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秀山祭九月大歌舞伎「操三番叟」「俊寛」「幽玄」

201809kabukiza09_shunkan       九月の歌舞伎座は秀山祭。夜の部1つめは、幸四郎「操三番叟」。 2016年にも見ているので、得意の舞踊なんでしょうね。ない糸に操られる軽快な人形の動き、体重が床にかかっていないように見え、表情もお人形で、何度見ても感心します。後見は吉之丞さんで、さすが。

次はいよいよ吉右衛門さんの「俊寛」です。歌舞伎の名作ということは、部外者でも知っているくらい有名な演目ですが、初めて。上の方から見る波の背景が、広がりを感じさせてまず感心しました(もちろんこちらが先ですが、ミュージカルの「Big Fish」みたいな)。

清盛への謀反の罪で鬼界ヶ島に流された俊寛(吉右衛門)、成経(菊之助)、康頼(錦之助)は、助け合いながら、恩赦を待っています。成経は島の娘千鳥(雀右衛門)と恋仲になっています。そこへ恩赦の船が。瀬尾(又五郎)は、成経と康頼のみを連れ帰ると言いますが、丹左衛門基康(歌六)は重盛の配慮で俊寛も救うと言います。しかし千鳥は数に入っていません。俊寛は瀬尾を殺し、新たな罪のために残ると言い、千鳥を連れて行かせます。都に残した愛妻の死を知って、自ら犠牲になる決意をしたものの、いざ船が出ると俊寛は船を追って叫ぶのです…。

だいたいのあらすじは知っていましたが、千鳥が島の娘(西郷隆盛が流されたときの愛可奈みたいな)ではなく、歌舞伎の普通の町娘だったので、これなら連れ帰っても大丈夫そう、なんて思ったりして。成経は女方もやる役者さんが演じることも多い優男、菊之助の出番は少しですがやはりきれい(私の好みでは、やっぱり菊ちゃんの相手役としてはもうちょっと…)。

瀬尾はよくある悪役ですが、又五郎さんは愛嬌があって弾むようで、見ていて楽しく、意外に前半は軽い味わいのあるこの芝居を盛り上げていました。俊寛に心寄せる歌六さんはまあまちがいなしです。

前半、嘆きながらころころ転がっていた吉右衛門さん、見せ場はやはり愛妻の死を知って帰京の望みを失ってしまい、瀬尾を長めの立ち回りで殺した後ですよ。船が去れば孤独な俊寛は叫びます。舞台は廻り、海が広がります。今や取り繕うこともない俊寛、そして最後、叫んでもどうにもならない自分の運命を知る表情が、さすが人間国宝。またしてもよいものを見せていただきました。

201809kabukiza09_yugen     さて、最後は新作歌舞伎舞踊と題した「幽玄」。玉三郎さんが鼓童というパーカッショングループとコラボしているというのは知っていましたが、内容は想像もできず、舞踊は苦手なのでそんなに長い舞踊、寝ないか心配でしたが、意識がとんだのはちょっとだけで、面白かったです。

鼓童のパーカッションはさすが。けっこうな人数で様々な太鼓や鐘で、メロディまで感じさせるパフォーマンス、見事でした。

最初は「羽衣」。漁師らしき歌昇、種之助、萬太郎、弘太郎、鶴松ほかの青年たち。松の枝に残された羽衣を手にしますが、天女(玉三郎)が返してくれとやってきます。歌昇はリーダー格ですが、先月も思いましたけど、華があってお顔もきれいで素敵。

玉三郎さんの動きはまさに能。能だと、美女の面の脇からはみだすほおの輪郭が、実はどうかと思っているんですが、玉様の化粧したお顔は、並べたらちがうかもしれませんが、今舞台の上では美女面。そして歌昇たちの団体行動のような一糸乱れぬフォーメーション、びくともしない立ち姿。いくら舞踊が得意な役者たちとはいえ、まだ若いのに、この身体能力は、いかに普段鍛えられているのか、と感心しました。

2つめは「石橋」、5人が獅子ででてきます。EXILEのような一直線になったり、きれいに半円に並んだり、コロコロしてかわいい獅子たち。歌舞伎に縁のない若い子が見ても楽しいよなあと思い、また、太鼓のリズムがあるので、毛振りがそろっていてよかったです。

最後は「道成寺」。かわいらしい娘の玉様が踊らないのは残念でしたが、キャンドルをたくさん使ったりして、舞台効果に凝った作品。最後の蛇体の玉様も迫力でした。

歌舞伎としてどうか、とか秀山祭の歌舞伎座でやるのか、といった話は別として、立派なパフォーマンス。この内容の単独公演って5000円はとれるな(玉様ほか歌舞伎役者さんは除いても)、じゃあ今日の3A6000円は、1000円で吉右衛門さんの至芸を見て、まだ操三番叟をただで見たということ、なんて計算したりして。

言葉もいらないし、芸術性はあるし、東京オリンピックの開会式のパフォーマンスの一部として組み込んだらよいのではと思いました!

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コメント

星に願いをさん、こんにちは。

昼の部もう2回もご覧になったんですか。私はこの連休中に行く予定です。福助さんの金閣寺はじめ、3演目とも楽しみです!

鼓童は初めてだったので、その完成度に驚きました。玉三郎さんのやりたいことが、休憩込2時間の3場ともに溢れている感じでしたよ。若手中心ということもありましたけど、玉様が自分を魅力的に見せることへの熱意を感じました。楽しんできてくださいませ。

今月の歌舞伎座、福助さん見たさに昼の部に先に2回行き、来週夜の部に行きます。

鼓童のステージは単体で数回、玉様とのコラボでも見ているので期待度大です!鼓童の皆さんの体の鍛え方半端ないですよね。あの歌舞伎座でどんなパフォーマンスをしてくれるのか楽しみです。歌昇さん、昼の部でも素敵でした。お顔もキリッと台詞も聞き易くキチンと歌舞伎道に精進している感じがして好感持てます!

来週の良い予習が出来ました、ありがとうございます!

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