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三月大歌舞伎「通し狂言 新薄雪物語」「雛祭り」期間限定配信

2004_20200422074101  松竹チャンネルの期間限定配信、いよいよ三月大歌舞伎「通し狂言 新薄雪物語」です。演目名は知っていたけど見たことはなく、しかも仁左衛門さんと吉右衛門さんの共演というので、配信を楽しみにしていました。

  あらすじも全く知らずに見始めたんですが、面白かった!ひとつの要因は、国立劇場の「義経千本桜」の映像に比べて、画面が明るくて要所要所のアップがうまいので、自然に芝居に引き込まれる感じがしたことです。さすがシネマ歌舞伎をたくさん撮っているだけあります。もちろん、配役が豪華で(翌4月は歌舞伎座改修でお休みでしたからね)お話もよくできていて、この演目は保存版だと思いました。

まず「花見」。桜が満開の清水寺に、薄雪姫(孝太郎)が腰元籬(扇雀)たちを引き連れて参詣にやってきます。清水寺に影の太刀を奉納に来た園部左衛門(幸四郎)にひとめぼれした薄雪姫は、籬と左衛門の奴妻平(芝翫)のとりもちで、次の逢瀬の約束にこぎつけ、手紙を渡します。ところが、団九郎(又五郎)が 大悪人秋月大膳(歌六)の命により、左衛門が奉納した刀に国家調伏のやすり目を入れます。一方妻平は、水奴たちと大立ち回り…。

幸四郎はいつもの二枚目で最高なんですが、ほかの役者さんみんなに見せ場がたっぷりあって、とても生き生きとしているんですよ。籬の扇雀さんの、きれいでテキパキしていてちょっと色っぽい感じとか、芝翫の大柄な存在感のあるお気楽な色奴とか、又五郎さんの小細工の細かな演技と大悪人歌六さんとのやりとり、花道の引っ込みとか、タカタロさんのどこまでもかわいい姫とか。大幹部と、幸四郎以下の文字通り花形役者に挟まれて歌舞伎座ではあまり大きな役に恵まれない感のある(失礼!)この世代の方々の実力がいかんなく発揮されているなあと思いました。

最後の、妻平と赤い衣装の水奴たち(この衣装・鬘初めて見た)との立ち回りは10分ほどの長い場面で、とても面白かった!芝翫さんも水奴も、どんなにお稽古なさったことか、ああそれなのに…。ほんとに口惜しいです。

続いて「詮議」。左衛門と薄雪姫が、姫の屋敷である坂崎邸(襖に花、屏風に御所車が描かれていたりしてきれいなお屋敷です)で密会をしようとすると、母松ヶ枝(雀右衛門)にみつかります。親の許しを得ていないのにとうろたえる二人に、松ヶ枝は反対などしないといいます。このお話の両親はほんとに子ども思いの優しい親。そこに、左衛門が影の太刀で国家調伏を企んだ疑いを、葛城民部(梅玉)が詮議にやってきます。大膳、薄雪姫父坂崎伊賀守(吉右衛門)、左衛門の父園部兵衛(仁左衛門)がそろいます。薄雪姫の手紙も文言を捻じ曲げられて証拠とされ疑いは晴れず、民部は大膳の企みに気づきながらも、伊賀守と兵衛が、互いに子を預かりあい、詮議をするという案を受け入れます。

裁き役、梅玉さんの第一声から素敵なこと!吉右衛門、仁左衛門と揃った舞台が重厚で見ごたえあること!二人が花道で密かに善後策を相談するところの、お互いにがっつりぶつかり合う横綱相撲。疑いの晴れない幸四郎の苦悩(大好き)。あああーなぜこれ一等の前の方で見られなかったの私(中止だから!)。ところでニザさまと幸たまが親子というのは珍しいですが(初めて見たような)、二枚目の系譜としてはとてもよい親子。

そして「広間・合腹」。あらすじ見ていなかったのですが、後から知れば、合腹って何というタイトル!山水画や書が描かれた渋い園部のお屋敷。初めて左衛門の母梅の方(魁春)が出てきます。左衛門は母にいい歌の色紙を見せたいとか、ちょいちょいマザコン気味な面が出てきます。さて、薄雪姫をかわいがる梅の方と兵衛は、妻平をつけて姫を落ちのびさせることにします。それでは兵衛たちに迷惑になるという薄雪を一喝する兵衛(←この方、何かと妻や嫁を一喝するのがいつものニザさまよりコワモテ)。

そこに、伊賀守から、左衛門の首を切ったので、そちらも薄雪の首をとれという使い(錦之助)が、首を落とした刀を持ってやってきます。刀を見ていた兵衛は伊賀守の真意を理解し、用意をしてくると下がります。そこへヨロヨロとやってきた伊賀守。首を切る代わりに、左衛門を逃がし、自分の首を差し出そうと腹を切ってきたのでした。同じく腹を切った兵衛は、梅の方にこれでほっとした、笑えといいます――この幕の別名「三人笑い」ですよ…このタイトルもすごすぎる。

まず兵衛が刀を見て気づく緻密な芝居。盛綱陣屋を思いだします。そして、ここでも吉右衛門さんと仁左衛門さんの演技合戦の迫力!筋の通った、情愛の深い、しかも持ち味の違う二人。うわあああ。そして、魁春さんがとってもよかったんですよ。もちろん、カッチリとした武家の妻というのはいつもいいんですけど、この毅然とした、情愛のある梅の方。左衛門を斬った恨みの気持ちを抑えるよう言われて不服そうに伊賀守を迎える表情、そして三人笑い。最近魁春さんも出番が短くてもったいないと思っていたんですが、今まで見た中で最高の魁春さんのような気がしました。ちょっとだけ母に暇ごいに来る幸四郎さんも、七段目の力弥のような感じで、美しかった。

ということで、豪華配役の新薄雪物語、大満足でございました。

順序は逆ですが、昼の部最初は「雛祭り」。お雛様がお酒を飲んで踊るという趣向ですが、その設定自体が楽しくて、踊りも動きが激しくてとても面白かったです。内裏雛に芝翫・福助、左大臣東蔵、右大臣彌十郎、三人官女が梅花、京妙、芝のぶ(この二人早く幹部にしてー)、五人囃子が歌昇、種之助、吉之丞、廣太郎、虎之介。長身のやじゅさんと小柄な東蔵さんの軽妙な掛け合い、とりわけ激しい五人囃子(どうしてもうたたね兄弟に目が行く)。衣装も鮮やかでよかったです。これはまた来年3月に、(できれば鷹之資も入れて)再演してほしいです。

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