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宮本輝「泥の河」「蛍川」「道頓堀川」

2006_20200623233501 宮本輝って結構好きだったな、と思って全集第1巻の「川三部作」を読んでみました。

最初は作家デビュー作の「泥の河」。舞台は大阪の安治川って、中之島の堂島川の下流の川ですね。まだ戦後の雰囲気の残る昭和30年、食堂の息子と、川の船に住む母子との交流を描くもので、母は船で女を売っているので、ひとところに長くいられません。食堂の夫婦がいい人なのが救いですが、泥が深く積もった川と貧しい生活が、淡々と描かれています。とても小説らしい作品で、日本文学というとこういう作品を読んできたなと、懐かしい気がしました。

自主制作のモノクロの映画がありますが、食堂の夫婦に田村高廣(いい顔!)と藤田弓子、船の母が加賀まりこ。モノクロ画面の効果でその貧しさに迫力がありますが、子役が健康的すぎる感じ。

2作めは「蛍川」。宮本輝氏は関西育ちなのですが、一時住んだ富山を舞台に、老いた父を亡くす少年の周囲を描いています。父は少年を身ごもった女と結婚するために妻を捨てた男。商売がうまくいかなくなったところに病気になります。元の妻は金沢で商売が成功しています。最後にいたち川の上流に、少年が好きな少女と母と近所の老人とで大量発生した蛍を見に行きます。

これも映画化されています。父・三国連太郎、母・十朱幸代、元妻奈良岡朋子と文芸路線。蛍のシーンが特殊効果で評判だったそうです。

最後は一番の力作、「道頓堀川」。バイトする喫茶店の2階で暮らす大学生の邦彦、男と逃げた妻が帰ってきたときに蹴ったことで、その後病死してしまうという苦い過去を持つ元ハスラーの喫茶店主武内とやはりハスラーになりたい息子政夫の確執、武内の昔の仲間、まち子姐さんやゲイボーイかおる、ストリッパーさとみなど周囲の人々を描きます。武内の喫茶店はとても流行っていて、花をたくさん惜しげなく取り換えたりします。描く世界には影があるものの、登場人物は個性的ながら何となく品があって、ドロドロしていないところがこの作家の持ち味なのかなと思いました。

道頓堀といえば松竹座!(ただし著者は芝居には興味ないのか、劇場から人が出てくる、くらいの描写しかありません)。宗右衛門通りも松竹座遠征の時に、夜の部開演前に歩いたっけ。

深作欣二監督で映画化されていて、まち子・松阪慶子、邦彦・真田広之、武内・山崎努、政夫・佐藤浩市、かおる・カルーセル麻紀。ちょっと息子たちがイメージよりカッコよすぎるし、小説では脇役でどんな人かよくわからないまち子が主演とは。でも山崎努の武内はぴったりで見てみたい気がします。この作品、NHKの銀河ドラマ枠でも作られていて、武内は藤田まこと、渋い~。

 

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コメント

Stephen Cabotさん、コメントありがとうございます。

原作は本来そこの住人ではないであろう邦彦の目を通した道頓堀の人々を描くものなので、邦彦の恋にはあまり重点はおかれてないんですよね。道頓堀はきれいになりましたし、今やド派手な看板が名物ですが、あの賑やかさはほかにない気がします。

 道頓堀川の映画は強烈な印象でしたが、原作の松坂慶子役はそんな脇役とは知りませんでした。そして山崎努がぴったりはまっていて・・・ハスラーといえばポール・ニューマンですが、日本独特のドロドロした撞球文化を全身で体現していると感じました。

 道頓堀一帯もこの映画の公開時にはまだそれらしい雰囲気(江戸時代は劇場街だったそうですね)を残していましたが、今は“健康的”になってしまったのはちょっと残念です。

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