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蜷川幸雄シアター「ヴェニスの商人」猿之助のシャイロック

Venis_ninagawa     蜷川さんの一周忌追悼企画で、舞台の映像を4作品、映画館でやってたのを知ったのがつい最近。猿之助がシャイロックを演じた2013年のオールメールシリーズの「ヴェニスの商人」にかけこんできました。蜷川さん、「NINAGAWA 十二夜」で絶賛していましたが、そのあと「じゃじゃ馬ならし」、「ヴェニスの商人」と、すっかり猿之助気に入っちゃったんですね。その後2015年に「元禄港唄」、二人の忙しさを思えば、十二夜の後の3本は驚異的です。

   「ヴェニスの商人」といえば、学生の頃、劇団四季で、先ごろ亡くなった日下武さんがシャイロック、アントーニオを浜畑賢吉、バッサーニオ鹿賀丈史、ランスロット市村正親という、よくできたプロダクションを見ました。日下さんの明瞭なセリフと独特の容貌がヴェニスのユダヤ人という役どころに合っていて、ほかのキャストも生き生きとしていて(ランスロットの市村さんには目を奪われた!)芝居が好きになったきっかけの一つでもある作品です。

この蜷川版の猿之助シャイロックは、さらに舞台で異彩を放っています。ほかの主要キャストが真っ白な凝った衣装なのに、シャイロックは赤と黒、縁のない帽子、これでもかという老けメイク。歯も虫歯だらけで抜けてるし(手だけは若かった!しかもたぶん常に化粧して落としてるからツヤツヤ。白目もきれいに澄んでいます)。常にまっすぐ立たない、視線も斜め、口から出るのは悪態と恨み言。様々な声で緩急自在なせりふ回し、どうかすると見得は切るわにらむわですが、ちゃんとシェイクスピアの人物になっているのはさすが。クライマックスの裁判シーンでは、舌を赤くしていました。

   Venice 全編あれだとどうかと思いますが、時々出てきてぐぐーっと引き付けて、好きなだけタメたり間をとった芝居をしていく猿之助。それが形だけでなくて、紛れもなく虐げられた異邦人であるシャイロックの悲しみや恨みがあふれています。裁判後の退場も花道のように客席からでした。そして、ラストはこの演出オリジナルで、シャイロックが再登場、改宗させられた十字架のネックレスをねじ切って握りしめ、鮮血が流れます。ほのぼのとした指輪のシーンから、どーんと、シャイロックの悲劇に連れ戻される場面です。

カーテンコールは役者もちょっと素に戻ったりするものですが、彼はスタオベを経てもシャイロックのままで、そこがまたおかしかったです。。あのドヤぶりがダメなひともいるんでしょうが、現代劇においても天才としかいいようがない。

上演時のインタビュー動画がありました。お顔ツヤツヤの好青年(一癖あり)です。何なの(「ヴェニスの商人」は明治に二代目左団次が演じた日本初の西洋劇だったということをひいて、歌舞伎でこの作品をやりたいと、これまた猿之助らしいコメント)。

Photo    これで女形するとここまできれいになれるんですからね(長塚さんの写真集より)。

ほかのキャストはポーシャ(中村倫也)、アントーニオ(高橋克美)、バッサーニオ(横田栄司)等。とくにポーシャはだんだんかわいく見えてきて、裁判部分も男装の美女に見えます。ランスロットのシーンが今一つだった以外は、皆さんきっちり演じてますが(若干、アントーニオとバッサーニオがなぜそこまで親友なのかわかりにくい)、やや印象が薄いのはまあ猿之助の熱演のためでしょう。

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