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2017年11月

「スカーレット・ピンパーネル」@赤坂ACTシアター

Photo  昨年秋の公演のチケットを取り損ねて残念に思っていたら、好評だったようで、わずか1年後の再演となった「スカーレット・ピンパーネル」です。石丸幹二、安蘭けい、石井一孝という、歌も上手く、今日本で一番華のあるキャストで、楽しみにしていました。今年、宝塚の方を先に見ちゃいましたが、それはそれで。

  原作は1905年出版のイギリス小説「紅はこべ」。ミュージカル版は脚本ナン・ナイトン、作曲フランク・ワイルドホーン、ブロードウェイで1997年に初演、劇場を変えたりしながら2000年まで上演されています(ワイルドホーンとしてはヒット作)。日本では2008年に小池修一郎潤色・演出で宝塚初演、安蘭けいがパーシーを演じています。このプロダクションの演出はガブリエル・バリー。

舞台は1792年のパリ、ロベスピエール(上原理生)の恐怖政治の下、ショーブラン(石井一孝)は市民をギロチンに送っています。コメディフランセーズの人気女優マルグリット(安蘭けい)は、イギリス貴族のパーシー(石丸幹二)と結婚してイギリスに渡りますが、昔の恋人ショーブランに仲間のサンシール侯爵の隠れ家を教えてしまったマルグリットに対し、パーシーは不信感を抱き始めます。仲間の貴族やマルグリットのとフランス市民を救うスカーレット・ピンパーネル団を結成したパーシーは、正体を隠しながら活動しますが…。

美男美女の夫婦なのに不信感で行違う雰囲気がちょっとつらい前半ではあるものの、石丸パーシーがおふざけするのがなかなかいいです。宝塚の紅ゆずるはふざけるとオバちゃんになっちゃうのが残念でしたが、ハンサムのちょっとしたジョークというところに止まっていて。対照的な、マルグリットへの未練と職務で屈折している生真面目な石井ショーブラン。眉間のシワ、思い詰めた表情がセクシー。

そして、この舞台の見どころのスカピン団がイケメン揃いでかっこいい!中でもちょっと目につく泉見洋平(「華麗なるミュージカルクリスマスコンサート」にゲストで出てました)、アルマンの松下洸平(「ラディアント・ベビー」)がよかったし、ほかに藤田玲、多和田秀弥、久保田秀敏、そしてコメディ・リリーフの久保田貫太郎

さらにロベスピエールとウェールズ公の早替わりもあった上原理生の歌もさすがで存在感がありました。

マルグリットがパーシーと夜中に庭で会うところは、なんで気づかないんだ、ですし、パーシーの正体を知るところはちょっと脚本がもたもたしていて残念でしたが、2幕終わりの立ち回りも迫力で、すかっとハッピーエンドなところはこの演目のいいところ。アンサンブルも含めて、多くはないキャストがきびきびといいチームワークで動いていて、やっぱり面白い、いい作品だなと思いました。

ナイロン100℃「ちょっと、まってください」@本多劇場

Photo  ケラリーノ・サンドロヴィッチのナイロン100℃公演、「ちょっと、まってください」です。本多劇場、久しぶりに行ったら椅子が座りやすくなってました。2015年に椅子を更新したそうで、ロビーに33年間使っていたという以前の椅子がおいてありました。これはありがたい。

(以下、ストーリーにはさほど触れませんがちょっとネタバレ含みます)

さて、「グッド・バイ」のようなウエルメイド、「ヒトラー、最後の20000年~ほとんど、何もない~」のようなナンセンス、「ワーニャ伯父さん」のような古典と、最近ケラを見始めた私でも驚く幅広い作品を生み出している鬼才ケラさん、今回はどんな芝居だろうと思っていましたが、なんと不条理喜劇。

見始めてすぐ、いかにも「演劇」というリビングのセットと言葉の意味のずれで展開していく流れで、あれ、別役実みたいだなあと思っていたら、劇場でもらったチラシ(文章だけ!)にケラさん自身が、「劇団で初めてで『不条理喜劇』を目指したもの」であり、「御名前を挙げ、深い謝意を称せねばならぬのは、他ならぬ、劇作家の別役実さんであります。」と書いてあって、幕間に読んで感動しました。

そうはいっても、電信柱以外の(多数ちりばめてあった)オマージュはわからなかったんですが、とにかく作品世界は別役さんの不条理劇の世界ながら、それがちゃんと今の、ケラさんとケラさんの信頼するキャストたちの表現になっていて、また一つ、ケラさんの才能に感嘆いたしました。

たとえば、セットは廻り舞台で2パターンなんですが、高度なプロジェクション・マッピングや照明が効果的に使われています。いつもケラさんの舞台映像は高度なのに使い方のほどがよくてすごいなと思うのですが、ワンピース歌舞伎の本「ワンピース偉大なる世界」で、映像の上田大樹さん、ケラさんの舞台を手掛けていると知って、感動しました。いや、素晴らしいですよ。

セリフが本当におもしろい。膨大なセリフをやつる役者さんたちの声と滑舌のよさ、不思議なキャラクター、小さなどんでん返しの繰り返し。ゾンビのようなメイクが、歌舞伎で化粧がその役を現すのを連想させます。

よく見る方としては、何といっても三宅弘城(父親)、犬山イヌ子(母親)、峯村リエ(ラーラ)、大倉孝二(乞食の兄)、水野美紀(エミリー)、マギー(使用人)、みのすけ(乞食の父親―歌がうまかった!)。ほかに遠藤雄弥(ピンカートン)、村岡希美(乞食の母親)、藤田秀世(乞食の祖母)、小園茉奈(ユードラ)。皆さんのチームワークというか、コンビネーションがとってもよかったです。

(大倉孝二さんって、長身でとってもかっこいいんですね。「新選組!」の勘定方や面白い役が多くて気づきませんでした、ごめんなさい)

15分の休憩をはさんで3時間15分。まったく長いとは思いませんでした。ああ、この舞台、見られてよかった。

「スーパー歌舞伎IIワンピース “偉大なる世界」とワンピース歌舞伎2回目(追記・猿之助ワンピース写真展)

Photo   ワンピース歌舞伎の写真集・メイキングの2冊組の本、「スーパー歌舞伎IIワンピース “偉大なる世界(グランド・ライブ)」が、発売されました。四代目猿之助さんとしては、もともとのファンが一巡した2カ月連続公演の2か月目に、写真とスタッフのインタビュー満載の本を出版する、ということだったんでしょうが、ご存知の通り、開演わずか4日目の事故で、猿之助自身は出演できない事態に。

猿之助、右近を両方見ようと何回もチケットを取っていた人の中にはリセールに出す人もいて、そうした中、タンバリン交換や猿之助のカーテンコール登場等、話題には事欠かないワンピース歌舞伎再演となりました。

しかし、右近ルフィ、若くて純粋で元々ルフィのキャラに合っているうえに、女方は絶品。3時間奮闘した後でもツヤツヤのお肌のハンコックは美形女形です。そうなると、芝居自体の骨格の確かさやエンタテインメント性が、否応なく四代目の演出の凄さを感じさせる舞台になっているわけで、このメイキングブックが、面白くないわけはありません。

お芝居というものが好きな私にとっては、脚本、衣装、舞台装置、照明、音楽…、のプロの仕事を語るインタビューは本当に興味深く読ませていただきました。一流のプロである彼らの力を最大限に引き出す歌舞伎役者猿之助。出るか出ないかなんて、この作品の価値には関係ないとさえ思えます。

そして、猿之助と尾田栄一郎、北川悠仁の対談がたっぷり載っているんですが、猿之助の歌舞伎以外の人に歌舞伎の表現や特徴をわかりやすく理路整然と説明する能力には感心します。例えば、歌舞伎と普通の演劇の違いはときかれて、「すべての所作が美しいことです」と言うんですよ。そういえば、「LIFE」のときも、コントの後のトークがとても面白かったですね。

かと思うと、竹三郎さんが、以前公演中に体調不良で倒れたときの、猿之助の親身になっての優しさのエピソードを語り、「四代目さんのなさることなら何でも力になってさしあげたい」なんておっしゃるんですよ。お二人の共演は大好きなんですが、そういう絆があったんですね。

そしてこの本を読んだ直後に、再演2回目の観劇日がやってきました。代役もほぼ1カ月、すっかりルフィを自分のものにしている右近。初演よりはるかに存在感と安定感を増している巳之助、隼人、そしてナミとサンダーソニアとサディちゃんを楽し気に演じて輝いている新悟。

今日は休日マチネとあって、小学生くらいのお子さんも多く。コミックを知っていればこそのセリフでたくさん笑いが起きていました。

元は、猿之助の歌舞伎シャンクスが見たくてとった「麦わらの挑戦」チケット、猿之助さん自身がいなくても、とっても満足でした。2回目の大手術を終えた猿之助さん、どうか、順調に完治されますように。

(追記)

Photoその後、お茶の水のエスパス・ビブリオというブックカフェで開催されている、「市川猿之助ワンピース写真展」に行ってまいりました。

広いカフェ(壁はぎっしりと本!ゆっくり来たいものです)の壁に、引き伸ばした猿之助のルフィ、ハンコックの写真!生き生きとしたルフィの表情、目力、そのシーンを思い起こさせる迫力。実はルフィは若く初々しい右近の方が合ってると思っていた私ですが、これを見ると、演舞場初演時よりさらにこの役の真髄をつかんだような猿之助ルフィを見たいと思わずにはいられませんでした。

奥の落ち着いたコーナーでは、立派なアルバムに、応援寄せ書きが。私も書かせていただきました。

そして、たくさんのポストカードを、1枚162円で売っています。舞台写真よりサイズは小さいですが、美しい写真ばかりで、狐忠信、勘平、シャイロック等買いました。

さらにはですよ、第8回亀治郎の会のパンフレットが積まれていました。パンフレットといっても、ハードカバーの本で、厚い紙にたくさん写真が載っているので、これはいい、と買ってきました。

持っていないファンの方。これはもう貴重なものですよ!発行日は2010年8月、この年の浅草新春歌舞伎から始まった猿之助襲名へのカウントダウンが始まっているのが、よくわかります。演目は四の切初演ですし、2代目、3代目と同じ役の写真が見開きで並んでいたりします。なぜ外部の俳優(福士誠治等)と新作歌舞伎「上州土産百両首」なんかやるんだ、と言われたようですが、3代目ほか名優たちが演じた作品。

3代目やスタッフ、蔵之介さんや浅野和之さんのコメントもあり、何より4代目自身の短いながら彼らしいエッセイが多数載っていて、買えてよかった!(しかも540円)と思いました。

吉例顔見世大歌舞伎「鯉つかみ」「奥州安達原」「雪暮夜谷畦道 直侍」

2017112   顔見世大歌舞伎昼の部1つめは、「鯉つかみ」です。あの、ラスベガスで染五郎と米吉がやった演目で、とにかく水かぶるやつでしょ、などと思っててすいません。

名刀竜神丸を探すために姿を消した志賀之助(染五郎)と再会できた小桜姫(児太郎)は喜んで踊ります(この二人ステキ)。元々入り婿となるはずだった志賀之助と祝言をあげた小桜姫、しかし、そこへ竜神丸を取り戻した志賀之助がやってきて、二人で小桜姫を取り合うことに。

鯉の妖怪の化けた志賀乃助は、吹き替えを使っての早替わり、最後は本水での立ち回り。この早替わりが、何度もあって、ええっとわからないところもあり、とっても面白かったです。立ち回りの相手方の皆さんも大活躍。毛谷村でキレキレだった音蔵さんも入っていたようでした。朝一番にこの演目とは、染さんお疲れ様。ほかに高麗蔵、友右衛門、廣太郎。廣太郎気合が入っていました。

2つめは「奥州安達原」。猿之助が三味線を持って子役と映っている写真をよく見ていて、どんな演目かな、と思っておりましたが、事前にあらすじをいくら読んでも頭に入ってこない。よくあらすじを読むより、舞台を見る方がわかりやすいものなんですが、これはなぜか見ていても今一つ納得がいかない感じでした。

まず、娘お君を連れて、切腹を前にした父(歌六)のもとに帰ってきた袖萩(雀右衛門)に対して父も母(東蔵)も冷たすぎてかわいそうすぎ。雪の中、寒そうなんです。宗任(又五郎)、義家(錦之助)もいいんだけど唐突でわかりにくい。そしてラストにやっと出てくる貞任(吉右衛門)。立派だし、セリフも歌っててですね、今吉右衛門さん最盛期か、という勢いですが、ちょっと出るのが遅すぎ!そしてやっぱり袖萩捨てたのかわいそうじゃないか、と思うですよ。葵太夫さんの義太夫は聞きものでしたI(袖萩祭文なのに、袖萩は三味線弾くだけで祭文自体は義太夫なんですよ)。

3つ目は「直侍」。これも寒い季節。雪の中、そば屋にやってきた、罪を犯して追われている直侍(菊五郎)、火鉢であったまり、酒とそばを頼みます。常連の按摩丈賀(東蔵)。東蔵さん、前の演目のような老母役が多いですが、この丈賀のよいこと。そば屋夫妻も実直で優しい人たちなんですが、家橘、齋入さんでした。知り合いの丈賀に気取られまいとする直侍の様子。菊五郎さんの所作の一つ一つが絶品です。

表で丈賀に馴染みの花魁三千歳(時蔵)への手紙を託して行き会ったのは昔なじみの悪党、丑松(團蔵)。このやりとりもいいです。そして直侍と会えなくなって気うつになっていた三千歳との再会。二人の呼吸もいつもながら絶妙です。丑松の通報で追手に踏み込まれた直侍、意を決して花道を逃げていきます。ああ、かっこよかった菊五郎さん。

夜の部と合わせ、大幹部による名作ばかりの充実した顔見世大歌舞伎でございました。

吉例顔見世大歌舞伎「仮名手本忠臣蔵五・六段目」「新口村」「大石最後の一日」

201711   大幹部勢ぞろいの吉例顔見世大歌舞伎、夜の部です。1つめは、「仮名手本忠臣蔵五段目(山崎街道鉄砲渡しの場、二つ玉の場)、六段目与市兵衛内勘平腹切の場)。仁左衛門さんが勘平ですので、菊五郎さんの音羽屋型と違う、上方の型なのかな、と思っておりました。

蓑姿の勘平(仁左衛門)が、千崎弥五郎(彦三郎)と出会うところから始まります。ニザさま、すっきりといい男なのは言うまでもありません。自分の身の上を恥じているところも素敵。与市兵衛をさっくり殺してしまう斧定九郎(染五郎)ももちろん眼福。しかしほんとにすぐ死んじゃう役で、もったいないですね。

与市兵衛宅には、母おかや(吉弥)、おかる(孝太郎)がいて、おかるを引き取りに来た一文字屋お才(秀太郎)、源六(松之助)。昨年の国立劇場は魁春、團蔵だったので、たぶんこんなに関西弁の二人ではなかったと思いますが、なんとも言えないいいお才(ちょっとセリフが聞きづらいところがあったのが残念)。

帰宅後、なんだかぼーっとしている勘平。後でわかりますが、せっかく手に入れた金を渡そうとして不破たちに拒絶されて希望を失って帰って来たんですね。しかも財布の模様で与市兵衛を殺したとも思っているし。やってきた不破、千崎の前でとうとう腹を切る勘平。勘平が撃ったのは実は定九郎とわかり、晴れて血判を押して喜ぶ勘平の表情が安らかな笑顔で感動でした。去る千崎の表情にぐっと気持ちがこもっていてよかったです。

ニザ様の勘平は、上方の鴈治郎型ともちがう、十三代目の父上直伝なんだそうです(「ようこそ歌舞伎へ」。)しどころが多い役だけに、細かく作り上げているんですね。

2つ目は「恋飛脚大和往来 新口村」。「封印切」で手を付けてはいけない金の封を切ってしまった忠兵衛と梅川のその後です。

雪の中、逃げ落ちていく忠兵衛(藤十郎)と梅川(扇雀)。せつない中にも細やかな愛情が通い合う二人です。扇雀さんきれい~。通りかかる忠兵衛の父孫右衛門(歌六)が転んだところに助けに行く梅川、優しく下駄の鼻緒をすげてくれます。ああ谷太夫さんのいい調子、と思ったら、…(少しうとうとしてしまい)孫右衛門さんが切々と胸の内を語っていました。

最後、木々越しに去っていく忠兵衛・梅川が、照明効果もあって美しかったです。あ、それから雪の中では黒子でなくて白子なんですね。

最後は真山青果の「元禄忠臣蔵 大石最後の一日」。

仇討ちを終えた赤穂浪士たちが、処分を待って預けられている細川家。大石内蔵助(幸四郎)は、心静かに過ごすよう、浪士たちに目配りをしています。若君内記(金太郎)が、話を聞きに来たりします。さて、本題は、男の扮装をして屋敷にやってきたおみの(児太郎)。婚約披露をしながら、結納の日に現れず、そのまま討入りに参加した磯貝十郎左衛門(染五郎)の真意を知りたいと内蔵助に訴えます。処分が決まったとの知らせに、十郎左衛門を呼ぶ内蔵助…。

座敷に浪士たちが集っている幕開けから、芝居が動いていて惹き付けられました。私としては、内蔵助と言えば幸四郎兄弟。青果の理屈っぽいセリフも、幸四郎さんに合っています。染さんも品のある、いい二枚目。金太郎くん、見た目は文句なく美少年ですが、難しい年ごろで、数年先が楽しみです。

内蔵助、おみのの応酬は幸四郎さんはもちろん、児太郎の熱演で見ごたえがありました(芝のぶさんもブログで、うちのぼっちゃんすごいですよって書いてました)。そこでぐっと泣きそうになっているところに、「(婚約披露の時の)琴の爪を持っておろう」と内蔵助に言われて崩れ落ちる十郎左衛門!苦悩する染さん大好きなもんですから、もう涙ですよ。

浪士に切腹を伝え、かつ私的に吉良家断絶を知らせる武士らしいニザ様でスカっとした後で、いよいよ切腹するために花道を歩いていく浪士たち、染さん、幸四郎さん。大向も盛り上がっての打ち出しでございました。

松竹大歌舞伎(巡業)「義経千本桜すし屋」「釣女」@やまと芸術文化ホール

201711  地方でも気軽に歌舞伎を、ということで巡業公演というのがあるわけですが、横浜市のすぐ隣の大和市に、獅童の「すし屋」が来る、というので行ってきました。松竹サイトでは売り切れていたチケットをホールに電話してとったんですが、左の端の方かと思ってたらば、通路から4列目、そう、花道替わりの通路のすぐ後ろで花横気分でございました。

義経千本桜の三段目後半の「すし屋」、通常は前半の「木の実・小金吾討死」というのもやるそうですが、今回はなし。

田舎のすし屋の使用人弥助(萬太郎)は、店の娘お里(米吉)と一緒になることになっており、お里は夫らしくおい女房と呼んでくれ、と弥助に練習させたりしています。お里の兄はならず者のいがみの権太(獅童)です。店の主人弥左衛門(片岡亀蔵)が戻ってきて、弥助実は平維盛である弥助に、梶原景時(亀鶴)の詮議があるので、明日は逃げろといいます。弥左衛門は昔維盛の父重盛の家来で恩があったことから維盛をかくまい、今は身代わりの首を景時に差し出して何とか維盛を救おうとしていますが、維盛を救ったのは弥左衛門でなく権太でした…。

萬太郎、年より若く見えますが整った面立ちが叔父の錦之助さんにも似ていて、口跡もよく、品のある弥助ー維盛。十月歌舞伎座のマハーバーラタとこの巡業の間に結婚式を挙げたんですよね。米吉のお里もかわいらしく(巡業なので、普段歌舞伎をあまり見ないお客さんに、「よねこかわいいでしょ、ねっ」と言いたくなりました)。母の梅花さんも好きなので、前段はほのぼのと楽しく。

いよいよ目の前の通路を通って獅童登場で盛り上がります。すらりとかっこいいんですよね。それでもって、母からお金を巻き上げるワルな権太。

いよいよ夫婦となれるという夜、早く寝ようとかわいらしいお里。そこへ維盛の妻若葉の内侍と若君がやってきます。事情をやっと知ったお里は3人を逃がし、詮議をしに景時(亀鶴)一行がやってきます。亀鶴さん、迫力ある声と姿でこの座組みの中で貫禄。

弥左衛門の用意した維盛のニセ首の桶が取り違えられていたことで、観客がハラハラしていると、権太が戻ってきて維盛の首、奥方と若君を差し出します。景時から褒美をもらったものの、弥左衛門は権太を刺してしまいます。しかし苦しい息の下で権太が語ったのは、自分の妻子とニセ首で維盛を守ったことでした…。

ちょっとここまでで満足してしまって、権太のもどりを十分味わったとはいえなかったのが残念(それまで生き生きとしていた舞台の動きが少し止まってしまった感もあり)ですが、いろいろな場面を義太夫とともに楽しめる、面白い芝居でした。

休憩のあと、松羽目ものの「釣女」。

大名(萬太郎)と太郎冠者(亀鶴)は、妻を求めて恵比寿さまにお参りに来ます。夢のお告げがあって、釣りをしたところ、大名は美女(米吉)を釣り上げ、喜びます。太郎冠者が釣をすると、釣れたのは醜女(亀蔵)でした。

2組の対照的なカップルに、踊りも楽しい面白い演目です。萬太郎、米吉がお似合いで、亀鶴が軽快に、そして何といっても怪優亀蔵さんの醜女が、そんなに強烈な化粧じゃないのにおかしみあふれていて、とっても楽しかったです。

11月にのべ22日間、2回公演の日もあったりして、1か所での連続公演よりも役者さんやスタッフの皆さんはたいへんかもしれませんが、好きな役者さんばかりで2つとも面白い演目、義太夫、常磐津もあってチケットもお安く、いいですね。

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