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吉例顔見世大歌舞伎「お江戸みやげ」「素襖落」「十六夜清心」

201811kabukiza    歌舞伎座昼の部です。まずは「お江戸みやげ」

舞台は湯島天神の宮地芝居の芝居茶屋。常磐津の師匠文字辰(東蔵)は、養女お紺(右近)を金持ちの妾にしようとしていますが、お紺は人気役者栄紫(梅枝)と恋仲。そこへ常陸の国から反物を行商しに来たお辻(時蔵)とおゆう(又五郎)、ケチなお辻は酒好きのおゆうに勧められ、気が大きくなるからと断っていたお酒を飲んで、宮地芝居を見に行く気になります。美しい栄紫にぼーっとなったお辻は、座敷に栄紫を呼びますが、お紺とのいきさつを知ったお辻、一年分の売り上げ全ての入った財布を文字辰にやってしまいます…。

チラシもよく見ずに行ったので、始めこのイヤミなおばあさん誰だっけ、と思ったら東蔵さんで珍しい強欲ばあさん。トッキーお辻は若い頃は美貌だったのが、今やお金を堅実に貯めるだけが楽しみの未亡人に見えます。又五郎さんおゆうのお酒の勧めかた、酒好きの女方(笑三郎)の飲み方、お辻が飲み始めてからの杯の扱いや芝居に行こうとしているのにもったいながって飲むところなど、呑兵衛の気持ちがわかる演技が細かくていいです。

栄紫とお紺がほほえましいくらい惚れあっているのもいいんですが、栄紫とお辻が会うところ。酒で気が大きくなっているとはいえ、いざ座敷に役者を呼ぶとなると恥ずかしくなるお辻、しかし栄紫は初対面の田舎の年増にあくまで優しく、品よく接してくれます。それまでくすくす笑っていたのに、梅枝君の、はんなりしながらも芯の通った役の造形と、時蔵さんのかわいらしさに、ファンが贔屓の役者に会う気持ちに同化して、泣けちゃいました。

文字辰を納得させて、もう一度お礼を言いたいという栄紫と会うお辻。最後まで少しもだれず、皆好演で、とても楽しませてもらいました。

2つめは松羽目もの「素襖落」、初見です。主人(團蔵)の使いで伊勢参りに主人の伯父を誘いに行く使いに出た太郎冠者(松緑)。伯父は不在でしたが、姫御寮(笑也)が断るとともに門出の宴を催してくれ、太郎冠者はがぶがぶ飲み、次郎冠者(巳之助)と三郎吾(種之助)も舞います。太郎冠者は那須与一の話を舞い、姫に素襖をもらって帰ります。主人の下に帰ると、太郎冠者の様子を怪しんだ主人は素襖をつきとめ…。

松緑さん、出からややおバカな化粧です。この人もお酒好きだなあ。みっくん、たねくん、松緑と体のよく動く楽し気な踊りのよいこと。姫は踊ったり踊らなかったり、肩衣をつけていたりいなかったり、お家によったりしていろいろだそうです(松緑さんのブログ)。衣装は着物のチェックといい、袴の柄や色合いといい、素晴らしい衣装だなと思いました。

最後は「十六夜清心」。2016年に菊之助の清心 で見ていますが、やはり時蔵さんの十六夜と似合いなのは菊之助じゃなくて菊五郎おやじさんですよ。心中を決意するまで、求女(梅枝)の殺しに至るまでの心の動きの的確なこと。梅ちゃんも松也より求女に合ってる気がしました。

そして死に損なった十六夜を助ける百蓮(吉右衛門)のおおらかで粋な旦那の風情。

どんな悪党になるか、観客には見えないものの、どうせろくなもんじゃないな、ということだけ確信しての終演でした。私的にはやっぱり続きもみたいような。

そうだ、最初の場面では、右近の栄寿太夫としての初舞台の紹介がありました。喉を傷めて休演された日もあったと聞いていた延寿太夫もお隣。二刀流への果敢な挑戦と言われていますが、これからどこまでやるのかな。右近、たしかにいいお声だとは思うんですが、清元は斉唱部分もあって合わせるお稽古も必要でしょうし、ここからが役者として大事な時期ですからね。がんばって。

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コメント

星に願いをさん、毎度ありがとうございます。

「お江戸みやげ」はほんとに笑って泣きました。時蔵さんは白塗りが多いし、又五郎さんの女方なんて初めて見たし、でもいいコンビでしたね。

十六夜清心のこの後は、悪人になっちゃった清心と、すれっからしとなった十六夜と百連でドロドロらしいです。「歌舞伎見物のお供」(https://blog.goo.ne.jp/yokikotokiku )というサイトはご存知ですか。とても詳しくて、親切な解説が多くて勉強になります。

それはさておき、歌舞伎座行ったりチケットとったりブログ書いたりしていると、あっという間に1カ月過ぎますね!

赤いお顔の出番が多く時にはウドンかけられちゃったりする(笑)又五郎さんの女役、興味津々で観に行きました。ぽっちゃりたぬき系のおゆうさんとキツネ系のトッキーお辻さんのコントラストがなんとも楽しい。梅枝さん、色っぽくて素敵でした。
おっかないイメージの松緑さんのおメメがカワユイ!滑稽なストーリー展開は解っていても笑えます。これも役者さんの腕ですね。
トリの十六夜清心は今回は言わば熟年の恋、菊五郎さんと時蔵さんの型も綺麗に決まってさすがです。まりるさん言うところのキッチー&トッキー(笑)舞台にグーンと重みを加えてくれますね。
ホント、お互いに死んだと思っている二人、あんなこんなで意外な場面で再会なーんて後日談があったら面白いかも!

それにしてもいつも感心するのはまりるさんフットワークの良さと守備範囲の広さ。
広島の菊池か鈴木誠也かって感じです!
これからも楽しいレポート待ってまーす!

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