線等が重要であるとして、さまざまな建物を紹介するもの。2007年1月から3年間の毎日新聞への月1回の連載をまとめたものです。巻末の「あとがきにかえて」には、この著作が、東大先端研で建築学の学生と議論したことから生まれたものと書かれています。

第1部は、吉田茂、岸信介、佐藤栄作といった大物政治家たちの邸宅や別荘。記者や派閥の政治家が出入りしたり、喧騒から離れて政策を練ったり、要人を招待したり。ドラマに出てくるような、権謀術数の舞台ですよ。軽井沢別荘地における戦中・戦後の交遊関係もなかなか面白かったです。

第2部は、「権力機構の館」と題し、首相官邸、国会の各院、警視庁、検察庁、都庁舎など。首相官邸は、この項が書かれた時点ではまだ新官邸が完成して6年、官邸主導政治がどうなるか、御厨先生は注目していますが、この時点では官房長官を務めた安倍(一次)、福田の両首相は短命に終わっており、新官邸がまだ使いこなされていないことを示しているとみていたようです。

第3部は「政党権力の館」で、自民党本部、砂防会館、社会党、共産党、公明党の本部等。自民党とその他の党の本部の機能の違いが印象的です。

350pの労作ですが、取り上げられている建物や人物からすれば、各項に割り当てられたページは多くありません。著者の知識とではあまりに彼我の違いがあり、個々のエピソードや政治家の個性と建物との符合にはなかなかついていけないのですが、むしろ普通の社会生活を送り、普通程度に新聞を読んでいるだけでは、政治のことは十分理解できないものなのだという感想を持ちました。

  2005seiji 御厨貴さんが、第二次安倍内閣発足後の2013年から2年間、毎日新聞に連載していた同時代の政治家評「政治の眼力 ―永田町「快人・怪物」列伝 」です。前に読んだ「知の格闘」でこの本のことを知り、読みたいと思っていました。200pほどの新書に、のべ26人の評(石破茂さんのみ2回)ですから、ひとりひとりは少な目。

御厨さんは、「本人に面と向かって言うことのできない悪口や批判は書かないという流儀」で、「政治家の個性をその矛盾を含めて書き出し、人間味を評価する」という戦前のジャーナリスト馬場恒吾氏を研究し、その手法でこの連載に取り組んだそうです。

政治家って、大臣といえども実際には何をしているのか部外者にはわかりにくいですから、はっきり言って、欠点というか悪口を書いてくれないと、よくわからないのは否めません。おまけに、御厨先生とは、歴史や政治的な出来事についての知識の土壌が全然ちがうわけですから、知っていれば「ああ、あのときの彼の行動を連想しているんだな」と理解できる表現も、知らなければ読み流してしまいます(前述の「権力の館」と同じ感想を言ってますね私)。

ということで、御厨先生が個々の政治家をどう評価しているのか今一つわかりにくかったうらみはあるものの(それ自体は意図的なものでしょうが)、やはり小沢一郎氏、石破茂氏、与謝野馨氏、麻生太郎氏などは興味深かったですし、元首相の森、小泉、福田の各氏は、ほかの方たちよりは知っているだけに面白かったです。

第二次安倍内閣発足の後で、今よりはうまくいっている頃でもあり、とくに安倍さんの印象はだいぶちがいます。舛添さんも都知事時代で、まさかあのような形で辞任するとは。同時代批評の難しいところでしょう。

 

 

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