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粟谷能の会「安宅」「鉄輪」狂言「鐘の音」@国立能楽堂

Photo_2喜多流の粟谷明生さんの還暦記念の「安宅」を中心とした能の会です。安宅といえば、歌舞伎の「勧進帳」の元になった、弁慶が安宅の関を切り抜ける、アレです。

今回、事前鑑賞講座がありまして、これにも参加してみました。女優の金子あいさんの司会で、シテの粟谷明生さんのほか、狂言の野村万蔵さんによる見どころ紹介です。これがたいへんに興味深く、義経に背負わせる笈(おい)が軽いとか、郎党は足がしびれるときがあるとか、稽古のときには義経の笠を使わないので、打擲の程度がわからずたたかれてびっくりすることがあるとか、歌舞伎よりも郎党が多いので、勢いがあるとか、明生さんは、お若い頃は様式美から入り、様式美と芝居の混合から、今は芝居を一番見せたいと思っていること、など、いろいろなお話がたっぷりありました。還暦を目の前にして快活で充実感あふれる明生さんと、イケメン俳優のような野村万蔵さんを間近で拝見して、私的にはいやがうえにも期待が盛り上がっていたところであります。

さて、まずはその「安宅」。 

台詞もたいへん聞きやすく、これまで見た(2回ですが)能の中では、いちばんお芝居に近い感覚で、90分を楽しむことができました。事前に伺っていた通り、義経一行の団結感が、能舞台の空間構成的にも面白く、また、弁慶と富樫の対決の緊張感もよかったです。

粟谷明生さんが安宅をやるのは3回目だそうですが、一行のリーダーとしての役回り、なんとしても主を通そうとする気概が、明生さんの充実感とあいまって、立派な弁慶でした。

私、初の歌舞伎が團十郎さんの最後の勧進帳だったのですが、表情をつくらない能では、歌舞伎ほどの細やかな感情は表せないものの、山伏の神聖さが富樫を恐れさせ、関を通らせるという部分は、ちがいとして面白いと思いました。

私のような素人に不思議だったのは義経を子役がやること。この舞台子方友枝大風くんは、整った品あるお顔立ちで熱演だったのですが、しかし、義経と頼朝の不和は義経の軍功にあったわけですから、さすがに声変わり前の少年がやるのは不思議。なぜここまで大人の芸能に、子どもの役ではないのに子どもを充てるのか、理解に苦しみました。歌舞伎で見たのは染五郎の代役とはいえ藤十郎さんでしたから。大人なら、もう少しあたたかな弁慶との主従の通い合いがみられたのでは、と思います。

剛力の万蔵さん、太刀持の、万蔵さんの息子の虎之介さんは二人ながら声も姿も立派でして、どうしてこうも野村家は跡継ぎにめぐまれているのかと思いましたです。

休憩をはさんで狂言「鐘の音」。

主人が息子の成人祝いに黄金の太刀を作ってやろうと、太郎冠者に、鎌倉に行って「黄金(かね)の値」をきいてこい、と命ずるのですが、太郎冠者は鎌倉の名寺の「鐘の音」を調べます。鐘の音を歌う太郎冠者の野村萬さん85歳の見事な声音。円覚寺や建長寺など、おなじみの名刹が登場して、大変愉快でした。

最後は粟谷能夫さんの「鉄輪」。

夫に捨てられた女が、夫と後妻に復讐に行きますが、安倍清明の力により追い払われます。

シテが女と鬼女(面はちょっと角が出ている生成<なまなり>)。衣装も凝っています。阿倍清明の祈祷の棚が、木でつくったのでしょうが、真っ白に塗ってしまっているので、かえってホームセンターの台のように見えてしまいました。また、脚本上やむをえないのでしょうが、ちょっと地唄と女のセリフの分け方が不思議で、最後、阿倍清明もいいところなく黙って舞台からいなくなるのがちょっと残念。

と、細かいところではつい突っ込んでしまうようなところもあるのですが、いちばん典型的なお能で、たいへん勉強になりました。

PhotoDsc_0230
さて、国立劇場は都心の千駄ヶ谷にありながら、静かな街にゆったりと建てられていて、素敵なところです。中庭のつくりも幕間にほっとします。劇場から展示室が続いていて、今回は、一橋徳川家が、二代目から能愛好家だったことによる同家の能の支持者ぶり、当時の能にまつわる品々が展示されていまして、興味深かったです。

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