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DVD「PARCO歌舞伎 決闘!高田馬場」 4代目猿之助「僕は、亀治郎でした。」

Photo   三谷幸喜作・演出の2006年上演PARCO歌舞伎「決闘!高田馬場」を見ました。三谷さんは「新選組!」の2年後、ノリのいい長唄と義太夫を使った世話物というべきか、歌舞伎なんですけど歌舞伎だと知らなくても泣いたり笑ったり、本当に面白い1幕2時間のお芝居。

   後の堀部安兵衛である中山安兵衛(染五郎)は飲んだくれの浪人ですが、長屋の面々(大工の勘太郎、高麗蔵・宗之助夫婦、医者の橘太郎、老婆萬次郎)は皆安兵衛に助けられたことがあり、彼を慕っています。そこへ安兵衛のかつての道場仲間右近(亀治郎)がやってきて、無為な安兵衛をなじります。安兵衛の留守に、仲の良い伯父(錦吾)がやってきて、「これから高田馬場で果し合いする」という別れの手紙を置いていきます。さて安兵衛は…。

私、恥ずかしながら、安兵衛や決闘高田馬場の話の中身をきちんと知らなくて、何で決闘の助太刀した話がそんなに有名で、忠臣蔵と関係があるんだろうと思っていたのですが、やっとわかりました(安兵衛がこの助太刀で名を上げて赤穂藩士の堀部家に婿養子に行き、7年後に忠臣蔵の仇討ちに加わったんだそうです)。

三谷さんが脚本を半分くらいしか完成させていない状態で稽古に入り、役者を見ながら仕上げていったそうで、さらに役者さん自身がアドリブや振りを自由にやっているために、役のはまり具合が尋常ではありません。

気が優しくて、自分に納得していなくてうじうじ迷っている安兵衛。伯父との場面で刀を抜くところとか、右京に仇討ちを迫られるシーンはゾクゾクするようないい男(染ちゃんってどうして舞台だと飛び切りいい男なんでしょう。幸四郎さんや海老菊と比べると素顔はそんなに色っぽくないのに<失礼>)。生真面目さや絶妙なタイミングが可笑しくて、義太夫に乗った所作がまあ、うなるほど決まっている亀治郎。釘踏みも見ものです。そしてほんとにまっすぐな、元気な庶民の男をやらせたら天下一品の勘太郎。堀部のじいさんも秀逸でした。

主役の3人は染五郎33歳、亀治郎31歳、勘太郎25歳。さすが3人とも動きにキレがあって気持ちがいいです。染ちゃんなんて、すっとトンボ切ったりします。

超おもしろい萬次郎さんをはじめほかのキャストも息が合ってて隙がありません。染亀、高麗蔵の3人はそろって先月歌舞伎座の「熊谷陣屋」で立派なお役やってたのに、と思うと感慨深かったりして。毎回こういうDVD見ると思いますが、PARCO劇場のように小さな劇場で生で見たお客さん、果報者ですよ。

鳴り物や早変わり、ツケといった歌舞伎要素と現代劇のバランスの良さ、劇的展開、役者の技量と魅力のバランスがよく取れた、三谷作品の中でも屈指の名作と言えましょう。

DVDには特典映像版もついていて、千秋楽舞台裏の早変わりやら、WOWOW放送時の三谷さんと亀治郎の解説やら、テーマ曲の録音シーンがあります。これも面白かった!染五郎さん、朝5時から6時間かけて、渋谷でポスター撮りをしたそうです。

Photo_2    ところで、ちょうどここ数日、猿之助襲名記念として出版された「祝!四代目襲名記念 僕は、亀治郎でした。」を読んでいたんです。少し大きめの単行本サイズですが、インタビューやたくさんの舞台写真(神童と言われたという子ども時代がかわいい)、三代目の天竺徳兵衛の再構築ドキュメントとか、私の知らない時代の猿之助さんのいろいろがつまってて面白かったです。

   そこに、三谷さんの「決闘!高田馬場」についての寄稿があって、天才ぶりが描写されています。どうやって堀部ホリができたのかとか、釘のシーンの始まりとか。さすが。

それから、蜷川幸雄さんの「NINAGAWA十二夜」、「じゃじゃ馬ならし」のエッセイもありました。「NINAGAWA十二夜」、ジョン・ケアード版よりも亀治郎のマライア役の印象が強烈だったんですが、蜷川さんの役者亀治郎への賛辞がすごい。ロンドンで上演したときも、終演後イギリスの演出家が3人寄ってきて、亀治郎を紹介しろ、自分の芝居に出てほしいと絶賛だったそうです。さもありなん。

ちなみに、蜷川さんは、役者が自分たちで芝居を作ってしまう歌舞伎は自分には壁があってもうやらない、と書いているんですが(別のところで、菊五郎さんとの共作のようだったというのも読みました)、もったいなかったなあ。せめて十二夜、DVDにならないかなあと思うのでした。

(おまけ)

2017年3月の俳優祭の模様をEテレでやっていました。かぐや姫歌舞伎版、豪華キャストで面白かった!猿之助のドSキャラかぐや姫は最高ですし、菊之助のおじいさん、海老蔵のおばあさんも面白かったし(菊之助は年取ったら世話物なんでもできそう)、獅童、松也、染五郎、勘九郎、七之助、弥十郎に猿之助がそろったところは華やかで、歌舞伎は安泰だという気分になりました。弥十郎さんを除けば、みな30代、40代前半ですもんね。

(おまけその2)

ちょっと前ですが、鶴瓶の番組に猿之助が出てて、「『澤瀉屋は丈夫で何やっても平気』と思われているのがつらい、伯父の作品に出るとほんとにしんどくて、よくこんなの作ったと思う。昼夜23役やって1時間しか休みがないとかある。点滴しながらご飯食べてたこともある。本水かぶってぐったりしたところに、10役の踊りがあったりして、まるで罰ゲーム」と話していました。

ちょっと心配になってしまいますが、実際企画するところでは、自らこれやるあれやると決めていそうな気がしますね。

(おまけその3)

「高田馬場」のDVD、コメンタリーがついているんですが、そこで三谷さんが「最初にコクーン歌舞伎をやったほどの話題にはならなかった、なんでも最初がいい。水中歌舞伎なんてどうだろう。」染五郎「水中はちょっと…氷上ならいいかもしれない。やってみたい」と言ってるんですよ。結局行きませんでしたが、フィギュアとのコラボ「氷艶」、やりましたね。当初チケットが高くて余りまくってるという話でしたが、始まってみるとすごい評判。ちょっと悔しいです。

(おまけその4)

その後、松之丞の講談独演会で堀部安兵衛もの3作「赤穂義士伝 堀部安兵衛」 を聞きました。この決闘!高田馬場の演者を思い浮かべながら、感動倍増でした。

 

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