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上村以和於「新世紀の歌舞伎俳優たち」

201903

       上村以和於さんの「新世紀の俳優たち」(2001年発刊)、「21世紀の歌舞伎俳優たち」の続編で、この本に掲載されなかった歌舞伎俳優を、上村さんがセレクトして取り上げたという本です。前作が、雑誌「演劇界」の連載で、その月の出演作を軸に書かれているのと比較して、もう少し自由に著者の思いを書いた感があります。

「21世紀の歌舞伎俳優たち」に倣って、登場する歌舞伎俳優の生年と、2001年時点での年令を挙げます。だいたい20足すと、今の年齢になります。お名前は、当時ではなく、現時点のもの。亡くなった方は赤字アンダーライン。

 

1932 田之助(68)
1933 宗十郎(67)
1935 我當(65)
1940 左團次(60)
1941 秀太郎(59)
1943 澤村藤十郎(57)
1946 段四郎(54)
1955 雀右衛門(45)
1959 鴈治郎 笑也(41)
1960 扇雀(40)
1963 右團次(37)
1968 孝太郎(32)
1973 幸四郎(27)
1975 松緑 猿之助(25)
1977 菊之助 海老蔵(23)

冒頭の海老蔵(当時新之助。紛らわしいので、以下全て現在の名にします)評が熱い。助六と源氏物語でのオーラ、スター性への感動、期待が伝わってきます。このとき、まだ20代前半の海老蔵は最初の全盛期といってもいいほどのブレイクだったんですね。歌舞伎はまったく見ていない頃ですが、雑誌記事やTVのドキュメンタリーで見ていた記憶があります。

さらに、現幸四郎、猿之助、菊之助、松緑と、今の花形。

わが猿之助は、大学時代歌舞伎の興行にはほとんど出ていないので、この時点では、彼らの中でも、本興行で演じた役が少なく、ようやく三代目の興行や右團次の自主公演、浅草歌舞伎等に出始めたばかり。著者は、猿之助が浅草歌舞伎で演じた弁天小僧について、才気を示した骨っぽい弁天ををほめています。

また、8才で出た「牡丹景清」の人丸を、うまい子役ではなく、子どもの姿をした大人の役者と評し、それだけ立派に踊ったこどもは三津五郎以来と絶賛。しかし、三代目猿之助王国のプリンスという当時の立場に対し、もっと開かれた役者にと結んでいます。彼が三代目の元を去るのはこの2年後ですが、出るべくして出たということでしょう。

そして、孝太郎、右近、笑也、雁治郎、扇雀、雀右衛門。彼らについては、今は地味だが実力を蓄えているのでこれからが楽しみという感じ。

雁治郎・扇雀兄弟も、大学までは歌舞伎に出ていなかったんですね。とくに扇雀さんは、子役にも出ておらず、大学も法学部で、むしろ母である扇千景さんの後を継いで政治家になるのではと思われていたとか。中車の例を見るまでもなく、幼いころから歌舞伎役者になるつもりでいたかどうかは、今リアルタイムで各家のお子たちの奮闘をみていると、大人になってから差があるのは当たり前のように思います。扇雀さんが、大学を出てから本格的に歌舞伎の修行をし、だからこそ、勘三郎さんの一座で福助さんとともに女方として活躍したことは、彼の中ではとても大きい意味をもっていたのだなと改めて思いました。

後半には、ベテランも登場していて、左團次、段四郎、我當、秀太郎、澤村藤十郎、田之助。

注目するのは段四郎さん。三代目猿之助の兄を支えてきましたが、本来の持ち味は骨太な立ち役、これまでの歩みを「驥足」とまで評する上村さん。2003年に、息子とともに兄の元を去っているわけですが、その後はさまざまな座組で舞台を締めるお役を務めるんですね。

藤十郎さんは、「かぶき手帖」できれいで華やかな女方(素顔も素敵)だなあと思っていますが、舞台復帰はなかなか果たせないようです。

この本では前進座等の瀬川菊之丞、嵐圭史、中村梅雀(←ドラマではいつもうまくて好き)、を取り上げていますが、歌舞伎役者は亡くなった方でも興味深く読むのに、全く興味がもてず。不思議なものです。

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