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四月花形歌舞伎「芦屋道満大内鑑 葛の葉」「末広がり」「女殺油地獄」@明治座

1604_2明治座の四月花形歌舞伎です。

1つめは、「葛の葉」。葛の葉(七之助)が子どもを寝かせて機を織っています。夫の保名(梅枝)が帰ってきたところへ、赤姫姿の葛の葉(七之助)と両親が、身を隠していた保名を探し当ててやってきます。今まで女房を本物の葛の葉だと思っていた保名は驚きますが、女房が変化の者ではないかと、寝たふりをして探ろうとします。

確かに女房の葛の葉は狐の変化。舞台が変わって狐の本性(狐姿にはならず、動きだけ)を現した葛の葉は、愛する子どもに別れを告げ、障子に歌を書いて去ります。

この狐の場面が健気で哀感ただよっててジンときます。七之助の母さん姿がさまになっているのは、ふだん甥っ子たちに接しているせいかななんて思ったりして。きれいな赤姫あり、早変わりありで、女形のいい役ですね。六大夫さんの義太夫もいい声でうっとりしました。

この保名は、安倍晴明の父で、この子どもは、後の晴明なんだそうです。母が狐だから超能力があったのか。

2つめは、ほぼ狂言の「末広がり」。勘九郎の太郎冠者は、主人(亀蔵)の娘の婚礼準備に「末広がり」(扇)を買いに行かされますが、都の商人(国生)の口車に乗って傘を買わされて帰ります。あくまで都ではこれが末広がりと言い張り、主人、主人の娘(鶴松)との踊りになります。

勘九郎、ほんとうにこういう役に似合う、というか、勘九郎(そして勘三郎)以外にこの役ができる役者がいるでしょうか。こっけいな大真面目さ、身体能力、踊りに傘回しまで、働き盛りの役者の躍動を感じました。

狂言の筋だと、踊りで主人の機嫌を直して終わるようですが、歌舞伎では、太郎は主人の娘の小さい頃から遊び相手をしていて、使いに出るとお土産を買って来てあげたりしていたという設定があって、それが後半にきいてくるんですね。鶴松の娘姿がかわいらしい(踊りも上手)ので、さらに楽しく見られました。

そしていよいよお目当ての「女殺油地獄」。 河内屋の次男与兵衛(菊之助)は放蕩息子で、野崎参りの場でケンカして、汚れた着物を、豊島屋のおかみお吉(七之助)に着替えさせてもらいます。河内屋では、家族に対しても自分勝手な与平は、とうとう実母おさわ(吉弥)に勘当されてしまいます。

遊びの借金を翌朝までに返さなければならない与兵衛は豊島屋に向かいます。亭主の留守に現れたのは、与兵衛の継父徳兵衛(橘三郎)で、与兵衛にやってくれと金を渡します。続いておさわも現れ、与兵衛を見限れない思いを伝え、金とちまきをお吉に託します。

ダメ息子なのに優しい両親、しかし、その後現れた与兵衛にとって、借金は両親が託してくれた金額では足りず、お吉に無心します。お吉は亭主の留守に貸すことができるはずはなく、借金を断られた与兵衛は油を貸してくれと言って樽から油をとるお吉の背後から襲いかかり…。

さすが近松の名作、個々の場面が、ストーリーの伏線や人物描写の深みにつながっていて、平易ながら無駄のない美しい台詞とあいまって見事です。お吉にお金を託す徳兵衛おさわ、おさわが番頭徳兵衛と再婚したという義理の関係が、結果的には与兵衛を甘やかす結果になっているのですが、それでも、与兵衛を思う夫婦の姿に、ほろりとします。ここをしっかり描いているので、何も殺さないでもという後の場面の虚しさが強烈になりますし、お吉と与兵衛の関係も、ちょっと色っぽい雰囲気が漂っているところがいいんですね。

そして油地獄。近松さんは歌舞伎は見ていないんでしょうが、この迫力ある、ある意味官能的な場面、見たらどう思ったでしょうか。菊之助、七之助、大熱演で、息を呑んでみてしまいました。義太夫の愛大夫さんもすごくよかったです。

菊之助、美貌の八ツ橋を演じたと思ったら、今回は無頼な色男与兵衛。どうしようもないダメダメさに腹が立つ(この演目の解説はだいたいそういう風に書いてあります)というほどには菊之助与兵衛の情けなさは強烈ではないんですが、殺しの場面、徐々に殺意が芽生えていくていく表情が、刹那的でとってもよかった。

吉弥さん、いつもきれいなのに、地味な拵えで母の気持ちを語ります。橘三郎さんももしかしたら私が見るのは初めてかもしれませんが、上方歌舞伎の名作の味を伝える方で、ほんとによかったです。

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