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2020年5月

The Shows Must Go On「キャッツ」

  2005catsアンドリュー・ロイド・ウェバーが、ショービジネスへのチャリティを兼ねて、The Shows Must Go OnというYouTubeチャンネルで毎週末48時間限定で配信しているミュージカル作品、今回は「キャッツ」です。配信されたプロダクションは、1998年にVHSで発売された作品(現在DVDとBDが発売中)で、劇場版を2時間強に、といっても休憩なしなので若干だと思いますが縮めて撮影されたものです。

  2月に映画版「キャッツ」でキャッツも面白いと思ったところだったので、とても楽しめました。音楽がいいのは言うまでもないですが、改めて見ると、本当に凄いメイクと衣装。猫なのに個性的でしかも美しく見えますし、出演者の滑らかな動きとすばらしいスタイル、訓練されたダンス。キャラクターもちゃんと区別がつくようになったので、その役に合った俳優の演技もおもしろいです。

なんといっても、グリザベラがロンドン初演のオリジナルキャスト、エレイン・ペイジ。エビータのオリジナル・キャストなど、数々の主役を演じてウエストエンドのファーストレディと言われた方が何ともいえない深い表情で「Memory」を歌い上げます。映画版のもやもやが晴れるスッキリした歌。そして、ガスのサー・ジョン・ミルズ、この人タダ者じゃないと思ったら、このとき90歳前だった名優ですね。デュトロノミ―もすごい迫力で歌うまいと思ったら、ブロードウェイのオリジナルキャストのケン・ペイジ、この人は逆にこの頃まだ43歳くらいなんですよ、何たる年齢不詳の貫禄。

ラム・タム・タガ―、ジェニエニドッツ、スキンブルシャンクス、マキャヴィティ、ミストフェリーズ、などなどみな個性的。映画版で新入りとして主役だった白猫ヴィクトリアもいて、セクシーな役どころ。やっぱりキャッツって、回数重ねて、それぞれの見せ場を待ってました、と楽しむ演目だったんですね。横浜のキャッツシアター、もっと通えばよかったな。

ということで、さっそくDVDを買ってしまいました。

 

 

 

 

 

「カメラを止めるな!リモート大作戦」「12人の優しい日本人」を読む会

2005映画「カメラを止めるな!リモート大作戦」 】  

ステイホームなGWのプレゼントという感じの、上田慎一郎監督「カメラを止めるな!リモート大作戦」の配信です(YouTubeの配信サイト)。日暮家は、真央ちゃんが独立し、晴美ママは留学していて3人バラバラですが、新型コロナの状況下、日暮監督にリモートで犯罪実録映像を撮ってほしいという依頼が舞い込んで…。

日暮家始めカメ止めのキャストたちは、私たちにとっては、もう実在していると思えるくらいになっているので、彼らがまさに今同じ状況にあってオンラインでしか家族が離せない状況がリアルに感じられます。ヒロインの逢花ちゃんとか細田さんなど特にキャラ立ちしていたキャスト中心に、募集した映像も使ったりして面白く進んでいきます。撮り方は不自由ですが、それをうまく使ってやっぱりすごい。そして、最後の方の真央ちゃんの台詞が刺さって思わず泣けました。その塩梅もちょうどいい。ほんと、「全部したい!」。

しゅはまはるみさんが、意味なく完璧女優メイクできれいだったのと、どんぐりさん、ヨッパライ細田さんがいい味(踊りもキレキレ)、そして秋山ゆずきちゃんやっぱりおもしろい。

というか、こんなに才能あふれる上田監督に、思う存分映画を撮らせてあげたいって思いましたよ。

(追記)

カメ止めは海外でもファンを獲得しましたが、5月15日、このリモ止めの英語字幕付きバージョンがYouTubeにアップされました(字幕付き版)。こなれた字幕だな、と感心。世界にも届け~。

 

【朗読劇「12人の優しい日本人」を読む会】

そしてもう一つ、1990年初演で映画化もされた三谷幸喜さんの「12人の優しい日本人」を読む会。(当時は日本では裁判員制度はありませんでしたが)陪審員のセリフ劇なのでリモートとの親和性は高いとはいうものの、オンライン飲み会で使っているあのzoomそのままで朗読劇…と思ったら、予想のナナメ上をいく完成度で、芝居として引き込まれていきました。YouTubeのアーカイブの前後編で見られますが、元はライブ配信、生中継!

このお芝居、1990年から3年連続で上演され、2005年の再演を経て今回の読む会なんですが、キャストは初期のキャストが男性10人中9人が出演しています。甲本雅裕、相島一之、小林隆、阿南健治、近藤芳正、梶原善、西村まさ彦、野仲イサオ、渡部朋彦、小原雅人、吉田羊、妻鹿ありか、宮地雅子、そして三谷さんも特別出演。この役者陣の豪華なこと。みなさんその後確たる地位を築いたわけですね。初出演の女優さんたちもぴったり、吉田羊さんも地味な役なんですが、ご本人に華があるので、ちょっと面白い感じになっています。

三谷さんの陪審員ドラマなので(元ネタの映画「十二人の怒れる男」はずっと以前に見たことがあるような気がします)、有罪・無罪をめぐって様々な意見に結論が行ったり来たりするのが醍醐味。映画版も見ていなかったので、どうなるんだろうとわくわくしました。

そして、一際目立つのが相島さん。どんな作品でも強烈な印象を残す名優、30年前の当時は「お若いのに」というセリフがぴったりの若者だったんだと思いますが、今は今の味があります。最後の熱は、画面の12分の1から感情がほとばしるようで、まさに芝居、演劇でした。役者さんってすごいな。

生の芝居ではないけれど、お芝居への気持ちをかきたててくれるような、すばらしい企画でした。ありがとうございました。

 

 

 

八坂堅二郎「音で観る歌舞伎―舞台裏からのぞいた伝統芸能」

2005otodemiru  国立劇場で長年伝統芸能全般の音響を担当してきた八坂堅二郎さんの「音で観る歌舞伎―舞台裏からのぞいた伝統芸能」(2009年)です。

 全260pのうち、80pくらいが能楽と文楽の基礎知識として舞台の構造や楽器など(歌舞伎じゃない!)、その後の80pくらいが演技以外の歌舞伎の舞台、大道具・小道具、衣装、かつら等の基礎知識です。知らなかったことが多かったんですが、舞台の高さに4パターンほどあり、1尺4寸高の「常足」は商家や民家の家、2尺8寸の高足は立派な寺院や御殿の高さ、その中間の中足は武士の屋敷などなのだそうです。なるほどそういえば。

そして最後の100pほどが、浄瑠璃(義太夫、常磐津、清元)と長唄などの音楽、効果音などの歌舞伎の音響について。音楽の種類毎に見台や肩衣がちがっているとか、赤子の鳴き声や動物の鳴き声、雨等の効果音をどうやって作っているか等。後者の音作りは、筆者の経験した具体的な苦労も交えて詳しく書かれています。

音楽については、メモしておきますね。

義太夫(竹本)…状況説明や心情の語り。三味線は太棹 見台は黒塗り。出語りあり。
清元…高い調子。三味線は中棹だが常磐津より柔らかい音。黒塗りの一本足の見台。萌葱色の肩衣。
常磐津…清元より語りの要素が強い。三味線は中棹。舞台下手で演奏することが多い。三本足の朱塗りの見台。柿色の肩衣。
長唄…歯切れよく速いテンポの演奏。三味線は細棹。見台は桐で足が交差しているもの。肩衣は演目によって違う。

国立劇場のスタッフの方の著作というと、織田紘二さんの「芸と人―戦後歌舞伎の名優たち」を読みましたが、八坂さんも同年代くらいなので、国立のスタッフなのに、公務員的なイメージと異なり、先輩の厳しい指導、ハードな仕事と必死の工夫の様子が、伝わってきます。そして、やはり歌右衛門さんの言葉の重みが、スタッフ一同に響いていたのだなと感じられます。

歌舞伎の上演が、伝統と多くのスタッフに支えられていることを改めて感じた本でした。

 

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