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七月大歌舞伎「御浜御殿綱豊卿」「口上」「女殺油地獄」@松竹座

201806_4      松竹座での高麗屋襲名興行、昼夜通しの夜の部です。昼よりよいお席。

まずは「御浜御殿綱豊卿」。初めて見たときはセリフばかりであまり面白くない印象だったんですが、前回仁左衛門丈と染五郎丈で見て、セリフが入ってくるのに驚きました。今回はその上を行く感動でした。

まず綱豊の側室お喜世(壱太郎)が隠す手紙を見せよと迫る浦尾(吉弥)、助けに入る江島(扇雀--貫禄ありました)。

綱豊(仁左衛門)が新井勘解由(歌六)と大石たちについて話す場面。さすが歌六さん、こういう勘解由、この綱豊との会話が見たいと思っていました。理詰めのやりとりの後で、討たせてやりたい、と述懐する綱豊。仁左衛門さんの綱豊、なんていうのか、物語の中から飛び出して骨肉をまとっているというか、現実にはいないけれども、でも目の前に実在する感があって、すごいなと思いました。

お喜世の兄富森助右衛門(中車)登場。のっけから、隙あらば吉良暗殺のための情報を得ようと抜け目なく見回します。染五郎で見たとき、仇討ちに思いつめる青年助右衛門の決定版で、綱豊とも対照的でいいなと思ったんですが、中車の助右衛門は、おじさんではあるんですが、その一途さ、覚悟、綱豊に一歩も引かない意地が見えて、だからこそほとんど動きのないセリフ劇に緊張感があって、とてもよかったです。

ちょっと声がかすれているし、歌舞伎の技術がもうちょっとあればという気もするのですが、この緊迫感は、さすが役者としての実力だと思いました。

綱豊卿は、大石内蔵助が仇討ちをするつもりなのかどうか、言葉をつくして助右衛門につめよるのですが、その会話から浮かび上がってくる大石という人が、「祇園一力茶屋の場」(最近TVでも見たばかり)での姿や、「判官切腹の場」での判官と大石との別れが思い出されて、より胸に迫ります。歌舞伎にはこういう楽しみもあるのだなと思いました。

次は「口上」です。藤十郎さんの読み上げから、皆さんの口上が続きます。猿之助丈は上手側、白鸚さんとも、もちろん幸四郎さんともさんざん共演していますし、口上には出られなかった1月のことを思えば、いろいろ思いはあると思うのですが、なんと高祖父二代目段四郎と七代目幸四郎の縁を話すという内容。目立つ人が一切自分のことは言わないのが、逆にどれだけ幸四郎さんを思っているか、と思いました。最近お顔が丸くなったといわれていますが、丸いというより、青年を脱した貫禄をにじませていましたよ。

夜の部は口上だけの白鸚さん、とても力が入っていて美声を聞かせていました。37年前の三大襲名の際の初代白鸚さんは、すでに体調が悪く、その後まもなく亡くなられていますが、当代はますますお元気で、新たな境地を開きそう。

さて、お待ちかねの「女殺油地獄」。

野崎詣りに、子どもの手を引き、赤子を抱いてお吉(猿之助)登場です。着物の下のちょっとむっちりした感じが、とても色っぽい。といって、あくまで気のいい女房、やんちゃな(この時点では子どもっぽい、無邪気な若者)与兵衛(幸四郎)を、身内のように、ちょいと気に入っている感じが絶妙。

河内屋の場。母おさわ(竹三郎)、継父徳兵衛(歌六)が絶品。4月のワンピースではややお元気なさそうに見えた竹三郎さん、来月には86歳になられるとは見えない肌のきれいさ、セリフも力がこもっていて、ワンピースとはまた違った猿之助丈との共演を楽しんでいるように見えました。

ここまで、ちょいちょい笑いが起きるのは、むしろその後の悲劇と対照的で私は結構好き。幸さんの持つ、天性のボンボンぶりとか明るさがとっても合っているなあと思いました。だいいちかっこいいしね(ポスター見てください)。

あっという間に、殺し場です。見る前は、猿之助丈の左腕を打ち付けないかなどと気にしていたのですが、あまりに自然で、ほとんど気にならずに舞台に集中できました。殺して金を奪っても、その先は見えないのに、なんと刹那的な与兵衛。二人の動きがピタリと決まり、滑るところが動きとしておかしいのはそれとして、陰惨な殺し場が様式美に昇華していました。いい母親でしっかりした、幸せだったお吉が「死にとうない!」というのが何とかわいそうだったこと。

昼の勧進帳も大健闘でしたが、やっぱり幸四郎丈のニンは仁左衛門さんに近いような気がして、というか、ニザ様の当たり役をやってほしいと常々思っているんですが、そういえば口上でも父とニザ様に挟まれていたのをほほえましく見ていたのでした。

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