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BD「じゃじゃ馬馴らし」

Photo  猿之助の亀治郎時代の軌跡を追ってきて、どうしても見たくなった蜷川幸雄の「じゃじゃ馬馴らし」(2010年10月)。これまで蜷川シェイクスピアシリーズのBOXしかなかったんですが、単品のブルーレイがオンデマンド(注文生産)で売られるようになったので、入手しましたですよ(「ベニスの商人」といっしょに!)オールメールシリーズです。

美人でしとやかな妹のビアンカ(月川悠貴)と比べて、じゃじゃ馬のカタリーナ(ケイト、亀治郎)には求婚者はいませんが、父親のミノーラ(磯部勉)は、カタリーナの結婚が決まらなければ、ビアンカは誰にもやらないと言います。お金目当てのペトル―チオ(筧利夫)は、ケイトに求婚し、彼女を眠らせない、食べさせないといろんな手段で手なづけ、従順な妻にします。ビアンカの家庭教師に扮したルーセンシオ(山本裕典)はビアンカの愛を得ますが、ビアンカは実はさほど従順な妻ではなく…。

蜷川さんのシェイクスピアですから、キャスト隅々に至るまで、きっちり世界観を共有しているというか、日本でやるシェイクスピアに必要なバタ臭さ(特に冒頭の、貴族になったと騙されるスライとか)を備えて演じているんですが、亀治郎だけは別次元。「歌舞伎役者の自分が呼ばれたからにはそういうものを見せねば」という信念よろしく、見得は切るわ奇声は発するわ、やりたい放題です。側転からのパンチには驚きました。

しかし、亀治郎の登場場面を見ていくと、実はきめ細かにカタリーナの心情を演じているのに気づきます。そもそも、この芝居、じゃじゃ馬のカタリーナがペトル―チオにやや乱暴に押さえつけられて、ラストに女は従順が美徳という演説をぶつのが、女性蔑視で不快という感想を持つ方も多いようです。

でも亀治郎のカタリーナ、じゃじゃ馬ぶりは、妹ばかりが周囲から愛される状況への反発のように見えるし、ペトル―チオに触れられて心が動かされるんですよ。たしかにラストの演説は文字で書けばあまりに男尊女卑にもみえますが、ぎすぎすしないで夫婦仲良く、というだけのような気もするし、このまま堂々たるカタリーナがただ従順なだけで終わるようにも見えません。そこは、亀治郎の工夫なのか(この方、女性の生き方に興味があるようには見えないので)、蜷川演出の妙なのか。

カーテンコール、ドレスに沈み込むお辞儀をしたりして、亀治郎ファンには必見の舞台だったと思います。

カタリーナに比べると、ほかの人物は深みがなくて類型的、ペトル―チオの筧利夫は達者で熱演でしたが、もうちょっと愛嬌や優しさがないと、ただの暴君でカタリーナがかわいそうな印象。山本裕典は、先日事務所をクビになってしまいましたが、こんな大舞台でいい役をもらっていたのに残念ですね。この山本ルーセンシオの従者がなかなかいいなと思ってみていたらば、この人も数年前に寝過ごして主演舞台をキャンセルし、活動自粛していた田島優成だったようです。

ところで姉妹の父ミノーラの磯部勉さんって、昔NHKの「風神の門」というドラマでいいなと思った方ですよ。舞台でずっと活躍されてたんだな、と懐かしく思いました。

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