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劇団民藝「『仕事クラブ』の女優たち」@三越劇場

Photo  劇団民藝といえば、宇野重吉さんらの、新劇界の老舗劇団ですが、先日三越でこの素敵なポスターを見かけて、行ってみました。主演の奈良岡朋子さん、子どもの頃からドラマでキビキビした女医さんや作家を演じている姿が大好きで、まさか88歳の今、お元気な姿を舞台で見られるとは。

「『仕事クラブ』の女優たち」は、青木笙子さんのドキュメンタリーを原作とした長田育恵さん脚本の芝居で、1930年代のプロレタリア劇団の女優たちを主役にした作品です。

築地小劇場の雑然とした楽屋で、演出補の橋本(平松敬綱)と、合同公演をすることになった左翼劇団の五十嵐(神敏将)が、警察に上演許可をもらいにいった池田(天津民生)を待っています。女優達、雪枝(桜井明美)、えつ子(吉田陽子)、たまみ(藤巻るも)、淳子(中地美佐子)が、やってきて忙しく準備をします。上演許可は下りましたが、台本は無残にも半分以下に削除されてしまいました。通りすがりの縁で、賄いなどを手伝うことになった老女のぶさん(奈良岡朋子)。当初は冷ややかに見得ましたが、さりげない優しさが彼女たちの心を癒します。演劇だけではやっていけない彼女たちは、アルバイトを受け付ける「仕事クラブ」を立ち上げ、マネキンや筆耕や印刷、裁縫等得意な仕事で演劇を続けようとしますが、特高の締め付けが厳しくなってきます…。

日本橋三越6階の高級宝飾や絵画の売り場を抜けるとそこはレトロな三越劇場(なんと90周年だそうです)。シャンデリアや劇場天井のステンドグラスがステキです。ホワイエには栄太郎の和菓子を売ってたりします(ちなみに、デパートの中の劇場らしく、16日間の上演期間のうち、ソワレは2日のみ)。

そういう劇場に忽然と現れた戦中のプロレタリア劇団。丁寧につくられたリアルなセットと、俳優さんたちが皆さん、ちょっと古風な、裕福ではないけれど昭和の折り目正しさを備えた大人たちをしっかり演じていて、まるでタイムスリップしたように、この世界に引き込まれてしまい、休憩込の3時間弱、女優達と一緒に泣き笑いしました。日本の俳優さんの層は厚いんだなあ。

とくにこのお芝居、主たる女優さんたちが魅力的です。繊細な美人女優の雰囲気の雪枝、仕事がデキてサバサバしている淳子、元気のいいたまみ、人気俳優の夫に苦労するえつ子。そこに、お年は召して小さくなりはしたものの、目の輝きや肌のハリはとてもお年に見えない奈良岡さん。抜け目なく見張りをし、劇団員の世話をこまごまと焼き、セリフもはっきりしていて、ああ、奈良岡さんだ、と感動でした。

時代の匂いがするのは男性たちも同じで、純粋な元帝大生の平松さんなど、とっても雰囲気が出ています。一生懸命ではあるけれど、理想ばかり語って、現実味や生活力のない男たち、セリフでしか出てこない、看板役者のえつ子の夫、投獄されたままの淳子の夫など、女優たちが頼れる力強い男はいません。

ときに仲たがいしながらも、友情で結ばれた女たち、つらくても、自分の選んだ道だと堂々としている彼女たちと見守る奈良岡さん、たまにはこういうお芝居もいいな、と温かな気持ちで劇場を出ました。

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