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巡業高麗屋襲名披露「口上」「双蝶々曲輪日記 引窓」「色彩間苅豆 かさね」

201907   高麗屋襲名興業の巡業東コースです。先月の歌舞伎座で25日まで「みたに歌舞伎」に出ていた出演者たち、5日後の30日から巡業が始まったわけですよ。始まってすぐから評判がよくて、楽しみにしていました。客席はぎっしりと満員。

まずは「口上」。白鸚さんの力強い滑らかな口上。猿之助(少し砥の粉な拵え。白鸚さんとの共演の話が主)、高麗蔵さん、錦吾さん(親の代から100年高麗屋に仕えていると!)、廣太郎、幸四郎、そして最後に白鸚さんが演目について、「親の口からいうのも何ですが、猿之助さんと幸四郎は若手歌舞伎役者ではとっても踊りがうまいからお楽しみに」という趣旨の話をされてました。

いよいよ「引窓」です。2017年3月に現白鸚さんの与兵衛、彌十郎の長五郎で見ていますが、もっと細かく筋を押さえておくべきだったなどという記憶がありました。今回は2度目のためか、白鸚さんの長五郎、幸四郎の与兵衛のきめ細かい心理描写がすんなりとこちらに入ってきて、とても見ごたえがありました。

人を殺めて逃亡中、実母お幸(幸雀)に会いに来た長五郎(大きくて立派)。温かく迎えるお幸と与兵衛の妻お早(高麗蔵)。さすが高麗蔵さん、元花街の女らしい華やかさと、姑とも仲良くやっている気立ての良さが表れていて、とってもよかったです。

そして与兵衛の幸四郎。町人から郷代官となってうれしさを母に伝える様子、長五郎のことがわかって苦悩し、結局助ける心の動きが克明で、根底に与兵衛の人の好さが、幸四郎さんっていい人なんだあとと思わせるほど真に迫っていてよかったです。

お待ちかねの「かさね」。噂には聞いていましたが初見です。ロンドンでも上演して、亀治郎のかさねは大好評だったんですよね。

逃げていた恋人与右衛門(幸四郎)を追ってきたかさね(猿之助)。チラシよりちょっと年増になっちゃったかな、とちらと思ったのですが、娘らしいかわいい仕草を見るうちに、すぐに一途なかわいい娘に見えてきました。藤間紫さんの型という赤い袱紗を使いながら恋しさを訴えるかさね。

一方、水も滴る色悪な幸さん。幸さん、先ほどの「いい人」な感じが一ミリも残っていない完ぺきな色悪がまた似合うこと。最近、圓朝さんの「中村仲蔵」を聞いたところだったので、豊かな言語表現で聞いた「色悪」が、お手本のような形で目の前に現れている、という感激がありました。

そして、鎌の刺さった髑髏を拾い上げてからの形相の変わったかさねの迫力!いろいろな型での絡みに、一時も目が離せず、これでもかと見物に見せつける四代目の面目躍如。猿之助・幸四郎の名コンビの一つの究極の形を見せてもらいました。

そうそう、かさねの清元には、栄寿太夫として右近くんが出てたんですよ(父延寿太夫さん、三味線の兄斎寿さんも)。普通に一員として出ていましたので、巡業の筋書にも名前のみで写真は出ていないんですが、伸びやかな高音は、舞台に目を集中していてもわかるくらいで、栄寿太夫の襲名披露よりずっとよかったです。

お芝居と物語性の濃い所作事というとてもいいバランスの、いい巡業だと思いました。

(追記)

「演劇界」10月号の劇評の、この巡業の項は、児玉竜一先生。「かさね」については、幸四郎が、どこかでいい人風を見せるようなことがなく、「花道で糸立てを取ったところから黒々とした悪役肚で、それが最後まで微塵揺るがない」、「猿之助のかさねが…面倒くさそうな女を徹底して体現する」、そして「すっきりと図太い幸四郎と、手練手管を尽くした猿之助と、両者の絡み合いの濃密なことは、近来無比といってもいい」、とまあ絶賛でした。ふふ。

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コメント

星に願いをさん

巡業はなかなか本公演のように気軽にいけないですよね。幸猿のかさね、次はいつみられるかというのもあって、二人のファンはリピートしているみたいですし。康楽館でのかさねも見たかったです。

私も観たかったんですよーこの巡業。でも一番近くの会場に問い合わせたら既に完売、実際いらっしゃったかたの話でもかさねがとっても良かったって。うーん観たかったなぁ。本公演で是非是非やって欲しいです。

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