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十月大歌舞伎「通し狂言 雙生隅田川」@大阪松竹座

201810_3      松竹座の齋入・右團次襲名披露十月大歌舞伎、夜の部は、三代目猿之助四十八選「通し狂言 雙生隅田川(ふたごすみだがわ)」です。2017年1月の新橋演舞場での襲名披露演目として上演されましたが、その時は見ておらず、楽しみにしておりました。簡易な形ではありましたが、今年3月の鷹之資・玉太郎のSUGATA公演 でも十分面白さを感じていましたし。

勅命工事のため霊山の杉を切ったため次郎坊天狗(廣松)の怒りを買った吉田行房(門之助)は、天狗に殺され、息子の松若丸(右近)もさらわれてしまいます。次郎坊天狗は、お家乗っ取りを企む景逸(九團次)と通じていました。景逸は、部下の伴(弘太郎)と計って、松若丸と双子の梅若丸(右近)に、吉田家の重宝「鯉魚の一軸」の鯉の目を描かせ、鯉を逃がしてしまった罪を着せて、家を離れさせ、人買い惣太(右團次)に売り飛ばします。遠くに売られるのはイヤだという梅若丸を、藤太は折檻して死なせてしまいます。梅若丸を探しに来た県権正武国(海老蔵)によって梅若丸の素性を知った惣太は、実は使い込んだ主家の金を返して戻ろうとしてお金を貯めていたのだと打ち明け、天狗となると念じて壮絶な自害を遂げます。

夫ばかりか双子も失って正気を失った行房の妻班女御前(猿之助)は、隅田川までやってきて、渡し守をしている惣太の妻唐糸(笑也)に梅若丸の最期を知らされます。そこへ惣太の天狗、松若丸がやってきて、正気を取り戻した班女御前は二人と宙乗りで去ります。

そして一軸の鯉をつかまえるため、唐糸の兄軍介が川の中で奮闘し、鯉をつかまえて目をぐりっとやって一軸に戻したうえ、伴、景逸をやっつけます。

歌舞伎のいろいろな要素を詰め込みながら、見せ場が多くて、本当によくできた狂言です(すごいよ猿翁さん)。ところどころくどいのも(惣太の貯めた金とか自害とか)、猿翁さんの芸風を髣髴として、ニワカとしてはちょっとうれしい気持ち。

そして、演舞場の再演の方も多くて皆さんそれぞれの持ち場を熱演。安定の門之助さんのお殿様、意外と力強かった廣松、まるで宝塚男役のようなりりしい主税(米吉― 芝居中の口上も立派)、鯉魚を逃がした罪を追って自害する兼成(男女蔵)、憎々しげな大敵が見事な九團次、品のある大江匡房(鴈治郎)。乳母長尾の齋入さんも、もともとうまい方なんでしょうが、襲名後堂々としたところが備わって、立派でした。ちょっと目を引いたのが、三幕目で齋入さんとやりとりしていた新十郎さん。成田屋さんをあまり見てないので知らなかったのですが、うまいなあと感心。それなのに、惣太を見る海老蔵の他人事みたいな顔ときたら。

そして、昼夜奮闘の右團次、惣太の一念、見事な天狗姿、最後の本水の鯉つかみと大熱演で、しかし疲れも見せず、お見事(本水も始めチョロチョロ、後からどっかんと来て、ああ、ワンピースでは濡れなかった右團次さんと弘太郎さん、思い切り濡れてと思った私)。

右近ちゃん、8才での双子の二役、台詞や段取りも多く、ほんとにがんばってました(右團次さんもさぞかわいいんでしょう)。宙乗り昼夜2回も、大人でも珍しいでしょう。今、YouTubeで、三代目猿之助の惣太・天狗、菊五郎班女御前、亀治郎松若丸の映像が見られますが、宙乗りでバランスを崩したように見せるのがお約束で、それも受け継いでいてかわいかったです。

この宙乗りの間、小天狗たちがいい感じで踊っているんですが、宙乗りの三人を見るのに忙しくてちらちらとしか見られなくてすみません。隈取の顔ってなかなか誰とはわからないのですが、猿四郎、喜猿、猿紫、蔦之助の四人。

猿之助班女御前、1幕での堂々とした奥方、しかし嘆くさまは、ああ政岡。そして班女御前の道行、花道の足元が見えない席だったので、あまりにもなめらかな移動に、動く歩道に乗ってきているかのような錯覚を覚えました。そして、葵太夫さんをはじめとする浄瑠璃に乗りながら、正気と狂気を行き来しながらの見事な踊り。こういう猿之助さんを見たかったと、感動でした。指の動きもなめらかで、100%完全ではないといいながら、この完全復活ぶり。上記の菊五郎班女さんも、いったいこの迫力ある女方は誰、と思ったくらいなんですが、やはり菊五郎丈ともちがう魅力。誠実な優しい唐糸とのやりとりもすてきでした。

というわけで、大阪での襲名披露を盛り上げようという、澤瀉屋、成田屋始め出演者の熱が感じられ、猿翁さんの功績にも思いいたった、充実の松竹座でした。

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