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「笑う門には福来たる―女興行師吉本せい」

Photo_20190728002801  藤山直美が吉本興業の創業者吉本せいを演じる「笑う門には服来たる」です。

吉本せい(藤山直美)は、船場の老舗に嫁ぎますが、夫の泰三(田村亮)は寄席や芸人が大好きで、商売は傾きます。どうせなら夫の好きなことを、と二人で寄席を始めることにしますが、初めはなかなか人気の芸人には出てもらえず、せいは冷やし飴をよそより冷たくする工夫をして売るなど苦労しながらがんばりますが、泰三は娘義太夫の波津江(鶴田さやか)と一緒にいるときに急死してしまいます…。

前に見た藤山直美の舞台は、漫才師ミス・ワカナを演じた「おもろい女」。シアター・クリエのこぢんまりとした洒落た空間より、彼女には演舞場や松竹座が似合うと思いました。広い舞台で、大正から戦後にかけて、興業師として、通天閣を見ながらがんばっていく吉本せいと、生き生きとした庶民を演じる一座の人々。休憩込み4時間の舞台で、丁寧に、ストーリーには関係のないちょっとしたやりとりを重ねながら、こちらものんびりと吉本せいの一生に付き合うという感じ。

藤山直美、肚に信念を持ちながら、かわいらしい女の部分もあって、台詞に説得力があるのは見事。深刻な場面の後でちょっと見せる軽快な動きやコミカルな表情、品のある所作、ほんとに素晴らしい方です。

田村亮さんがお年を感じさせない洒脱な泰三、春団治の林与一さんも貫禄です。せいと心が通じ合う真一の松村雄基が、坊ちゃんらしい二枚目でよかったですし、女優陣も実のある演技で舞台を盛り上げていました。そして、せいの末息子穎右(西川忠志)は、ややマザコンの優しい青年を力演していて、ちょっとご本人の坊ちゃんぶりと重なってよかったです。せいの弟正之助の喜多村緑郎は重要な役なんですが、若干長身を持て余してヒョロヒョロしているように見えました。

冒頭の、お馴染みの吉本の芸人さんたちの写真、ラスト近くの、ミヤコ蝶々(吉本所属)の弟子、ミヤ蝶子・蝶美(松竹芸能所属!)の漫才で、吉本のお笑いをしっかりアピールします。

さて、まさに今吉本興業の物語を見るとは、という話になるわけですが、当初は、せいが芸人を我が子のように扱い、「笑いは生きる力や!」という吉本。春団治に出演してほしさに、「師匠の死に水をとる」とまで言うせい。戦後、徴兵された芸人たちにせいが再開する場面は、泣けました。

 

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