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KERA・MAP「グッド・バイ」@KAAT、太宰治「グッドバイ」

Photo       ケラといえば有頂天のケラ、そして私にとっては米米クラブを最初に見出した人としてよく聞く人、だったんですが、脚本家・演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチとして率いるナイロン100℃の芝居は面白いよーと聞いて、いつか見たいと思っていました。ミュージシャンとしてここまで有名で、劇団を主宰するなんて、あんまり聞いたことはありません(クドカンのグループ魂はあくまで劇団の余技のような)。

「グッドバイ」は、ナイロン100℃ではなく、俳優を集めて上演するKERA・MAP、主演は仲村トオル、小池栄子で、ほかに水野美紀、夏帆、門脇麦、萩原聖人等。

太宰治の未完の小説「グッドバイ」がモチーフです。雑誌の編集長の田島(仲村)が愛人を整理して妻子の元に戻ろうと、担ぎ屋のキヌ子(小池)に妻を装って一緒に愛人に会ってくれ、と頼みます。小説も未読だし、事前にあまり内容をわかっていなかったんですが、次々に愛人に会うという面白いストーリーにすぐ引き込まれました。

シンプルで機動的、照明を生かした舞台装置、ちょうどいい具合に挿入されるちょっとしたダンス風の動き、ぴたっとはまったキャスト、無駄のない台詞と、時代は担ぎ屋が出てくる頃なんですが、ものすごく現代の芝居。今、ストレートプレイにはあまり興味がないと思っていたのが申し訳ないくらいのクォリティを感じました。ケラってこんなにすごかったんだ。

キャストはみんなよかったんですが、なんといっても小池栄子が圧巻。演技の評価が高いのは知っていましたが、バイタリティあふれる、でも女としてかわいいキヌ子で、見ていて楽しかったです。女性キャストはみな個性的で、今話題の門脇麦もすっかりこの舞台にはまっていました。女医大串のいかにもなてきぱきした口調がいいなと思っていたら、ケラさんの奥さんの緒川たまき

仲村トオルは相変わらず鍛えた肉体美。舞台が進むにつれ、セリフ回しの不器用さがちょっと目についたものの、女性たちに翻弄される色男が意外なくらい合っていました。男性でよかったのは、山崎一。舞台やドラマにたくさん出ている方ですね。

さて、芝居は休憩はさんで3時間の長丁場。2幕の前半はちょっと眠かったですが、なかなかのハッピーエンドでした。小説「グッド・バイ」はこれのどこまで書かれていたのか、読んでみたくなりました。

最後、ケラさんが出てきて、「大千秋楽です!」とあいさつ。千秋楽ってめったに行ったことなかったので、感激してしまいました。

ところで今回、KAATは全席指定の一律料金。でも、3階席だったんですよう。2階のサイドとか(たしかA席扱いの公演もあったはず)あいてるのに。確かに効果的な照明や全体の動きはよく見えたけど、3階席まであって一律っていうのはないのでは。ねえ。

(追記)

Photoさっそく太宰の原作本を読んでみました。スカスカの文庫本で35ページの未完の短編、2番目のイラストレーターの女の子が出てくるところで終わってしまいます。

しかし、本当に面白い短編です。女と手を切ろうとする色男田島、怪力で大食漢でがらがら声(だから小池栄子は声をつぶしていたんですね)、だけどときどき飛び切りおしゃれをするとすごい美女になるキヌ子、ケラの脚本は、この短い小説の面白いエピソードをきっちり取り込んでいたんですね。

この短編集では、破滅的な夫に苦労する妻の話が2編あり、そちらはわかっていても腹が立ちます(妻の立場で読んでしまう)が、ダメ男の匂いはするものの、田島は愛すべき男で、ほかの登場人物も生き生きしていて、読んでいて楽しいです。

何故こんなバイタリティのあるキヌ子のようなキャラを造形しながら自死したのか、未完なのが本当に残念でした。

(追記その2)

2015年の読売演劇大賞、この作品は最優秀作品賞と小池栄子の最優秀女優賞を受賞しました。上記のように、未完の古い原作を洗練された演出でよみがえらせたKERAと、見事にキヌ子を造形した小池栄子に拍手です。

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