2019年6月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

« 「ヴォイス・オブ・ウエストエンド」@オーチャードホール | トップページ | 「大江山鬼伝説」@TACCS1179 »

壽初春大歌舞伎「絵本太功記」「勢獅子」「松竹梅湯島掛額」

201901kabukiza     今年初歌舞伎は、歌舞伎座夜の部です。お席がよかったこともあって、大大満足でした。

1つめは、「絵本太功記 尼ヶ崎閑居の場」。深い月代にくるくるヘアの他にない光秀の写真はよく見るのですが(團十郎さんのことが多い)、初見です。前半は討死を覚悟した光秀の息子十次郎(幸四郎)と許嫁初菊(米吉)のやりとり。前髪の幸四郎さんがお人形のように美しく、米吉も可憐で惹きつけられます。

この演目では、光秀の母皐月(東蔵)と妻操(雀右衛門)は、主君春長を光秀が討ったことを批判しており、皐月は久吉(歌六)に代わって光秀に斬られます。それでも信念を揺るがせない光秀(吉右衛門)。吉右衛門さん、台詞も力強く、舞台を支配するオーラがやはり素晴らしかったです。今月この一役の正清の又五郎さんもよくて、浅草の歌種兄弟を除き播磨屋総出の充実した演目。もちろん義太夫は葵太夫さん。

十次郎の出番は、予想外に多く、出陣して一人重傷で帰ってくる幸さん。私、とにかく幸さんが苦しんだり嘆いたり悩んだりするのが、なぜかとても好きなので、ああ~苦しんでる、と堪能してしまいました。

東蔵さんがインフルエンザで休演の間秀太郎さんが代役だったんですよね。皐月はしどころの多いお役で(三婆には入っていないけど)、いきなりの代役はたいへんだったでしょうね。東蔵さんも秀太郎さんも好きなので、秀太郎さんも見たかったような。

2つめは「勢獅子(きおいじし)」。いなせな鳶と芸者が曽我兄弟の物語や獅子舞を演じます。梅玉さんの手締めを観客もやったりして、お正月らしい、賑やかな演目。梅玉、芝翫、魁春、雀右衛門と、鷹之資、玉太郎、福之助、歌之助芝翫さんが振りにちょっと茶目っ気を足すのも楽しいし、鷹之資・福之助の獅子舞は見事で、終始楽しく拝見しました。鷹之資、先月南座で見られませんでしたが、とにかく見ていて楽しい、ずっと見ていたいと思わせます。玉ちゃんもSUGATA以来、応援してますからね!

手古舞も、よく見る皆さんの達者な舞踊。京妙さんと幸右衛門さんがペアなのがうれしかったり、11月の国立で大活躍だった梅蔵さんや京蔵さん、千壽さんもチェックしてました。

さて、いよいよ「松竹梅湯島掛額」。八百屋お七を題材とした、前半はコメディ、後半はお七の人形振りという演目です。

家が火事となって吉祥院に滞在している八百屋お七(七之助)一家。お七は武士の家から小姓となっている吉三郎(幸四郎)に恋をしており、お七をかわいがっている紅屋の長兵衛、通称紅長(猿之助)は、応援しています。お七を側室にしようとする範頼の家来六郎(松江)。あれこれあって、人にかけるとグニャグニャになるというお土砂を使って紅長は好き勝手。

猿之助がすっきりとした風情の愛嬌のある町人。お七(おひちと言ってます)をかわいがってはいるものの、恋を応援したりして、その紅長を応援する私たち。出ている間、細かい反応をしているので目が離せません。お七、吉三、紅長の3人の場は、3人の仲の良さ、役者としてのバランスの良さが出て、紅長が吉三をからかうのもほほえましくみられます。

松江さんが時事ネタぶっこみ満載で、もともとこの方、武張ったお顔もよく通る声も面白い方なので、楽しめました。猿之助も松江さんがこういうのやったら面白いだろうとけしかけたんでしょうね。

次の四ツ木戸火の見櫓の場では、どうしても吉三郎に会いたいお七は、木戸を開けるため、火の見櫓の太鼓をたたきます。その前が義太夫に乗っての人形振り。お七以外は下女のお杉(竹三郎)だけで、見どころはEテレでも放送された、七之助の人形振りです。

七之助の硬質な美貌は、人形のようで人の生の感情が込められていて、見得の美しさも秀逸。人形振りって、完全に人形になるだけではただのものまねで、人形にはできないその先を見せるからいいのだなと、(先月の玉三郎岩永を思いだしながら)思いました。

女中お杉の竹三郎さん、先月南座を休演されたので心配でしたが、出番やセリフも多い重要なお役、元気に勤めていらしてよかったです。一度、立ち上がる時に自然に紅長がサポートしているのが二人を思うとほっこり。しかし86歳とは思えないかわいらしさ。

猿之助丈の中では、11月の法界坊とセットで、このジャンルを試してみた演目なのかな、と思いました。いずれも、回数は少ないですが、吉右衛門さん(初代も当代も)演じている役で、共演はないものの吉右衛門さんが出演している月です。お二人に会話があったのか、知りたいなあ。芸質は違いますが、没交渉ではないのではと。

今年も猿之助丈から目が離せません。

(2回目幕見追記)

竹三郎さん、私が見たすぐ後に休演されてしまい、梅花さんが代役となりました。梅花さんといえば、先代芝翫のお弟子さんで、平成中村座のドキュメンタリーでは、長三郎ちゃんを辛抱強く教える姿が印象的でしたので、梅花さんのお杉も見たいと、幕見に行ってきましたよ。予想通り、テキパキした梅花さんのお杉。七之助のお七とはいいコンビでした。

そしてお七の人形振り。はるか幕見席からあえてオペラグラスを使わずに見ると、整った七之助の顔も含めてまあ、お人形!黒衣も背景に溶け込んで、お人形ですよ!

そして花道で人間に返るお七。櫓に上る一つ一つの動作に緊迫感があり、そして花道の見得の美しいこと!席が違えばまた違った魅力があるのが歌舞伎ですね。

« 「ヴォイス・オブ・ウエストエンド」@オーチャードホール | トップページ | 「大江山鬼伝説」@TACCS1179 »

歌舞伎」カテゴリの記事

四代目市川猿之助」カテゴリの記事

コメント

星に願いをさん、さっそくコメントありがとうございます。

まだ上旬なのに、たくさんご覧になっていますね。私は新橋以外、これからです。今月はどの劇場も評判がとてもよくて楽しみです。

この歌舞伎座夜の部、絵本太功記は吉右衛門さんはじめ役者さん勢ぞろい、勢獅子も見どころ満載で楽しく、松竹梅も前半、後半とそれぞれ楽しめて、歌舞伎がぎゅーっとつまった興行でした。楽しんでいらしてください。

歌舞伎座の夜の部は来週行く予定ですが、TVで七之助さんの人形振りを見ておお〜これは凄い!と思っていたので、まりるさんの感想読んで益々楽しみになりました。
幸四郎さんの何とも頼りない、でもほっとけない優男キャラや吉右衛門さんのオーラ満載の舞台も早く実際の演技を見て見たいとワクワクしています。

私の今年の歌舞伎始めはまず浅草から。その後歌舞伎座昼の部、国立、そして新橋昼の部。

どれもそれぞれ異なる趣きで楽しめました!もしまりるさんも観劇なさる予定があれば感想楽しみにしています。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 壽初春大歌舞伎「絵本太功記」「勢獅子」「松竹梅湯島掛額」:

« 「ヴォイス・オブ・ウエストエンド」@オーチャードホール | トップページ | 「大江山鬼伝説」@TACCS1179 »