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十二月大歌舞伎「幸助餅」「於染久松色読販<お染の七役>」

201212kabukiza      今月の歌舞伎座昼の部です。1つめは、「幸助餅」。松竹新喜劇の名作を今井豊茂さんの補綴・演出で。

幸助(松也)は、大阪の餅米問屋の主人でしたが、相撲の雷(中車)に入れ込みすぎて夜逃げし、今妹お袖(児太郎)を身売りさせて再起の金30両をつくります。ところが江戸に行っていた雷に再会した幸助は、なけなしのその金を、大関となった雷に祝儀としてやってしまいます。叔父(片岡亀蔵)や女房おきみ(笑三郎)により後悔した幸助は、金を返すように雷に頼みますが、雷は拒絶します。怒った幸助は…。

悪人は一人も出てこない(あらネタバレ)人情話なんですが、年のせいか、皆が仲良く仕事に精を出したり感謝したりするというだけでじんとしてしまいます。松竹新喜劇のこってりした喜劇味は上品になっているんでしょうが、ちゃんと歌舞伎として見ごたえのあるものになっていました。

松也のおっとりした愛嬌のある旦那ぶりがけっこう合っていて、動きも大げさなんですけど軽くていいです。雷に入れ上げたり、その仕打ちに怒ったりの感情の振れがかわいい。中車も小柄ながら、嵩高い立派な花形力士の衣装が似合っていました。

脇も手堅くて、笑三郎は最初叔父の妻かと思ったら、年上の女房なんですね。萬太郎、廣太郎もいい味出していましたし、芸者笑也、店でかいがいしく働く笑野・猿紫のかわいいコンビ、勧進相撲の寄進を集める町役の猿三郎さん(大阪出身なのでことばが自然ですてき)と、昼の部、澤瀉屋の面々大活躍。

2つめは、「於染久松色読販(おそめひさまつおきなのよみうり)<お染の七役>」。

この演目、3月に玉三郎 さんが土手のお六の2場だけ演じたばかりですが、今回は本来の早変わりで、油屋の娘お染、お染と恋仲の丁稚久松、奥女中竹川、芸者小糸、お染の母貞昌、土手のお六、そして在所の久松の許嫁お光、の7役を、人気の女形が早替りで演じるという演目。壱太郎の初挑戦、これ自体初めて見るので期待していました。

久松は実は武士で、例によって紛失した刀と折り紙を探しており、油屋の周りでそれをめぐっていろいろな登場人物が動きますが、ちょっと予習を怠ったのと、昼過ぎなのでちょっとぼーっと見てたら多三郎(門之助)、弥忠太(猿弥)の細かい設定が飛んじゃいました(意外と筋が複雑だったので省略)。

最近進境著しい壱太郎、なんだか貫禄もついちゃって、華があります。早替わりもなかなか見事。夜の部の梅枝・児太郎が話題ですが、この壱太郎も、大挑戦といえましょう。七役でいうと、久松がなよなよしすぎていて、女に惚れられる感じが乏しい。土手のお六はニンでなくて面白くない。竹川と貞昌はさほど重要な役ではない。

ということで、この演目、土手のお六の2場を除けば、芝居としてというよりは、人気の(贔屓の)役者がいろいろな役で出てきてとにかくうれしくありがたいというものなのかなと思いました。そういえば、何度も演じているのは玉様、福助ですし、最近では七之助、私が見たいのも、今なら猿之助や七之助。壱くんは好きだけど、壱くんだけをいっぱい見たいわけではないんですね(ごめんなさい)。

壱くんのお六がやや薄いためか、松緑の存在感が抜群で、絶好調にみえました。こういう体や雰囲気で見せる役かっこいい。中車の嫁菜売りもあくが強くて合っていると思いました。番頭善六の千次郎は、3月にも感心したとおりだし、今回の久太(鶴松)も生き生きとしてとてもよかった。鶴松って立ち役の方がよいのでは。

大詰は壱くん得意の舞踊、最後に一番難易度の高そうな早替わり(わからなかった!)、そして船頭長吉(松也)と猿廻しお作(梅枝)で舞台がぱっと華やかになります。なんだか、二人が、ここまで壱くんご苦労様、私たちが花を添えますよ、とでも言っているよう。とくに梅枝くんは今月特別な目で見るせいか、気の張る夜に比べて昼は伸び伸びと踊れるのかな、なんて思ったりして。

(ところで、猿之助の出演記録に2004年「猿廻しお作」ってあって、どんな役だろうと知りたかったんですよ。舞踊が得意な女方のやるいい役ですね。このときの長吉は松緑でした。)

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コメント

星に願いをさん、コメントありがとうございます。

萬次郎さんって、とっても個性的で声の通る方で、「輝虎配膳」の越路とか、「阿弖流為」の巫女とか、「決闘!高田馬場」の長屋のおばあさんとか、大好きなんですよ。こういうしっかりしたおばさんっているなーって味がありますよね。

お染の七役の感想は、書いた通りなんですが、梅枝や右近がやったとしてもさほど見たいと思わないので、やっぱりこちらの気の持ちようでしょうか。

昼の部行きましたか、‼︎私も見ました!
幸助餅ほのぼのして良かったですねー。ボンボンで人の良い幸助を松也が好演。脇を固める皆さんの手堅い演技につい引き込まれていきます。萬次郎さん、今までは印象薄かったんですが(失礼)さすがベテランの味、なるほどそうだったの〜とホロリときました。松也さんこれからも芸の幅を広げていって欲しいです。年末に相応しい良いお話でした。

壱太郎さんは以前から台詞まわしと言うか言葉がちょっと聞きづらい感じの時があって、頑張っているのはよ〜く分かるんですがうーむ、、、って感じでした。でも大詰めも踊りはさすが、素晴らしいDNAを受け継いでいるなーと思いました。

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