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中村勘九郎「勘九郎日記『か』の字」 小松成美「仁左衛門恋し」 長谷部浩「菊之助の礼儀」

201802_3    引き続き歌舞伎役者の本です。まずは、十八代目勘三郎の勘九郎時代の日記形式のエッセイ、中村勘九郎「勘九郎日記『か』の字」、2004年(平成16年)発行の単行本の文庫本版です。

最初は、勘九郎最後の歳である2004年の平成中村座ニューヨーク公演の日記ですが、その後は1955年の誕生のときから2003年までのいろいろなことのあった日の日記という形式で綴られて行きます。

踊りの稽古が好きだったこと、役の幅の広かった名優の父十七代目勘三郎、六代目菊五郎の娘で芸を見る目は厳しかった母、役者の才能に恵まれた姉波乃久里子、好江さんとの結婚のいきさつ、子どもなのに祇園に連れていかれた息子たち。

「瞼の母」の長谷川伸の気持ちがわかったり、硫黄島で「俊寛」をやったり、「研辰の討たれ」やコクーン歌舞伎の「四谷怪談」、「刺青奇偶」…渡辺えり子や野田秀樹、ビートたけしとの交流などもあって、1冊に勘三郎さんの人生がつまっていて、面白かったです。

もちろん舞台を見たかった思いはありますが、芝居の話は、なるほどこの演目のここを見るのかという点で勉強にもなりました。当代勘九郎との鏡獅子の親子共演の話、小さいながらも役者としての資質を見せる勘九郎の姿が描かれていてよかったです。

201802   次は小松成美「仁左衛門恋し」。小松さんの仁左衛門さんロングインタビューです。

今はすっかり歌舞伎に専念している仁左衛門さんですが、以前は、ドラマや映画、歌舞伎以外での舞台に出ていて、私もドラマでは、山本学さんに似た細面の二枚目として認識しておりました。そのころの話もたっぷりですが、歌舞伎の出番が少ないから何でも出ていたというのは驚きですね。

名優の父十三代目仁左衛門さんとの歌舞伎の舞台の話、秀太郎さんと一緒におけいこした話、奥様や、孝太郎さん、宝塚に入った汐風幸(現在片岡サチ)さん、女優の片岡京子さんといった家族の話。美しいカラー写真もいろいろあって、勧進帳弁慶も八汐も見たい~ってなります。

ただ、仁左衛門さん自身が真面目で謙虚な方なので、彼よりも20才ほど年下の著者によるインタビューがやや通り一遍のものに終わっているうらみはあります。少し前に読売新聞に連載されていた記事の方が面白かったかも。

秀太郎さんファンとしては、ご兄弟のお話ももっと読みたかったなと思います。

201802_2   3冊目は長谷部浩「菊之助の礼儀」。演劇評論家の著者が、平成12年(2000年)からの菊之助との交流を書いたもの。

「NINAGAWA・十二夜」で最初にシェイクスピアを歌舞伎でやるなら「十二夜」と提案したり、その後に共演したいと願った勘三郎と菊之助のために、野田秀樹脚本、ディビッド・ルヴォー演出の「曽根崎心中」を企画したり(勘三郎の死でこの企画は中止を余儀なくされましたが)、といった興味深いエピソードが語られます。

そういえば、平成26年出版のこの本には書いてありませんが、昨年の新作「マハーバーラタ戦記」の演出宮城聰さんと菊之助を引き合わせたのも長谷部さんでした。演劇評論家としては評論がお仕事であるわけですが、これらの才能を結びつけるというのは、演劇ファンなら皆興奮するようなことでしょう。

そういう出来事の合間に、菊之助の真摯な努力が見られます。容姿や才能に恵まれ、若い頃からいい役がついている彼ですが、目指すは至高の名人、やってもやってもこれでよいということはないのでしょう。

当代菊五郎についての著作もある著者らしく、菊五郎さん自身から、七代目を継ぐときの話を聞いたりしています。中村屋や海老蔵家と比べてテレビのドキュメントなども少ない菊之助についての面白い1冊でした。

 

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