2020年7月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  
フォト

« 扇田昭彦「日本の現代演劇」「舞台は語る―現代演劇とミュージカルの見方」 | トップページ | ミュージカル「フランケンシュタイン」@日生劇場 »

栗山民也「演出家の仕事」

Photo    演劇の本をもう1冊、現役バリバリの演出家、栗山民也さんの本です。演出の舞台を見たことがあるはず、と、ここ数年のを調べてみたら、「海をゆく者」「デスノート」「ピアフ」の、それぞれ雰囲気の異なる、しかしきわめて的確な3本を演出されていました。

この本が出版された2007年には、栗山さんは54歳、経験を積んだ働き盛りの演出家の充実感があふれています。上記の3本からもわかるように、特定のジャンルや脚本家にこだわらず、常に新しい、未知の芝居を演出するのがお好きなんだそうです。たしかに、こういうタイプの演出家さんは珍しいかもしれません。

最初の章は、「『聞く』力」。まず、セリフを聞くことが大事であると。そしてすべては戯曲、台本を読み込むことだ、と。

海外との交流も盛んで、フランスの太陽劇団を招聘したり、イスラエルの脚本家ソボルの芝居を上演したり、海外の俳優育成システムと日本の状況とを比較し、学ぶ場の重要性を論じたりしています。

巻末には、大竹しのぶ、松たか子、段田安則らが出演した2007年の「ロマンス」の演出日記があって興味深いです。毎日各シーンについてあらゆることを考えるのはきっとそうなんだと思いますが初日に3時間半の通し稽古をして、ダメだしをしていること。当日本番なのに、いろいろ注意されて、それを直して演じるなんて、さすが舞台俳優さんたちすごい!

ちょっと、気になるのは、「人間が犯してきた過去の戦争の悲惨さを、物語として現代に再生し検証していくことが、演劇人として人間としての責任だと思っています」という記述。

この世代の方としては、当たり前の感覚かもしれませんし、そういうお考えを持つことはもちろん自由だと思うんですけど、私としては、戦争については、論理的に歴史や法律や政治を踏まえて考えるべきであって、芸術、とくに演劇をそういうことの手段にしてほしくないんです。思想がある演劇の方が、ないように見えるものより高級だという考え方もいや。小説や映画なら、素材としてそう抵抗はないんですが。

栗山さんの演出自体は、そうした思想にとらわれたものではないのが救いです。

« 扇田昭彦「日本の現代演劇」「舞台は語る―現代演劇とミュージカルの見方」 | トップページ | ミュージカル「フランケンシュタイン」@日生劇場 »

演劇(ストレートプレイ)」カテゴリの記事

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 栗山民也「演出家の仕事」:

« 扇田昭彦「日本の現代演劇」「舞台は語る―現代演劇とミュージカルの見方」 | トップページ | ミュージカル「フランケンシュタイン」@日生劇場 »