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小山観翁「歌舞伎通になる本」戸板康二「歌舞伎ちょっといい話」中條嘉明「歌舞伎大向 細見」

Photo   相変わらず歌舞伎の本を読んでます(記憶力が不確かで内容をよく覚えていないのがザンネンなんですが)。

1冊目は、古典芸能評論家、イヤホンガイドの導入に尽力し解説者としても長く務めた小山観翁さんの「歌舞伎通になる本」(1993年)。

花道や大道具、小道具の区分けなど歌舞伎の知識、見得や演出、女方といった歌舞伎の演劇としての特色、役者の世界のしきたり、過去の名優、歌舞伎役者切手誕生の裏話など、235ページの単行本としては驚くべき情報量です。歌舞伎の成り立ちや、江戸と上方の違いなど、各話に歴史的な深みがあって、たいへん興味深く読みました。何より、1929年生まれということで、戦中から戦後にかけての名優たちの記憶も確かで、歌舞伎界の変化についても窺うことができます。

この方、「勧進帳」がたいへんお好きなようで、何度か違う角度から取り上げています。実は、先日見たオペラ座の「勧進帳」の解説が、小山観翁さんだったんですよ。たしかに、解説も熱がこもっていたような気がします。この本で、いい勧進帳の見分け方、は最後に弁慶の富樫への感謝を感じられるかどうかだ、とおっしゃっていますが、初歌舞伎で見た勧進帳の弁慶の礼で泣けた團十郎さんは、やはりよい弁慶役者だったってことですかね。

お、と思ったのが、「子役」の項で、「蘭平物狂」の子役の大役繁蔵に出た子の父が、初日に風疹を発症してひやひやしたという話なんですが、その父というのが市川延夫、そう、今ブログで大人気の澤瀉屋の猿三郎さんですよ。そんなことがあったんですね。

Photo_2 

小山さんより少し年上(1915年生まれ)の演劇評論家・小説家の戸板康二さんの「歌舞伎ちょっといい話」。昭和58年から平成4年までの歌舞伎座の筋書(パンフレット)に連載されたコラムを集めた文庫本です。筋書に載っているわけですから、当月の芝居ではなく、その演目にまつわる思い出話が主で、さらに古い昔話なんですが、「歌舞伎――家と藝と血」を読んでますからね、名前と役者の格だけはイメージがあるので、それなりに面白かったです。

よく出てくるのが、九代目團十郎、六代目菊五郎、十五代羽左衛門。戸板さんは、初代猿翁のロシア旅行に同行しており、猿翁さんのこともよく出てきます。このロシア旅行があの「黒塚」のヒントになったんですよね。歌舞伎にまつわる駄洒落も多く、洒脱なお人柄がうかがえます。

この本、役者名と演目名の索引がついていて、歌舞伎事典としても使えます。

Photo_3
3冊目はちょっと毛色が変わった本、中條嘉昭さんの「歌舞伎大向 細見」。

1936年生まれ、サラリーマンの傍ら、長年大向として活躍してきた方の、大向の歴史、掛け声のルーツ、歌舞伎役者の身分、見得、掛け声のタイミング、屋号、実際の演目におけるかけどころ、等について、丁寧に解説されています(各論は詞書に合わせて細かく記載されているので、全部は読み切れていません)。

大向、いろいろルールがあるのだろうと思っていましたが、やっぱりきちんと受け継いでいるものがあるんですね。見ていて気になるのは、特定の役者に多すぎたり、立派な見得なのに掛け声がなかったり、二人で出ているのに片方だけだったりというパターン。拍手が多すぎると(自然発生のものはいいんですよ)、芝居の流れに差し支えたりするので、掛け声がうまく入ると芝居が止まらず、それが歌舞伎の良さだと思います。ちょうどいい大向さんがいると、観劇の満足度はあがりますが、これからもそれが続くのか、ちょっと心もとない気も致します。

本の中で、ちょっと異様にみえたのが、平成19年ごろ、松竹から、玉三郎の出演する演目に大向の声掛け禁止が言い渡されるくだり。演目全部だったり、勧進帳で玉三郎の演じた義経にだけ禁止だったり。控えめな書き振りながら、筆者はかなり怒っている様子なんですが、この頃だけだったんでしょうか。

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