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2018年12月

2018年私的ミュージカル・演劇&歌舞伎ベスト10!(その2・歌舞伎・アクセスランキング編)

201811_2      恒例の私的ミュージカル・演劇&歌舞伎ベスト10!のその2、歌舞伎その他および年間アクセスランキング編です(そこまでするか)。

その1・ミュージカル・ストレートプレイ編(前年までのベスト10リンクあり)

【歌舞伎】

歌舞伎の観劇数は、幕見も含めて45回。初の遠征も、松竹座、南座に行くことができました。例によって、一つの芝居ではなくその日の満足度という観点で選びました。まだ初見の作品が多いのと、猿之助贔屓のためやや(かなり)偏りがあるのはご容赦を。

1.吉例顔見世大歌舞伎「楼門五三桐」「文売り」「隅田川続俤 法界坊」

猿之助が、昨年の大怪我を乗り越えて、歌舞伎座で座頭をきっちり務めた法界坊。女方の舞踊も見られて感無量でした。絵のような吉右衛門・菊五郎御大の楼門五三桐もよかった。

2.吉例顔見世興行「義経千本桜 木の実 小金吾討死 すし屋」「面かぶり」「弁天娘女男白浪(浜松屋途中まで)

仁左衛門・秀太郎ほか松嶋屋の木の実から出した情愛あふれるすし屋、泣けました。ほんとはこれに鷹之資・千之助の三社祭まであったのですよね。さすが顔見世。

3.スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」

大怪我からの完全復帰となった猿之助のワンピースは、2年前とは別もののルフィでした。

4..二月大歌舞伎「熊谷陣屋」「壽三代歌舞伎賑」「仮名手本忠臣蔵七段目」

仁左衛門・玉三郎のじゃらじゃらと白鷗の大きさが楽しかった祇園一力茶屋の場。

5.平成中村座十一月大歌舞伎「弥栄芝居賑」「舞鶴五條橋」「仮名手本忠臣蔵祇園一力茶屋の場」

同じく一力茶屋の場、勘九郎・七之助兄弟が最高でした。五條橋の勘九郎弁慶もよかった。初めての平成中村座も感激。

6.團菊祭五月大歌舞伎「弁天娘女男白浪」「鬼一法眼三略巻 菊畑」「喜撰」

やっと見られた菊五郎弁天娘。

7.高麗屋襲名披露二月大歌舞伎「春駒祝高麗」「一條大蔵卿」「暫」「井伊大老」

新幸四郎の大蔵卿、海老蔵の暫、吉右衛門・雀右衛門の井伊大老と超満足の昼の部。

8.七月大歌舞伎「御浜御殿綱豊卿」「口上」「女殺油地獄」

仁左衛門の綱豊卿、そして油地獄での幸四郎・猿之助の共演!

9.四月大歌舞伎「絵本合法衢」

仁左衛門の徹頭徹尾の悪党、時蔵のうんざりお松の痛快娯楽作。

10.八月納涼歌舞伎第2部「東海道中膝栗毛」「雨乞其角」

かごつるべのパロディ、七之助や獅童の19.変わり、弥次喜多の友情、若手の舞踊比べと見どころたっぷりのYJKT第3作。

11.十月大歌舞伎「通し狂言 雙生隅田川」

右團次、右近、猿之助活躍の雙生隅田川。

12.コクーン歌舞伎「切られの与三」

七之助・梅枝のみずみずしい青春の切られの与三。

13.芸術祭十月大歌舞伎「宮島のだんまり」「吉野山」「助六曲輪初花桜」

仁左衛門の助六!勘九郎・玉三郎のそれは美しい吉野山。

14.六月大歌舞伎「妹背山婦女庭訓 三笠山御殿」「文屋」「野晒悟助」

15.八月納涼歌舞伎第3部「盟三五大切」

16.七月大歌舞伎「河内山」「勧進帳」

17.十二月大歌舞伎「壇浦兜軍記 阿古屋」「あんまと泥棒」「傾城雪吉原」

18.「増補忠臣蔵―本蔵下屋敷」「梅雨小袖昔八丈―神結新三」

19..SUGATA「二人三番叟」「雙生隅田川」

20.初春歌舞伎公演「通し狂言 世界花小栗判官」

このあたりから、もう順不同に近いです。日によってかなり変動します。どれも楽しかった!

吉例顔見世大歌舞伎「お江戸みやげ」「素襖落」「十六夜清心」

壽初春大歌舞伎「角力場」「口上」「勧進帳」「相生獅子・三人形」

「通し狂言 名高大岡裁」

團菊祭五月大歌舞伎「雷神不動北山櫻」「女伊達」

芸術祭十月大歌舞伎「三人吉三巴白浪」「大江山酒呑童子」「佐倉義民伝」

秀山祭九月大歌舞伎「操三番叟」「俊寛」「幽玄」

八月納涼歌舞伎第1部「花魁草」「龍虎」「心中月夜星野屋」

秀山祭九月大歌舞伎「金閣寺」「鬼揃紅葉狩」「河内山」

三月大歌舞伎「於染久松色読販」「神田祭」「滝の白糸」

「通し狂言 増補双級巴  石川五右衛門」

六月大歌舞伎「夏祭浪花鑑」「巷談宵宮雨」

四月大歌舞伎「西郷と勝」「裏表先代萩」

新作歌舞伎「NARUTO」

壽初春大歌舞伎「箱根霊験誓仇討」「七福神」「菅原伝授手習鑑 車引 寺子屋」

十月大歌舞伎「華果西遊記」「口上」「め組の喧嘩」「玉屋清吉 團十郎花火」

【映画、ドラマその他】

映画は引き続き、超話題作、シネマ歌舞伎、ミュージカルの原作映画等ばかりでした。

「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」「グレイテスト・ショーマン」「カメラを止めるな」「ボヘミアン・ラプソディ」「ファンタスティック・ビースト2」など。

ドラマは「風雲児たち」に始まり、「風林火山」再放送「アンナチュラル」、「黒井戸殺し」「ブラックペアン」「おんな太閤記」再放送「元禄落語心中」、「獣になれない私たち」と、新鮮なドラマが多かったです。

その他、講談の松之丞と出会い、4回も聞くことができました。真打ち昇進おめでとう!

【ブログアクセス年間ランキング】

おまけに、年間アクセスランキング。「黒書院の六兵衛」、昨年に続き2連覇です(なぜ!)。

1.浅田次郎「黒書院の六兵衛」
2.劇場データベース!(座席表付き)
3.カテゴリ:四代目市川猿之助
4.三谷幸喜「江戸は燃えているか」@新橋演舞場
5.カテゴリ:歌舞伎
6.「髑髏城の七人Season 花」@IHIステージアラウンド東京
7.八月納涼歌舞伎第1部「花魁草」「龍虎」「心中月夜星野屋」幕見
8.カテゴリ:劇場データベース
9.高麗屋襲名披露二月大歌舞伎「熊谷陣屋」「壽三代歌舞伎賑」「仮名手本忠臣蔵七段目」
10.一条ゆかり「プライド」-(付)名セリフ集
11.カテゴリ:ミュージカル
12.吉例顔見世興行東西合同大歌舞伎「義経千本桜」「面かぶり」「弁天娘女男白浪」@南座
13.「リトル・ナイト・ミュージック」@日生劇場
14.大河ドラマ「新選組!」@2004と「土方歳三最期の一日」.
15.2017年私的ミュージカル&演劇・歌舞伎ベスト10!.
16.七月大歌舞伎「御浜御殿綱豊卿」「口上」「女殺油地獄」@松竹座
17.「スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース」@大阪松竹座

18.吉例顔見世大歌舞伎「楼門五三桐」「文売り」「隅田川続俤 法界坊」
19.八月納涼歌舞伎第2部「東海道中膝栗毛 再伊勢参?! YJKT」「雨乞其角」.
20.「メタルマクベス disc1」@ステージアラウンド
21.佐々木倫子「Heaven?―ご苦楽レストラン」
22.「キス・ミー・ケイト」@プレイハウス
23.来日ミュージカル「RENT」@シアターオーブ
24.宝塚花組「ポーの一族」
25.シネマ歌舞伎「野田版 研辰の討たれ」
26.「スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース」@新橋演舞場
27.宝塚雪組「ひかりふる路~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール」「SUPER VOYAGER!」...
28.シネマ歌舞伎「らくだ/連獅子」
29.安部龍太郎「等伯」― 画家小説は面白い
30.中川右介「海老蔵を見る、歌舞伎を見る」 小玉祥子「二代目―聞き書き中村吉右衛門」

2018年私的ミュージカル・演劇&歌舞伎ベスト10!(その1・ミュージカル・ストレートプレイ編)

201812        恒例の年間ベスト10です。今年は、ありがたいことに、昨年以上にたくさん観劇できまして、初の遠征まで敢行してしまいました。劇場に行った回数は昨年の84回を上回る104回と最高記録になりました(!)。ミュージカル、ストレートプレイ、歌舞伎の3つに分けて発表します。

例によって、私が個人的にそのとき舞台で得た感動と、もう1回見るならどれかといった趣旨のランキングで、作品自体の優劣ではないのでご容赦を。見た座席の影響もありますし、最近見たものの方が印象が強いような気もします。

タイトルをクリックすると、このブログの記事にとびます。その2歌舞伎・その他編

(前年までのリンク) 

2009年的ミュージカルベスト10!
2010年私的エンタメベスト10!
2011年私的演劇&コンサートベスト10!
2012年私的演劇等ベスト10! 
2013年私的ミュージカル&演劇その他ベスト10!
2014年私的ミュージカル&演劇その他ベスト10!
2015年私的ミュージカル&演劇その他ベスト10!
2016年私的ミュージカル&演劇その他ベスト10!
2017年私的ミュージカル&演劇・歌舞伎ベスト10!

【ミュージカル】

今年は30本。日本オリジナルの秀作が多く、小さな劇場での公演も新鮮でした。ほとんど外れなく、楽しい気持ちで劇場を出た作品ばかりでした。年末、「日本の歴史」と「スリルミー」を見そびれたのはちと残念。

1.サムシング・ロッテン

やっぱり福田雄一が当たるとすごい。歌、ダンスもクォリティが高いコメディ・ミュージカル。

2.メタル・マクベスdisc1

こちらも歌、お笑い、舞台装置、熱量のすべてがすばらしかったステージアラウンドの傑作。

3.生きる

黒沢映画の世界を、ノスタルジックな雰囲気と、テンポのよい語り口で描いた、日本ミュージカルの可能性を示した秀作。

4.ジャージー・ボーイズ

中川晃教はじめ一体感のあるカンパニーの傑作。

5.メリー・ポピンズ

濱田めぐみのすばらしいメリー・ポピンズ!

6.宝塚花組 ポーの一族

萩尾望都の独特の世界を見事に再現。明日海りおのエドガー!

7.1789- バスティーユの恋人たち

神田沙也加のオランプ、龍真咲のマリー・アントワネット!

8.メタルマクベスdisc2

松也、大原櫻子のマクベス夫妻。

9.宝塚雪組 凱旋門 Gato Bonito!

轟悠さまの渋い凱旋門リバイバル。

10.RENT

久しぶりに見た若々しいカンパニーのRENT。

11.リトル・ナイト・ミュージック

大竹しのぶ、風間杜夫、蓮佛美沙子の大人のミュージカル。ウェンツ君も出てました。

12.エビータ

ラミン・カリムルーが、歌い、演じるのを見られた!

13.シティ・オブ・エンジェルス

山田孝之と柿澤勇人の楽しい福田雄一ミュージカル。

14.ファン・ホーム

吉原光夫、大原櫻子がよかった。心に残るアフタートークもよかった。

15.オン・ユア・フィート

クリエ全体が盛り上がった、朝夏まなとのグロリア・エステファン。

16.マリー・アントワネット

17.ブロードウェイと銃弾

18.ゴースト

19.コーラスライン

20.マイ・フェア・レディ

他も、もう順位は関係ないくらい、みんなよかったです。

ウーマン・オブ・ザ・イヤー
オペラ座の怪人 ケン・ヒル版
タイタニック
グーテンバーグ・ザ・ミュージカル
シークレット・ガーデン
池袋ウエストゲートパーク SONG & DANCE
ショーガールvol.2 告白しちゃいなよ、you
雪組ひかりふる路 SUPER VOYAGER
モーツァルト!
三文オペラ
A Class Act
マディソン郡の橋
マタ・ハリ

【ストレートプレイ】

今年はストレートプレイもいろいろな作品を見られました。ケラさん2作、彼は今現代演劇の一つの最高峰ではと思います。そして、白石加代子、藤山直美、波乃久里子、水谷八重子と、いつか見たいと思っていた大女優の舞台を見られたことも感激。

1.百年の秘密

「修道女たち」と悩みましたが、どちらもそれぞれ傑作。構造の面白さの分でこちらを上に。

2.修道女たち

寓話的に個人と社会の問題を描きつつ、エンタテインメントとしても一級の作品。

3.白石加代子の牡丹灯籠

たった一人で豊かな作品世界を描き出した名女優の舞台

4.贋作 桜の森の満開の下

色彩豊かな野田秀樹の秀作。

5.おもろい女

やっと見られた藤山直美。

6.江戸は燃えているか

役者の魅力を引き出した三谷幸喜の西郷と勝。

7.6週間のダンスレッスン

草笛光子と松岡充のハートウォーミングな素敵な舞台。

8.犬神家の一族

新派のヒット作となりそうな新作。

9.ヘッダ・ガブラー

寺島しのぶ、小日向文世の文学の薫り高い舞台。しのぶさん、歌舞伎座で時々お見掛けしますが美しい!

10.華氏451度

白井晃と長塚圭史がタッグを組んだ意欲作。

セールスマンの死

風間杜夫の熱演。山内圭哉の息子に驚愕。

黒蜥蜴

男の純情

ウォーター・バイ・ザ・スプーンフル

長くなったので その2 歌舞伎・その他編(年間アクセスランキングあり)に続きます。

「サムシング・ロッテン」@東京国際フォーラム

201812      今年最後の観劇は、大好きな福田雄一さん上演台本・演出の「サムシング・ロッテン」。ブロードウェイのオリジナルは2015年4月開幕、2017年1月にクローズで、わがアダム・パスカルがシェイクスピア役のクロージング・キャスト、そしてそのままツアーキャストとして今年の5月まで1年半演じていたミュージカルだったので、是非見たかったんです。面白かった!

お話は、16世紀末、シェイクスピアが人気の時代。ニック(中川晃教)とナイジェル(平方元基)は彼に負けない作品を作ろうと苦心しています。ニックは予言者ノストラダムス(あのノストラダムスの甥、橋本さとし)により、将来はミュージカルというものが人気となり、「オムレツ」が後世に残る最高傑作となる、と予言されて、その気になります…。

最近の福田雄一ミュージカルを見て、歌・ダンスとコメディセンスとどちら重視でいくんだろうと思っていたんですが、この作品は、ミュージカルパロディ部分で笑わせるという構成がかっちりしているためか、キャストの好演もあって、どちらも満足で、最高でした。

アダムのやったシェイクスピア、カリスマ的な人気もあるけど創作の苦労もにじみ出ていろいろ動くのもかわいらしく、重要で盛り上がるいい役だということがわかりました。アダムとは全然タイプはちがうけど、西川貴教、小柄ながらオーラとか、華とか歌の力強さとか、にじみ出るユーモアとかとっても合っていて、楽しかったです。

(おおざっぱなネタバレあり)

ミュージカル・パロディは、もとの曲からしてうまく使っているんですが、福田氏はセリフでも、遊んでくれます。キャッツ、ウィキッド、ミス・サイゴン、モーツァルト、エリザベート、天使にラブソングを、オペラ座の怪人、レ・ミゼラブル、コーラス・ライン、雨に唄えば、ライオン・キング、キンキー・ブーツ… 大司教の歌には大笑いしちゃいました。私のいた1階後方のまわりはかなりウケていましたが、前方はもしかしたら西川君のファンだったかも(ペンライト率多かったし)。

ミュージカルネタ以外にも、ステージアラウンドネタはもう目に浮かぶようで面白すぎたし、橋本さとしが「プロフェッショナル」のナレーションやっているのも、知らない人もいたかもですよね。西川君の筋肉ネタや、ハズキルーペからの「王様と私」なんかも受けました。

とくにノストラダムスとニックのシーンは盛り上がりすぎて、しばらく拍手が鳴りやまないほど(だからこういうミュージカルはリピートすると楽しいんだよね)。

もう一つの見どころは、シェイクスピアからの引用です。克明に知らなくとも、箴言のような名セリフは短くてもシェイクスピア、うまい俳優が話すと、耳に心地よいです。

歌は全キャストうまいんですが(アンサンブルもうま!)、ダンスシーンも振付が上島雪夫さんなのでどれもかっこいいです。タップダンスがたっぷりあったのも日本では珍しい。ブロードウェイだとタップ多いよなあと思ってたんですが、福田さんもパンフに「ミュージカルの象徴だから逃げたくなかった」と書いていて、アッキーと西川君のタップ対決場面があり、二人とも猛練習したそうです。アッキーは以前習っていたそうなので、ちょっとうまかったかも。それにしても、アッキーは出ずっぱりで歌も多く、しかもシングルキャストとは、今年も大活躍だったなあ、としみじみ。

ニックの妻ビーの瀬奈じゅんのコメディエンヌぶりも見事。冒頭からベルばらやったりしますし、いろいろな姿で出てくる場面が全部面白いです。

チラシなどで役名が載っているキャストはほかにナイジェルと恋に落ちるポーシャ(清水くるみ)だけですが、ほかにも、歌がうまいミンストレルとセリフが面白かったグラッパム卿の高橋卓士、シャイロック(横山敬)、ポーシャの父ブラザー・ジェレマイヤ(池田紳一)、と印象的な登場人物も多く、すばらしいアンサンブルでした。

Something_r2 さて、最後にアダムのシェイクスピアの写真をおいておきましょう。

十二月大歌舞伎「壇浦兜軍記 阿古屋」「あんまと泥棒」「傾城雪吉原」

201212kabukiza     今年の歌舞伎納めは、歌舞伎座夜の部、話題の阿古屋をやっと見ました。玉三郎さんの阿古屋はシネマ歌舞伎やEテレ「玉三郎かぶき女方考」で見ていて立派にきまっているし、阿古屋より二度と見られるかどうかわからない玉様の岩永を見たいし、ということで梅枝くん阿古屋です。

畠山重忠(彦三郎)につづき、岩永左衛門(玉三郎)が出てきます。

この岩永、人形振りというより、人形そのもの。首は胴の上に取り付けたみたいだし、袖が短くて体に比べて手が大きく見えるのも人形らしいです。眉が文楽の人形のように動くのって普通でしたっけ。鼻も丸く大きく、目は瞼の上にはっきり描いてあって、座っているときも見開いているようです。黄色い足袋の足は作り物ですが、その動きがまたものすごく人形。歩いたりします。

いよいよ遊君阿古屋(梅枝)登場。花道を歩く風情は3階からよく見えませんでしたが、すっぽんの見得ではやはり拍手。声も通り、凛として堂々とした阿古屋で、梅枝がこの大役に正面から挑んで一回り大きくなった姿を、彼の千穐楽で見せてもらった思いでした。豪奢な衣装に負けない、傾城の美しさを表現する表情をしていました。

琴責めの演奏も、どれも落ち着いて立派。胡弓の早弾きには、観客が拍手したくて前のめりになっているのを感じました。

舞台やや下手よりの梅ちゃんを見ながら、上手の岩永を見るのが忙しいのですが、人形なのでそんなに大きな動きはしません。私が見たことがあるのはシネマ歌舞伎の彦三郎(当時亀三郎)と、Eテレの玉三郎女方を語る、の勘三郎のごく短い場面ですが、もっと体にバネがあるような動きだったような気がします。岩永は阿古屋が好きで、あわよくば自分のものに、と思っていたような気がしていましたが、玉様の岩永はそこまでギラギラしたものは感じませんでした。

榛沢六郎(坂東亀蔵)と合わせて、舞台に絵のような役者しかいない阿古屋の世界、堪能しました。

2つめは、「あんまと泥棒」。あんま秀の市(中車)が仕事を終え文句を言いながら帰ってくると、泥棒(松緑)が入ってきて、金を出せと脅します。酒を飲んだり身の上話をしたり。最後はあんまに一杯食わされる泥棒。

舞台は夜で暗いんですが、中車のこってりしたあんまがユーモラスで、松緑も達者で楽しかったです。この二人、らくだでも共演していましたが、相性がいいんでしょうか。松緑に現代劇的センスがあるからかもしれません。あんまが最後の小判の上に座る場面が、先月の法界坊を思い出させて面白かったです。

最後は玉三郎さまの新作舞踊「傾城雪吉原」。雪の中、四季を踊る傾城。曲がよく、ひらひらする雪も美しくて、どんなにオペラでじっと見ても玉様美くしい。一人立つときはすらりとした玉様、本当にすてきでした。鼻だってすうーっとほっそりとしていて、岩永と同じ人間なんでしょうか。歌舞伎ってすごい。

ドラマ「元禄落語心中」「下町ロケット」「獣になれない私たち」

201812     今季のドラマ、NHK「元禄落語心中」です。原作コミックは未読。

名人八雲(岡田将生)に弟子入りしたもとやくざの鉄砲玉与太郎(竜星涼)。八雲の家には、八雲を父助六の仇と憎んでいる小夏(成海璃子)がいます。八雲と助六(山崎育三郎)は、子供の頃先代八雲(平田満)に入門した兄弟弟子でしたが、破天荒ながら天性の愛嬌のある助六に劣等感を持つ優等生タイプの八雲(当時菊比古)。二人はよきライバルに育っていきますが、みよ吉(大政絢)をめぐって二人には…。

戦前からの古い寄席を舞台に、落語と小夏の父母の死の謎を描いていくミステリー要素があって、面白かったです。最後、やっぱり小夏の子の父親は八雲だったんじゃないかなあ。

ミュージカルの人である山育と、竜星涼の落語が生き生きとしていてうまくて感心しました(前座クラスよりはうまいと思った!)。ただ、岡田くん、年寄りだからってあんなにゆっくり話さないし、あまりに端正な顔で老け役は難しいと思いましたよ。大政絢がみずみずしい美貌、篠井英輔さんの家人がとてもよかったです。

201812_2      菊之助が出演するというので「下町ロケット」も見ました。前回のシリーズは見ていません。

(以下、ワルクチですのでお好きだった方ごめんなさい)

前回は下町の中小企業がロケットに使われる技術を作り出すということだったそうなので、実際にありうると思うんですが、続編は、無人トラクター。しかし、関係者は担い手が高齢化した日本の農業を救うにはこれしかない、と思ってるらしいんですよ。しかもその動機が、元経理部長(立川談春)が親の跡継ぎをしている田んぼで田植えを手伝ったら素晴らしかったって。日本の農業の様々な問題って、トラクターだったのか、って言いたくなるじゃないですか。

で、菊之助の役どころは、前半は主人公佃社長(阿部寛)と最初は協力し、後に敵対するギアゴースト社の社長。元帝国重工の優秀なエンジニアで、的場(神田正輝)のやり方に疑問を感じ同僚の島津(イモトアヤコ」)と起業したという設定です。

いやー、せっかくの本格的な連ドラなのに、ナニコレな役ですよ。前半は特許侵害で訴えられただオロオロ、後半は古館伊知郎にたきつけられて佃製作所を裏切り、帝国重工に復讐をはかります。いつも着ている作業着の襟は立ち、眉毛はきれいに整えられているし。エリート技術者にあの眉毛はないわー。色っぽすぎる目を覆い隠す眼鏡も役に立っていません。生真面目な、ちょっと浮いてるお人柄が(だから舞台ではいいのよ)裏目に出た感じ。番宣にもたくさん駆り出されていたけど、イタイ感じでしたよね。

また、イモトさんはどちらかといえば好感を持ってみてる方ですけど、われらが菊ちゃんと「伊丹くん」「島ちゃん」という関係なのにはすごい違和感。この役吉田羊みたいなキャスティングはできなかったのかなあ。

あーあ、ドラマとしてはともかく、「西郷どん」は、役どころとしてはとても魅力的な美僧月照でしたが、これは何しに出たの、と毎回怒りに燃えてました。「ブラック・ペアン」の猿之助も悪役だったけどまだ頭でっかちの嫌味な役(素のように合ってた)をけっこう楽しそうに演じてましたからね(しかしワンピース歌舞伎2か月公演の合間にどうやって撮っていたのか)。

それから、ミュージカルの古川雄大も農業法人のイヤミな若者で出てました。これがまた救いようのないやなやつ。「モーツァルト!」とか「ロミオとジュリエット」で主演するような若きスターに何してくれる!

同じく舞台の実力者、谷田歩も出てましたが、こちらはあまり台詞もなく、でもあの鋭い目が画面でピカッと目がいく人。「西郷どん」では愛加奈の島のいい役人でいい味出してました。

しかし、このドラマ、有名人がたくさん出ている割には、善悪がはっきりしすぎていて、毎回パターンが同じ、しかも佃製作所の全員会議やら菊ちゃん陣営の飲み会やら突っ込みどころが多く、これが「仁」や「とんび」の枠か、とがっかり。試走シーンのロケなどは大掛かりですが、この枠、予算があると変な風に使っちゃう癖があるんですかね。

201812kemonare    「獣になれない私たち」も、録画を一気にみました。ITベンチャーのワンマン社長(山内圭哉)の下、あらゆる面倒ごとを引き受けて働く晶(新垣結衣)と恋人(田中圭)、ビール・バー5Tap の常連恒星(松田龍平)、元恋人呉羽(菊地凛子)、朱里(黒木華)の物語。野木亜紀子のオリジナル脚本。

ガッキー、仕事ができて引き受けて、ニコニコしている、職場でよくいるタイプ。いろいろ重い設定もあって、もどかしいところもあるので、視聴率はさほどでなかったようですが、各シーンが丁寧に描かれて、役者さんの演技もきめ細かく、とても完成度の高いドラマだと思いました。さすが野木亜紀子に外れなし。

しかし、見始めて数話で、公式サイト見たらこの写真。田中圭との関係がどうなるのかとはらはらしてたのに、このガッキーの表情、ネタバレですよ。このドラマの企画は「おっさんずラブ」大ヒットの前で、田中圭さん、重要人物だけど脇役だったんだー。どちらかといえば田中派ですよ私。

菊地凛子、キャストとしてはいい味出しているんですが、セリフがふにゃふにゃしてて、この中うまい人たちの中ではちょっと残念な感じ。同僚の伊藤沙莉、犬飼貴丈がとってもよかったです。

社長山内圭哉、大阪弁でがなりたてるのがひくほど(この人が無理という視聴者多かったと思う)、しかしいい白シャツが似合ってて、私は感心していました。「セールスマンの死」と同時期だったんですよね。あのナイーブな青年と、この社長、すごい俳優さん。かっこいいし。

十二月大歌舞伎「幸助餅」「於染久松色読販<お染の七役>」

201212kabukiza      今月の歌舞伎座昼の部です。1つめは、「幸助餅」。松竹新喜劇の名作を今井豊茂さんの補綴・演出で。

幸助(松也)は、大阪の餅米問屋の主人でしたが、相撲の雷(中車)に入れ込みすぎて夜逃げし、今妹お袖(児太郎)を身売りさせて再起の金30両をつくります。ところが江戸に行っていた雷に再会した幸助は、なけなしのその金を、大関となった雷に祝儀としてやってしまいます。叔父(片岡亀蔵)や女房おきみ(笑三郎)により後悔した幸助は、金を返すように雷に頼みますが、雷は拒絶します。怒った幸助は…。

悪人は一人も出てこない(あらネタバレ)人情話なんですが、年のせいか、皆が仲良く仕事に精を出したり感謝したりするというだけでじんとしてしまいます。松竹新喜劇のこってりした喜劇味は上品になっているんでしょうが、ちゃんと歌舞伎として見ごたえのあるものになっていました。

松也のおっとりした愛嬌のある旦那ぶりがけっこう合っていて、動きも大げさなんですけど軽くていいです。雷に入れ上げたり、その仕打ちに怒ったりの感情の振れがかわいい。中車も小柄ながら、嵩高い立派な花形力士の衣装が似合っていました。

脇も手堅くて、笑三郎は最初叔父の妻かと思ったら、年上の女房なんですね。萬太郎、廣太郎もいい味出していましたし、芸者笑也、店でかいがいしく働く笑野・猿紫のかわいいコンビ、勧進相撲の寄進を集める町役の猿三郎さん(大阪出身なのでことばが自然ですてき)と、昼の部、澤瀉屋の面々大活躍。

2つめは、「於染久松色読販(おそめひさまつおきなのよみうり)<お染の七役>」。

この演目、3月に玉三郎 さんが土手のお六の2場だけ演じたばかりですが、今回は本来の早変わりで、油屋の娘お染、お染と恋仲の丁稚久松、奥女中竹川、芸者小糸、お染の母貞昌、土手のお六、そして在所の久松の許嫁お光、の7役を、人気の女形が早替りで演じるという演目。壱太郎の初挑戦、これ自体初めて見るので期待していました。

久松は実は武士で、例によって紛失した刀と折り紙を探しており、油屋の周りでそれをめぐっていろいろな登場人物が動きますが、ちょっと予習を怠ったのと、昼過ぎなのでちょっとぼーっと見てたら多三郎(門之助)、弥忠太(猿弥)の細かい設定が飛んじゃいました(意外と筋が複雑だったので省略)。

最近進境著しい壱太郎、なんだか貫禄もついちゃって、華があります。早替わりもなかなか見事。夜の部の梅枝・児太郎が話題ですが、この壱太郎も、大挑戦といえましょう。七役でいうと、久松がなよなよしすぎていて、女に惚れられる感じが乏しい。土手のお六はニンでなくて面白くない。竹川と貞昌はさほど重要な役ではない。

ということで、この演目、土手のお六の2場を除けば、芝居としてというよりは、人気の(贔屓の)役者がいろいろな役で出てきてとにかくうれしくありがたいというものなのかなと思いました。そういえば、何度も演じているのは玉様、福助ですし、最近では七之助、私が見たいのも、今なら猿之助や七之助。壱くんは好きだけど、壱くんだけをいっぱい見たいわけではないんですね(ごめんなさい)。

壱くんのお六がやや薄いためか、松緑の存在感が抜群で、絶好調にみえました。こういう体や雰囲気で見せる役かっこいい。中車の嫁菜売りもあくが強くて合っていると思いました。番頭善六の千次郎は、3月にも感心したとおりだし、今回の久太(鶴松)も生き生きとしてとてもよかった。鶴松って立ち役の方がよいのでは。

大詰は壱くん得意の舞踊、最後に一番難易度の高そうな早替わり(わからなかった!)、そして船頭長吉(松也)と猿廻しお作(梅枝)で舞台がぱっと華やかになります。なんだか、二人が、ここまで壱くんご苦労様、私たちが花を添えますよ、とでも言っているよう。とくに梅枝くんは今月特別な目で見るせいか、気の張る夜に比べて昼は伸び伸びと踊れるのかな、なんて思ったりして。

(ところで、猿之助の出演記録に2004年「猿廻しお作」ってあって、どんな役だろうと知りたかったんですよ。舞踊が得意な女方のやるいい役ですね。このときの長吉は松緑でした。)

「オン・ユア・フィート!」@シアタークリエ

201812onyourfeet      昨年宝塚を退団した朝夏まなと主演の「オン・ユア・フィート!」です。このチラシのビジュアルがかっこいい!80-90年代にヒットを飛ばしていたグロリア・エステファンの半生を、彼女のヒット曲で綴るジュークボックスミュージカル。ブロードウェイでは2015年から2017年まで上演されています。

グロリア・エステファンといえば、ポップなダンス・ミュージックで、1-2-3とか、Conga等の曲はけっこう知っているけど積極的にCD買ったりはしていなかったという感じ。華やかなルックスも印象的でした。

(以下ネタバレあり)

グロリア一家はキューバから亡命してきてマイアミで暮らしています。父ホセ(栗原英雄)はベトナム戦争に従軍し、重い障害を負って帰ってきます。働く母(一路真輝)を助けて働くグロリアは歌がうまく、同じくキューバからの亡命者でバンドをやっているエミリオ・エステファン(渡辺大輔)に誘われ、祖母(久野綾希子)の後押しでバンドに加わります。ラテン系チャートで売れたグロリア・エステファンとマイアミ・サウンド・マシーンですが、英語の歌をヒットさせたい二人は、プロデューサーに迫ったり、DJに働きかけたり、苦労して売れます。

グロリアの母は、売れた後でも、グロリアが大学のキャリアを捨てて歌手になり、エミリオと結婚したことが気に入らず、スタッフとして妹のレベッカ(青野紗穂)を連れていくグロリアと絶縁します。しかし、ツアーバスで交通事故に遭い、脊髄付近の複雑骨折という重傷を負ったグロリアのもとにかけつけます。リハビリを焦るグロリアに、ファンからの手紙が、そしてグロリアはアメリカン・ミュージック・アワードのステージで復活するのでした。

大怪我してリハビリなんて、それだけで猿之助思い出して胸がつまるのに、ファンの真心こもった手紙が読まれて、あ、っと思う間にボロボロ泣けちゃいましたよ。しかしそれをまた吹き飛ばすような華やかなラストシーン。タイトルの「On Your Feet!」は、ヒット曲であると同時に、「立って!」という、怪我から立ち上がることを意味しているんでしょうね。

舞台装置も今風で光をうまくつかったシンプルなセット、ダンサブルな名曲、アンサンブルもダンスがうまい人(とくにコリ伽路のラテンダンス素敵!)が多く、ドラマとのバランスがよくて楽しめました。

朝夏まなとがとにかく手足長くてルックスにも華があってかっこいい!ダンスもうまいです。堂々とした姿、媚びたり作ったりがない、女性の美しさを見せつけてくれるようなオーラで、スカッとしました。ちょっと歌声が湿っぽくてグロリアのカラッとした歌にはあまり合ってないんですけど、さほど問題はなく。

201812onyourfeet2公私のパートナーとなるエミリオの渡辺大輔も、スラリとしていて、薄い鼻筋がとってもラテンなルックスになっていて、純で熱いエミリオを好演。Wキャストの相葉裕樹が降板したので、シングルキャストとなったんですね。

こういう作品だと、だいたい夫が裏切ったりして、恋の遍歴があるものですが、グロリアは10代で出会ったエミリオとずっとパートナーで、事故も二人で乗り越えます。若い頃から60歳を超えた最近まで、仲良さそうな写真がたくさんあって素敵。左は1987年リリースのレコードジャケットです。

グロリアに立ちはだかる母の一路真輝は強く美しく。生で見るのは初めてかも、の四季の名女優久野綾希子は、艶のある祖母。レベッカの青野紗穂も歌うシーンは少なかったですが、もっと聞きたいと思わせる歌。栗原英雄も、なかなか難しい役どころをさすがうまく演じていて素敵でした。

クリエという空間で、ちょっとしたライブハウスみたいにスタンディングになる場面もあって、ほんと、楽しかったです。

オリジナルの雰囲気も聞きたくなって、幕間にCD注文しちゃいました。

 

藤田洋「歌舞伎の事典ー演目ガイド181選」・Eテレ「にっぽんの芸能・山川静夫と振り返る平成の歌舞伎30年」

201212       国立劇場でみかけて買ってみた「歌舞伎の事典ー演目ガイド181選」です。著者は、「演劇界」の編集長を務めた藤田洋さん。

「あらすじで読む名作歌舞伎50」等と比べて、181とは多い!第1章 純歌舞伎・義太夫狂言・新歌舞伎で137作、第2章 歌舞伎舞踊が44作。著者は、今ある400作のうち半分ほどなので、差し当たって必要とされる演目は含まれている、と書いています。チェックしてみたら、第1章で半分、歌舞伎舞踊は三分の一ほど(シネマ歌舞伎も含めて)見ていました。歌舞伎歴6年ちょっとで、ややはまっている私としては、まあまあと言えましょう。

ただし第1章は、「義経千本桜」や「仮名手本忠臣蔵」でも1作と数えていて、見開き2ページに写真2枚なので、説明ではあらすじはよくわかりません。「妹背山婦女庭訓」なんて、右のページに鱶七、左のページに雛鳥と定高の写真ですよ。

この本の使い方は、こんな演目もあるんだ、と舞台写真を眺めることといえましょう。2011年発行なので、だいたい2000年代のものだと思いますが、もちろん多いのは藤十郎、團十郎、吉右衛門、菊五郎、先代幸四郎、仁左衛門、勘三郎、玉三郎と、歌舞伎の本によく出てくる皆さんながらも、演目が多いのでほかにもたくさん。三津五郎が多かったのもうれしかったです。

2012121     富十郎、先代芝翫の、芝居味の濃いこと、先代雀右衛門のきれいなこと。この「毛谷村」の子役は鷹之資かな、と思って調べたら、ほんとに3歳の鷹之資くんでしたよ。お父さんと共演したことがあったんですね。

2012122     この二人は、東蔵、三代目猿之助ですよ。私、三代目はスーパー歌舞伎をやる人という印象だったので、先日の「にっぽんの芸能」で筆屋幸兵衛を少し見て、勘三郎さんのような人情味あふれる演技に驚いたんですが、この加賀鳶のよくわからないけど(見てないので)強烈さ。国姓爺合戦の和藤内も迫力でした。復活狂言や古典でも八面六臂の活躍だったんですね。

2012123     これは梅玉、魁春のお二人。「菅原伝授手習鑑」の桜丸と妻八重です。若々しく美しい。今ももちろん好きですが、この頃から見たかったな。菊五郎さんもほんとに美しい写真ばかりでしたし、少しですが、秀太郎さんも色っぽい写真がありました。

この手の本にしては、海老蔵が少ない(團十郎がたくさん出ている)のですが、なんと、弁天娘が海老蔵でしたよ。どんな役でも、美しい海老蔵ですが、さすがに弁天娘は味が薄くて残念。菊五郎はたくさんあるのになぜこれを使ったのか。なお、海老蔵・菊之助の鳥辺山心中はほれぼれするほどです。

さて、先日、NHKEテレで「にっぽんの芸能」で「山川静夫と振り返る平成の歌舞伎30年」を、たったの1時間でやっていました。当然駆け足で、亡くなった名優を振り返るといった形だったのですが、比較的長く映ったのが、勘三郎の「法界坊」、三代目猿之助のスーパー歌舞伎「八犬伝」、團十郎・玉三郎の「助六」。

それぞれ面白かったですが、この八犬伝は、デジタル・リマスターとかで、鮮やかな映像。衣装もすごいです。そして、亀治郎のスーパー歌舞伎デビューとなったのがこの作品です。18才くらいですが、やっぱりたいしたものです。もちろん三代目のこってりした味、縦横無尽の活躍もすばらしい。

しかしこのタイトルなら、2時間でも3時間でも、たっぷり時間をとって、山川さんにいろいろ教えていただきたかったなあ、と思います。

「通し狂言 増補双級巴 石川五右衛門」@国立劇場 

          12201812goemon 月の国立劇場は、「通し狂言 増補双級巴(ぞうほふたつどもえ)」です。吉右衛門丈が石川五右衛門、といえば先月の歌舞伎座でもやった人気の「楼門五三桐」なんですが、その前後としてこれまで演じられてきた台本を国立劇場で補綴したもの。

画期的なのは、歌舞伎座×国立劇場 コラボとして、11月の歌舞伎座夜の部のチケットを見せると、吉右衛門さんの石川五右衛門のサイン入りブロマイドをもらえるという特典。そのチケットなら全席種ある(笑)、ってことでありがたくいただいたらば、2Lサイズのチラシのポーズを含めた3枚の写真と、期待以上、すばらしい。

大名大内義弘の種を宿した奥女中(京妙)が、次左衛門(歌六)と行き会い、はずみで殺されてしまいますが、臨月だったため赤ん坊は助かり、次左衛門はわが子として育てます。この息子(のちの五右衛門、吉右衛門)、手癖が悪いため修行に出していましたが、妹小冬(米吉)が廓に売られる日に帰ってきて、ぽんと金を出します。盗賊になってしまった息子を嘆き、盲目になっていた次左衛門は自害しようとして誤って小冬を死なせてしまいます(小冬、けなげでかわいそう)。

二幕、呉羽中納言(桂三)の行列を襲って装束や書面を奪った五右衛門は、呉羽になりすまして将軍足利義輝(錦之助)の館に乗り込みます(この前に、御台(東蔵)と愛妾(雀右衛門)のやりとりがあってちょっと面白い)。まんまとだましたと思った五右衛門の前に、此下藤吉郎久吉(菊之助)が現れ、五右衛門放浪時代に同輩だった二人は旧交を温め、久吉から買った葛籠をしょって五右衛門は宙乗りで去ります。大薩摩の後、「楼門五三桐」の簡素版(金門五三桐)の場面。

大詰は、五右衛門の家。息子五郎市(醍醐陽)は継母おたき(雀右衛門)に折檻されています。間男と誤っておたきを刺してしまった五郎市に、おたきは、盗賊稼業でいつ捕縛されるかわからないこの家を離れてほしくて、つらくあたったと述懐します。そして、五右衛門は派手な大立ち回りの末、久吉によって五郎市とともに捕えられます。

まず、吉右衛門さんの宙乗りが見られるとは!ですよね。2階花道寄りのお席だったので、大きな葛籠を背負った吉右衛門さんが間近に見られて感激でした。この演目を選ぶというだけあって、お年を感じさせない若々しさ、充実感を感じられて、私は吉右衛門さんには間に合ったんだなあという感慨。

また、二幕の菊之助との並びが、まあ二人ながら美しく、華があって、「なぜこの二人の舞台写真がなーいー」ってなりましたよ。実は義輝館に五右衛門呉羽が来てから、ちょっと意識が飛んだんですが、ぴきーん、ってなりましたもん。菊之助、「阿古屋」の畠山重忠のよう。金門五三桐も、いつも菊五郎さんや、写真では先代芝翫さんなどを見ているわけですが、菊之助だとこんなにしゅっとかっこいいのか。

その前の場面ですが、桂三さんかわいげのある麿だし、錦之助さんも美々しい殿ぶりでした。

三幕は、五郎市がかわいくて達者で、そのためにこの場がしまってよかったです。雀右衛門さんはやっぱりいい人なんだな(女方ってほんとの意地の悪い役やらないんですもんね)。

いやーしかし、五右衛門という希代のキャラクターを4時間で描ききったという満足感は得られなかったのが残念。配役はどこといって不満はないし、場面毎にみると悪くはないんですが、五右衛門のキャラクターも何だか一貫性がない(三幕はなんか後妻に遠慮するちっちゃい男)し、二幕はあまりに話が中途半端。意識がとんだせいか話がわからなくなったので(おい)、筋書き見ましたが合点がいかず。

やっぱり歌舞伎も脚本は大事ですね。早く木ノ下裕一さんが参画して、4時間を思う存分使った補綴をお願いします。

(おまけ)

「楼門五三桐」以外のこの演目の情報はあまりないのですが、2006年5月の新橋演舞場での吉右衛門さんが宙乗りもやった「増補 双級巴」についての感想ブログ をみつけました。この月、最後は「松竹梅湯島掛額」だったそうで、来月歌舞伎座でかかります。紅長は吉右衛門丈(来月は猿之助)、お七は亀治郎(同 七之助)。とても面白そうです。

このときの亀治郎お七の人形振りはあちこちで絶賛されているのですが、この方、「ここまでは恋する可愛らしい乙女の風情だったのが、人形振りの段になると『はいっ、やりますっ!!』という感じで気合の入った表情になってしまったのが、亀治郎のかわいい所ですね。」とお書きになっていて、うわあ、その気合が入った顔を見てみたかった、と思います。要するに来月超楽しみです。しかし、法界坊、紅長と、四代目は吉右衛門さんの当たり役を立て続けにやるってことですね。

ぎんざ木挽亭神田愛山「二度目の清書」神田松之丞「神崎の詫び証文」

201812kobikiteimj      歌舞伎座ギャラリーのぎんざ木挽亭第二部の講談です。忠臣蔵討ち入りのまさにその日に、忠臣蔵(赤穂義士伝)の2席。というとすごく忠臣蔵好きのようですが、生まれて初めて討ち入りの日を意識しました。

今回(第5回)のゲストは神田愛山先生。松之丞の「天保水滸伝」の「笹川の花会」を聞いたとき、「天宝水滸伝」は、師匠の松鯉先生ではなくて、愛山先生に習った(花会のみは松鯉先生だが)と言っていたその愛山先生ですよ。軽いトークから始まります。

愛山先生、「二度目の清書(きよがき)」。聞きながら、ずっとキヨガキって何だろうと思っていたんですが、内蔵助が義父にあてた2回の手紙のことでした。他では使わないですよね。

内蔵助は人目を欺くために廓通いをしていますが、とうとう傾城を身請けして家に入れると言い出し、妻石と力弥の下の2人の息子、母は、石の実家石束家に行くことになります。内蔵助は寺坂吉右衛門を義父露山に遣わし、「心中よしなにご賢察を」と伝えます。そして数か月後、仇討ちを果たした内蔵助は再び露山にそのことをしたためた文を送り、使いの寺坂は名調子で仇討の模様を語るのでした…。

これぞ講談という名作です。内蔵助と露山のいかにも武士の風情、最後の討ち入り。愛山先生、60代半ばと意外とお若く(失礼、名人の貫禄がおありだったので)、力強い名調子。愛山先生がこの話が好きじゃない人は赤穂義士伝はダメな人、リトマス試験紙、というのがその通りだと思いました。

これで十分満足、というお客の空気を感じながら(ばっちりマクラにしてました)、次は松之丞。この日はラジオの後、寄席、シブラクときて夜10時の高座だそうですよ(Twitterでご本人が)。さすがにお疲れかな、と思いきや、「神崎の詫び証文」、熱演でした。

内蔵助の命を受けて江戸に行く神崎与五郎は、浜松の茶店で酔った馬喰の丑五郎に喧嘩をふっかけられますが、騒ぎを起こさないためにぐっとこらえて土下座し、詫び証文まで書きます。しかし2年後、討ち入りを語る講談が大人気となります。浜松に来た講談師赤城の話をきいていた丑五郎は、神崎与五郎の名を聞いて驚き、すべてを悟って後悔します。泉岳寺にやってきた丑五郎は墓守となって泉岳寺で神崎の墓をとくにきれいに磨いて過ごすのでした。

丑五郎の酔っぱらい絡みぶり、そして討ち入りのための我慢だったことを知るときの語りの呼吸。ここでぶわっと泣けちゃいましたよ。

さすがに愛山先生の後はやりにくかったとも思いますが、この会の仕立てとしては承知の上なんでしょう。いや、いい討ち入りの日記念になりました。

「ファンタスティックビースト2 黒い魔法使いの誕生」

201812fantasticbeast2    2年前の年末に見た「ファンタスティックビースト 魔法使いの旅(Fantastic Beasts and Where to Find Them)」の続編「ファンタスティックビースト 黒い魔法使いの誕生(Fantastic Beasts the Crimes of Grindelwald)」です。全部で5部作だそうで、その2作目。

魔法使いや不思議なクリーチャー、杖などは同じでも、ハリー・ポッターとのストーリーの関連性はあまりなかった前作から一転、ハリポタ前史のような展開。若いダンブルドア(ジュード・ロウ)が活躍。

ハリポタ原作本も映画も全制覇しているものの、架空の設定に弱い私、ニュート、ティナ、クイン、ジェイコブの2組以外はみんなハリポタの世界に出てきたはずだけど、えっと…となりながら、必死にクリーデンス(エズラ・ミラー)の正体は、とストーリーをたどりましたよ。

不思議な生物や魔法による独特の映像はハリーポッター映画と同じ。この質感が、同じ世界の話だとよく分かります。

このエズラ・ミラーくん、端正なルックス、少し影のある青年ぶりが素敵なんですが、この映画を見る前に、「ファンタスティックビーストの謎を熱く語るハリポタオタクのエズラくん」のことをきいていたので、うわあ、これはエズラくんうれしい役だっただろうなあ、と思いました。

ダンブルドアのジュード・ロウ、しばらく見ない間にあのギラギラしたところが渋くなったけどやっぱりかっこいいわ。グリンデルバルドのジョニー・デップ、異形の役は似合ってますが、この世界では(アメリカ人という設定でなければ)イギリス英語を話してほしいのに、一人セリフが浮いているような気がして違和感があるのは気にしすぎでしょうか。仕上がりはいいんですけどね。

ナギニの東洋系 美人ぶりにも驚きでした。そして新キャストのユスフ・カーマ(ウィリアム・ナディラム)、フランス人だそうですが、かっこよくて演技も深みがあって素敵でした。

さて、ニュートとティナのコンビが好きなので、今作は活躍が少なくて若干ものたりなかったですが、やっぱり次回作も見ることになりそうです。

吉例顔見世興行東西合同大歌舞伎「義経千本桜」「面かぶり」「弁天娘女男白浪」@南座

2018123       京都の南座の開場記念、顔見世興行に行ってまいりました。演目と出演者が多すぎてか、チラシは文字のみ、みどころさえ載ってません(歌舞伎美人サイトにもない!)。

初めての南座、赤いカーペットや壁が鮮やかできれい。改装しただけなので、一段が高い階段、狭い廊下、売店と、昔風なのは仕方がないですね。座席数1000強といい具合に小さく、3階席からも花道がすっぽんのちょっと奥までよく見えます(というか、歌舞伎座と演舞場が見えなさすぎという気がしてきた)。そして、役者さんの声がよく通ります。

さて1つめは「義経千本桜 木の実 小金吾討死 すし屋」。すし屋は獅童の権太で見ていますがその前の場面は初めて見ます。大阪弁の上方バージョン。

行方知れずの維盛を探す奥方内侍(孝太郎)、嫡男六代、、お供の小金吾(千之助)は、小せん(秀太郎)の茶店にやってきます。腹が痛いと言って小せん母子に薬を買いに行ってもらったのに木の実をとって遊ぶ六代(おい)。

そこへいがみの権太(仁左衛門)がやってきて、木の実を取ってやった後、小金吾の荷物を取り違えて行ってしまいます。戻ってきた権太は荷物の20両がない、と言いがかりをつけ、琴を荒立てたくない内侍は20両を渡すように小金吾にいいます。

親子三代に伯父の松嶋屋勢揃い。そう思ってみるためか、人間関係が濃密で、芝居味が濃い感じがします。大好きな秀太郎さんの小せんが色っぽく、ニザ様との情愛や、恥ずかしがるかわいさがステキ。

小金吾討死は、千之助の立ち回り奮闘。討手の衣装が黒と赤で、見た目にも美しく、見応えのある場面でした。千ちゃん、大役を健気に務めた感じ。一騎打ちの大之進は松之助です。

さて、「すし屋」。前半はお里(扇雀)と弥助(時蔵)の婚礼の話で、(立派なすし屋なのに、いきなり今夜結婚とかいうんだ、といつも思う)、二人の楽し気なやりとり。私、シネマ歌舞伎の勘三郎さんの一連の新作で、ハジケてる扇雀さん見て好きになったんですが、その軽快な感じがあって、「そう、この扇雀さん!」と思いましたよ。トッキーもこのお役とても合ってる。

権太は甘い母お米(竹三郎)をだまして大金をせしめます。このやりとりも楽しくて。竹三郎さん、お声も力強く、こういうお役をやらせたらまあ。ああ来てよかった。

打って変わって、梶原平蔵景時(梅玉)が登場してからの緊迫感ある場面。梅玉さん、ハマりすぎてて、初役なんて驚き。そして、内侍母子の身代わりとなる小せんと息子。目だけの秀太郎さんが美しく、見送る権太の演技に泣けます。

父弥左衛門(左團次)が権太を刺してからの権太の述懐からの場面も少しもだれず、満座の観客が集中していく感じでとてもよかったです。

この演目、「木の実」で権太の小悪党ぶりを小気味よく見せ、内侍母子と小せん親子とを同じ舞台で対比して見せ、何より悪党権太の夫婦愛や親子愛をしっかり見せられたうえで、「すし屋」を見るほうが、ずっと感動的。あの首だって、若き身を散らした小金吾で、死んでなお主に役立った健気な小金吾と思うと泣けますよ。

また、気のせいか、この演目の義太夫と芝居の呼吸がとてもしっかり入ってきた気がしたんです。劇場のせいなのか、この演目の義太夫がわかりやすいのか、谷太夫、愛太夫さん、よかった。という、休憩なし2時間25分の大芝居でした。

休憩後は舞踊「面かぶり」。鴈治郎さんが童子姿で軽やかに踊ります。難易度が高いと思ったのは、ぽっくり風のもの(紐は足袋の親指のところから通して手で持ってる)を使って踊る後半。不安定なのに、リズムをとりながら踊るんですよ。

最後の赤い着物の見得がかわいらしくて、写真がほしくなりました(ほんとはフィギュアにしてほしい!)。

3つ目は「弁天娘女男白浪」。愛之助の弁天小僧菊之助。右團次の南郷力丸です。愛之助の弁天娘、女方の声はまあともかく、音羽屋とはまたちがったすっきりした美貌で華やかで素敵。右團次さんとの声よしコンビ感がぴったり。浜松屋の番頭さん(梅蔵)はじめ奉公人たちも、お弟子さんたちの腕の見せ所で、楽しいです。丸いお顔の梅蔵さん、うまいなあ。もちろん鳶頭の亀鶴もちょっと迫力があってかっこよかった!

芝翫の駄右衛門も貫禄があって立派。そして、弁天娘の、ばれちゃしょうがねえ、の男への切り替わりが鮮やかで観客が湧きました。

さて、もろ肌脱いで「しらざあいって聞かせやしょう」が出てからほんの少しで、最終新幹線に乗るために、失礼しました。ああ、この二人の花道の仲良さげな引っ込み見たかったな。もちろん稲瀬川勢揃いも。

(チケットをとってから、終演時刻が出てショック!どうしても当日帰らなくちゃいけなくて。南座の顔見世が長くてチケット代もお高いのは常識だったんですね。ああ、実は一番話題の鷹之資・千之助の「三社祭」をとーっても見たかったのですが、鷹之資の舞踊はまだこれからいくらでも見る機会があるでしょう。)

木ノ下裕一・児玉竜一座談会「現代における歌舞伎の意義」

201812kinosita_2      木ノ下歌舞伎の木ノ下裕一さんと、演劇評論家である児玉竜一早大教授の公開座談会が、早稲田大学歌舞伎研究会主催で開催されるというので早稲田大学に行ってまいりました。教室は定員54名と、普通の学級のような大きさでしたが、歌舞伎と木ノ下さんのファンで満員の盛況。

木ノ下歌舞伎、3月にKAATで「勧進帳」のポスターを見たんですが、さすがに演目が勧進帳では、歌舞伎以外のバージョンを見る気がしなかったのでした。これは先日パリでも上演されたそうで、今から思えば見ればよかったー。その後、Pen+ の松之丞ムックに掲載されていた、松之丞、木ノ下裕一、茂山童司の鼎談を読んで、木ノ下さん、童司さんは注目しなくてはと思っていたのでした。

さて、司会者の紹介で始まった座談会、冒頭からゆういち、りゅういちでーすと楽し気(木ノ下さん声高い!)で、木ノ下氏は和歌山、児玉教授は西宮と、関西の方同士の息の合い方。

木ノ下さんの次回作「摂州合邦辻」の制作の方法、作品の構造や世界観の見どころという演劇制作者ならではの話に始まり、コクーン歌舞伎「切られの与三」での経験、木ノ下さんの小学生時代の落語から始まっての米朝評、歌舞伎、そして歌舞伎を現代劇でやるという方法論に至る経緯。などなど。3代目猿之助に憧れて京都造形芸術大に入学したら、猿之助さんが病に倒れて、間に合っていないのだとか。歌舞伎の原作に当たって再構成するという作業を本当に楽しそうにやっていらっしゃるのが伝わってきました。

木ノ下さん、まだ33才という若さながら、落語や歌舞伎経験の多彩さ、作品の分析の深さ、そしてそれをユーモアを交えながら的確に説明する能力が凄い。間違いなくある種の天才ですよ。35才の松之丞といい、この頃日本に何かあったんでしょうか。

児玉先生も、いろいろなもののみかたが合うのか、はるか年下の木ノ下さんへのリスペクトがあって、むしろ聞き役に回っているのも好ましかったです。児玉先生、すっかりファンになっちゃいましたよ。

演劇という表現の形態が好きな私としては、本当に興味深いお話ばかりでしたが、ちょいちょい出てくるオフレコ的な話や、はっきりとは言わないけれど表情で気持ちがわかるというのも多くて、笑いも多い座談会でした。

2時間たっぷり、質疑も時間をとっていただき、この質問からそういう風に話が発展するか(京都の文化への補助の手厚さ等)、と感心したり。

これはあちこちで言っているそうなのですが、木ノ下さんは、国立劇場の芸術監督(的な立場)になって、せっかくの場を活かして歌舞伎の可能性を追求したいのだそうです。あまりにも楽しみで、期待しています。今度こそ、KAATの木ノ下歌舞伎のチケットをとりました。

(追記)

木ノ下歌舞伎「摂州合邦辻」行ってきました。ああ、ミュージカル仕立てでなければ!

(追記その2)

この日も取材していたAERAの2019年5月27日号の「現代の肖像」で木ノ下さんが取り上げられていました。本は好きなだけ買わせてくれたご両親。いや、私でもこの子はちょっと違う、やりたいことをやらせたい、と思うだろうな。天才はこう育つのか、という一つの見本。

 

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