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DVD「博奕十王」

  アシェット2003_20200312221001社の歌舞伎DVDシリーズ、ときどき買っていますが、15巻は、2014年、猿之助の最後の新春浅草歌舞伎、「博奕十王」です。サイコロを持って悪そうな顔をしている猿之助の写真は見ていたので、楽しみにしていました。

舞台の背景は茶色い松、閻魔大王(男女蔵)と獄卒(弘太郎、猿史郎)がいる冥途、六道の辻。地方の皆さんも(そして後見も!)三角布(天冠)をつけています。

そこへやってきた、白装束の博奕打(猿之助)、愛嬌たっぷり。大王からせしめた酒の肴にと、身の上話をはじめます。博奕での喧嘩で死んでしまった博奕打ですが、浄玻璃の鏡で映すと悪行ばかり。地獄に落ちそうになりますが、博奕を知らない大王をサイコロ博奕に誘い、次々と装束を巻き上げ、さらに虎拳(和藤内、母、虎のじゃんけん)で勝った博奕打は極楽への送り状を手に入れ、悠々と引き上げます。

と、他愛ない話なのですが、こずるくて賢しげで軽妙な博奕打って、ものすごく猿之助に合ってるんですよ。衣装も花札柄の着物にサイコロ柄の裁着袴と遊び心のある美しいもので、出ずっぱりでたっぷり舞踊を見せてくれます。話もテンポよく面白いので、目を凝らしてみつめるというより、ああ、楽しいなと思わせてくれます。

嵩高い立派な拵えながらおっとりと間抜けな閻魔大王も、男女蔵さんにぴったり。動きキレキレの弘太朗・猿四郎、後見には段之さん、蔦之助(つーたんは、この後自主公演でこの博奕十王をやっていますね)。地方も長唄今藤尚之さん、巳津也さん、三味線稀音屋祐介さんって、お正月の連獅子と同じ方々が舞台を盛り上げていました。

この若さでの舞踊のDVD化、ありがたいです。ほかの舞踊もぜひぜひDVD化を!

(追 記)

この浅草のすぐ後に、NHK「SWITCHインタビュー」で、野村萬斎さんと四代目が対談しています。「空ヲ刻ム者」と、萬斎さんの「神なき国の騎士」(ドン・キホーテの物語)の稽古場がSWITCH!萬斎さんも狂言で博奕十王を演じているので、ストーリーや小道具の種類は同じなのに、歌舞伎と狂言の表現がいかに違うかということを比較してくれて面白い!狂言の中でも、衣装も道具も派手な演目だと思いますが(萬斎さんのは最後博奕打が宙乗りするバージョンもある)、歌舞伎しかも澤瀉屋ですから、歌舞伎の客向けのサービス精神がよくわかります。

そして、この二人が大好きなNHKさんの、幼い頃からの豊富な映像で、御曹司として生まれた二人の芸への向き合い方の違いが語られていきます。伝統芸能の中でも聡明で言葉で表現するのがうまい二人なので、優れた演出家の対談のようで無駄な言葉がない。年上の萬斎さんが、ややヒネくれててでも自信たっぷりな(この時期って猿之助がある意味得意の絶頂期では)猿之助を面白がっている感じが出てて、私にはたまりません。

歌舞伎と狂言が染み付いた二人なので、現代劇では立ち方や歩き方まで一から学んだとか。そして、演劇としての表現を追求する二人が、舞踊での表現力が素晴らしいのも大好きです。

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