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中村義裕「歌舞伎と日本人」 早稲田大学演劇博物館編「芝居絵に見る江戸・明治の歌舞伎」中村雀右衛門「私事」 中村勘三郎「襲名十八代」

201912_20191226213601  まずは、歌舞伎の歴史を綴った本2冊、1冊目は演劇評論家 中村義裕さんの「歌舞伎と日本人」、2018年1月発行と比較的新しい本です。

お馴染みの「出雲の阿国」から始まり、江戸時代の興行システム、幕府の弾圧との戦い、名作の誕生、費用や時間、死絵(人気役者の死後の姿を描いたもの)。明治になってからの歌舞伎の社会的地位の変化、歌舞伎俳優として海外視察や新劇にも取り組んだ二世左團次。

そして映画と歌舞伎役者とのかかわり、戦争の影響、GHQによる歌舞伎の危機、菊五郎劇団と吉右衛門劇団、国立劇場の目指したもの、歌舞伎をよみがえらせた市川猿之助の苦悩、平成での人気役者の死、忠臣蔵の断絶とこれからの歌舞伎。

歌舞伎の歴史をとても立体的にわかりやすく書いてくれています。とくに江戸・明治については、具体的にイメージできるような記述ですし、前進座や小芝居についてもよくわかって、勉強になりました。

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  2冊目は、早稲田大学演劇博物館編「芝居絵に見る江戸・明治の歌舞伎」です。127pの本のほとんどがカラーで、歌舞伎の歴史を当時の絵とともに解説しています。

がぜん面白くなるのが、「第2章 歌舞伎の完成」以降。絵の保存状態もよくなり、歌川豊国や写楽等が、具体的な演目名や役者名を入れて制作した芝居絵は、生き生きと歌舞伎の楽しさを伝えてくれます。何より知った演目が増えてくるのが楽しい。解説もコンパクトながら要点を押さえていてわかりやすく、繰り返しみたくなります。さすが早稲田の演劇研究家の先生たち(児玉竜一先生ももちろん入ってますよ)。

江戸、明治の人たちも、面白かった芝居の余韻に浸りたくて、芝居絵や解説本を買ったのかな、とうれしくなりました。

 

2020

  次は役者の本で、先代である、四代目雀右衛門さんの「私事 死んだつもりで生きている」です。六代目大谷友右衛門の息子として生まれ、一度は友右衛門を継ぎながら、戦死した友人の母に請われて雀右衛門を襲名したいきさつ、戦争時の苦労。戦後歌舞伎に戻り、今度は岳父の七代目幸四郎(雀右衛門さんの妻は十一世團十郎ら3兄弟の妹なんですね!)の勧めで女方の道に進むことになります。

ところが、歌右衛門、梅幸の活躍もあってなかなか役が付かないうちに、映画に出てヒットしたことから、しばらく映画スターとして活躍し、莫大な収入を得ます。80代の晩年まで瑞々しい美貌を誇った雀右衛門さんですが、素顔が父譲りの端整な美形なんですね。しかしご本人は、映画はただ出ていただけで、芸の面でも得るものはなく、早く歌舞伎に戻りたかったと、5年で歌舞伎に復帰します。しかしなかなか居場所がなく、大阪で修業し、ようやく44歳で雀右衛門を襲名してから、女方一筋の修行を続け、歌右衛門さんの死後は、第一人者として活躍します…。

非常に生真面目な、芸一筋の方ということがよくわかる本ですが、自宅は洋風で、趣味はバイク乗りやスキー、スケートと、歌舞伎とは縁遠い趣味をあえてもち、リラックスしたいと書いています。

 

 2020_20200109235301  最後は十八代目勘三郎さんの「襲名十八代 これは勘三郎からの恋文である」。2005年の勘三郎襲名直前までの2年弱、スポーツニッポンに連載されていた聞き書きの記事をまとめたものです。

あの勘三郎さんが、いちばんノリに乗っている時期なので、公私ともに大忙し。新作、人情劇、平成中村座、それに獅童、海老蔵、菊之助、息子たち。「ラストサムライ」も出てきます。ああ、この不思議な雰囲気の明治天皇は、って思ったんだっけ(若き七之助!」この本に出てくる藤山直美、渡辺えり、大竹しのぶ、唐沢寿明なども魅力的。

30歳頃に三津五郎とディスコに行ってうまく踊れなくて、三社祭を踊ってウケたこと。自分の「京鹿子娘道成寺」は、先代芝翫さんから教わって一番稽古をしたもので、六代目菊五郎の娘である母や、初代吉右衛門の娘・初代白鸚夫人がメンバーだった「古娘会」の厳しい女性たちに怒られながら覚えたものであること。弁天小僧を父から手取り足取り習ったこと。

さっと読めるのですが、芯から芝居の好きな、彼のエネルギーをもらったような元気な気持ちになる本でした。

(追記)

2001toyokuni 国立劇場に行ったら、伝統芸能館で、初代歌川豊国生誕250年記念「歌川豊国 ―歌川派の役者絵―」をやっていたので、おお、「芝居絵」だと思って見てきました。

 実物はやはり筆致の勢いを感じられていいですね。色も鮮やか。当時の人気役者による人気演目のいい場面を掬い取った芝居絵。私たちが舞台写真を買うように、江戸の芝居好きが大事に買って家で眺めていたと思うと、とたんに江戸が近く感じられました。

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