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四月大歌舞伎「西郷と勝」「裏表先代萩」

201804    歌舞伎座昼の部、1つめは明治150年記念真山青果「江戸城総攻」より「西郷と勝」です。

西郷隆盛と勝海舟が、江戸城の無血開城、慶喜の助命をを決めた歴史的会談の話ですが、そう、先月の新橋演舞場、三谷幸喜の「江戸は燃えているか」とまったく同じシチュエーション、舞台装置も下手に座敷、上手に庭、というところまでそっくりです。ああ、どっちかというと、マジメなこちらを先に見てから、あのコメディを見たかった。しかし明治150年記念ですか、NHKの「西郷どん」に乗っかってるのかと思いましたよ。

まず登場するのは勝(錦之助)、西郷に慶喜の助命を願いに行く山岡鉄太郎(彦三郎)と話します。二幕は薩摩藩屋敷。総攻撃にはやる村田新八(松江)と中村半次郎(坂東亀蔵)。西郷(松緑)は、往来で鰯売りと客の喧嘩を眺めていたりして呑気に見えます。そこへ訪ねてきた勝に対し、西郷は本来の戦力ではかなわなかったはず、という官軍と幕府の戦いを振り返り、江戸を守る決意を語ります。

西郷と勝の緊迫感あるやりとりと思いきや、ほぼ西郷一人語り。官軍の進軍の経緯を語るくだりなど(「新選組!」以来、幕府は本当は強かったというのを知りこの流れがわかりやすかったです)説得力もあり、力の入った芝居を見せる松緑。なかなか見事で、感動しました。

松緑はブログで、セリフ覚えと芝居がたいへんだと書いていましたが、これはたしかにたいへんなチャレンジだったことでしょう。しかし、これだけの役をやり通したことで、役者として一段上がり、一回り大きくなったような気がしました。太った役だったためもあってか、お顔が二代目にそっくりになってきたなと思います。

2つめは通し狂言通し狂言 梅照葉錦伊達織(うめもみじにしきのたており) 裏表先代萩」。あの「伽羅先代萩」の書き換え狂言で、三代目菊五郎のために鶴屋南北が世話の場面を追加したものだそうです。

その通り、「伽羅先代萩」に、仁木弾正が鶴千代毒殺のための毒薬を調合させた薬屋大場道益(團蔵)を、その謝金目当てに殺した小者小助、濡れ衣を着せられる隣家の下女お竹(孝太郎)の場が挿入されます。

世話の場はまったく世話で、別の演目を見るようなものです。これまでの上演では、この小悪党小助と、政岡、仁木弾正を、菊五郎や勘三郎が一人で演じており、この異なる役を演じ分けるのを見る楽しみがあったのだと思うのですが、今回は、政岡は時蔵。それでも、いつもの味わい深い世話の小悪党と、仁木弾正は圧巻。小柄な菊五郎さんが大きく見え、不気味な仁木として無言でゆっくりと花道を歩く姿は、あーみられてよかった、と思いました。

やゑ亮の鼠の動きがまたものすごく鼠っぽいバク転で、面白かった!

その御殿。時蔵さんの政岡、見てみたかったんですよね。やっぱり武家の乳母としての気丈な雰囲気が合っていてよかったです。愛太夫さんの義太夫とともに堪能しました。栄御前(萬次郎)、八汐(彌十郎)は何となくおかしみがあって、いつもの先代萩と雰囲気が違うように思いました。やじゅさん、声大きい!

御殿の後は、席ほどの道益強殺の詮議の場。鮮やかな裁きを見せる倉橋の松緑がここでもきっぱりといいです。

そして仁木刃傷。以前通しで見た時も思いましたが、仁木弾正、その設定の割には老いた外記左衛門(東蔵)にとどめすらさせなくて弱すぎ。そして手負いの外記左衛門に薬をやるのはいいけど舞えとか無理を言う細川勝元(錦之助)。東蔵さんがかわいいので、この後大丈夫か不安になりますが、悲劇の後のほっとする場です。

3時間半近くがあっという間で、見ながら、「西郷と勝」がストイックに切り捨てた歌舞伎の楽しさがつまっているなあと思いました。

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