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木ノ下歌舞伎「摂州合邦辻」@KAAT

201903         木ノ下裕一さん歌舞伎演目の再構成による演劇、木ノ下歌舞伎「摂州合邦辻」です。木ノ下さんと児玉竜一先生の座談会 ですっかり天才木ノ下さんのファンになって、直後にチケットをとっていたのでした。

木ノ下歌舞伎は、私の理解では、歌舞伎台本の原典に立ち返り、物語として再構成したうえで、現代劇として上演することで、歌舞伎の演劇としての骨格を再認識するというもの。木ノ下さんの細かい読み込みと分析によりよりくっきりと演劇的構成が浮かび上がるということだと思います。

この「摂州合邦辻」は、高安通俊の後妻玉手御前(内田慈―ダンスも歌もよい女優)が、継子である俊徳丸(田川隼嗣)に毒酒を飲ませ、盲目・らい病にしますが、それは彼の腹違いの兄次郎丸からから守るためのもので、彼を元に戻すため、命を犠牲にするという壮絶な物語。歌舞伎では残念ながらまだ見たことはありません。

KAATの大スタジオ、11列目までしかなくてほんとに小さい、しかし舞台は十分な大きさのよい空間。無機質なインテリアは、実験的な作品にもぴったりです。

しかし、開始直後、全員での歌に驚き!黒い背景に大きな四角い木材が何本かあるだけの舞台に、キャスト全員が登場してイージーリスニング的なメロディの、現代の生活はたいへんだとかいう感じの歌詞の歌を延々と歌うんですよ。ミュージカルだったんだ!しかしいつ終わる?

オープニングでビッグナンバーを歌うミュージカルはけっこうありますが、最初から心を奪われる曲ですよね、RENTとかミス・サイゴンのような。中途半端な歌唱で歌われる歌に多少イライラしました。

そして、芝居が始まっても、ずっと音楽が鳴っているのに閉口。芝居としては、ヴァイルとか、ソンドハイムみたいな曲に合いそうなのに、フォークロックみたいなやや古い曲が、けっこうなボリュームで流れているのは本当にストレスでした。だっていい芝居ってBGMはいらないでしょう?後半、しばらく消えたと思ったら、最後にはまた鳴ったりして、BGMを流すかどうかの基準は見えず。

また、途中でもしばしば歌があります。最後も玉手の母おとくの歌。ミュージカルをこよなく愛する者として、こんなぬるい歌ばかりのミュージカルはそれ自体残念。歌を入れるなら、より感動を盛り上げるものでなければ意味がないんです。

男性はスーツ、女性は玉手は黒いレースのドレスですが他の女性は普段着。しかし前述のような意図のある芝居なので、脳内変換していきます。なるほど、この悲劇の背景にはそういう父娘関係があるのかということもわかっていきます。

木ノ下歌舞伎は、歌舞伎の映像を見て、台詞をすっかりなぞる稽古をびっちりやるそうで、元の台本通りの台詞の言い回しは、現代風となっていても、違和感は感じません。そういうところも含めて、お稽古は十分やれている感じ。俊徳丸以外は、活舌もはっきりしていて聞きやすく、その点からもお芝居が理解しやすいです。中でも羽曳野の伊藤沙保がクールでメリハリのきいたセリフがかっこいい。

201903_2

しかし、プロダクションの意図はともかく、エンタテインメントとしては、やっぱり歌舞伎役者の歌舞伎で見たい!ということでした。ついでに第1回亀治郎の会の玉手御前のチラシ。この役、とても猿之助に合ってると思うので。歌舞伎座でやってくれないかしら。

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