来日ミュージカル「エビータ」@シアターオーブ
ラミン・カリムルーが出演するときいて、絶対に見なくちゃと思っていた「エビータ」です。
アンドリュー・ロイド・ウェバー曲、ティム・ライス作詞、ハロルド・プリンス演出、1978年ロンドンで開演した大ヒット作で、ロイド・ウェバーの代表作でもあり、これ以来あまりにブロードウェイをロイド・ウェバー作品が席巻していたことが、「RENT」誕生のきっかけのひとつとなったともいわれています(「EVITA!」っていうセリフも出てきますよね)。
アルゼンチンの大統領夫人エヴァ・ペロンの一代記ということは知っていましたが、四季や映画も見たことはなかったので、構成も知らずに見ました。「エビータ」は、2006年、2012年にロンドン・ブロードウェイでリバイバルヒットしていますが、今回は、ハロルド・プリンスのオリジナル演出版を再現したツアーだそうです。
お話は、映画館で映画(エヴァ本人が出ているものだったらしいです)が突然中断し、若き大統領夫人エビータの死が告げられ、人々はショックを受けます。チェ(ラミン)が出てきて歌います。このチェは、チェ・ゲバラ風ではありますが、ゲバラではなく、狂言回し、語り手の役割で最後までいます。
エヴァ(エマ・キングストン)は、父の愛人の子として育った貧しい15歳、旅回りのタンゴ歌手マガルディ(アントン・レイティン)ともにブエノスアイレスに出てきます。女を武器に女優としてのし上がっていくエヴァは、野心的な軍人ペロン大佐(ロバート・フィンレイソン)と出会い、ついには大統領夫人として、国民の愛を得ますが…。
休憩込みで2時間15分と短めですが、全編歌で、エヴァの人生が、繰り返し使われる名曲「泣かないでアルゼンティナ」のメロディに乗って語られます。シンプルなセットに、実際のモノクロのニュース映像(実在のエヴァはほんとに美しい)がしばしば流れて、ドキュメンタリー的な雰囲気を出しています。
父がアルゼンチン人というエマ、最初はまったく普通の野暮ったい女の子なんですが、だんだん大統領夫人としての貫禄が出てきます。2幕初めのバルコニーでの歌は圧巻でした。
そして、ラミンですよ。とにかくずーっと舞台で葉巻をふかしながら、歌いまくります。引き締まった筋肉、輝く目、情熱的な歌、狂言回しなので、演技という意味では、さほど見せ場はないんですが、コンサートではないラミンを見るのは初めてで、どうしても彼を追ってしまいました。
そのためか、軍人たちの団体行動みたいなダンスとか、せっかくのタンゴのダンスはやや物足りない感じ。振付はオリジナルのラリーフラーなんですね。ビジュアルも含めて、マガルディ、ペロンも合っていました。
やや抽象的ではあるけれど、エビータの人生を見事に描き出した、さすがの名作ともいえるし、もうちょっとエビータに圧倒的な迫力が欲しかったかも、という気もするし、しかし、すべては、こんなラミンを見られてうれしかった、と思うのでした。
珍しくパンフレットを買ってみたんですが、記事も写真もなかなかの充実ぶり。ラミンのサインももらっちゃった!あなたをステージは4度目です。いつも素晴らしいですが、今日は本当に素敵でした、って言ったら、とってもうれしそうな顔をしてくれて、いい人でした!
おまけ。
先日、「スッキリ」に、ラミンがゲストで出てたんですよ。別の曜日のレギュラーのウェンツくんが来て、適切にラミンの魅力を語ってくれて、生歌披露。ラミンって、ミュージカルファンじゃなくちゃ知らないし、よくわけわからないバラエティノリのいじりとかされなくてほんとによかったです。せっかく日本によく来てくれるスターなんだから。
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