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芸術祭十月大歌舞伎「沓手鳥孤城落月」「漢人韓文手管始」「秋の色種」

2910   十月の歌舞伎座、夜の部です。

1つめは「沓手鳥孤城落月―大阪場内奥殿、場内二の丸、城内山里糒庫階上」。坪内逍遥作と、大阪城落城の史実に沿った作品で、描写が写実的です。

大阪城にもぐりこんだ家康方の常盤木(児太郎)は、千姫(米吉)を城から連れ出そうとしますが発覚します。薙刀を手に怒り狂う淀君(玉三郎)、侍女たちにたるんでいると怒鳴り散らし、千姫をさいなみます。しかし千姫は与左衛門(坂東亀蔵)の放った火のどさくさで逃れ、さらに怒った淀君は錯乱します。秀頼(七之助)は母を殺して自害しようとしますが、修理亮(松也)の説得で、開城を決意するのでした。

ひたすら玉様が美しい!(このポスターはちょっと険があるように見えますが、実際にはほんとにかわいらしい、懸命な女性が希望を絶たれて怒りの炎に包まれる感がありました)ここまで女形が怒る芝居があったでしょうか。どんなに強烈に怒っても、あくまで美しい、毅然とした女形。ああ、こんな玉様を見られてよかった。途中から、ありがたやと拝むような気持で見ておりました。

歌舞伎美人をみると、この演目の「奥殿」はあまりかからないそうですが、大阪城の状況がよくわかるし、城内で敵味方にわかれている女たち、というのが面白いし、淀君の薙刀振り回しがかっこよくていい場面だと思います。

また、玉様が目をかける次代の若手女形たち、梅枝、児太郎、米吉、七之助たちがきっちりお役を務めていること。児太郎は力が入りすぎと思いましたが、皆ほんとに頼もしいです。七之助、女役ではありませんが、母を思いながらも芯のある若武者で、最近一段上がった感があり、何をやっても評判の七之助らしいと思いました。

そうそう、この演目では、一切大向の声がかからず、やはり玉様は禁止なさっているのかと思いました。うーん、新作なので、見得があまりなくてかけるタイミングも難しいのかもしれませんが、ちょっと寂しい気持ちになりました。

2つめは、「漢人韓文手管始 唐人話」。舞台がぱあっと明るくなります。長崎の唐使の饗応役の相良家の家老伝七(鴈治郎)は、丸山の傾城高尾(七之助)といい仲。唐使に献上する家宝菊一文字の行方を捜しています。伝七の借金を立て替えたり、菊一文字の件をごまかしてやるという親切な通辞典蔵(芝翫)は、その代わり高尾との仲を取り持つよう、伝七に頼みます。ところが高尾から伝七との仲を打ち明けられた典蔵、怒りのあまり菊一文字は偽物だと言い、相良家を窮地に追いやります。困った伝七は…。

鴈治郎さん、舞台の端から端まで軽やかな動きで、人のいい頼りになる家老を熱演。典蔵とのやりとりが軽妙で、このお二人は「御浜御殿綱豊卿」で見ているんですが、ずっとニンに合っているというか、面白く見ました。芝翫さんって、「狐狸狐狸話」のような、こういう役が一番似合う気がします。唐人ぽいへんなアクセントの話し方が面白い唐使片岡亀蔵もさすが。

あまりかからない演目のようですが(23年振りとか)、七之助、米吉もきれいだし、高麗蔵がまた頼りない相良和泉之介をコミカルに演じて観客を沸かせていました。松也もこちらでもなんてことはない役をきっちり。やっぱり華があるので、出てくると舞台が輝く気がします。

最後は玉様、梅枝、児太郎の舞踊「秋の色種」。こういう女形の舞踊は初めてで、三人ながらあでやかで素敵でした。途中、梅枝、児太郎が琴を奏でるのが、児太郎は「阿古屋」の修行をしているそうだけど、梅枝もかしらと、最近見ていて気持ちの良い伸び盛りの二人を頼もしく見て、満足して歌舞伎座を後にしました。

(追記)

ご存知の通り、この1年後、2018年12月の歌舞伎座で、玉三郎・梅枝・児太郎のトリプルキャストの「阿古屋」が上演されて大きな話題となりました。このときの演奏、本格的で真剣なものでしたからね。すでにかなり練習を積んだ後だったんですね。これを見ているということが自慢できる、というのが歌舞伎の楽しさの一部。

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コメント

そうですか!
玉三郎さん、最近メインで出ることが少ないので、貴重な舞台ですね。楽しんでくださいね。

この演目,今週末に観に行く予定です.今から楽しみにしています!

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