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六月大歌舞伎「夏祭浪花鑑」「巷談宵宮雨」

2018062        六月大歌舞伎夜の部です。1つ目は「夏祭浪花鑑」、鳥居前、三婦内、長町裏)。わりとよくかかる演目のようですが、「夏姿女団七」は見ているんですが初めてでした。

団七九郎兵衛(吉右衛門)は、牢屋から解放され、女房お梶(菊之助)、息子市松(寺嶋和史)と会って喜びあいます。牢人の扮装が、「石切梶原」とかに出てくるあのユーモラスなあれで、吉右衛門さんがここれをやるのがまず見もの。そして、かわいい婿と孫に好々爺の顔を見せるのも、じゅふたんが、はりまやの着物を着ている(播磨屋の揚羽蝶の紋が首抜きに描かれた浴衣、裾にははの字も見えます)。音羽屋の御曹司じゅふたんがこれを着ているのはとっても貴重、というのを、歌舞伎通の友人に教えてもらってうれしい私。

団七の古い友人釣船三婦(さぶ、歌六)は、団七の主筋の礒之丞(種之助)と琴浦(米吉)を助け、一寸徳兵衛(錦之助)と団七は義兄弟の契りを交わします。

磯之丞と琴浦をかくまった三婦の家。三婦の女房おつぎ(東蔵)は、磯之丞を徳兵衛の妻お辰(雀右衛門)に預け、備中に逃がそうとしますが、三婦は「こんな美人と」と反対します。鉄火なお辰は、そんなことで一度頼まれたことをなしにするとは、と、自分の顔に焼き印を付けます(きゃあ)。

お梶の父義平次(橘三郎)は琴浦を売り飛ばそうと騙して連れ出します。団七は追いついて義平次ともみあった挙句、殺してしまうのでした。

昼の「野晒悟助」同様、夏らしい風俗がすっきりと描かれていて、団七縞(オレンジのギンガムチェック!)の着物もかわいいです。

しかし今、充実の吉右衛門さんでやる必要あったのかな、と思ってしまいました。団七は侠客にまで至らない、市井のちょっと頼りにされるくらいのお兄ちゃんということで、勘三郎の団七縞の写真を見たことがありますが合ってたし、今なら勘九郎で見たいと思いました(海老蔵も何度もやっているようです)。雀右衛門もうまいんですが、きっぷのよさとかキレのよさが足りないし。

何より、殺し場でいきなりでてくる義平次が、貧相で小汚い着物で、とてもあの立派な奥方お梶の父に見えないし、ちょっと金もうけしようとしただけなのに、堂々たる体躯の婿に惨殺されるのがなんだかかわいそう。義平次だけが泥まみれだし。殺しの場面もやや間延びしていて、迫力に欠けるように思いました。

前述の女団七では、殺し場の前に、姑おとら(竹三郎)と嫁お梶(猿之助)の絡みがたっぷりあり、おとらの悪人ぶりとユーモアが際立っていてかわいそうと見えなかったんですよね。お梶は鉄火でお辰のいいところも併せ持ってたし。(ああ、もう一度見たいですが今の竹三郎さんには無理そうで残念)。

2つめは、「巷談宵宮雨(こうだんよいみやのあめ)」。宇野信夫作で、24年ぶりの上演だそうです。

女癖が悪く寺から追放された龍達(芝翫)は、甥の太十(松緑)、おいち(雀右衛門)夫婦のところに転がり込みます。龍達は、寺に埋めてきた百両を太十に取りに行かせますが、分け前については…。

芝翫のクソ坊主ぶりが、扮装も演技も吹っ切れていて最高です。この方、勘三郎との共演作品を思わせるこういう役が一番面白い気がします。そして実質主役の松緑、刹那的な性格、垣間見せる人の良さ、この演目を見る前の幕間で舞台写真を見て、松緑いい表情してるなと思ったんですが、実際大きな目で豊かな表情を見せていて、私史上最もよい松緑でございました。

隣家の女房梅花さんがまた、世話の味の濃いうまさ。そして、太十の昔の遊び仲間で今は鼠取り薬売り勝蔵(橘太郎)。病で体が不自由になり、ようよう薬売りで暮らしをたてているんですが、そのつらい身の上、束の間の太十との邂逅、彼がストーリー上、毒薬を太十に渡すという役回りで出てるということは十分にわかっているのに、ちょっとしたセリフに泣きそうになっちゃって驚きました。型がくっとはまると短い場面で感動を盛り上げてくれるのが、歌舞伎ならではという気がします。

(ところで、太十が決意するいい場面、部屋で立ってたので、3階から顔が丸々見えなくて歯がゆかったです。この芝居は演出がいるんだから(普通はいない)、チェックしてほしかったですよ。花道見えないのは仕方ないにしても!)

まったく知らないお話で、場面転換も軽快で、登場人物の好演もあって、とても楽しく見ていたんですが、最後は怪談!いや、けっこう怖くて面白くてびっくりさせられました。夏に定番になってもおかしくない演目です。ほかの役者はともかく芝翫さんは再演すべきですよ!

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コメント

星に願いをさん、いつもコメントありがとうございます。

歌六さん、うまいですよね。今月の松竹座でも、どのお役も本当に的確な演技で、お芝居を一段引上げている感じでした。

芝翫さんは、こういう役、面白いですよね。立派な体格なのに、強欲だったり我儘だったり色好みだったりする人物がいちばん似合う気がします(←ヒドイ)。

先週見て来ました。

吉右衛門さん、娘婿さんそしてお孫ちゃん3人がいる舞台は和やかな雰囲気で暖かい拍手でした。着物の柄に関する知識もゲット出来て、なるほど通の人はこういう一段深い楽しみ方をしているのねと感心しました。

わたし的には歌六さんの名前を見るとこの舞台大丈夫、ホロリとさせる役でもタンカを切るような役でも舞台を引き締めてくれると安心します。

巷談は失礼ながら芝翫さん、こういう役もできるんだと思いつつ見てました。もっと回数重ねてこなれてきたら滑稽さとゾクゾクする怖さのコントラストが強く出て益々面白い演目になるんじゃないかしら、と歌舞伎素人ながら偉そうに思ってしまいました、失礼!

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