2019年8月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

« 八月納涼歌舞伎第三部「贋作 桜の森の満開の下」 | トップページ | 「ビリー・エリオット」@赤坂ACTシアター »

八月納涼歌舞伎第一部「刺青奇偶」「玉兎」「団子売」

201708_4  納涼歌舞伎第1部は、長谷川伸作、玉三郎演出の「刺青奇偶(いれずみちょうはん)」です。

博打うちの半太郎(中車)は、熊介(猿弥)に絡まれた夜、身投げをした酌婦お仲(七之助)を助けます。当然見返りを求めると思っていたお仲は、金をくれて去っていく半太郎に惹かれます。半太郎とお仲は夫婦になるものの、半太郎は博打をやめられず、お仲は重病に。死を覚悟したお仲は、博打をやめさせようと、半太郎の腕にサイコロの刺青を彫り、これを見たら博打を控えてくれと頼みます。お仲のためにお金をつくろうと、政五郎(染五郎)の賭場を荒らした半太郎は、子分たちにボコボコにされますが、事情をきいた政五郎は、子分になるかどうか、サイコロでカタをつけようとします…。

最初の、いかにも損得抜きの男気のある半太郎がいい男(川に飛び込むために着物を脱ぎますが、引き締まったいい体!)で、荒んだお仲の気持ちがほぐれるところが丁寧に描かれていて、じーんとします。七之助のお仲は、声の出し方がいつものちょっとあだっぽい七之助とちがっていて、新鮮な感じ。玉さまのセリフをきっちり写しているのではとも言われていますが、そういうところが彼らしいといえましょう。半太郎の母梅花や、お仲のめんどうをみるおたけ(芝のぶ)もいい味です。染五郎の親分が、意外なくらい貫禄があって、感心しました。

最後のかけの場面は、半太郎の迫力ある述懐と、最後の賭けをする男の切なさがあふれていて、さすが名優香川照之たる中車でございました。

演出面でいうと、前半がいくら夜とはいえ、ずっと暗い(客席も)のが、せっかく役者は一生懸命演じているのにな、と思いました。

次は勘太郎ちゃんの「玉兎」。月を背景に、餅つき、かちかち山の振りなどを上手に踊ります。10分ほど、あの大きな歌舞伎座の舞台で後見のいてうさんと二人きり、迷いもなく堂々と踊る6歳。満場の拍手を聞きながら、どう思ったでしょうか。

そして、最後はお待ちかね、猿之助・勘九郎の夫婦の「団子売」。花道の出から息の合ったうちわ使い。団子作りからおかめ・ひょっとこの面をつけた踊りまで、こちらも15分ほどのほんとに短い時間ながら、踊りの名手の二人を堪能します。キビキビした夫勘九郎と、たおやかな妻猿之助。ぴったり同じ動きではなく、夫婦としての合わせ方が、さすが上級者という感じです。

愛し合いながら、幸せになれなかった半太郎・お仲の夫婦の物語を見た後で、健康で家業に励む仲のいい幸せな夫婦を見て、ほっとするような、半太郎たちがさらに気の毒な気持ちになるような。

さて、面をつけると、これまで控えめだった分、おかしみたっぷりのキレキレの動きになる猿之助。客席へのあいさつのとき、猿之助は2階3階へも目をやるんですよ。

とにかく絶賛のこの舞踊、こういうわくわくする舞踊は、これからももっと見たいと思いました。勘三郎・三津五郎なき後、この二人のコンビが定番になるといいな。

(追記)

その後、12月22日、フジテレビ恒例の中村屋密着ドキュメンタリーの中で、納涼歌舞伎のことが、かなり詳しく取り上げられていました。6歳にして、歌舞伎に真摯な、すでに歌舞伎役者の勘太郎くん。毎日細かく見ている勘九郎。

さらに、「刺青奇偶」の玉三郎さまの細かい演出。大学ノートに全部取る中車、その場で覚える七之助。中車も覚えることはできるんでしょうが、さらに確実に、復習するんでしょう。この姿勢あってこそ、短期間に歌舞伎役者としても成長したんでしょうね。

七之助、父は自分がガンガン掘っていきながらお前もいいから掘れ!という教え方だったが、玉三郎さんはきちんと掘り方を教えてくださる、と語っていました。家庭画報のインタビューでは(読んでませんが)、玉様は七之助を芸養子のようなものといい、七之助は玉様を父であり母である、という、そういう二人の関係あってこその、この「刺青奇偶」だったんだなと思いました。

« 八月納涼歌舞伎第三部「贋作 桜の森の満開の下」 | トップページ | 「ビリー・エリオット」@赤坂ACTシアター »

歌舞伎」カテゴリの記事

四代目市川猿之助」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 八月納涼歌舞伎第一部「刺青奇偶」「玉兎」「団子売」:

« 八月納涼歌舞伎第三部「贋作 桜の森の満開の下」 | トップページ | 「ビリー・エリオット」@赤坂ACTシアター »