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長谷部浩「菊五郎の色気」

201910_20191027230901  長谷部浩さんの「菊五郎の色気」、2007年出版の文春新書です。全体の三分の一ほどが七代目菊五郎という役者について、残りは、代表的な役についての批評。

冒頭に、平成15年くらいまでのカラー写真があります。今も菊五郎さんの世話物の数々に間に合ってほんとによかったと思っていますが、やはり40代後半から50代の菊五郎さんの美しいこと!桜丸、弁天小僧、お嬢吉三、直次郎、五郎蔵、宗五郎、新三、玉手、政岡、白拍子花子、忠信、小姓弥生、獅子の精、判官、勘平、捨助と坊太夫(←NINAGAWA十二夜)。役名を書き出したら、どれもよくて省略できませんでした。妖艶だったりいなせだったり、かっこいいのなんのって。鳥居前の写真は2004年、菊之助の静ですが、この時点では、どうみても菊五郎さんの方が華があります(ここからみると、今の菊之助は本当にうつくしくなった!)。

寺島しのぶさんは、父の魅力を、「父が出ると、一枚、照明が明るくなったような気がする。『出』のときの空気の変え方がすごい」「それが自然にできるのが、梨園で育てられた歌舞伎俳優なんだと思います。出たときに、お客さんが見てくれるのを疑ったことがない。そこに何の迷いもないことが色気なんですね」といっています。さすが、歌舞伎俳優になりたくてたまらなかった娘のことばで、菊五郎さんの魅力を的確に表現しています。

しどころや段取りの多い役柄を、きっちりと緻密に演じながら、舞台ではまさにその役の人物が自然に存在しているのが菊五郎さんだと思うんですが、若い頃は、そのような技巧ではなく、女方としての美貌と、踊りのうまさで伸び伸びと数々の役をやってきた人という印象。しかし、ご本人は菊五郎として家の芸をやるために、女方よりも早く立ち役をやりたかったのだと。

菊五郎襲名時の話として、「父(七代目梅幸)は、歌舞伎界の紳士といわれて、温厚で、いつも一歩引いてきましたが、それはすべて、私に襲名をさせるためだったのかもしれません。…父は、歌舞伎界のどこにも敵を作らないことで、私を菊五郎にした」とあります(このくだり、私が中川右介著「歌舞伎 家と血と藝」で読んで印象に残った部分なんですが、元は長谷川さんが菊五郎さんから直接驚きの告白を受けてこの本に書いた文!これも引用なしで書いてたのか)。

辰之助さんが早逝したことで、音羽屋の芸を一身に引き受けた感のある菊五郎さんですが、凄みのある女方も見てみたいです。一部をちょっと見ただけですが三代目猿之助と共演した「雙生隅田川」の班女御前は、この美貌の迫力ある女方はいったい誰、と思いましたし、この本に写真のある玉手御前(純子夫人もとても素敵、と言っています)も何ともいえない表情をしています。政岡ももうやらないのかなあ。

しのぶさんや菊之助さんは、菊五郎さんが家の立派な稽古場で踊るところを見たことがないんだそうです。踊りについては、30そこそこまでに完成してしまったんでしょうか。

 

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