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「十二夜」@日生劇場<追記「NINAGAWA十二夜>

Photoシェイクスピア喜劇「十二夜」、ジョン・ケアード演出の舞台です。歌える人もたくさん出ていますが、歌うのは主に道化のフェステ(成河――めちゃくちゃうまい)だけで、セリフ劇です。

海難にあって離れ離れになる男女の双子ヴァイオラとセバスチャンを演じる主演の音月桂、知らないなあと思っていたら、2012年に退団したばかりの宝塚トップ。瑞々しく爽やかな魅力の持ち主で、大きな舞台は初主演だと思いますが、そこは元トップの貫録で、膨大なセリフにも負けず堂々としていたのは立派でした。

しかしその主役に劣らずいやそれ以上に生き生きとシェイクスピア劇の人物になりきっていたのが共演者たち。男装したヴァイオラが仕えるオーシーノの小西遼生、彼が愛する美貌の女伯爵令嬢オリヴィアの中嶋朋子に、さんざんな目に合うマルヴォーリオの橋本さとし、石川禅、西牟田恵、壌晴彦(スカーの吹き替えの方ですって!低音の美声!)、知っている人も初めての人も、皆さん楽しげに、滑舌よく長セリフを繰り出すこと。これだけ腕利きがそろっていたら、さぞ稽古も楽しかっただろうなあと想像されます。

期待以上だったのが中嶋朋子。役としてはむしろやりにくい普通の令嬢なんですが、セリフが生きていて、黒いドレスにしなやかな身のこなしがステキ。どうかすると大竹しのぶみたいに見えました。

で、お芝居としてどうだったかというとですね、私が見たのは初日なので、このメンバーならもっと面白くなりそうだと思いました。観客もすでによく笑ってましたけど(橋本さんや石川さん、相当やばかった)、その反応を見ながら、もっと振幅をつけていけそうな余力がありそうでしたから。

で、笑いとともに楽しい大団円へと終結していくんですが、一つだけ言うと、音月桂のヘアメイクがサラサラヘアのかわいいお嬢さん過ぎて、ちょっと「男役の真似が恐ろしくうまい女子高生」に見えちゃうんですよね。もちろん、普通の女優が出せないようなキリリとした男性の声は出ているんですが、外見が。ちょっとオリヴィアが一目ぼれする風には見えませんでした。その分、男だと思っていてもかわいがってしまうオーシーノやアントーニオ(山口馬木也)の気持ちはわかる、って感じ。

舞台装置は、シンプルですがクラシックな日生劇場のインテリアとも合ってて雰囲気十分。バイオリンやチェロの弦楽器と前述の成河の歌が効果的で、ぜいたくな舞台になっていました。

シェイクスピアのこの終わった後のカタルシスって、歌舞伎に通じるなあと思っていろいろ見ていたら、あの蜷川さんの演出で、2005年に歌舞伎でやってましたよ! ロンドン公演(公式サイト)までしたそうです。菊之助の双子、亀治郎のマライア、菊五郎のマルヴォーリオ、左團次、翫雀、時蔵と、見たかったなあ。

(その後、この舞台を見た方の感想みつけちゃいました。やっぱり男女を完璧に行き来できる、歌舞伎のための脚本としか思えず、菊之助はじめキャストは最高だったですって。わーん、役者さんたちみなさん今も活躍中の方ばかりなんだから(!)再演してください、お願い)

(追記)

「NINAGAWA 十二夜」、ロンドン版@2009の録画を見る機会がありましNinagawa
た。鏡を使った渋くも華やかな舞台装置は蜷川さんらしいもの。難破の船も人魚の劇より立派です。衣装ももちろん素敵。

やはり、男女の二役は歌舞伎の方が得意です。妹が男装しているときにところどころ女になるところのかわいさ、美形の菊之助ならではで、歌舞伎得意の早変わりも効いています。菊五郎さんが、道化とちょっと嫌味なマルヴォーリオを、絶妙な味わいで演じています。そして、菊五郎劇団で演じるのを初めて見た亀治郎(現猿之助)。マルヴォーリオを嘲弄する、ちょっとした悪女を魅力的に演じていて、もう舞台にいる間(映像なので映っている間)惹きつけられてたまりません。錦之助のオーシーノ公爵も、とっても素敵な大臣で、ヴァイオラの恋心もうなずけます。

ほかにもちろん面白い左団次、翫雀(初演は松緑だったそうですが、はじけた演技ですばらしかった)、団蔵、段四郎と登場人物がみなさん適役で、上品なコメディセンスを持ち合わせている方ばかり。シェイクスピアの諧謔がきちんと日本語に消化されていて、たいへんに充実した新作歌舞伎になっていました。舞台で見た方、うらやましいな。

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