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「通し狂言 名高大岡越前裁」@国立劇場

201811     国立劇場の通し狂言「名高大岡越前裁(なもたかしおおおかさばき)」です。チラシみたとき、なんか地味そう、11月は忙しいしどうしようと思ったんですが、かの有名な天一坊の話だよときいて、講談でも見るかもしれないし、と行ってまいりました。今月、歌舞伎座、平成中村座、南座、博多座と歌舞伎公演が多く、やや客席が寂しいときいていましたが、1階はさほど空席が目立つほどでもなく。そして、これも噂どおり、手堅い配役できっちりつくられた面白い通し狂言でございました。

始めの場面は、村の老婆お三(歌女之丞)に酒を持ってきた寺の小坊主法沢(右團次)が、お三の亡くなった孫が法沢と同じ生年月日、しかも将軍吉宗の御落胤であり、証拠の書面や刀もあるときいて、お三を殺し、寺の師匠も毒殺して、その罪を下男久作(彦三郎)になすりつけ、出奔します。

ここの右團次さんが面白い。はじめは雪の中酒好きの老婆に酒を届け優しく話をきいてやる青年なのに、話を聞くうちに、自分の出世の糸口と腹をくくる表情に迫力があります。いや、あの顔と声の人、おとなしく僧になる人じゃないですもんね。それにしても実質的に主役といってもよく、先月は松竹座で昼夜奮闘公演だったのに、今月も活躍です。歌女之丞さんがまたさすがの味。お酒がおいしそう。

法沢は、僧天忠(橘三郎)、大膳(梅蔵)、左京(東三郎)、そして九条関白家の浪人伊賀亮(彌十郎)を味方につけ、天忠が弟子天一を殺してその名をもらいます。一方、大岡越前(梅玉)は、天一坊を見るなり悪相と怪しく思いますが、再吟味を願っても聞きいれられず、謹慎の命を受け、無常門から死体を装って抜け出し、水戸藩主綱篠(つなえだ、楽善)に助力を求めます。

このあたりも面白いです。すました法沢がちょっと本性を現して逆に伊賀亮を引き付けるところ、天忠のいかにもの悪い坊主。そして、開演後1時間たっての、現代に生きる武士 梅玉さま。こんなに裃の似合う方がいらっしゃいましょうか。楽善さんも、力のこもった大家の大名として貫禄を見せてくれました。久作の恋人で出ていた梅丸が、綱篠の家臣主税も演じているのですが、花道を行ったり来たりで至近で見られて至福(かわいーい)。

無常門の場面も、万人の久保見杢四郎(橘三郎)が、奴にやつして駕籠をかつぐ家臣(秀調、男女蔵、彦三郎)の名をきくところ、義経千本桜、仮名手本忠臣蔵、菅原伝授手習鑑をネタにしたりしてくすり。

さて、再吟味でも伊賀亮の弁舌(この場面はたいへん!)で切り抜けた天一坊、越前は家臣をあちこち調査に出しますが決定打はなく、妻小沢(魁春)、嫡子忠右衛門(右近)と切腹しようとします。

浅葱幕が落とされると、白装束の3人。葵太夫さん(歌舞伎座とかけもちですやん)の義太夫に乗って、潔く死のうという越前たちにすがる池田大助の彦三郎。ここは右近ちゃんの健気なせりふと、梅玉さんと同じ角度での見事な切腹の所作。そこへ駆け込む秀調、男女蔵。

大詰は理路整然と天一坊を追い詰める大岡越前。悔し気な天一坊の表情も豊かですっきりとした幕切れでした。

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コメント

星に願いをさん、コメントありがとうございます。

ほんとに梅玉さんの大岡越前、かっこよかったですねえ。私、梅玉さんの寺子屋の武部源蔵が忘れられません。ほんとに武士そのもののたたずまいです。

難役だった彌十郎さんはじめ、役者さんたちが皆さんぴりっとしまった公演でした。

歌舞伎見物のお供の「十六夜清心」、私もこの続き~と思って読んだんですが、やっぱりこれはあまり出ないのもうなずける?まさかあの吉右衛門さんが泥棒だったとは、ですよね。

私も見ました!
芝翫さんの俊寛の通しを見た時に、歌舞伎座のようなアラカルトも楽しいけど通しも面白いよねーと感じてチケット購入しました。

とにかく梅玉さんの人柄が大岡越前にぴったり。派手な立ち回りがある訳でも無く、豪華な衣裳で舞台がキラキラという訳でも無いのに最後まで飽きないできっちり鑑賞できました。彌十郎さんがご自身のブログで台詞が長くて覚えるのが大変と書いていらっしゃるのを思い出し、実際の舞台を見ながらさもありなんとニヤニヤしていました。あの上背でのあのセリフ、迫力ありました。

以前から口跡の良さが好きな彦さん、やっぱり今回も艶のあるお声で素敵でした!

それから歌舞伎のお供、ありがとうございます😊実はお気に入りにしっかり入れていたのにスルーしてました。十六夜ちゃんの後日談あんなこんなで一度では理解出来ず頭の中が○△□(笑)そしてお決まりの二人は兄弟だったとは!

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