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映画「ジョーカー」

201910joker  ホアキン・フェニックスの渾身の演技が評判の「ジョーカー」です。「バットマン」の敵役ジョーカーが生まれるまでを描くということで、「ダークサイド」はじめバットマンは全然見たことなかったんですが、バットマンを知らなくても大丈夫というのをきいて。

アーサー(ホアキン)は、サンドイッチマンやピエロをやりながら、母と暮らしています。突然笑いが止まらなくなる神経症状があり、不気味な雰囲気で仕事もうまくいかない、生きづらそうなアーサー。敵役ジョーカーになるという最大のネタバレありき映画なために、このアーサーは幸せになることはないんだ、実際、アーサーがやられているかやっているかのシーンばかりで全編つらいです。

ふとしたことで証券マンを地下鉄で殺してしまったアーサーがピエロのメイクをしていたために、ゴッサムシティ(=荒んでいて治安も最低な頃のニューヨーク)では、ピエロの仮面は下層階級の金持ちへの怒りの象徴になっていきます。そして…。

アーサーの鬱屈と怒りの爆発、個人の憤懣が社会的なうねりになっていくところの描写が本当にうまい。アーサーの母とか、トーマス・ウェインとか、TVショーの名司会者マレー・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ)の何ともいえないいやな感じも見事。心に刺さりながらエンタテインメントとしても成立しているすごい映画だと思います。

そうだ、前に「バットマンの名前はブルース・ウェインであることは覚えておいて」というのを読んでいたんですが、見てる間はすっかり忘れてました。覚えていればよかったのに。

アーサーの軽快なダンス(いわゆるダンスシーンというのとは違いますが)、ズン、とくる厳選された音楽もいいです。映画の中と、エンディングに流れる歌、ミュージカルの歌だなと思ってたんですが、最後に思い出しました。ソンドハイムの「リトル・ナイト・ミュージック」の名曲「Send in the Clowns」をシナトラが歌ったものでした。ミュージカルでは女性が歌うんですが(泣ける)、シナトラもすごくよかったです。

(直後の追記)

と、いったんこの記事アップしてから、実は全てがジョーカー監督が作り出したジョーカー誕生物語なのだという記事を目にして、うわああ、そうだったのかも、そうにちがいない、という気がしてきました。映画の中のアーサーが不幸なのは変わりませんが、ほんとうにアーサーがジョーカーなのかは、謎として残されているのだと…。深すぎる。

Tom Kob さんの「ジョーカー 圧倒的ネタバレ考察」

猿渡由紀さんの「「ジョーカー」が投げかける多くの謎。あのストーリーをどう解釈すべきか」

 

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