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秀山祭九月大歌舞伎「金閣寺」「鬼揃紅葉狩」「河内山」

201809kabukiza09kouchiyama     秀山祭昼の部です。1つめは「金閣寺」。国崩しの大悪人大膳(松緑)が、慶寿院(福助)を人質にとって金閣寺に立てこもっています。画家でもある雪姫(児太郎)をわがものにしようとしていますが、家臣になると宿敵の家臣である東吉(梅玉)がやってきて…。

2015年1月にも、大膳染五郎、雪姫七之助、東吉勘九郎という座組で見ていますが、なんといっても今回は、福助さんの5年ぶりの舞台復帰ということで話題です。終盤の短い場面ですが、とても張のある美しい声、凛とした容姿。舞台では一度しか拝見したことがなく、シネマ歌舞伎や歌舞伎本での福助さんの方が印象深いので、ああ、本当に福助さんだ、と思いました。女方としてあれほど活躍されていた役者が、歌舞伎界最高の名跡の一つを襲名することが決まっていながら、どんな思いで5年間リハビリに打ち込んできたことか。この舞台と拍手がご本人にもさらに励みになることでしょう。

その父をみて、児太郎の意気込みはいかばかりか、立派な雪姫。松緑の大膳も、ニンに合っているというか、文楽の「大団七」のかしらみたいなきれいな顔の拵え、今まで見た松緑さんで一番いいなあなどと思いました。なかよしの坂東亀蔵さんが弟の鬼藤太。

もちろん梅玉さんの東吉は舞台に重みを与え、見応えあるものにしていました。愛太夫、谷太夫お二人の義太夫も久しぶりでうっとり。

2つめは「鬼揃紅葉狩」。猿之助もやっていますが、その猿之助四十八選版とは別物ですね。「紅葉狩」とのちがいは、更科姫だけでなく侍女たちも鬼になるのと、維茂を起こす山神が女神と山神の姿で出てくること、紅葉の木がない(能舞台で囃子方しか舞台にいない)ことでしょうか。鬼はいっぱいでてくるのですが、「紅葉狩」よりも舞踊に近い、様式的な感じがしました。

幸四郎さんの更科姫は、現代的な美人。優雅に舞います。維茂(錦之助)の従者、廣太郎と隼人が立派です。隼人は、控えていても気合が入った顔をしているのが好感(河内山も)。

男山八幡の末柱が、東蔵・玉太郎の祖父・孫コンビなんですが、玉太郎、かわいい!というか、私紅葉狩のこの役、見た人全部(虎之介・金太郎・亀治郎)かわいい!好き!となっちゃうのは、よほどこの役柄とか雰囲気とかが好きなんですかね。玉ちゃんも指先まで気合を入れてきれいに踊っていました。舞台写真も多かったのが、人気を示してますね。

(ところでこの演目のこと調べていて、21年(2009年)11月の花形歌舞伎 の演目なんてのを見つけてしまいました。なんて素敵な座組)

さて最後は「河内山」。これまで2回は白鸚さんで見ていて、吉右衛門さんは初めてです。見た感じ、堂々と押し出しがよく、発声がきれいなのはお二方ともなんですが、吉右衛門さんの方がこってりと、宗俊のアクの強さを強調した感じ(この特別ポスターの愛嬌をみよ)。

いつも正しい、しかし苦渋の選択をするといったお役の多いきっちーさんが、本当に楽しそうで、もっと世話もお好きなのではと思わせるうまさ。「ひじきやあぶらげの惣菜ばかり食べて」とか「みじこうお仕えするこのどーかい」といったセリフの繰り返しが面白く耳に入ってきます。しかも、吉右衛門さんの座頭芝居らしく、役者が揃ってはまっているのが気持ちがよく、楽しい河内山でした。

始めの上州屋の場面、番頭に怒られる子どもの絡んだ宗俊の登場に始まって、宗俊の無茶な質入れを断る番頭(吉三郎―とてもよかった)、宗俊の申し出に縋って娘を助け出そうと決意する後家おまき(魁春)、親類の和泉屋(歌六)。

松江邸では、いかにも浪路に無理をいいそうなわがままさを見せる出雲守(幸四郎)、爽やかな数馬(歌昇)、実直な高木(又五郎)に、宗俊と相対する北村大膳(吉之丞)。幸四郎さん、出過ぎでお疲れという声も聞きますが、この出雲守はとてもよくて、宗俊と相対する場面でも大名としての大きさも感じさせて、これは襲名後の貫禄だなあと思いました。

最期、北村に見現されて逆襲する河内山は爽快。楽しいお芝居でした。

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コメント

星に願いをさん、さっそくコメントありがとうございます。

この5年間、福助さんのご様子は全くわからなかったので、明瞭な台詞と、動かないお手に胸の痛む思いでした。役者さんたちもお客さんも温かく迎えたこの復帰の舞台、これから少しずつでもいろいろなお役で出ていただきたいですね。

キッチ―って、つい言ってしまいますね。ご兄弟では共演なさらないので、甥の幸四郎さんとの共演の舞台はほほえましく見てしまいます。ほんとに昼夜対照的な秀山祭でした。

今月のお目当は福助さん、舞台に出ていらっしゃる間はずっとオペラグラスでお顔を拝見。ああ、本物の福助さんだと思うと胸がジーンと熱くなりました。歌右衛門の襲名直前の大病、ご本人もご家族もどんな思いで過ごしていらっしゃったのかと私などには想像出来ない5年の年月だったんだろうと思います。あの美しさと品と妖艶さと、、、。今の歌舞伎には是非必要な女形、完全復帰が待ち遠しいです!

まりるさん言うところのきっちーさん(笑)軽妙でしたたかで、しかも正義の味方で、舞台を支配する旨さは私のような歌舞伎ビギナーが口を挟むのもおこがましく、いつもハハーとひれ伏してしまいます。さすがは人間国宝、圧倒的な存在感でした!

幸四郎さんもあんなに出ていて大丈夫かと心配にもなりますが、名前がその役者さんを大きくするってあるんだなぁと思いました。
とっても満足できる3演目でした!

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