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スーパー歌舞伎Ⅱ「新版 オグリ」(隼人オグリ)

  猿之助の201910oguri_20191014220601スーパー歌舞伎Ⅱの新作「新版 オグリ」です。先代のスーパー歌舞伎「オグリ」のリメイクで、先代が技術的・予算的に断念した映像を使った演出を実現したという触れ込みです。オグリは猿之助・隼人のWキャストですが、隼人オグリを先に見ました。

 (その後、猿之助オグリも見ました!)

小栗判官ものは、お正月の菊五郎劇団の「世界花小栗判官」を見たことがありますが、暴れ馬を乗りこなすところと、ヒロインが照手姫で望まぬ結婚から逃れること、ハッピーエンドであることくらいが同じで、その過程はだいぶ印象がちがいます。

都から来た藤原正清、小栗判官(隼人)は、文武に秀で、いろいろ訳ありの若者たちを率いて人気となっています。望まぬ嫁入り道中の照手姫(新悟)をさらってから愛し合うようになった小栗と照手姫ですが、あくまで嫁入りを望む横山家によって、小栗一党は陥れられ、閻魔大王(浅野和之)と奥方(笑三郎)の支配する地獄に落ちます。一方照手姫は、一命を救われ、女郎屋で働くことになります…。地獄から、餓鬼病みの状態でこの世に帰ってきた小栗は…。

歌舞伎役者は澤瀉屋と若手、歌舞伎以外の俳優はワンピース歌舞伎の出演者、そして今回初傘下の舞台の実力派と多彩ですが、そこは四代目猿之助得意の役者の使い方や演出で、お弟子さんたちも含めて、一人一人に見せ場があって輝いていたのはよかったです。

隼人、大きくて美しくてヒーロー感たっぷり。ヒロイン照手の新悟は、もう一人の主役といってもいいくらい物語の芯を務めていて、この抜擢によく応えていたと思います。

猿之助の遊行上人の出番は少しなんですが、待ってましたの存在感。しかし、もう少し前半でオグリとの絡みがないと、人々を救うというより、迫力がありすぎる美坊主で、天下転覆を企んでいそうな雰囲気。何かどんでん返しがあるのではという気がしてなりませんでした。

オグリ党の笑也、竹松、福之助、男寅、猿弥、玉太郎。正直、全体にちょっと台詞が不器用なメンバーなんですが、いやー、うまく使ってましたよ。福之助、1か月も稽古したらうまくなったねー。今まで君が出てくると、お、と気づくくらいだったもん。男寅ってこんなにきれいな顔してたっけ。そして玉太郎!いい役どころで期待に応えてました。SUGATAで鷹之資と一緒に鍛えられてきたただけのことはあります!

歌舞伎外の役者さんも舞台で活躍する方たちなので芝居はしっかり。浅野和之さんは別格として、下村青、石黒英雄はビジュアルも存在感もとっても素敵、元ニナガワカンパニーの高橋洋は1幕を支えていました。嘉島典俊、市瀬秀和はもはや欠かせない存在。

段之さん、猿三郎さん、猿四郎さん、門松さん、欣也さん、笑野・猿紫ちゃんペアといった澤瀉屋の方々が、いい役どころで輝いていたのもよかったし、蔦之助も生き生きとしてたし、右近くんはやっぱり華があって落ち着いててよかったです。

豪華で今風テイストでかつ歌舞伎な衣装、効果的な鏡と映像、音楽も舞台にぴたりとはまり(衣装、美術、映像、音楽はとにかく超一流なスタッフ!)、既にお約束の宙乗りと本水で、いかにもなスーパー歌舞伎。脚本もいろいろ言われていますが、いいたいことはよくわかるし、現代にふさわしいものをという四代目の意図はきちんと伝わってくるものだったと思います。

しかし、スーパー歌舞伎という形については、考えてしまいました。四代目、男女蔵さん以外、先代の育てた澤瀉屋を除けば、浅草あるいは浅草未満な歌舞伎役者のみの座組。今後、四代目ファン以外の、演目を選んでみる歌舞伎ファンはどれだけ見てくれるんでしょうか。3幕は、明らかに隼人新悟の二人では間がもたないなと思いました。

四代目で見たい古典がほんとにたくさんありますし、四代目と大幹部、同世代(幸四郎~松也、梅枝くらいまで)の共演も見たいし、気鋭の作家と組んだ四代目の現代劇やシェイクスピアも見たい私にとっては、スーパー歌舞伎、5年に1回くらいでいい(それでも地方公演があるし)なんて言ったら、先代に怒られちゃいますかね。

ところで、今回の光るリストバンド、きれいでしたよ!また行くときに忘れないようにしなくっちゃ。

パンフレットも、いつもながらよかったです。役者の白シャツ写真と、三谷幸喜、赤川次郎、藤山直美、松任谷正隆、武豊、坂崎幸之助、大泉洋…といった有名人の方のエッセイが組になっていて、意外な縁に驚いたり。

四代目への福山雅治のコメントはとってもよかったですし、高橋洋には、演出家森新太郎が「クレシダ」のときのことを書いていて私的にはにっこり。

(追記)

その後、新型コロナウィルス感染症の影響で2020年3月の南座の全公演中止に伴い、20年4月ゲネプロの期間限定配信がありましたのでその感想。隼人、あくまで美しく、一段と成長を感じました。

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コメント

星に願いをさん、コメントありがとうございます。

隼人の餓鬼病み、きれいでしたよね。きれいでも、醜くなって苦しんでいる演技が求められるのでしょうが。

新悟ちゃんは、「阿弖流為」の、中性的な巫女が印象的でしたが、声の良さだけでなくて最近力つけてきてますよね。確かに女形としては背が高いので、四代目と並んだらどうかなと思います。

私が四代目を見るのはまだ先なので、感想聞かせてくださいね。

私も見ました、隼人さんの回でした。
澤瀉屋さんや歌舞伎以外の役者さんに関する情報、フムフムそうなんだーって読みました。

私はコミック全く読まない人なのでワンピやナルトよりしっくり来てメッセージもまっすぐ伝わってきました。

隼人さん背も高く舞台映えする容姿で素敵でしたが、餓鬼病みの化粧はもっとおどろおどろしく汚い方がラストの華やかさがより際立ったんじゃないかしらと思いました。だって餓鬼病みでも綺麗なんですもん(笑)

新悟さんは今まで余り印象に残っていなかったのですが声も澄んで聴き取りやすく雰囲気出てました。ただ背が高いので相手とのバランスが難しいかなぁ、でも頑張ってほしいです。

来週には猿之助さんの回に行きます。二人の違いをしっかりと見比べたいです。

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