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四月大歌舞伎「平成代名残絵巻」「新版歌祭文 座摩社 野崎村」「寿栄藤末廣」「御存鈴ヶ森」

2019041

 4月の歌舞伎座、昼の部です。バラエティに富んだ演目が並び、のべ5時間(!)でした。

 1つめは、「平成代名残絵巻(おさまるみよのなごりえまき)」。平清盛の屋敷、徳子(壱太郎)の入内を前に、叔母の淑子(笑也)、時子(笑三郎)、宗盛(男女蔵)、藤原基房(権十郎)らが集まっています。徳子と知盛(巳之助)が舞います。

 次の場では、遮那王(=義経、児太郎)が、鎌田正近(市蔵)とともに、母の常盤御前(福助)と対面します。打倒平家を誓う遮那王。福助さん、声に張りがあり、お元気そうでした。そして遮那王と知盛との対決、宗清(彌十郎)の仲裁。巳之助と児太郎の両花道の引っ込みが力がこもっていて、よかったです。

2つめは、「新版歌祭文」。野崎村は、まだ見ていない有名演目の一つでしたので、楽しみにしていました。めったに出ない「座摩社」からです。

大店油屋の丁稚久松(錦之助)は、手代小助(又五郎)に騙されて、商い先から受け取った金をとられてしまいます。久松は油屋の娘お染(雀右衛門)といい仲。そのお染に岡惚れしている佐四郎(門之助)に調子よいことを言って金を巻き上げる小助と法印(松之助)。

久松の人柄と状況を説明してくれる場なんですが、主役は又五郎さん。生き生きと小悪党を演じています。松之助さんの味のあること、門之助さんのおっとりとしたカモの若旦那。

そしていよいよ野崎村。久松が育ての親の久作(歌六)の家に、小助とともに帰ってきます。久松がだまし取られた金を、小助にたたき返す久作。小助が帰った後、久作に久松と祝言するよう告げられて喜ぶ久作の娘お光(時蔵)。そこへ久松を追ってお染がやってきます。

お光ちゃんが最初に出たところから、素直で率直ないい娘なんですよ。祝言の御馳走のなますのために大根を刻む(時蔵さん手つきがうまい)ときの弾んだ気持ち、お染への嫉妬。お染も跡取り娘ながら、久松に惚れぬいているかわいい女。二人が取り合うのも無理もない、優男の久松。酸いも甘いもかみ分けたわれらがお父さん、歌六。

ストーリーは知っていたんですが、実際に見ると、意外に明るい面白いやりとり。役者さんがきっちり役に合っていて、それぞれの気持ちがよくわかります。身を引くお光のせつなさ。そして留め男(男じゃないけど)の役割で出てくるお染の母お常(秀太郎)。別れて帰るがけじめ、というのがまた胸にしみました。

両花道で、花道からはお常・お染親子が舟で、仮花道から久松が駕籠で帰ります。残されるお光と久作。駕籠かきの着物を脱ぐコミカルなひとくさりの後で、皆を見送ったお光の慟哭がかわいそうでほろりとしました。

上記の通り、時蔵・錦之助、歌六・又五郎がそれぞれ好演なんですが、この2兄弟はいとこ同士、そして今年は彼らの曽祖父の3代目歌六の没後100年なんだそうです。今の歌舞伎になくてはならない個性的な役者さん、この演目は、何よりの追善になったことでしょう。

2019044_1 3つめは、「寿栄藤末廣 鶴亀」藤十郎さんの米寿記念の舞踊です。1月の松竹座では藤十郎さんと、雁治郎・壱太郎、扇雀・虎之介でしたが、今回は、雁治郎・猿之助・亀鶴・壱太郎で登場。亀鶴さんは初代雁治郎さんの曾孫で、雁治郎さんたちのまたいとこにあたるんですね。

それで、今月の「演劇界」のロングインタビューで、猿之助が「一門の皆様に入れていただいてありがたい」って言ってたのか。その通りで、5人がせりあがってくるのを見ると、「何でいるの」感。しかし、ちんまりしている藤十郎さんの隣で、薄黄緑の衣装が似合って、ここ最近では一番きれい、もうオーラで輝いているように、そして次期女王は私、みたいに見えました。藤十郎さんと四代目の芸風はかなりちがうように思えるのに、このインタビューでは、いくつも役を教わったと言っていますし、別のところでは、「何をきいても論理的に答えてくれる」とも語っていて、本当に藤十郎さんのことを敬愛しているんだなと思います。高齢の方となぜか仲いい四代目。

さらに歌昇・種之助、児太郎、米吉と若手が花を添えて。壱太郎は、上の5人でいるときには妹分に見えるんですが、衣装を変えて児太郎・米吉と並ぶとお姉さんに見えて楽しかったです。

歌舞伎美人ニュースの記念写真 →勢揃いの華やかなお写真!これほしかったです。

さて最後は「御存 鈴ヶ森」。これも見たかった演目です。ここでも又五郎の飛脚が、鈴ヶ森に集まっているならず者たちに身ぐるみはがされる場面から。そこへ国元を出奔してきた白井権八(菊五郎)が駕籠から降ろされ、賞金目当ての雲助たちが襲い掛かるのをバッタバッタと斬ります。立ち合いながらユーモラス。

2019042_1 そして、幡随院長兵衛(吉右衛門)がやってきて、「おわけぇの、おまちなせぇ」に始まる名台詞の場面。ひーかっこいいよ吉右衛門さん。吉右衛門さんの役の中でも、長兵衛はかなり上位に入るので、また見られて感動でした。

 余談ですが、左近くんがネットで「左近センパイ」と言われるようになったのは、俳優祭で金太郎権八とやった鈴ヶ森の長兵衛が大ウケで、そのあと松緑が長兵衛をやったからなんですよね。これだったのかあ(「左近襲名披露のニュース」に出てました)。

ということで、盛りだくさんの昼の部でした。

 

 

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